JPH03115477A - 絶縁塗料および絶縁電線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、耐熱性、耐加工性等が良好で潤滑性に優れた
塗膜を形成し得る絶縁塗料、およびそのような絶縁塗料
が導体上の少なくとも最外層に塗布焼付けされた絶縁電
線に関する。

（従来の技術） 従来から加工劣化が少なく耐熱性も良好な絶縁電線とし
て、ポリアミドイミド線や、ポリエステルイミド／ポリ
アミドイミドダブルコート線等が使用されている。

ところで近年電気機器メーカー等においては、機器製造
の迅速化を図るために高速自動巻線機が使用されつつあ
るが、上記絶縁電線はいずれも表面の潤滑性に乏しく巻
線加工の際に絶縁塗膜が損傷を受けるため、このような
高速自動巻線機を使用することができなかった。このた
めかかる電線の表面潤滑性を向上させることが要望され
てきている。

この種の絶縁電線の表面潤滑性を向上させるためには、
従来、最外層の絶縁塗膜の上に、流動パラフィンや冷凍
機用油のような液体潤滑剤、あるいは固形パラフィン、
カルナウバロウのような固体用滑剤を塗布する方法が一
般に行われていた。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら液体潤滑剤を塗布する方法では、潤滑剤を
均一に塗布することが難しいうえ、表面にゴミ等が付着
しやすく、しかも潤滑性や滑り性はあまり向上しないと
いう問題があった。

また固体潤滑剤を塗布する方法では、潤滑性や滑り性は
液体潤滑剤に比べると向上するものの、均一に塗布する
ことが難しいうえ、潤滑剤を溶解させるための溶剤が絶
縁塗膜にクレージングを発生させるおそれがあった。

さらに固体潤滑剤を塗布した絶縁電線を冷凍機用モータ
ー等に使用した場合に、潤滑剤が冷媒によって抽出され
るため、潤滑性が低下するだけでな（、抽出された潤滑
剤によってコンプレッサの弁や冷媒吹出し口等が詰まり
、冷凍能力を低下させるおそれがあった。

なお近年、絶縁電線の表面に潤滑性を付与する方法とし
て、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオ
ロエチレンのような潤滑性に優れた合成樹脂の粉末を配
合した絶縁塗料を、導体上に塗布焼付けする方法が提案
されている。

しかしながらこの方法では、使用される合成樹脂粉末が
溶剤に難溶で絶縁塗料中に均一に分散させることが困難
なうえ、塗料としての安定性に欠は添加物が分離してく
るという難点があった。また外観の良好な電線が得られ
ないという難点もあった。

さらに最近、分子鎖の末端に直鎖アルキル基を結合させ
て変性したポリアミドイミドを含むポリアミドイミド樹
脂を主成分とする絶縁塗料が開発され、この塗料を最外
層に塗布焼付けすることによって、表面の潤滑性を向上
させた絶縁電線が開発されている。

しかしながらこのような絶縁電線においては、変性ポリ
アミドイミドの重合度をあまり上げることができず、直
鎖アルキル基の配合割合を増加させることが難しいうえ
に、塗膜の可撓性が充分でないという問題がある。

本発明はこのような従来の問題を解決するためになされ
たもので、耐熱性や耐加工性等が良好でしかも表面潤滑
性に優れた絶縁塗膜を形成することができる絶縁塗料と
、このような絶縁塗料が塗布焼付けされた耐熱性や耐加
工性等に加え表面潤滑性が著しく向上した絶縁電線を提
供することを目的とする。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 本発明の絶縁塗料は、（Ａ）フェノール系溶剤可溶性の
ポリアミドイミド樹脂にセイック変性ポリエステルイミ
ド樹脂を配合してなる変性ポリアミドイミド樹脂塗料に
、樹脂成分１００重量部あたり、（Ｂ）（ａ）ポリイソ
シアネートまたはその誘導体と、（ｂ）分子内にイソシ
アネート基と反応する官能基を有する長鎖アルキル化合
物とを反応させて得られる化合物を０．５〜５０重量部
重量してなることを特徴としている。

また本発明の絶縁電線は、このような絶縁塗料を一導体
上の少なくとも最外層に塗布焼付けしてなることを特徴
としている。

本発明において、（Ａ）の変性ポリアミドイミド樹脂塗
料に配合されるフェノール系溶剤可溶性のポリアミドイ
ミド樹脂としては、たとえば特開昭８１−１３０３２２
号に開示されているような、少なくとも５モル％のジカ
ルボン酸またはその誘導体を含むトリカルボン酸無水物
またはその誘導体と、ポリイソシアネートまたはその誘
導体の　１種または２種以上とを、当量比でほぼｌ：ｌ
の割合で、フェノール、クレゾール、キシレノール、石
油ナフサ等のフェノール系溶剤中でかつポリアミド樹脂
の共存下で、反応させて得られたものが使用される。

またこのようなポリアミドイミド樹脂と混合されるセイ
ック変性ポリエステルイミド樹脂は、分子構造中にＴＨ
ＥＩＣ［）リス−（２−ヒドロキシエチル）イソシアヌ
レート］を含むポリエステルイミドからなる樹脂で、通
常以下に示すような方法で製造され、市販されている。

すなわち、グリセリン架橋型のポリエステル樹脂である
アルカネックス（米国ＧＥ社製　商品名）にシアヌル環
を導入し、得られたセイック変性ポリエステル（米国ス
ケネク社製　商品名アイソネル）の一部に、ざらにイミ
ド基を導入する方法、あるいはアルカネックスにイミド
基を導入し、得られたポリエステルイミド樹脂（ドクタ
ーベック社製　テレベックＰＨ）に、さらにシアヌル環
を導入する方法等によって得られる。

本発明においては、このようなセイック変性ポリエステ
ルイミド樹脂の中でも、たとえばアイソミツド４０ＳＨ
（日蝕スケネクタディ化学（株）社製商品名）　、ＴＶ
Ｅ　５３８５　（東芝ケミカル（株）社製商品名）のよ
うに、セイックの含有量が樹脂分全体の５〜３０モル％
の範囲のものの使用が適している。

またこのようなセイック変性ポリエステルイミド樹脂の
前述のポリアミドイミド樹脂に対する配合比率は、ポリ
アミドイミド樹脂の配合量を８１セイツク変性ポリエス
テルイミド樹脂の配合量をｂとしたとき、ａ：ｂが９５
：５〜２０：８０の範囲とすることが望ましい。両成分
の配合比率がこの範囲を外れた場合には、耐熱性、耐薬
品性、機械的特性、耐加工性、耐冷媒性等の諸特性にお
いてバランスの良い絶縁電線が得られなくなる。より好
ましい範囲は９５：５〜４５：５５である。

また本発明において、（Ｂ）の化合物の出発原料の一つ
である（ａ）のポリイソシアネートまたはその誘導体と
しては、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートが
主に使用されるが、特に２゜４−トリレンジイソシアネ
ート、４．４＝　　−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、４．４−　−ジフェニルエーテルジイソシアネート
、キシリレンジイソシアネートのような芳香族のジイソ
シアネート、またはこれらの三量体や三量体を使用する
ことが、得られる絶縁塗膜の耐熱性や機械的特性の点か
ら望ましい。

次にこのような（ａ）ポリイソシアネートまたはその誘
導体と反応させる、（ｂ）の分子内にイソシアネート基
と反応する官能基を有する長鎖アルキル化合物としては
、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分鹸化エステルや
、同共重合体を完全鹸化して得られたエチレン争ビニル
アルコール共重合体、ステアリン酸アミドのような脂肪
酸アミド、あるいはへキストワックスとしてヘキストジ
ャパン社から市販されているモンタンワックス酸（炭素
数２８〜３２）やその誘導体をベースとしたもの等が使
用される。

本発明において、（Ｂ）の反応生成物を得るには、この
ような（ａ）ポリイソシアネートまたはその誘導体と（
ｂ）長鎖アルキル化合物とを、（ａ）の成分が過剰１に
なるように混合して加熱反応させる。この反応はコント
ロールの容易さの点で、また得られる生成物の溶液をそ
のまま（Ａ）の変性ポリアミドイミド樹脂塗料に添加混
合することができるという点から、フェノール、クレゾ
ール、キシレノール、石油ナフサ等のフェノール系溶剤
中で行うことが望ましい。

なお（ａ）のポリイソシアネートは、（ｂ）の分子内に
イソシアネート基と反応する官能基を有する長鎖アルキ
ル化合物との反応後、残りのイソシアネート基が、フェ
ノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類で
ブロックされる。

本発明において、このようにして得られた（Ｂ）の反応
生成物の配合量は、（Ａ）め変性ポリアミドイミド樹脂
塗料の樹脂・成分１００重二ユバたり、樹脂量として０
．５〜５０重量部の範囲とする必要がある。これは０４
５重量部未満では、添加による塗膜の表面潤滑性向上の
効果が少なく、逆に５０重量部を越えると、塗布焼付け
の作業性が低下するうえ、得られる絶縁電線の外観およ
び可撓性が不良となるからである。なおより好ましい範
囲は０．６〜２０重量部である。

本発明の絶縁電線を製造するには、上述の絶縁塗料を導
体上に直接または他の絶縁層を介して常法により塗布焼
付け、少なくとも最外側に潤滑性の良い絶縁層を形成す
るが、特にセイック変性ポリエステルイミド樹脂塗料の
塗布焼付層を下層絶縁層として設け、その上に本発明の
絶縁塗料を塗布焼付けた場合に、密着性が良好で耐熱性
と絶縁特性に一段と優れた絶縁電線が得られる。

（作用） 本発明の絶縁塗料においては、（Ａ）フェノール系溶剤
可溶性のポリアミドイミド樹脂にセイック変性ポリアミ
ドイミド樹脂を配合してなる塗料と、（Ｂ）（ａ）ポリ
イソシアネートと（ｂ）分子内にイソシアネート基と反
応する官能基を有する長鎖アルキル化合物との反応生成
物が、適当な比率で混合されているので、塗料としての
安定性に優れ長期間保存しても成分が分離することがな
い。

またこの絶縁塗料を導体上の最外側に塗布焼付けしてな
る絶縁電線は、優れた表面潤滑性を有しており、また耐
熱性、可撓性、耐冷媒性、電気的および機械的特性等に
も優れている。

（実施例） 以下、本発明の実施例について説明する。

実施例１ トリメリット酸無水物９．［ｉｇ（０，０５モル）、イ
ソフタル酸８．３ｇ（０，０５モル）、ジフェニルメタ
ンジイソシアナート２５．０ｇ（０，１モル）、ナイロ
ン６６（アミランＣ旧００７　　東し社商品名）４．０
ｇ、クレゾール３０ｇとを発生する炭酸ガスを除去しな
がら２００〜２１０℃で１０時間反応させた後、クレゾ
ール６０ｇを加えて反応を停止させた。室温に戻った後
ブロックＭＤＩ（ミリオネートＭＳ−５０日本ポリウレ
タン社商品名）５ｇを加え、さらにクレゾールで稀釈し
て不揮発分３０．０％、粘度４９．（ｌｌ’ｏｌｓｃ（
Ｓ０℃）のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。次いでこ
の溶液中に、ＴＶＥ５３８５を樹脂固形分比で９０＋１
０の割合で添加混合して変性ポリアミドイミド樹脂溶液
（Ａ）を得た。

また、ＭＤ　Ｉ　　３００．０ｇ（１）（Ａ２モル）と
、モンタンワックス酸４２８．４ｇ　（１モル）とを、
ｍ−クレゾール１７００．０ｇ中で、１９０℃の温度で
３時間反応させ、溶液（Ｂ）を得た。この溶液（Ｂ）は
加熱時は透明であったが室温まで冷却すると不透明とな
った。

この後変性ポリアミドイミド樹脂溶液（Ａ）の２５００
ｇに、溶液（Ｂ）の３８ｇを室温で混合し、樹脂分濃度
が３０．５％の絶縁塗料を得た。

得られた絶縁塗料は、室温で２ケ月放置しても成分が分
離することがなかった。

またこの絶縁塗料を、直径１．０００ｍｍの導体上に常
法により塗布した後、炉温か上部４５０℃、中間部３８
０℃、下部２７０℃の焼付炉で、線速１２．０ｍ７分の
条件で焼付けて、仕上り外径１．０８４ｍｍの絶縁電線
を得た。

実施例２ 直径１．．０００ｍｍの導体上に、ＴＶ２５３８５を常
法により塗布焼付けして下層絶縁層を形成した後、その
上に実施例１で得られた絶縁塗料を同様に塗布焼付けて
、仕上り外径り、０８４ｍ＋ｓの絶縁電線を得た。

このようにして得られた実施例１および実施例２の絶縁
電線の特性は次表に示す通りであった。

なお表面の滑り性は静摩擦係数で示した。

また表中比較例として示したのは、実施例１の変性ポリ
アミドイミド樹脂溶液（Ａ）を単独で、絶縁塗料として
導体上に塗布焼付けして得られたものである。

（以下余白） ［発明の効果］ 以上の実施例からも明らかなように本発明の絶縁塗料は
、安定性が良く長期間保存しても樹脂等の成分が分離す
ることがない。

またこの絶縁塗料を塗布焼付けすることによって、耐熱
性、耐加工性、電気絶縁性、機械的特性、可撓性、耐摩
耗性等が良好で、しかも表面潤滑性非常に優れた絶縁塗
膜が形成される。

したがってまたこのような塗膜が形成された本発明の絶
縁電線は、表面側滑性を始め上記したような優れた諸特
性を備えており、たとえば高速自動巻線機による加工も
同等問題なく行うことができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）（Ａ）フェノール系溶剤可溶性のポリアミドイミ
   ド樹脂にセイック変性ポリエステルイミド樹脂を配合し
   てなる変性ポリアミドイミド樹脂塗料に、樹脂成分１０
   ０重量部あたり、（Ｂ）（ａ）ポリイソシアネートまた
   はその誘導体と、（ｂ）分子内にイソシアネート基と反
   応する官能基を有する長鎖アルキル化合物とを反応させ
   て得られる化合物を０．５〜５０重量部配合してなるこ
   とを特徴とする絶縁塗料。
2. （２）第１項記載の絶縁塗料を導体上の少なくとも最外
   層に塗布焼付けしてなることを特徴とする絶縁電線。