JPH0311073Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車両における運転席のシートクツシ
ヨンを上下動させて座面高さを調節することので
きる車両用シートリフタの改良に関する。

〔従来の技術〕

従来のこの種、シートリフタとしては、例えば
第４図および第５図に示すものが知られている。
これは運転席シートのシートクツシヨン（図示せ
ず）下部に配設されるもので、左右のシートスラ
イドレール１，１の各アツパレール２，２にリン
ク機構を介して連結された枠体状のシートフレー
ム３と、このシートフレーム３の一側前部に取付
けられ、リンク機構との間に設けられた回転伝達
機構４を介してシートフレーム３を所望の高さ位
置でロツクするブレーキ装置５とからなる。

上記リンク機構は、シートクツシヨンの前後部
位にそれぞれ配設される一対の駆動リンク６（左
側のみ図示する）およびこの駆動リンク６の動き
に追従して同様に動き得る従動リンク７とからな
り、アツパレール２にはその下端部がそれぞれブ
ラケツト８，９を介して軸支されると共に、上端
部はシートフレーム３に一端部が支持されたピン
１０，１１に軸支されている。

また、駆動リンク６のピン１０には、該駆動リ
ンク６に固定された扇形状のセクタギヤ１２が回
動可能に支持されている他、シートフレーム３に
ボルト２８固定された取付ブラケツト１３を介し
てシートフレーム３の外側面に回動可能に取付け
られた駆動シヤフト１４には、上記セクタギヤ１
２と噛み合うセンタギヤ１５が一体に設けられて
おり、これら両方のギヤ１２，１５によつてて駆
動リンク６への回転伝達機構４を構成している。
また、左右の駆動シヤフト１４（左側のみ示す）
は、その先端部がスプライン結合された回転シヤ
フト１６によつてつながつており、この回転シヤ
フト１６を介して他方の回転伝達機構４と連動す
るようになつている。更にまた、上記回転シヤフ
ト１６にはスプリング１７が巻装されており、こ
のスプリング１７の一端は回転シヤフト１６に、
他端が上記駆動リンク６のピン１０にそれぞれ固
定されていて、常時は駆動リンク６を起立させる
方向に付勢している。

ブレーキ装置５は駆動シヤフト１４の軸線上に
設けられており、シートフレーム３の一方の外側
面に上記取付ブラケツト１３を介して固定され
る。このブレーキ装置５は駆動シヤフト１４に連
結されており、リフタレバー１９を回動すると駆
動シヤフト１４は回転するが駆動リンク６からの
リンクの回転方向に荷重が加わつてもリフタレバ
ー１９は回転しないように構成されたブレーキ機
構１８によつて、駆動シヤフト１４の回転運動を
拘束するものである。

尚、上記シートフレーム３の外側面に密接固定
される取付ブラケツト１３は、平板状の金属板か
らなり、駆動シヤフト１４の一端が支持されてい
る他、シートフレーム３から突出したピン１０の
一端部が固定される。このように、従来にあつて
は、駆動リンク６のピン１０は、その一端がシー
トフレーム３の外側面に密接する取付ブラケツト
１３に固定される不安定な支持構造となることか
ら、上記ピン１０の先端部とシートフレーム３と
の間にＬ字状の補強部材２１を架け渡し、この補
強部材２１と取付ブラケツト１３とでピン１０の
両端を支持し、シート着座時やシートリフタ操作
時における駆動リンク６やセクタギヤ１２からの
荷重によつてピン１０が倒れるのを防止してい
る。

このような構成からなるシートリフタにあつ
て、シートクツシヨンの高さを調節する場合に
は、着座状態において上記ブレーキ装置５のリフ
タレバー１９を引き上げてブレーキ機構１８のロ
ツク状態を解除する。このとき、スプリング１７
の作用によつて回転シヤフト１６と共に駆動シヤ
フト１４が回転し、この駆動シヤフト１４と同時
に回転するセンタギヤ１５上をセクタギヤ１２が
噛み合いながら回動し、駆動リンク６を起立させ
る。従動リンク７は、上記駆動リンク６の動きに
追従して立上り、シートフレーム３を持ち上げ
る。そして、所定の高さ位置においてリフタレバ
ー１９を離すとブレーキ機構１８が作用して駆動
シヤフト１４の回転が拘束され、セクタギヤ１２
とセンタギヤ１５の噛み合いによりシートフレー
ム３をロツクすることができる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記従来の車両用シートリフタ
にあつては、駆動リンク６のピン１０がシートフ
レーム３側の一端部で支持される構造であること
から、このピン１０を確実に支持するために別途
補強部材２１を設けなければならず、その分、部
品点数が増加すると共に、組付工数などが増えて
しまうといつた問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記問題点を解決して別途補強部材を
用いることなく、簡易な手段で十分なピン支持強
度を得ることのできるシートリフタを提供するも
ので、その手段は、シートクツシヨンの下部に配
設されたシートフレームと、フロア面に対し上記
シートフレームを上下動可能に支持するリンク機
構と、取付ブラケツトを介してシートフレームに
取付けられ上記リンク機構の作動を規制するブレ
ーキ装置とを有する車両用シートリフタにおい
て、上記リンク機構とシートフレームとをピン結
合すると共に、このピンの一端部をシートフレー
ムから突出させ且つその突出端部をシートフレー
ムの外側に配置した取付ブラケツトに固定する一
方、ピンの突出部を径大に形成し、この径大部を
シートフレームと取付ブラケツトの少なくとも一
方に凹部を形成することで両者の間に設けた間隙
に介装したことを特徴とする車両用シートリフタ
によつてなされる。

〔実施例〕

以下、添付図面に基づいて本考案の実施例を詳
細に説明する。

シートリフタの基本的構成は、第４図に示す従
来例と同様に、左右のアツパレール２，２にブラ
ケツト８，９を介して駆動リンク６および従動リ
ンク７の下端を軸支し、これらリンク６，７の上
端に枠体状のシートフレーム３を支持させると共
に、これらリンク６，７の回動によつて上下動す
るシートフレーム３の高さ位置をブレーキ装置５
によつて位置決めするものである。

そして、上記駆動リンク６の上端をシートフレ
ーム３に支持するピン１０′は、第１図および第
２図に示すように、取付ブラケツト１３′に予め
一端が固定されており、このピン１０′の先端部
側には駆動リンク６に固定された扇形状のセクタ
ギヤ１２が駆動リンク６と共に回動可能に支持さ
れる。また、取付ブラケツト１３′を介して、シ
ートフレーム３の内側面に回動可能に取付けられ
た駆動シヤフト１４には、上記セクタギヤ１２と
噛み合うセンタギヤ１５が一体に設けられている
と共に、第１図および第２図に示す左側の駆動シ
ヤフト１４は、その基端部が取付ブラケツト１
３′を介してブレーキ装置５に連結されている他、
先端部が回転シヤフト１６に嵌め込み固定されて
おり、この回転シヤフト１６によつて他方側の駆
動シヤフト（図示せず）に連結されている。

この実施例における取付ブラケツト１３′は、
シートフレーム３の外側面にボルト２８固定する
周縁フランジ２２を残して中央部全体が外方に向
かつて突出形成された形状となつており、この突
出部内側にピン１０′の一端部が溶接されている。
尚、この実施例では、取付ブラケツト１３′の中
央部全体を外方に突出させて凹部を形成してある
が、少なくともピン１０′の固定部が突出形成し
てあれば、部分的な突出部であつてもよい。ま
た、この実施例ではシートフレーム３に開設され
るピン１０′の挿通孔２３周縁部が内方に向つて
エンボス成形されて該部分に凹部を形成している
ため、上記取付ブラケツト１３′取付時には、取
付ブラケツト１３′とシートフレーム３との間に
間隙２４が形成される。また、上記実施例のピン
１０′は、上記間隙２４の幅寸法Ｈに相当する基
端部分が先端部分より径大となつているため、取
付ブラケツト１３′とシートフレーム３との間の
スペーサとして作用し、径大部の両端面が取付ブ
ラケツト１３′及びシートフレーム３のそれぞれ
に当接して両者に面圧支持される他、ピン１０′
の抜け止めともなる。

従つて、この実施例では、ブレーキ装置５の取
付時にシートフレーム３の挿通孔２３にピン１
０′を挿入し、取付ブラケツト１３′とシートフレ
ーム３とによつて支持されたピン１０′の先端部
にセクタギヤ１２および駆動リンク６を取付け、
その先端部に止めリング２５を嵌着して組付けら
れる。尚、第１図中、符号２６はブラケツト８に
駆動リンク６の下端部を軸支するための軸ピン、
２７は止めリングである。

上述のようなピン支持構造では、ピン１０′の
中間部をシートフレーム３によつて、またピン１
０′の基端部を取付ブラケツト１３′によつてそれ
ぞれ支持する、いわゆる２点支持構造となつてい
る他、ピンの径大部の両端面がシートフレーム３
及び取付ブラケツト１３′に面圧支持されている
ので、ピン１０′の先端部に加わる荷重、例えば
シート着座時やシートリフタ操作時に駆動リンク
６から受ける荷重などに対しても強度的に十分耐
え得るものであり、従来の補強部材を廃止して
も、ピン１０′の倒れを確実に防止してセクタギ
ヤ１２とセンタギヤ１５との噛み合いを適正に保
持することができる。

尚、他方の駆動リンク側のピンも上記と同様に
突出形成した取付ブラケツトとシートフレームに
よつて支持してもよく、また更に、第３図に示す
ように、他方側はピン１０′と回転シヤフト１６
とを間隔保持部材としてのプレート２９によつて
連結し、両者間の距離を一定に保つことで、特に
セクタギヤ１２とセンタギヤ１５の噛み合いを適
正に保持することも可能であり、駆動リンクの一
方側をこの支持手段により、他方側をピン１０′
の倒れを防止した本考案の支持手段によつて簡易
でかつ円滑なシートリフタ操作を行わせることが
できる。

上記実施例では、シートフレーム３および取付
ブラケツト１３′の両方を変形した例につき説明
したが、一方を平板状にしておき、他方のみを変
形した場合であつてもよい。また上記実施例では
セクタギヤ１２とセンタギヤ１５とからなる回転
伝達機構４を利用したシートリフタにつき説明し
たが、他の伝達機構を用いたシートリフタにも適
用できることは勿論である。

〔効果〕

以上説明したように本考案に係る車両用シート
リフタによれば、リンク機構の回動軸となるピン
をシートフレームと取付ブラケツトの２点で支持
すると共に、ピンの突出部に形成した径大部をシ
ートフレームと取付ブラケツトとで挟み込んで面
圧支持する構造としたので、リンク機構からの荷
重によるピンの倒れやリンクシヤフトの撓み変形
等が有効に防止され、リンク機構の作動を常時適
正に保つことができて円滑なシートリフタ操作が
確保されるものである。そのため、従来ピン支持
用として別途設けていた補強部材を用いる必要が
なくなり、その分部品点数や補強部材の組付工数
の削減が図られることになる。また、本考案のシ
ートリフタによれば、ピンに設けた径大部をシー
トフレームと取付ブラケツトとで挟み込むように
しているため、この径大部が両者間の寸法を設定
するスペーサとして作用する他、ピンの抜け落ち
を防止できるといつた効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車両用シートリフタの主
要部を示す分解斜視図、第２図は第１図に示す部
材を組付けた場合の第１図中−線断面相当
図、第３図は他方の駆動シヤフト側のピン支持構
造を示す断面図、第４図は従来における車両用シ
ートリフタの斜視図、第５図は第４図中−線
断面図である。 ３……シートフレーム、５……ブレーキ装置、
６……駆動リンク、７……従動リンク、１０，１
０′……ピン、１３，１３′……取付ブラケツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートクツシヨンの下部に配設されたシートフ
   レームと、フロア面に対し上記シートフレームを
   上下動可能に支持するリンク機構と、取付ブラケ
   ツトを介してシートフレームに取付けられ上記リ
   ンク機構の作動を規制するブレーキ装置とを有す
   る車両用シートリフタにおいて、 上記リンク機構とシートフレームとをピン結合
   すると共に、このピンの一端部をシートフレーム
   から突出させ且つその突出端部をシートフレーム
   の外側に配置した取付ブラケツトに固定する一
   方、ピンの突出部を径大に形成し、この径大部を
   シートフレームと取付ブラケツトの少なくとも一
   方に凹部を形成することで両者の間に設けた間隙
   に介装したことを特徴とする車両用シートリフ
   タ。