JPH0310889Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えばネイルカラー等の化粧料をキ
ヤツプに取付けられた筆で塗布するようにした筆
付き容器に関する。

〔従来技術〕

一般に、ネイルカラー等の塗布液を収容する化
粧料容器には、筆付き容器が用いられている。

第６図に従来技術による筆付き容器を示す。

図において、１はガラス製の容器本体で、該容
器本体１の上部には口部１Ａが設けられ、該口部
１Ａの外周面にはおねじ１Ｂが形成されている。
２は該容器本体１内に収容された塗布液で、該塗
布液２はネイルカラー等の揮発性溶剤を含有する
液体化粧料からなつている。

３は前記容器本体１の口部１Ａに螺着される有
底筒状のキヤツプで、該キヤツプ３の内周には小
径部３Ａ、中径部３Ｂ、大径部３Ｃが設けられ、
該大径部３Ｃの内周面には前記口部１Ａのおねじ
１Ｂに螺合するめねじ３Ｄが形成されている。ま
た、前記中径部３Ｂには後述する筆軸４の取付部
４Ａが嵌着されるようになつている。

次に、４は一端が前記キヤツプ３内に取付けら
れ、他端が前記口部１Ａから容器本体１内へと挿
入されるプラスチツク製の筆軸で、筆軸４は一端
側に位置して、前記キヤツプ３の中径部３Ｂに圧
入等の手段で固着された有底筒状の取付部４Ａ
と、中実の軸部４Ｂとからなり、該取付部４Ａの
下面には前記キヤツプ３の螺着時に前記口部１Ａ
を気密にシールするシール面４Ｃが設けられてい
る。また、前記軸部４Ｂの他端には小径の溝４Ｄ
が設けられ、該溝４Ｄ内には細長状の刷毛５が植
設されている。

このように構成される筆付き容器では、キヤツ
プ３を容器本体１の口部１Ａに螺着したときに、
筆軸４の取付部４Ａに設えられたシール面４Ｃが
前記口部１Ａの上端面に押し付けられて容器本体
１内を密閉し、前記塗布液２の蒸発を防止するよ
うになつている。

ところで、上述した筆付き容器にあつては、前
記キヤツプ３の螺着時に、前記筆軸４の軸部４Ｂ
および刷毛５が容器本体１内に挿入され、塗布液
２中に沈漬されるため、該塗布液２の充填量のバ
ラツキにより、塗布液２の液面が前記口部１Ａの
上部位置まで達することがある。そして、このよ
うな状態で当該筆付き容器が出荷され店頭等に陳
列された場合、周囲温度の上昇に伴い、前記塗布
液２が体積膨張し、容器本体１内の内圧を該容器
本体１の耐圧強度以上に上昇させることがある。

このため、従来技術による筆付き容器では、周
囲温度の上昇によつて容器本体１が破裂事故を起
すという欠点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上述した従来技術の欠点に鑑みなされ
たもので、本考案が解決しようとする問題点は、
周囲温度の上昇によつて容器本体の内圧が上昇し
たとき、この内圧に応じて筆軸の体積を減少化で
きるようにして、容器本体の破裂事故等を確実に
防止するようにした筆付き容器を提供することに
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

上述した問題点を解決するために本考案が採用
する構成の特徴は、筆軸を薄肉筒状に形成し、容
器本体の内圧に応じて径方向側に変形可能とした
ことにある。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図ないし第５図に
基づき説明する。なお、実施例において、前述し
た第６図に示す従来技術と同一の構成要素には同
一の符号を付し、その説明を省略する。

第１図ないし第３図は本考案の第１の実施例を
示している。

図において、１１は本実施例において採用する
キヤツプで、該キヤツプ１１は従来技術で用いた
キヤツプ３とほぼ同様に形成され、小径部１１
Ａ、中径部１１Ｂ、大径部１１Ｃおよびめねじ１
１Ｄがそれぞれ設けられているが、該キヤツプ１
１の中径部１１Ｂには前記小径部１１Ａ内を外気
と連通させるためにめねじ１１Ｅが、そして、該
めねじ１１Ｅの上端には切欠き１１Ｆがそれぞれ
形成されている。

さらに、１２は一端が前記キヤツプ１１内に取
付けられ、他端が容器本体１内に挿入される筆軸
で、該筆軸１２は例えばポリエチレン、ポリプロ
ピレン等の弾性樹脂材料から成形され、前記キヤ
ツプ１１の中径部１１Ｂに螺着された有底筒状の
取付部１２Ａと、該取付部１２Ａの内部と連通す
るように薄肉円筒状に形成され、該取付部１２Ａ
から軸方向に比較的細長く伸長し、他端が閉塞さ
れている軸部１２Ｂとから構成されている。そし
て、前記取付部１２Ａの下面には容器本体１の口
部１Ａを気密にシールするシール面１２Ｃが設け
られており、軸部１２Ｂの閉塞端には細長状の刷
毛１３が植設された小径の溝１２Ｄが設けられて
いる。また、該軸部１２Ｂの内周面には径方向で
相対向するように位置して、長手方向に伸長する
リブ１２Ｅ，１２Ｅが立設されており、該各リブ
１２Ｅによつて軸部１２Ｂは簡単に折り曲がらな
いようになつている。さらに、前記取付部１２Ａ
の外周面には前記中径部１１Ｂのめねじ１１Ｅと
螺合するおねじ１２Ｆが形成されている。

ここで、前記軸部１２Ｂ内は取付部１２Ａ内を
介してキヤツプ１１の小径部１１Ａと連通してお
り、該小径部１１Ａは前記切欠き１１Ｆからめね
じ１１Ｅ、おねじ１２Ｆ間を介して外気と連通さ
れるようになつている。一方、前記シール面１２
Ｃは前記キヤツプ１１の螺着時に前記口部１Ａの
上端面に押し付けられ容器本体１内を密閉し、塗
布液２の蒸発を防止するようになつている。

次に、以上の通り構成される筆付き容器の作用
について説明する。

当該筆付き容器においても、前記キヤツプ１１
を容器本体１の口部１Ａに螺着したとき、筆軸１
２の軸部１２Ｂおよび刷毛１３が容器本体１内に
挿入され、塗布液２中に沈漬される。このとき、
該塗布液２の液面は前記軸部１２Ｂおよび刷毛１
３の体積分だけ上昇するが、塗布液２の充填量の
バラツキにより、前記口部１Ａの上部位置まで達
することがある。そして、このような状態で当該
筆付き容器が店頭等に陳列された場合、周囲温度
の上昇に伴い前記塗布液２が体積膨張し、容器本
体１の内圧が上昇することがある。

しかし、本実施例では、筆軸１２の軸部１２Ｂ
が薄肉円筒状に形成されているから、容器本体１
の内圧上昇に応じて該軸部１２Ｂは第３図に示す
ように径方向内側へと弾性変形して体積を減少で
き、この内圧を相対的に低下させることができ
る。このとき、該軸部１２Ｂ内は取付部１２Ａ内
を介してキヤツプ１１の小径部１１Ａ内に連通さ
れており、該小径部１１Ａ内は切欠き１１Ｆから
めねじ１１Ｅ、おねじ１２Ｆ間を介して外気と連
通されるようになつているから、軸部１２Ｂ内は
常に大気圧状態に維持され、該軸部１２Ｂの径方
向内側への変形を比較的簡単に許すことができ
る。

従つて、本実施例によれば、軸部１２Ｂの径方
向内側への変形によつて該軸部１２Ｂの体積を縮
小でき、前記塗布液２の体積膨張を補償でき、容
器本体１の破裂事故等を未然に防止できる。

なお、前記実施例では、キヤツプ１１の中径部
１１Ｂにめねじ１１Ｅを、筆軸１２の取付部１２
Ａにおねじ１２Ｆを設け、該中径部１１Ｂに取付
部１２Ａを螺着させるものとして述べたが、これ
に替えて、中径部１１Ｂ内に取付部１２Ａを圧入
等の手段で固着するようにしてもよい。この場
合、例えば、取付部１２Ａの外周に軸方向のリブ
を立設し、中径部１１Ｂと取付部１２Ａとの間に
該各リブ間で通気孔を形成するようにすればよ
く、場合によつては、キヤツプ１１に小径部１１
Ａ内を外気と連通させる小径の通気孔１４を例え
ば径方向に穿設するようにしてもよい。

次に、第４図は本考案の第２の実施例を示し、
本実施例の特徴は、筆軸の軸部を薄肉筒状に形成
すると共に、該軸部の横断面形状を楕円形状にし
たことにある。

図において、２１は筆軸を示し、該筆軸２１は
前記第１の実施例で用いた筆軸１２とほぼ同様に
形成されているが、該筆軸２１では軸部２１Ｂの
横断面形状が略楕円形状で薄肉に形成されてお
り、該軸部２１Ｂの内周面には短軸側で径方向に
対向するように位置し、長手方向に伸長するリブ
２１Ｅ，２１Ｅが立設されている。そして、該各
リブ２１Ｅによつて軸部２１Ｂの折れ曲がりが防
止されるようになつている。

かくして、本実施例でも、前記第１の実施例と
ほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に
本実施例では、軸部２１Ｂが略楕円形状に形成さ
れているから、該軸部２１Ｂは円形状の軸部（例
えば、第１の実施例の軸部１２Ｂ）に比較して短
軸側で径方向内向きに弾性変形し易く、容器本体
１内の圧力上昇に伴いより簡単に軸部２１Ｂの体
積を減少できる。

第５図は本考案の第３の実施例を示し、本実施
例の特徴は、筆軸３１の軸部３１Ｂを薄肉円筒状
に形成し、該軸部３１Ｂの内周面に90度の間隔を
もつて４個のリブ３１Ｅ，３１Ｅ，…を立設した
ことにある。なお、該筆軸３１は各リブ３１Ｅを
除いて前記第１の実施例で用いた筆軸１２と同様
に形成されている。

このように構成される本実施例でも前記第１の
実施例とほぼ同様の作用効果を得ることができる
が、特に本実施例では、リブ３１Ｅを90度の間隔
をもつて４個立設したから筆軸３１Ｂの折れ曲が
りをより確実に防止することができる。

なお、前記各実施例では、キヤツプ１１の小径
部１１Ａ内を外気と連通させるものとして述べた
が、該小径部１１Ａ内を必ずしも外気と連通させ
るように構成する必要はない。この場合、筆軸１
２，２１，３１の軸部１２Ｂ，２１Ｂ，３１Ｂが
径方向内側に変形して、該軸部２１Ｂ，２１Ｂ，
３１Ｂの体積が減少すれば、容器本体１の内圧を
確実に低下させることができるものである。ま
た、前記各実施例では軸部１２Ｂ，２１Ｂ，３１
Ｂの横断面形状を円形または楕円形状とするもの
として述べたが、これに替えて、該軸部１２Ｂ，
２１Ｂ，３１Ｂの横断面形状を三角形または四角
形等の多角形状にし、該軸部１２Ｂ，２１Ｂ，３
１Ｂを薄肉角筒状に形成してもよい。この場合、
該軸部１２Ｂ，２１Ｂ，３１Ｂの内周面に必ずし
もリブ１２Ｅ，２１Ｅ，３１Ｅ等を立設する必要
はない。勿論、円形の軸部１２Ｂ，３１Ｂまたは
楕円形の軸部２１Ｂにおいてもリブ１２Ｅ，２１
Ｅ，３１Ｅを省略してもよい。

さらに、前記各実施例では、ネイルカラー用の
筆付き容器を例に挙げて設明したが、本考案はこ
れに限定されず、ネイルカラー以外の化粧料ある
いは化粧料以外の用途の筆付き容器に適用しても
よい。

〔考案の効果〕

以上詳述した通り、本考案によれば、筆軸を薄
肉筒状に形成し、容器本体の内圧に応じて径方向
内側に変形可能としたから、該容器本体内に収容
された塗布液が周囲温度の上昇により体積膨張
し、該容器本体の内圧が高くなつた場合に、前記
筆軸が径方向内側に変形してその体積を減少させ
ることによつて、前記塗布液の体積膨張を補償で
き、容器本体が破裂事故等を起すような事態を確
実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の第１の実施例に
よる筆付き容器を示し、第１図はその要部を拡大
して示す縦断面図、第２図は第１図中の−矢
示方向断面図、第３図は第２図中に示す軸部が径
方向内側に変形した状態を示す第２図と同様の断
面図、第４図は本考案の第２の実施例を示す第２
図と同様の断面図、第５図は本考案の第３の実施
例を示す第２図と同様の断面図、第６図は従来技
術による筆付き容器のキヤツプ取付け状態を示す
縦断面図である。 １……容器本体、２……塗布液、１１……キヤ
ツプ、１２……筆軸、１２Ａ……取付部、１２Ｂ
……軸部、１３……刷毛、２１，３１……筆軸、
２１Ｂ，３１Ｂ……軸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 塗布液が収容される容器本体と、該容器本体に
   螺着される有底筒状のキヤツプと、一端が該キヤ
   ツプ内に取付けられ、他端が前記容器本体内に挿
   入される筆軸とからなる筆付き容器において、前
   記筆軸を薄肉筒状に形成し、前記容器本体の内圧
   に応じて径方向内側に変形可能としたことを特徴
   とする筆付き容器。