JPH056896Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、口紅等の化粧品を繰り出すことので
きる容器に関するものである。

〔従来の技術〕 最近の棒状化粧品として、化粧料の塗布操作を
行い易くすると共に化粧料の使用状態時における
清涼感を得ることができるように、化粧料内に芳
香剤を含めた揮発成分を多量に含有するものが多
く利用されるようになつている。

この揮発成分を多量に含有する棒状化粧品の収
納容器は、当然のことながら、収納している棒状
化粧品に含有されている揮発成分の濫りな放散を
阻止すべく、充分に高い気密性を持つていなけれ
ばならない。

しかしながら、この種の棒状化粧品の収納容器
は、化粧品を保持する部分と化粧品を収納する部
分とを螺合組合せし、この保持する部分との相対
回動により化粧品の出入りを達成する構成となつ
ており、またこの棒状化粧品の繰り出し容器であ
る容体を開閉するべく組付けられるキヤツプは、
前記容体に対して螺合組付けすることは不適当と
なり、このため単なる嵌込みによつて組付けられ
ていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このように、容体の開閉を達成するキヤツプの
容体への組付け手段が、単なる嵌込みによる手段
に限定されていたので、キヤツプによつて容体を
密閉するのが難しく、また例え容体を密閉するこ
とができたとしても、このキヤツプによる容体の
密閉保持を長期間にわたつて維持することが極め
て困難であつた。

また、容体自体も、その構成部材が相互回動す
る組合せ構造となつているので、その化粧品の出
入りする開口部以外の部分を気密に構成すること
が難しく、これがため気密保持能力の劣つたもの
とならざるを得なかつた。

この上記した問題点を解消するものとして、本
出願人は、先に実願昭59−149790号（実公平１−
35684）の考案を提供した。この考案は、優れた
効果を発揮するものではあるけれども、受皿体に
対する棒状化粧品の組付けは、容器の下方から受
皿体を成形型枠の一部として化粧品材料を充填し
て固化させる構成であつた。

このような構成では、受皿体の下端がどうして
も開放状態となり、容器の下端に紙製等のシール
片を貼着することになつていたが、密封性の点で
は不満の残るところであり、さらに有底の外装筒
を嵌込むのは、構造の複雑性、コスト性、作業性
等の問題よりしても問題の生じるところである。
すなわち、上記の受皿体は、化粧品の機密保持に
利用することはできなかつたのである。

この点、受皿体は有底筒形状とし、既に成形さ
れた化粧品を受皿体の上方から圧入組付けする構
成であれば化粧品の気密保持が達成されるが、こ
の場合には、この圧入に際して、受皿体内のエア
ー抜きをしなければ、受皿体と棒状化粧品との組
付けが確実に達成されないことになる。

本考案は、上述した従来の欠点、不都合を解消
するべく考案された棒状化粧品繰出し容器に関す
るものであつて、キヤツプによる容体の密閉を確
固と達成すると共に容体自体の気密性を高め、さ
らには、棒状化粧品の組付けを簡単かつ確実に達
成されるようにすることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

以下、本考案を本考案の実施例を示す図面を参
照しながら説明する。

本考案の棒状化粧品繰出し容器は、内筒体１
と、外筒体９と、受皿体１８とによる容体と、キ
ヤツプ体２６とから構成される。

先ず内筒体１は、円筒形状の筒壁２に縦長孔６
を開孔した構成であり、この内筒体１に相互回動
自在かつ抜出し不能に外装組み付けされる外筒体
９は、円筒形状の周壁１５内周に螺旋溝１６を刻
設し、下端を密閉した構成である。

また前記した内筒体１内に昇降変位自在に組み
付けられる受皿体１８は、棒状化粧品が上方から
密に嵌入されかつ保持する有底筒形状の壁部１９
の一部に通気孔２１を開孔すると共に、この壁部
１９の下端に垂下設された脚筒２４の外周面に、
前記した縦長孔６を貫通して前記した螺旋溝１６
に螺合する係合ピン２５が突設されている。

そして、キヤツプ体２６は有頂直線円筒形状で
あり、前記外筒体９に組付けられる。

上述した各構成部材にあつて、前記したキヤツ
プ体２６内の上端には、キヤツプ体２６を外筒体
９に組付けた際に内筒体１の上端開口部８を密閉
するシール用のシール体２９が配されており、外
筒体９の螺旋溝１６よりも上位に位置する内周面
箇所と内筒体１の外周面箇所との間には、シール
リング３０が配され、さらに前記した受皿体１８
の壁部１９外周面の通気孔２１よりも上位と下位
の位置には、一対のシールリブ２３が周設されて
いる。

〔作用〕

上述した構成にあつて、受皿体１８の棒状化粧
品が位置し、縦長孔６、螺旋溝１６等によつて外
部と連通している内筒体１の内部空間は、外筒体
９との間では、シールリング３０によつて密閉さ
れている。

また、キヤツプ体２６を外筒体９に組付ける
と、内筒体１の上端開口部８はシール体２９によ
り密閉されることになり、内筒体１の内部空間は
密封されることになり、シール体２９とシールリ
ング３０とによつて、非使用時における棒状化粧
品の揮発部分の放散が阻止される。

そして、受皿体１８の壁部１９の一部には通気
孔２１が開孔されているので、棒状化粧品が上方
から密に嵌入された際に、内部のエアーをこの通
気孔２１から円滑に抜くことができるが、さらに
は、この壁部１９外周面の通気孔２１よりも上位
と下位の位置には一対のシールリブ２３が周設さ
れているので、このエアーを抜いた後の壁部１９
外周面と内筒体１内周面との間の気密シールが確
保されることになる。

すなわち、この通気孔２１が開孔されたままで
あると、例えば受皿体１８と内筒体１の下端から
外部にリーク通路が形成されてしまう虞れがあ
り、このリークを上記した一対のシールリブ２３
によつて防止するのである。

ただし、上記したように、通気孔２１は、棒状
化粧品を嵌入する際のエアー抜きであるから、一
対のシールリブ２３によるシールは、この強制的
なリークが許容される程度のものである。

また、螺旋溝１６よりも上位となつた外筒体９
の内周面箇所と内筒体１の外周面箇所との間には
シールリング３０が配置されて、外筒体９と内筒
体１との間を気密にシールしているので、化粧品
の出入り口である内筒体１の上端開口部８以外の
容体部分の気密は充分に達成されることになり、
これによつて容体の開口部以外の箇所からの化粧
品の揮発部分の放散を確実に阻止することができ
ることになる。

なお、キヤツプ体２６を外した状態で外筒体９
と内筒体１とを相互回動させれば、受皿体１８
は、係合ピン２５が縦長孔６、螺旋溝１６にガイ
ドされることにより昇降動し、受皿体１８の棒状
化粧品を内筒体１上端の上端開口部８より繰り出
すことができる。

〔実施例〕

図示実施例にあつて、内筒体１の筒壁２は直線
円筒形状の上部筒壁３とこの上部筒壁３よりも直
径のやや小さい直線円筒形状の下部筒壁４とを鍔
片５を介して連設した構成であり、この下部筒壁
４に前記した縦長孔６が開孔し、下端外周面に係
止周条７が設けられている。

また、外筒体９は、有底筒形状の回転筒１０、
組付筒１３、および前記した直線円筒形状の周壁
１５とを一体に組付けて構成される。

内筒体１の上部筒壁３の外径よりも大きい内径
を有し、かつ内筒体１の上部筒壁３下部から下部
筒壁４下端にかけての長さを有する回転筒１０の
筒部１１の下端には、端板状に底部１２が連設さ
れており、筒部１１の上端部内には、上方に突出
する形態で組付筒１３が組付け固定され、この組
付筒１３のほぼ中央部は外方に断面略コ字形状に
屈曲されて屈曲周条１４が設けられ、この屈曲周
条１４が筒部１１の上端に乗載する姿勢となる。

そして、周壁１５は、内筒体１の下部筒壁４と
ほぼ等しい長さを有する直線円筒形状であり、内
径が下部筒壁４の外径とほぼ等しくかつ外径が筒
部１１内径にほぼ等しく、この内周面に前記した
螺旋溝１６が刻設されるものであり、また、周壁
１５の上端面外周には、筒片１７が立設され、さ
らに周壁１５の下端部内周面には、係止周溝１５
ａが周設されている。

従つて、上記した構成の外筒体９内に内筒体１
を挿入組付けした場合、内筒体１の上部筒壁３の
ほぼ上半部が外筒体９から突出し、内筒体１の下
部筒壁４は周壁１５内に位置し、内筒体１の係止
周条７が周壁１５の係止周溝１５ａに係止して、
内筒体１と外筒体９との相互回動自在かつ抜出し
不能な外装組付きが確保され、さらに、下部筒壁
４の上端部と、鍔片５と、周壁１５の筒片１７と
の間に形成される間隙に、前記したシールリング
３０が密嵌入状態で配されることになる。

次に、受皿体１８にあつて、底板２０を有する
直線円筒形状の壁部１９の内周面には、棒状化粧
品下部が係止し、保持される多数の組付条２２が
軸方向に沿つて並列突設され、また、底板２０か
ら垂下設される脚筒２４は、内筒体１の下部筒壁
４とほぼ等しい長さで、かつ下部筒壁４の内径に
ほぼ等しい外径を有していて、下端の外周面に、
前記した係合ピン２５が突設されている。

キヤツプ体２６は、外筒体９の組付筒１３の外
径と等しい内径で、屈曲周条１４部分の外径と等
しい外径の円筒２７の上端に頂板２８を配した構
成であり、円筒２７内周上端から頂板２８内面に
かけて軟質材製の前記したシール体２９が配され
ている。

〔考案の効果〕

本考案の棒状化粧品繰り出し容器は、以上説明
したような構成、作用となつている。

従つて、受皿体に上方から圧入組付けされる棒
状化粧品が収納されている内筒体は、キヤツプ体
が嵌め込まれた状態で、シールリブ、シール体、
シールリングにより外部と完全に遮断されてお
り、充分に高い気密性を有しているので、化粧品
の揮発成分の放散が阻止され、かつこの状態を維
持することができ、また、受皿体を有底筒形状と
し、既に成形された化粧品を受皿体の上方から圧
入組付けした場合にも、この圧入に際しての受皿
体内のエアー抜きが確実に行えるので受皿体と棒
状化粧品との組付けを確固と達成でき、構成が簡
単で成形、組み立ても容易である等、多くの優れ
た作用効果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す断面図であ
る。第２図は、要部の拡大断面図である。 符号の説明、１……内筒体、２……筒壁、６…
…縦長孔、８……上端開口部、９……外筒体、１
５……周壁、１６……螺旋溝、１８……受皿体、
１９……壁部、２１……通気孔、２３……シール
リブ、２４……脚筒、２５……係合ピン、２６…
…キヤツプ体、２９……シール体、３０……シー
ルリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒形状の筒壁２に縦長孔６を開孔した内筒体
   １と、該内筒体１に相互回動自在かつ抜き出し不
   能に外装組付けされる円筒形状の周壁１５内周面
   に螺旋溝１６を刻設し、下端が密閉された外筒体
   ９と、棒状化粧品が上方から密に嵌入される有底
   筒形状の壁部１９の一部に通気孔２１を開孔する
   と共に、前記壁部１９の下端に垂下設された脚筒
   ２４の外周面に、前記縦長孔６を貫通して前記螺
   旋溝１６に螺合する係合ピン２５を突設し、前記
   内筒体１内に昇降変位自在に組付けられる受皿体
   １８と、前記外筒体９に組付けられる有頂直線円
   筒形状のキヤツプ体２６とを有し、該キヤツプ体
   ２６内上端に前記内筒体１の上端開口部８シール
   用のシール体２９を配し、前記外筒体９の螺旋溝
   １６よりも上位に位置する内周面箇所と内筒体１
   の外周面箇所との間にシールリング３０を配し、
   さらに前記受皿体１８の壁部１９外周面の前記通
   気孔２１よりも上位と下位の位置に一対のシール
   リブ２３を周設して成る棒状化粧品繰り出し容
   器。