JPH029247Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、安定した焼却処理ができるとともに
燃焼効率に極めて優れた特に廃プラスチツクス類
の焼却処理に適した燃焼炉に関するものである。

従来、ポリエチレンあるいは塩化ビニールなど
の合成樹脂フイルムあるいはシート、さらには各
種合成樹脂等よりなるいわゆる廃プラスチツクス
類の焼却処理に使用される燃焼炉としては、例え
ば第１図に示すような、耐火物より形成される炉
体１の頂部２に、可燃物投入口３を設けるととも
に炉底部４にダンパー５を設けて灰分取出室６を
下方に形成し、燃焼室７の側壁にバーナー８を設
けるとともに複数個所に空気供給口９を設け、さ
らに炉体１の頂部２の近傍に燃焼ガス排出口１０
を設けた構造のものが知られている。

しかしながら、このような構造の燃焼炉に、可
燃物投入口３より燃焼室７内にプラスチツクス類
を投入すると、プラスチツクス類は燃焼室７内で
急激に溶融してダンパー５上に溜り、その溶融物
がバーナー８の火炎により燃焼するものであつ
て、空気との混合が特に悪く極めて燃焼効率の悪
いものであり、また未燃ガスの発生により黒煙を
発生しやすいものであつた。

そして、空気供給口９より多量の空気を炉中に
供給すれば、黒煙の発生は防止できるが、投入さ
れる可燃物の量が少なくなると、過剰の空気によ
り炉内がかえつて冷却されるので、炉内温度を設
定値以上に維持するために、バーナー８をより高
負荷燃焼させるかまたは供給空気の調節をひんぱ
んに行なわなければならないものであり、前者の
場合は、燃料を多量に必要として不経済であり、
後者の場合は、安定した焼却処理が困難である等
多くの欠点があるものであつた。

本考案の焼却炉は、従来のこれらの欠点を解決
するためになされたものであり、安定した焼却処
理ができるとともに燃焼効率に極めて優れた炉で
あつて、上部に絞り部を有し下部に下部傾斜炉床
を有する燃焼室と、該燃焼室の側壁に連結され斜
め下向きに設けられた焼却物の供給口と、該供給
口と燃焼室との間に形成されたプラスチツクス類
の予備溶融帯域と、該予備溶融帯域の底部壁面が
燃焼室の垂直な炉壁面より内側の前記下部傾斜炉
床上に突出して斜め下向きに傾斜して形成された
投入床と、該投入床の下方および前記下部傾斜炉
床の下方の炉壁に設けられ燃焼炉内に旋回流を発
生させるとともに可燃物を燃焼するための空気を
吹込む複数個の空気吹込口と、前記傾斜炉床の下
方にダンパで区分する焼却灰取出室とより成る、
予備溶融帯域におけるプラスチツクスの溶融物が
投入床より下部傾斜炉床に落下して燃焼するよう
構成したことを特徴とするプラスチツクス類の焼
却処理に適した燃焼炉である。

本考案のさらに詳しい構成を一具体例を示す第
２図に基づいて説明すれば、耐火物により形成さ
れた炉壁１１によつて囲まれた燃焼室１２の側壁
に、プラスチツクス類の供給口１３が連結設置さ
れている。この焼却物の供給口１３は炉壁１１に
斜め下方に向けて設けられ、好ましくは耐熱鋼の
２重管より成る水冷構造の管体１４に連結して設
けられている。

そして管体１４の先端部は垂直な炉壁より燃焼
室１２中の下部傾斜炉床１９上に突出して、その
底部壁面が下向に傾斜した投入床１５を形成し、
供給口１３と燃焼室１２との間の管体１４内は、
燃焼物であるプラスチツクス類の予備溶融帯域１
６を形成する。

この投入床１５より下方の炉壁１１には、燃焼
室１２中に燃焼用の空気を吹込むとともに燃焼室
１２内の燃焼ガス流を旋回流とするための複数個
の空気吹込口１７が炉壁に対し、ほぼ直角に設け
られている。

また、燃焼室１２には、前記焼却物の投入床１
５より下方に可燃物を燃焼するためのバーナー１
８が斜に連結設置され、かつ好ましくは円錐型の
下部傾斜炉床１９の下部にはダンパー２０が設け
られて、燃焼室１２の下部にダンパー２０で区分
された焼却灰取出室２１が設けられる。

また前記下部傾斜炉床１９の下方の炉壁１１に
は前記空気吹込口１７と同様に燃焼室１２内に燃
焼用空気を吹込むとともに焼却灰中の未燃炭素分
をより完全に焼却処理するための別の空気吹込口
２２が設けられる。

さらに、燃焼室１２の上方の炉壁１１には炉内
方向に張出させて絞り部２３を形成し、該絞り部
２３にも複数の空気供給口２４を設け、絞り部２
３を通過する燃焼ガス中に吹込んで、未燃分を上
部燃焼室２５中でより完全燃焼させ、炉頂近傍に
設けたガス排出口２６より燃焼排ガスを炉外に排
出するよう構成する。

なお、下部傾斜炉床１９の下方の炉壁に設けら
れた空気供給口２２および絞り部２３の空気供給
口２４とも、前記空気供給口１７と同様に、旋回
流を発生させるように炉壁１１に対して接線方向
に設けることが好ましく、それらの空気供給口は
いずれも第３図に示すように、複数の孔２７を炉
心２８より炉壁１１側に向けて斜めに貫通設置す
ることにより、簡単に旋回流を発生させる空気供
給口を設置することができるものである。

なお、孔２７の数は少くとも２個以上がよく、
通常３〜６個程度がよい。また、バーナー１８
は、燃焼室１２の炉壁１１に直接設置してもよい
が、別途に設けてダクト等で連結設置しても勿論
よいものである。

また、可燃物の供給は供給口１３までピストン
２９その他の移送手段によつて供給することが好
ましいものである。

また、予備溶融帯域１６は前述のとおり下向に
設けられているが、その角度はプラスチツクスの
溶融物が自然落下する程度の角度でよく、通常は
20゜〜45゜程度でよい。

そして、予備溶融帯域１６を構成する管体１４
は、必ずしも前記のごとく水冷構造の耐熱鋼でな
くても、SUS或いは耐火物等で構成しても勿論
よいものであり、その形状、大きさ等は処理量に
応じて適宜選択設計できるものである。

本考案は以上述べたとおりの構成より成るプラ
スチツクス類の焼却処理に適した燃焼炉であるの
で、廃プラスチツクス等の焼却物を、ピストン２
９等の移送手段により供給口１３まで供給する
と、プラスチツクス等で供給口１３を塞ぐととも
に予備溶融帯域１６でプラスチツクスが熱風に接
して表面より加熱され、順次溶融してその溶融物
が傾斜した投入床１５より下部傾斜炉床１９上に
落下して燃焼するものである。

なお、燃焼室１２はバーナー１８で加熱されて
いるとともに空気供給口２２および１７より吹込
まれる空気によつてガス流が旋回流をなしている
ので、溶融物の熱分解によつて発生する可燃性ガ
スはその旋回流によつて空気と完全に混合されて
燃焼室１２中で完全燃焼するものである。

そして仮りに溶融物が未燃焼状態で炉底に落下
しても、下部傾斜炉床１９の下方の炉壁の空気供
給口２２より供給される空気によつて燃焼焼却さ
れるものであり、また燃焼排ガス中に未燃性ガス
が残留していても、燃焼室１２上方の絞り部２３
に設けられた別の空気供給口２４よりの空気と混
合されることにより、上部燃焼室２５中で未燃性
ガスが完全燃焼されるものであり、極めて燃焼効
率よく完全燃焼されるものである。

以上述べたとおり本考案の燃焼炉は、プラスチ
ツクス類を炉の予備溶融帯域１６中で予め溶融
し、その溶融物を下部傾斜炉床１９上に落下して
旋回流によつて燃焼する構造の炉であるため、極
めて完全にプラスチツクス類を焼却処理できるも
のであり、安定した焼却処理ができるとともに燃
焼効率に極めて優れた炉であつて、廃プラスチツ
クス公害の防止にも役立つものであり、産業上極
めて有用な炉である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の燃焼炉の一具体例の断面を示
す説明図、第２図は、本考案の燃焼炉の一具体例
の断面を示す説明図、第３図は、本考案の燃焼炉
の空気吹込口の設置状態を示す説明図である。 １……炉体、２……頂部、３……可燃物投入
口、４……炉底部、５，２０……ダンパー、６…
…灰分取出室、７，１２……燃焼室、８，１８…
…バーナー、９，１７，２２，２４……空気供給
口、１０……燃焼ガス排出口、１１……炉壁、１
３……供給口、１４……管体、１５……投入床、
１６……予備溶融帯域、１９……下部炉床、２１
……焼却灰取出室、２３……絞り部、２５……上
部燃焼室、２６……ガス排出口、２７……孔、２
８……炉心、２９……ピストン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部に絞り部２３を有し下部に下部傾斜炉床１
   ９を有する燃焼室１２と、該燃焼室１２の側壁に
   連結され斜め下向きに設けられた焼却物の供給口
   １３と、該供給口１３と燃焼室１２との間に形成
   されたプラスチツクス類の予備溶融帯域１６と、
   該予備溶融帯域１６の底部壁面が燃焼室１２の垂
   直な炉壁面より内側の前記下部傾斜炉床１９上に
   突出して斜め下向きに傾斜して形成された投入床
   １５と、該投入床１５の下方および前記下部傾斜
   炉床１９の下方の炉壁に設けられ燃焼炉内に旋回
   流を発生させるとともに可燃物を燃焼するための
   空気を吹込む複数個の空気吹込口１７及び２２
   と、前記傾斜炉床１９の下方にダンパ２０で区分
   する焼却灰取出室２１とより成る、予備溶融帯域
   １６におけるプラスチツクスの溶融物が投入床１
   ５より下部傾斜炉床１９上に落下して燃焼するよ
   う構成したことを特徴とするプラスチツクス類の
   焼却処理に適した燃焼炉。