JPH029085B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、転炉から取り出した溶鋼を取鍋に収
容し、該取鍋を移行させながら連続的に精錬を行
なう取鍋精錬設備に係り、より具体的には前記取
鍋を円環状の閉ループ上で移行させる取鍋精錬設
備における支持架構体に関する。

〔従来の技術〕

各種の転炉から取り出される溶鋼は、いつたん
取鍋に収容されるが、必要に応じ鋳造に先立つて
各種の炉外精錬が行なわれる。またこれらの精錬
装置としては各種のものがあるが、最近、取鍋に
収容された溶鋼中に精錬用粉末添加剤（例えば
CaC₂、Ca−Siなど）をキヤリヤーガス（通常
Ar）と共に吹き込むことによつて、介在物のコ
ントロール、脱硫、脱酸等を行なう精錬装置（通
称カルシウムインジエクシヨン装置以下KAT装
置という）が利用されている。更には、溶鋼を保
熱乃至加熱する為の加熱装置或は溶鋼中の溶存ガ
スを除く為の脱ガス装置等も利用される。これら
の装置は従来独立的に設けられ、必要により夫々
独立的に合金成分等の添加も行なつてきたが、例
えば前記KAT装置に使用されるCa合金粉末は吸
湿性があるために事後の溶鋼の脱水素は特に重要
であるとされ、それらの関連性が注目を集めてい
る。

即ち前記したKAT装置、加熱装置及び脱ガス
装置等は、それぞれ独立設備として設置され、し
かも離れた場所に設置されているのが実状であ
る。従つてこれらの装置に取鍋を搬送するための
特別のクレーンが必要であり、また各装置の間に
もクレーン若しくは取鍋載置移動台車が必要であ
る。更に、鋼種やその用途等によつては、これら
の処理工程も異なり、加熱装置と脱ガス装置を通
すだけでよいもの、加熱装置とKAT装置を通す
だけで脱ガス装置を省略するもの、或は加熱装置
を通さずに直接KAT装置に搬入し、次いで脱ガ
ス装置に搬入する等種々の工程が利用される。そ
の為これらを結ぶ取鍋搬送ラインはこれらに対応
できる様に構成される必要がある。またこれらの
諸装置は離れて設置されているため、それぞれに
独立した合金粉末装入装置及び／若しくは排ガス
装置を設ける必要があつて設備費を高騰させ、し
かも操作管理及び操業面でも不都合な場合が多
い。一方、近年生産性、歩留りの向上、省エネル
ギ、省人等の観点から普通造塊法に代つて連続鋳
造法が全面的に採用されつつあるが、この連続鋳
造法の利点を最大限に発揮させるためには、連続
鋳造工程に対して常に目的とする品質の溶鋼を連
続的に準備、供給する必要がある。ところが、こ
れを供給する立場にある転炉側ではチヤージ毎に
吹錬時間、溶鋼品質の変動がかなりあり、また以
後の処理工程もこの影響を受けると共に鋼種によ
つてまちまちであるため、特に前記した従来の様
な設備構成では連続鋳造工程において要求される
品質の溶鋼を連続的に効率良く供給することが困
難になる場合がしばしば生じている。従つて連続
鋳造法の利点を十分に活しきつていないのが現状
である。

斯る観点に立脚して本出願人は特開昭55−
164020号公報において、円環状の閉ループ上で取
鍋を走行させる連続溶鋼処理装置を提案し注目さ
れているところである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、取鍋精錬設備において、閉ループ上
で取鍋の各処理ラインに移行させ、加熱装置及び
脱ガス装置において溶鋼を撹拌する必要がある
が、そのための電磁撹拌装置（以下、スターラー
という）を設置する場合、これらの荷重を閉ルー
プ外周より支持することは、設備が高くなり構造
的に困難である。特に閉ループ内面については支
持体がなければ不可能である。

そこで本発明では、閉ループで走行移動するレ
ードルカー又はレードル台に対し、障害を与えず
ループ中央部で各設備荷重を受けかつ上記各設備
機器の設置を容易とした取鍋精錬設備の提供を目
的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明が前述の目的を達成するために講じた技
術的手段は鍋降載場、取鍋中の溶鋼を加熱する加
熱装置及び脱ガス装置が円環状とされた閉ループ
上に周方向の間隔をおいて配置されており、前記
鍋降載場に搬入された溶鋼収容取鍋を、前記加熱
装置及び脱ガス装置に閉ループ上で移動させる台
車又は鍋積載台が設けられた取鍋精錬設備であつ
て、前記閉ループの中央に各設備機器の荷重を受
ける中央支持体が基礎上に立設固定され、該中央
支持体の上段、中段及び下段のそれぞれに水平方
向に延設されたデツキが取付けられており、更に
前記各デツキを連絡する通路が前記中央支持体に
設けられ、前記下段デツキ上には径方向内外に進
退移動自在なスターラーが設けられているところ
にある。

〔作用〕

閉ループ上の鍋降載場において転炉から取り出
した溶鋼を収容した取鍋がその積載台又は台車上
に降ろされると、該取鍋は閉ループ上において排
滓場、加熱装置、脱ガス装置、KAT装置等の円
周方向に間隔を有して配置された各処理ラインに
それぞれ独立して移行され、各処理ライン乃至処
理部において所要の処理工程が施こされる。

この場合、各設備機器の荷重は、閉ループ中央
部に立設固定された中央支持体によつて担持さ
れ、該中央支持体の上段デツキが各処理装置の支
持架台、又、電極置場、インジエクシヨン用粉体
置場、ランス置場等の置場及び操業用として使用
されることになる。

更に、中央支持体の中段デツキにあつては各処
理蓋の取替、シール状況、レンガ状況等の作業用
デツキとされ、又、中央支持体の下段デツキには
スターラーが設けられて、加熱又は脱ガス時にお
いて取鍋中の溶鋼を撹拌する。

また、各デツキ間は中央支持体に設けられた通
路を作業員が通ることによつて各作業の連絡、連
携がなされる。

〔実施例〕

図面を参照して本発明の実施例を詳述する。

第１図から第３図を参照すると、１は鍋降載
場、２はプロテクタ着脱及び排滓場、３はArc加
熱装置、４はKAT装置、５は真空脱ガス装置で
あり、円環状の閉ループ８上に周方向の所定間隔
をおいて配置されている。

６は台車又は鍋積載台（以下台車という）であ
り、閉ループ８上の円環状に沿つてそれぞれ独立
して移動不能とされ、本例では２つ設けてあるが
これの個数は任意である。

７は取鍋であり、転炉から取り出された溶鋼を
収容して本例では鍋傾動台１７を介して台車６上
に支持されている。

１５は中央支持体であり、閉ループ８の中央に
おいて基礎１８上に座台１９を介して立設固定さ
れている。

１３は上段デツキ、１４は中段デツキ、１２は
下段デツキであり、各デツキは中央支持体１５に
水平方向に延設されている。

中央支持体１５は中空柱構造であり、その内部
に階段、ハシゴ等で示す通路２０が設けられ、該
通路２０には各デツキに通じる出入口２１に連絡
されている。

なお、通路２０は中央支持体１５の内周に設け
られた第６図で示すラセン階段であつてもよい。

９はスターラーであり、加熱装置３、脱ガス装
置５と径内方向において対応する下段デツキ１２
上に、径方向内外に進退移動自在に設けられてい
る。

１０はスターラー移動台であり、レール１１に
沿つて転動する車輪２２を有し、該台１０とデツ
キ１２とを伸縮シリンダ２３で連結することによ
り、前述のスターラー９が径方向内外に進退移動
自在とされている。

２４は位置決めシリンダで、前述スターラー移
動台１０の背部に縦向で取付けられており、スタ
ーラー９の前進位置と後進位置とのそれぞれを位
置決め可能である。

即ち、シリンダ２４のピストンにストツパを取
付け、このストツパをデツキ１２に穿設した受孔
２５，２６に係脱することによつてスターラー９
の位置決めを可能としている。

なお、スターラー９への給電ケーブル２７は前
述の進退を許容すべく可撓部２７Ａを有し、移動
台１０を介してスターラー９に着脱自在とされて
いる。

２８は鍋傾動装置であり、下段デツキ１２上に
排滓場２と対応する径内方向に伸縮形として設け
てある。

即ち、第６図で示す如く、下段デツキ１２上の
ブラケツト２９にシリンダチユーブ３０をピン３
１で取付け、チユーブ３０に嵌挿されたロツドの
エンドにフツク３２を設けて構成されており、こ
れが伸長されるとフツク３２が鍋傾動台１７の被
係合部１７Ａを下方より突上げるようにされてい
る。

なお、鍋傾動台１７は外周下部がピン３３で台
車６に枢支され、従つて、鍋傾動装置２８が伸長
されると、ピン２３を支点に取鍋７が第６図で示
す如く傾動不能である。

３４は滓鍋、３５は滓掻機をそれぞれ示してお
り、排滓場２の外周域に対応して設けられてい
る。

台車６は旋回アーム３６を介して座台１９に装
着されており、モータ３７、ギヤ伝動体３８等を
介して閉ループ８上を移動不能である。

なお、台車９は旋回アーム３６で支持させる以
外に、閉ループ８上で自走する型式のものであつ
てもよい。

３９は蓋であり、加熱装置３及び脱ガス装置５
等において、取鍋７に着脱自在に施蓋され、昇降
動作されるものである。

更に、上段デツキ１３、中段デツキ１４及び下
段デツキ１２は図外の柱を介して互いに連結され
て所謂ユニツト構造体とされており、このユニツ
ト構造体の一側に第１図で示す如く操作室４０、
トランス室４１が設けられている。

そして、上段デツキ１３は第１図で示す電極置
場４２、インジエクシヨン用粉体置場４３等の各
種付属物の置場とされている他、加熱装置３、
KAT装置４、脱ガス装置５の各種処理機器の支
持架台及び電柱の補充、インジエクシヨンランス
の取替、測温サンプリング作業等の操業デツキと
されているのである。

また、中段デツキ１４は各処理蓋の取替作業、
レンガ状況の確認等のメンテナンス作業用とさ
れ、下段デツキ１２がスターラー９等の取付け用
とされ、中央支柱体１５によつてこれら荷重を担
持するものとされている。その他、第１図におい
て、４４は保温着脱装置、４５は排滓場の中段デ
ツキ１４に形成した切欠である。

〔発明の効果〕

本発明は、鍋降載場、取鍋中の溶鋼と加熱する
加熱装置及び脱ガス装置が円環状とされた閉ルー
プ上に周方向の間隔をおいて配置されており、前
記鍋降載場に搬入された溶鋼収容取鍋を、前記加
熱装置及び脱ガス装置に閉ループ上で移動させる
台車又は鍋積載台が設けられた取鍋精錬設備であ
ることから、次のような基本的作用効果を奏す
る。

処理工程を連続的に行なうことができ、生産
性を向上させる。

各処理装置間を短くでき走行クレーンが不要
となり処理時間を短縮して生産を増大させる。

各処理装置が近接して配設されるので、操作
管理を集中的に行なうことが容易である。

付帯設備を集中的に設置できると共に共用す
ることもでき設備費を安価にできる。

設置床面が少なくてすみ限られた敷地に設置
できる。

目標品質に応じた処理の組み合せが自由にで
きる。

また、本発明では前記閉ループの中央に各設備
機器の荷重を受ける中央支持体が基礎上に立設固
定され、該中央支持体の上段、中段及び下段のそ
れぞれに水平方向に延設されたデツキが取付けら
れており、更に、前記各デツキを連絡する通路が
前記中央支持体に設けられ、前記下段デツキ上に
は径方向内外に進退移動自在なスターラーが設け
られているので、次の特有の作用効果を奏する。

加熱処理、脱ガス処理のとき、スターラーに
よつて取鍋内の溶鋼を確実に撹拌できる。

閉ループで走行移動するレードルカー又はレ
ードル台に対し、障害を与えずループ中央部で
各設備荷重を受けかつ上記設備機器の設置を容
易とする。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は設備の
概要平面図、第２図は下段デツキ部の概略平面
図、第３図は設備の立面側面図、第４図は同じく
方向をかえてみた側面図、第５図は鍋傾動部を示
す側面図、第６図は階段の他の例を示した鍋傾動
部の側面図である。 １……鍋降載場、３……加熱装置、５……脱ガ
ス装置、６……台車、７……取鍋、８……閉ルー
プ、１２，１３，１４……デツキ、１５……中央
支持体、２０……通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鍋降載場、取鍋中の溶鋼を加熱する加熱装置
   および脱ガス装置が円環状とされた閉ループ上に
   周方向の間隔をおいて配置されており、前記鍋降
   載場に搬入された溶鋼収容取鍋を、前記加熱装置
   および脱ガス装置に閉ループ上で移動させる台車
   又は鍋積載台が設けられた取鍋精錬設備であつ
   て、 前記閉ループの中央に各設備機器の荷重を受け
   る中央支持体が基礎上に立設固定され、該中央支
   持体の上段、中段及び下段のそれぞれに水平方向
   に延設されたデツキが取付けられており、更に、
   前記各デツキを連絡する通路が前記中央支持体に
   設けられ、前記下段デツキ上には径方向内外に進
   退移動自在なスターラーが設けられていることを
   特徴とする取鍋精錬設備。