JPH028590B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は紙の片面へドライオフセツト印刷を施
し、これと同時に他面へドライオフセツト印刷と
凹版印刷とを施す両面印刷機に関するものであ
る。

紙幣の印刷は一般に地絞がドライオフセツト印
刷であり肖像等の絵柄が凹版印刷であつて、表面
にドライオフセツト印刷と凹版印刷とを施し、裏
面にドライオフセツト印刷のみを施すものが多
い。また、現在は両面がオフセツト印刷か片面が
凹版印刷である小切手、商品券、証券なども印刷
の高級化に伴ない偽造防止の意味もあつて紙幣に
近い印刷が行なわれるようになつてきている。

そして従来、この種の印刷は、両面印刷機で両
面にドライオフセツト印刷を施したのち凹版印刷
機で片面に凹版印刷を追刷りするか、あるいはド
ライオフセツト版と凹版とを備えた特殊印刷機で
片面にドライオフセツト印刷と凹版印刷とを同時
に印刷したのちドライオフセツト機で他面にドラ
イオフセツト印刷を施すという方法が採られてい
た。したがつて、いずれの場合も別の印刷機で２
回に分けて印刷しなければならないので、印刷の
ための直接時間が長いばかりでなく、１回目の印
刷に後での積替えや印刷インキの乾燥などが面倒
で長時間を要するために生産性が大きく阻害さ
れ、また機械の据付け場所や乾燥のための紙置き
場として大きな占有スペースを必要としていた。

本発明は以上のような点に鑑みなされたもの
で、複数個のドライ版胴が対接された裏刷用ゴム
胴と、給紙用圧胴を対接され裏刷用ゴム胴上の画
像が転写されるドライゴム圧胴と、複数個のドラ
イ版胴が対接された表刷用ゴム胴と、周面に凹版
が装着された凹版胴とを互に周面を対接させて巧
みに配設することにより、印圧むらによる濃淡等
のない片面ドライオフセツト凹版印刷と他面ドラ
イオフセツト印刷との両面同時印刷を可能にした
両面印刷機を提供するものである。以下、本発明
の実施例を図面に基いて詳細に説明する。

第１図は本発明に係る両面印刷機の実施例を示
す概要側面図であつて、両面印刷機１は給紙装置
２と印刷装置３と排紙装置４とを備えており、給
紙装置２には紙５を積載してその給紙による減量
にしたがつて自動的に上昇する紙積台６が設けら
れている。また、給紙装置２と印刷装置３との間
には、給紙装置２から１枚づつ送り出される紙５
を受け止めて印刷見当を合わせる差板７と、差板
７上の紙５を咥えて揺動し渡し胴８の爪へ咥えさ
せるスイング９とが設けられている。

印刷装置３には１回の回転で４枚の紙５を印刷
することのできる４倍径を有し図に矢印Ａ，Ｂ，
Ｃ，Ｄで示す方向にそれぞれ回転する裏刷用ゴム
胴１０と、ドライゴム圧胴１１と、表刷用ゴム胴
１２および凹版胴１３が設けられている。このう
ち最上部に配置されたゴム胴は、その周面の印刷
有効面にブランケツトが巻かれているとともに、
周面にドライオフセツト版が装着された４個のド
ライ版胴１４が周面に対接されている。符号１５
で示すものはドライ版胴１４の版面へインキを供
給する移動式のインカであつて、互に異なる４色
のインキを蓄えた４個のインキ壷１６と、各イン
キ壷１６と各ドライ版胴１４との間に配設されて
インキを転移させる図示しないローラ群とを備え
ており、図に実線と鎖線とで示すようにドライ版
胴１４に対する遠近方向へ進退自在に設けられて
いる。

次にドライゴム圧胴１１はゴム胴１０の軸芯を
通る垂直線に対しほゞ45゜をなす斜め下方に位置
して周面をゴム胴１０の周面に対接させて設けら
れており、その周面にはゴム胴１０上の画像を転
写させるブランケツトが巻かれている。また、両
胴１０，１１の対接点に対してドライゴム圧胴１
１の回転方向下流側であつて両胴１０，１１の軸
芯を結ぶ線に対してほゞ直交する線上には、給紙
用の渡し胴を兼ねた圧胴１７がドライゴム圧胴１
１と前記渡し胴８とに周面を対接させて配設され
ており、渡し胴８の爪から自らの爪に咥え替えた
紙５を、ドライゴム圧胴１１の周面をほゞ８等分
して交互に設けた切欠き１８内の爪に咥え替えさ
せるように構成されている。

次に表刷用ゴム胴１２は対接点をゴム胴１０の
軸芯とドライゴム圧胴１１の軸芯とを結ぶ線に
ほゞ延在させてドライゴム圧胴１１に対接されて
おり、その周面には、周面にドライオフセツト版
が装着された４個のドライ版胴１９が対接されて
いる。符号２０で示すものはドライ版胴１９の版
面へインキを供給する移動式のインカであつて、
互に異なる４色のインキを蓄えた４個のインキ壷
２１と、各インキ壷２１と各ドライ版胴１９との
間に配設されてインキを転移させる図示しないロ
ーラ群とを備えており、図に実線と鎖線とで示す
ようにドライ版胴１９に対する遠近方向へ進退自
在に設けられている。

次に凹版胴１３はゴム胴１０の軸芯とドライゴ
ム圧胴１１の軸芯とを結ぶ線とほゞ直交する線上
に対接点を位置させてドライゴム圧胴１１に対接
されておりその周面には凹版が装着されている。
また、凹版の周面には、凹版の凹状画線部とその
周囲の一部とにインキを供給するパタンローラ式
に形成された３個の着肉ローラ２２が対接されて
おり、さらに凹版胴１３の斜め下方には、洗浄液
に浸漬され凹版面の凹状画線部以外に付着した余
分なインキを拭き取るワイピングローラ２３が周
面を凹版面に対接させてこれと逆方向へ回転して
いる。符号２４で示すものは着肉ローラ２２へイ
ンキを供給する移動式のインカであつて、互に異
なる３色のインキを蓄えた３個のインキ壷２５
と、各インキ壷２５と着肉ローラ２２との間に配
設されてインキを転移させる図示しないローラ群
とを備えており、図に実線と鎖線とで示すように
着肉ローラ２２に対する遠近方向へ進退自在に設
けられている。

以上のように構成された印刷装置３のドライゴ
ム圧胴１１には、その回転方向に対し凹版胴１３
との対接点の下流側に位置する箇所に図示しない
排紙胴が対接されており、この排紙胴と同軸上に
は左右一対のスプロケツト２６が設けられてい
る。そして、このスプロケツト２６と、排紙装置
４に設けたスプロケツト２７，２８，２９，３０
との間には左右一対の排紙チエーン３１が張架さ
れており、左右の排紙チエーン３１の間には、印
刷後の紙５を咥え排紙チエーン３１の走行ととも
に搬送する複数個の排紙爪を軸方向に並列させた
複数個の爪竿が一定間隔で配設されている。３２
と３３は排紙爪から解放されて落下する紙５を所
定量ごとに切替えて交互に積載する紙積台であ
る。

以上のように構成された両面印刷機の動作を説
明する。給紙装置２により差板７上へ１枚ずつ送
り込まれた紙５は、スイング９で咥えられたのち
渡し胴８の爪に咥えられ、さらに圧胴１７の爪に
咥え替えられてドライゴム圧胴１１の４個の各爪
と対向したところでこの爪に咥え替えられる。咥
え替えられた紙５は、ドライゴム圧胴１１の回転
とともにその周面に添接して搬送され、排紙胴の
協働により排紙チエーン３１の排紙爪に咥え替え
られて搬送されたのち、排紙爪から解放されて紙
積台３２，３３上へ所定量ごとに切替えられなが
ら交互に積載される。

一方、インカ１５のインキ壷１６に蓄えられた
４色のインキは、ローラ群を経て４個のドライ版
胴１４の版面へ供給され、これがゴム胴１０のブ
ランケツトに転移して画像が形成される。この画
像はさらにドライゴム圧胴１１のブランケツトに
転写され、転写された画像は、ドライゴム圧胴１
１と圧胴１７との対接点を過ぎたところで、ドラ
イゴム胴１１の周面に添接する紙５に転写されて
紙５の胴周添接面である裏面に４色のドライオフ
セツト印刷が施される。

また、一方、インカ２０のインキ壷２１に蓄え
られた４色のインキは、ローラ群を経て４個のド
ライ版胴１９の液面へ供給されて画像が形成さ
れ、この画像はゴム胴１２のブランケツトに転写
される。そして、ゴム胴１２上の画像は、ドライ
ゴム圧胴１１とゴム胴１２との間を搬送される紙
５に転写され、紙５のゴム胴１２側の面である表
面には４色のドライオフセツト印刷が施される。

さらに、インカ２４のインキ壷２５に蓄えられ
た３色のインキは、ローラ群を経て着肉ローラ２
２の凸状画線部に転移され、このインキは凹版胴
１３の凹版面に形成された凹状画線部とその周囲
の一部に付着したのち、ワイピングローラ２３で
凹部以外の余分なインキが拭き取られて画線部に
のみインキが残る。そして、上記により表裏両面
にドライオフセツト印刷が施された紙５には、ド
ライゴム圧胴１１と凹版胴１３との間を通過する
ときに凹版に対接する面である表面に凹版印刷が
施される。

このようにして行なわれる両面印刷において
は、裏刷用ゴム胴１０、ドライゴム圧胴１１、表
刷用ゴム胴１２の軸芯がほゞ一直線上にあり、ま
たこの直線とほゞ直交する線上に凹版胴１３の軸
芯が位置しているので、すべての胴が４倍胴であ
ることから各胴間の印圧が同時に作用し、しかも
ドライゴム圧胴１１が周囲から胴１０，１２，１
３，１７で囲まれていて印圧がバランス状態によ
り各印圧が他へ影響することがない。また、たと
え印圧むらがわずかにあつたとしても180゜反対側
の胴に対しては円周方向へのずれ量として作用す
ることがなく、わずかな印圧変化として作用する
のみである。

さらに、凹版印刷時の巨大印圧は、凹版胴１３
が各ゴム胴１０，１２に対して90゜の位置にある
ことから、ドライオフセツト印刷面へは大きな印
圧変化やずれとして作用せず、たとえ印圧むらが
あつても回転力として吸収される。また、凹版印
刷時の印圧による印圧むらがあつたとしてこれが
180゜反対側の圧胴１７に影響しても、次のゴム胴
１２との間でもう一度印圧がかゝるため、印圧む
らによる濃淡が消される。また、給紙用圧胴１７
とドライゴム圧胴１１との間で圧をかけなくても
よい。このときは両面のドライオフセツト印刷が
ドライゴム圧胴１１と表刷用ゴム胴１２との間で
同時に行なわれる。

第２図は本発明の他の実施例を第１図に対応し
て示す概要側面図であつて、本実施例において
は、前記実施例において３色であつたドライ版胴
１４およびそのインカ１５が２色であり、その他
に裏刷用ゴム胴１０にはザンメル式の画像形成装
置が付設されている。すなわち、ゴム胴１０に
は、周面に版が装着された版胴３４を介して倍径
の集合ゴム胴３５が対接されており、この集合ゴ
ム胴３５にはパタンローラ式に形成された３個の
着肉ローラ３６が対接されている。３７は着肉ロ
ーラ３６へ３色のインキを供給する移動式のイン
カであつて、互に異なる３色のインキを蓄えたイ
ンキ壷３８と、各インキ壷３８と着肉ローラ３６
との間に配設されてインキを転移させる図示しな
いローラ群とで形成されている。その他は前記実
施例と全く同じである。

こうすることにより紙５の裏面へはドライ版胴
１４からの転写による２色のドライオフセツト印
刷の他に、集合ゴム胴３５上で集合されて版胴３
４に着肉されたのちゴム胴１０に転写された３色
のザンメル式印刷が施される。この結果、紙５の
表面には４色のドライオフセツト印刷と３色の凹
版印刷とが施され、また、紙５の裏面には２色の
ドライオフセツト印刷と３色のザンメル印刷とが
同時に施される。

なお、各印刷における色数は前記各実施例の色
数に限定するものではなく、２色以上であれば何
色でもよい。

以上の説明により明らかなように、本発明によ
れば印刷機の印刷装置内に、複数個のドライ版胴
が対接された裏刷用ゴム胴と、給紙用圧胴が対接
され裏刷用ゴム胴上の画像が転写されるドライゴ
ム圧胴と、複数個のドライ版胴が対接された表刷
用ゴム胴と、周面に凹版が装着された凹版胴と
を、ドライゴム圧胴が他の３胴で囲まれるように
位置させ互に周面を対接させて配設し、ドライゴ
ム胴の爪で咥えられて搬送される紙の表面にドラ
イオフセツト印刷と凹版印刷、裏面にドライオフ
セツト印刷を施すように構成することにより、従
来２種の印刷機で２回に分けて行なわれていた上
記両面印刷が１つの印刷機で同時印刷されるの
で、直接印刷作業はもとより積替えや乾燥作業が
なくなり作業能率が向上してきわめて高い生産性
が得られるとともに、印刷機の設置スペースや乾
燥のための紙置きスペースを大幅に縮小すること
ができる。また、各胴が４倍胴で対接点がほゞ直
角位置にあることにより、各胴間の印圧が同時に
作用し、各印圧がバランス状態となるので、各印
圧が他へ影響することによる版面のずれがなく、
さらにドライゴム圧胴の爪による１回の咥え中に
両面印刷が完了するので、表裏面の見当誤差がな
くきわめて高品質の両面印刷物が得られる。ま
た、ドライゴム圧胴のブランケツトには常時イン
キが付着しているので、紙がばたつかずきわめて
安定した状態で搬送され、裏面印刷の仕上りが良
好である。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明に係る両面印刷機
の実施例を示し、第１図はその概要側面図、第２
図は本発明の他の実施例を第１図と対応して示す
概要側面図である。 １……両面印刷機、１０……裏刷用ゴム胴、１
１……ドライゴム圧胴、１２……表刷用ゴム胴、
１３……凹版胴、１４，１９……ドライ版胴、２
２……着肉ローラ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数個のドライ版胴が周面に対接された４倍
   径の裏刷用ゴム胴と、この裏刷用ゴム胴に対接し
   てこの対接点に対する回転方向下流側に給紙用圧
   胴を対接させ裏刷用ゴム胴周面の画像を転写させ
   るブランケツトが周面に巻かれた４倍径のドライ
   ゴム圧胴と、対接点を裏刷用ゴム胴の軸芯とドラ
   イゴム圧胴の軸芯とを結ぶ線にほゞ延在させて前
   記ドライゴム圧胴に対接し複数個のドライ版胴が
   周面に対接された４倍径の表刷用ゴム胴と、対接
   点を前記ドライゴム圧胴と表刷用ゴム胴との対接
   点に対しドライゴム圧胴の回転方向下流側に位置
   させかつ自らの軸芯とドライゴム圧胴の軸芯とを
   結ぶ線を前記裏刷用ゴム胴の軸芯とドライゴム圧
   胴の軸芯とを結ぶ線に対しほゞ直交させてドライ
   ゴム圧胴に対接する４倍径の凹版胴であつて周面
   上の凹版へインキを供給する複数個の着肉ローラ
   が周面に対接された４倍径の凹版胴とを備えたこ
   とを特徴とする両面印刷機。