JPH028561B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、溶融プラスチツクおよび溶融ゴムの
如き粘性流体用の押出混合機、さらに詳細には、
キヤビテイ・トランスフア式押出混合機に関す
る。

公知のキヤビテイ・トランスフア式押出混合機
の一例は、英国特許願第930339号明細書に開示さ
れているが、このものは、中空円筒状の固定子部
材と、この固定子部材内で回転可能な円筒状の回
転子部材とを備えている。回転子部材と固定子部
材の対向する円筒面には、それぞれ細長く、長手
方向にのびる複数の列をなすみぞがある。回転子
部材と固定子部材の列をなすみぞは、これら部材
のまわりで外周にのび、かつ軸方向に隔てられ、
一方の部材のみぞ列は、他方の部材のみぞ列から
軸方向にずらされているので、固定子と回転子の
隣接みぞ列には、みぞ列の軸方向の重なりが生じ
る。回転子と固定子の重なり合つて閉じたキヤビ
テイ配列により、この押出混合機を通つて前進す
る材料は、回転子キヤビテイと固定子キヤビテイ
との間で互違いになつている径路を走行しなけれ
ばならない。一方の部材にあるキヤビテイが、他
方の部材のランドに対向するようなことがある
と、材料は、単純剪断を受けるので、ほぼ直角で
元の方向に移送されながら次のキヤビテイに入る
前に半分に切断される。この種の公知の押出混合
機は、英国特許第1475216号明細書にも開示され
る。

前述したような押出混合機は、小規模で、研究
所要程度のものに作られるときは、申し分がない
が、大量生産に向くものまで規模を広げると押出
混合機の効率は低下する。寸法の制限は、製品を
不適当にしたり、または必要寸法追加で技術の複
雑性に経費をかけたりいずれかを招く、これは、
押出混合機のスクリユ回転に対する出力の割合が
スクリユ直径の３乗に対する比率を増大させる一
方、有効混合機面積が、混合機の直径対長さの比
が一定であれば、スクリユの直径のただ２乗だけ
増加するからである。

例えば、溶融プラスチツクの場合に、キヤビテ
イをより深くすることによつて混合能力を高めた
いとすれば、キヤビテイのコーナに重合体の停
滞、分解が生じる危険がある。

本発明の目的は、前述した如き公知の押出混合
機の問題点を最小ならしめるとともに、大規模な
稼動を可能にする押出混合機を提供するにある。

本発明を第一の側面からみれば、本発明は、回
転子キヤビテイと固定子キヤビテイを回転子と固
定子上に、以下に述べるように平行に並べること
によつて達成される。すなわち(1)固定子上で隣接
列をなすキヤビテイを円周方向にずらし、(2)回転
子上で隣接列をなすキヤビテイを円周方向にずら
し、(3)さらに固定子、回転子の例をなすキヤビテ
イを軸方向にずらすことによつて達成されるので
ある。

これによつて、同じ表面積に対する混合能力の
全体的増加が達成される一方、単純剪断混合を切
断回路段階で繰返し妨げる所望の混合特性が得ら
れる。

固定子と回転子両方の場合は、円周方向のずら
しは、列をなす隣接キヤビテイの中心間の円周方
向間隔の半分に等しくするのがよい。

固定子と回転子の列の軸方向のずらしは、隣接
する回転子列または固定子列間の軸方向間隔の半
分に等しいのが望ましい。

とりわけ、円周方向のずらしが列をなす隣接キ
ヤビテイ間の中心間隔の半分に相当し、かつ軸方
向のずらしが、固定子または回転子上の各対の隣
接列のキヤビテイ口の隣接端を回転子または固定
子上の列をなすキヤビテイの中心線上またはこれ
に隣接しておくようなものであるときは、キヤビ
テイは、それぞれの固定子面および回転子面の約
60％またはそれ以上を占めるように、かつ公知の
押出混合機に較べ回転子と固定子間の多数のトラ
ンスフア点をふやして良好な混合を得るように、
互いに寄め合わされる。

回転子と固定子のキヤビテイは、すべて円形口
とするのが望ましい。

本発明を第二の側面からみると、回転子と固定
子のキヤビテイは、半球形で、回転子と固定子上
に次のようにして平行に並べられる。すなわち、
(1)固定子上で隣接列をなすキヤビテイは、円周方
向にずらされ、(2)回転子上で隣接列をなすキヤビ
テイは、円周方向にずらされ、(3)固定子と回転子
上の列をなすキヤビテイは軸方向にずらされる。

以下、本発明の詳細を図面に参照して説明す
る。

図示の押出混合機は、固定子１４の基本的には
円筒状をなす孔１２内に回転自在に設けられた回
転子１０を備える。第１図示の如く回転子１０の
右手端は、スクリユ・コンベア（図示しない）の
出力端にキー止めされるようにされ、固定子１４
の左手端は、押出ダイ（図示しない）に取付けら
れるようになつているので、処理される材料すな
わち重合体は、スクリユ・コンベアから押出ダイ
に入るとき、回転子と固定子間に圧入される。こ
れまで述べてきた構成は、在来のものである。

図示するように、回転子と固定子の対向面１
６，１２には、それぞれ複数の半球形のキヤビテ
イ１８，２０が形成される。回転子上のキヤビテ
イ１８は、円周方向にのびる複数の列をなして配
置される。第２図、第３図および第４図に示す如
く、回転子の隣接列は、与えられたキヤビテイの
中心が隣接列の最も近接する２つのキヤビテイの
中心の中間にあるように円周方向に並べられる。
この状態は、第４図の展開図に最もよく示され
る。例えば円１８ａ，１８ｂ，１８ｃは、回転子
上で一列になつているキヤビテイを表わす。円１
８a′，１８b′，１８c′および１８a″，１８b″，１
８c″は、回転子の隣接列のキヤビテイを表わして
いる。１８ｂで示す円は、列をなす２つの隣接す
るキヤビテイの中心間すなわちキヤビテイ１８
ａ，１８ｂ，の中心間の間隔の半分だけ隣接円１
８a′，１８b′，１８a″，１８b″より円周方向にず
らされる。

同様に、固定子のキヤビテイ２０も、円周方向
にのびる複数の列に並べられ、固定子の隣接列も
また与えられた列のキヤビテイが、列をなす２つ
の隣接キヤビテイの中心間の間隔の半分だけずら
されるように円周方向に並べられる。

回転子と固定子のキヤビテイの隣接列の前述し
たずらし特性に加えて、回転子と固定子の列の相
対的軸方向位置もまた第４図に最もよく示すよう
にずらされているので、固定子上のキヤビテイの
与えられた列のいずれの中心をつなぐ円周方向線
も、２つの隣接する回転子列のキヤビテイの中心
をつなぐ２つの円周方向線の中間にある円周方向
線として同じ軸方向位置におかれる。従つて、例
えば、第４図の固定子のキヤビテイ２０ａ，２０
ｂの中心は、回転子のキヤビテイ１８a″，１８
b″，１８c″の中心をつなぐ円周方向線と、回転子
のキヤビテイ１８ａ，１８ｂ，１８ｃの中心をつ
なぐ円周方向線との中間に位置する円周方向線上
におかれる。

この配列は、最初に述べた公知の配列に較べ、
いくつかの実益がある。同じ表面積に対する混合
能力は、最初に言及した配列に較べ可成り増大す
る。半球形のキヤビテイの配列は、重なりがいつ
でも３つのキヤビテイの間に生じて、附加的な混
合と調合が溶融流を繰返し分割することにより達
成されるように行なわれる。半球形状は、すぐれ
た流線形を呈するので、例えば重合体の停滞が生
じることもなく、重合体の変化があつてもパージ
ングは有効である。半球形のキヤビテイは、機械
加工を比較的容易にするボールエンドミルカツタ
で切削することができる。研磨もまた容易である
ので、製造費全体を少なくする。半球形のキヤビ
テイからの重合体の除去も可成り簡単であるの
で、押出混合機の清浄時間と生産位置における停
止時間を少なくさせる。

これまで述べてきた本発明による押出混合機
と、公知の押出混合機との比較実験を、混合機の
材料入口に最近接のキヤビテイにおける縞の厚さ
（r₀）と材料出口に近い終端のキヤビテイでの厚
さ（r₈）（第１図の右端と左端のキヤビテイにそ
れぞれ対応）との比の対数値を順次測定するかた
ちで行つた。すなわち、ポリ塩化ビニル試料の一
部に黒色のものを混入しこれが層流混合して他の
色の樹脂中で縞を作るので、第５図のグラフにキ
ヤビテイ位置と照応させたこの縞の厚みの上記比
を対数表示して公知の押出混合機（曲線Ｂ）と対
比すると、本発明による押出混合機ではより急峻
な勾配（曲線Ａ）となる。こうして、混合状態の
進歩と完了の過程は本発明の押出混合機によつて
格段に向上することが明白に示された。

図示したものは、完全に半球形とされている
が、回転子と固定子のキヤビテイは、円筒または
Ｒのついた円筒すなわちＲのついた閉止端をもつ
た円筒キヤビテイおよび円筒と球形すなわち球形
閉止端をもつた円筒キヤビテイの形にすることも
できる。円筒形状は、非混合材料が堆積する死点
の原因になるので好ましくない。菱形の如き他の
キヤビテイ形状も可能であるがキヤビテイには円
形口を備えるのがよい。

前述の記載は専ら溶融プラスチツクと溶融ゴム
に関するものばかりであつたが、本発明の押出混
合機はまた石鹸、練粉、白土およびマーガリンの
如き他の粘性流体の混合作用にも有用である。

さらに、前述した本発明の押出混合機は、射出
成形ダイの上流の位置で射出成形される成分を混
合する射出成形装置に有用な用途をもつものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の基づく組立てられた押出混
合機の長手方向断面図、第２図は、第１図の−
線に沿つた回転子の断面図、第３図は、第１図
の−線に沿つた固定子の横断面図、第４図
は、回転子と固定子の一部の展展図で列をなす回
転子と固定子の半球形のキヤビテイの軸方向のず
れを示すもの、第５図は、公知の押出混合機と比
較した本発明に基づく押出混合機の改良された混
合特性を示す実験グラフである。 １０……回転子、１４……固定子、１６，１２
……対向円周面、１８ａ，１８ｂ，１８ｃ……回
転子上に一列になつたキヤビテイ、１８a′，１８
b′，１８c′；１８a″，１８b″，１８c″……回転子
上の隣接列のキヤビテイ、２０ａ，２０ｂ……固
定子のキヤビテイ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 中空円筒状の固定子１４と、この固定子内に
   回転できるよう支承された円筒状の回転子１０と
   平行かつ円周方向にのびる複数の列をなし、かつ
   円形口を有するキヤビテイ１８を担持する回転子
   １０の円筒状外面１６および同様のキヤビテイ２
   ０を担持する固定子１４の円筒状内面１２とを備
   えてなる押出混合機であつて、上記キヤビテイを
   次のように配置、すなわち固定子１４上で隣接列
   をなすキヤビテイ２０ａ，２０ｂは、円周方向に
   ずらされ、回転子１０上で隣接列をなすキヤビテ
   イ１８a′，１８b′，１８c′；１８a″，１８b″，１
   ８c″は、円周方向にずらされ、上記固定子と回転
   子上で列をなす上記キヤビテイは、軸方向にずら
   されて配置されており、上記固定子と回転子とは
   いずれも、隣接列をなすキヤビテイ間の円周方向
   のずれが、上記列をなす隣接キヤビテイの中心間
   の円周方向間隔の半分に等しくされていること、
   ならびに上記固定子と回転子の列をなすキヤビテ
   イの軸方向のずれは、上記隣接する固定子と回転
   子間の軸方向の間隔の半分に等しくされているこ
   と、を特徴とする押出混合機。 ２ 上記回転子と固定子の上記キヤビテイ１８，
   ２０は、半球形状にされている特許請求の範囲第
   １項に記載の押出混合機。