JPH027696Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車用ガラスのモールデイング構
造に関する。

（従来の技術） 従来、バツクドアのアツパーモールデイング構
造を例にして説明すると、第１図に示すような構
造が知られている。その構造を説明すると、ドア
ガラス１の上端縁にモールスペーサ２を介してア
ツパーモール３を挟持固定し、該アツパーモール
３と外表面に露出したドアパネル４との空間にエ
ンドスペーサ５を挿着した構造のものであつた。
尚、第１図中６で示すものはルーフパネル、７は
ウエザストリツプ、８はドアヒンジ、９はウエル
ト、１０は接着剤である。

しかしながら、かかる従来のアツパーモールデ
イング構造にあつては、ドアガラス１の上端縁に
アツパーモール３を挟持固定したものであるため
に、一旦アツパーモール３を固定してドアガラス
１をドアパネル４の開口部端縁４ａに接着した後
は、アツパーモール３を単独で着脱することがで
きず、アツパーモール３が損傷等をした場合に、
その修理や部品交換を行なうことがきわめて面倒
であるという問題点を有するものであつた。ま
た、ドアガラス１の組付け時においては、まずド
アガラス１にアツパーモール３を固定すると共
に、ドアパネル４にエンドスペーサ５を固定し、
続いてドアガラス１とドアパネル４の開口部端縁
４ａとを接着剤１０により接着していたものであ
つたために、アツパーモール３及びエンドスペー
サ５の固定をドアガラス１の組付前段階で行わな
ければならず組付け作業性が悪いという問題点を
有するものであつた。また、ドアパネル４が外表
面に露出しているものであるし、エンドスペーサ
５もドアパネル４とアツパーモール３との間に露
出しているものであるために、ドアパネル４とド
アガラス１とが分断されて一体感のない外観とな
つていた。従つて、剛性的に高いドアパネル４を
有するバツクドアに、ドアガラスのみによるバツ
クドアのような広々としたガラス感を付与するこ
とが困難なものであつた。

（考案の目的） 本考案は、上述のような問題点を解消せんとな
されたもので、モール単独での着脱ができ、モー
ルの取付作業性が良好で、かつ外観上においても
ガラスとモールとに一体感を持たせることにより
ガラスの広々感を付与することが可能な自動車用
ガラスのモールデイング構造を提供することを基
本目的とし、さらに、モールの上端が浮き上るこ
とがなく、しかも、ガラスの取付位置にバラツキ
があつてもそのバラツキを吸収して取り付けを可
能とすることを目的としている。

（考案の構成） 即ち、前述の目的を達成させるために、本考案
は、パネル開口部にパネルの外表面より低い段差
を有して開口部端縁を形成し、該開口部端縁にガ
ラスを接着し、該ガラス端縁にモールを装着した
自動車用ガラスのモールデイング構造において、
該モールのガラス側に、ガラスの表側に位置する
表側挟持片と、ガラスの裏側に位置する裏側挟持
片とによりガラスを挟持する挟持機構を形成し、
該挟持機構により前記ガラス端縁にモールを装着
し、前記表裏両側挟持片間に形成された挟持用空
間の長さを、ガラス挟持状態におけるガラスの挟
み代よりも長い寸法に形成し、前記裏側挟持片
を、ガラスの裏側に弾発的に当接するように屈曲
形状に形成し、前記モールのガラス側と反対側下
面部に、モールをパネルの外表面との間に隙間を
介した状態で着脱可能に取り付ける掛止機構を形
成し、前記モールのモール表面をガラスの上部か
らパネルの外表面を覆う位置まで一体的に延長さ
せた。

（考案の効果） 従つて、かかる本考案のモールデイング構造に
あつては、モールにガラスに対する挟持機構と、
パネルに対する掛止機構とを形成したものである
ために、モールは着脱可能に取着されているにす
ぎず、損傷等によつてモールの修理や部品交換を
要する場合も、モールのみを取外すことできわめ
て容易に行ない得る効果を奏するし、ガラス破損
等による整備の際もきわめて容易なものである。
また、モールの組付けに際しては、ガラスをパネ
ルに接着した後、モールを取着するだけで組付け
ることができるために、従来のような組付前段階
の作業が省略されて、組付け作業性がきわめて良
好であるという効果を奏する。しかも、この組み
付けの場合、挟持機構を構成する裏側挟持片が屈
曲構造となつているため、ガラスの裏面に対して
斜め方向から裏側挟持片を差し込みが可能であ
り、固定されているガラスに対する組み付けが容
易である。

加えて、挟持機構の挟持用空間をガラスの挟み
代よりも長く設定していると共に、取付状態でモ
ールとパネルとの間に隙間を有するように設定し
ているので、ガラスの固定位置が上下左右前後方
向にバラついていても、この挟持用空間及び隙間
により吸収することができる。これにより、ガラ
スの取付位置を一定にするためのスペーサ等も不
要となり、部品点数の増加がない。

さらに、モールのモール表面をガラスの上部か
らパネルの外表面位置まで一体的に延長させたも
のであるために、ガラスとモール及びパネルとが
一体になり外観上良好であるという効果を奏す
る。

（実施例） 以下、実施例を述べるにあたつて、ハツチバツ
クタイプの自動車におけるバツクドアのアツパー
モールデイング構造を例に取り説明する。

まず、第２図〜第５図に示す第１実施例につい
て説明すると、Ｂはバツクドアであつて、ドアガ
ラス１１の周縁に装着されるアツパーモール１
２、サイドモール１３，１３及びロアモール１４
と、これらの部材を固定するドアパネル１５とを
主たる構成品とする。１１はドアガラスであつ
て、その裏面外周部には黒色セラミツクプリント
１６が張設されると共に、デイフロスタ１７が設
けられている。１２はアツパーモールであつて、
前記ドアガラス１１の上端縁に装着され、ドアガ
ラス１１側にはドアガラス１１に対する挟持機構
１２Ａが形成され、ドアガラス１１側と反対側の
ルーフ側下面部にはドアパネル１５に対する掛止
機構１２Ｂが形成されている。

ここで、挟持機構１２Ａはアツパーモール１２
のモール表面板１２１を屈曲形成した表側挟持片
としての折曲部１２ａと、モール表面板１２１に
接着したモール裏面ブラケツト１２２を屈曲形成
した裏側挟持片としての屈曲部１２a′と、によつ
て構成され、この折曲部１２ａと屈曲部１２a′と
は対向状態で設けられ、両者間に挟持用空間１２
ｂが形成されている。尚、この挟持用空間１２ｂ
の長さは、図示のようにドアガラス１１よりも長
く形成されている。

また、前記屈曲部１２a′は先端を外方に屈曲さ
せると共に、二段階屈曲構造に形成しており、傾
斜方向からの差し込みを円滑容易に行なえるよう
工夫している。尚、モール裏面ブラケツト１２２
の屈曲部１２a′は、第３図に示すように、モール
表面板１２１の折曲部１２ａに対して６箇所程度
配設されている。

また、掛止機構１２Ｂは、アツパーモール１２
に掛合固定した掛止クリツプ１８ｂと、ドアパネ
ル１５に穿設した掛止孔１５ｂと、によつて構成
され、掛止クリツプ１８ｂは、第５図に示すよう
に、合成樹脂を素材とし、アツパーモール１２に
対して掛合固定するための掛止爪１８b′，１８
b′と、ドアパネル１５に対して掛止させる掛止爪
１８b″，１８b″とを有する。そして、この掛止ク
リツプ１８ｂは、ドアパネル１５に掛止した状態
で、アツパーモール１２とドアパネル１５との間
に隙間３０を形成する寸法に形成されている。

また、アツパーモール１２のモール表面板１２
１は、ドアガラス１１の上部（折曲部１２ａ位
置）からほぼルーフパネル２５の外表面位置（ド
アパネル１５の上端位置）まで一体的に延長させ
たもので、サイドモール１３のモール幅程度の位
置に凹部１２１′を形成し、該凹部１２１′の近傍
から前記折曲部１２ａまでのフラツトな面には黒
色テープ１９を張設している。１３はサイドモー
ルであつて、ドアガラス１１の側端縁に装着さ
れ、スクリユーグロメツト２０を介して、ドアガ
ラス１１とサイドモール１３及びサイドモール１
３とドアパネル１５をビス２１，２２により固定
している。１４はロアモールであつて、ドアガラ
ス１１の下端縁に装着され、前記サイドモール１
３への差し込みにより固定されている。１５はド
アパネルであつて、ドアガラス１１の上端に位置
する部分には合成樹脂素材によるストツパー２３
が両面テープにより固定され、またドアガラス１
１のための開口部端縁１５ｃにはウエルト２４が
装着されている。尚、図中１５ａで示すものはド
アヒンジ用エンボス部である。また、第４図中２
５で示すものはルーフパネル、２６はウエザスト
リツプ、２７はポリウレタン系やブチル系のシー
ラント（接着剤）である。

従つて、第１実施例のアツパーモールデイング
構造にあつては、アツパーモール１２にドアガラ
ス１１に対する挟持機構１２Ａとして、折曲部１
２ａ及び屈曲部１２a′を形成したものであるし、
かつドアパネル１５に対する掛止機構１２Ｂとし
て、掛止クリツプ１８ｂ及び掛止孔１５ｂを設け
たものであるために、アツパーモール１２は単独
で着脱可能に取着されているにすぎず、損傷等に
よつてアツパーモール１２の修理や部品交換を要
する場合も、アツパーモール１２のみを取外すこ
とできわめて容易に行なうことができるし、バツ
クドアＢのドアガラス１１の破損等による整備の
際もきわめて容易なものである。

また、ドアガラス１１の組付け時においては、
ドアガラス１１をドアパネル１５の開口端縁１５
ｃにシーラント２７で接着した後、第４図仮想線
で示すように、アツパーモール１２をドアガラス
１１の上端縁に差し込んで弾発的に挟持し、矢印
Ｃ方向に実線位置まで押し込み掛止させるだけで
組付けることができるために、従来のようなドア
ガラス１１の組付前段階の作用が省略されて、組
付け作業性がきわめて良好なものである。この場
合、屈曲部１２a′は、屈曲構造としているため
に、斜め方向から差し込むようにしてもドアガラ
ス１１の裏面に当接することができ、作業性が良
好なものとなつている。

またアツパーモール１２のモール表面板１２１
を、ドアガラス１１の上部からほぼルーフパネル
２５の外表面位置（ドアパネル１５の上端位置）
まで一体的に延長させたものであるために、ドア
パネル１５が外表面に露出せず、ドアガラス１１
と一体的なアツパーモール１２のみが外表面にあ
らわれてドアガラス１１とアツパーモール１２及
びルーフパネル２５の外表面とが一体的になり外
観上良好であるし、しかも、第１実施例にあつて
は、アツパーモール１２に黒色テープ１９を張設
し、かつドアガラス１１に黒色セラミツクプリン
ト１６を張設したものであるために、ドアガラス
１１がアツパーモール１２の黒色テープ１９領域
まで存在する如く感じ、ドアガラス１１の広々感
を発揮させることができるものである。

加えて、挟持機構１２Ａの挟持用空間１２ｂを
ドアガラス１１の挟み代よりも長く設定している
と共に、取付状態でアツパーモール１２とドアパ
ネル１５との間に隙間３０を有するように設定し
ているので、ドアガラス１１の固定位置が上下左
右前後方向にバラついていても、この挟持用空間
１２ｂ及び隙間３０により吸収することができ
る。

次に、第６図及び第７図に示す第２実施例につ
いて説明する。この第２実施例は、第１実施例に
おけるモール裏面ブラケツト１２２を省略し、ア
ツパーモール１２の挟持機構１２Ａはモール表面
板１２１の先端部屈折曲による一体的な表側挟持
片としての折曲部１２ａと裏側挟持片としての屈
曲部１２a′とで形成し、かつ掛止クリツプ１８ｂ
のアツパーモール１２側掛止固定を、アツパーモ
ール１２の掛止屈曲部１２１″と凹部１２１′とで
できるよう、第７図に示すような、水平Ｖ字状の
掛止爪１８b′，１８b′を有する掛止クリツプ１８
ｂを適応した実施例である。

従つて、第２実施例にあつても、作用効果の面
においては、第１実施と同様であり、第１実施例
の効果に加えてモール裏面ブラケツト１２２を省
略した簡潔なアツパーモール１２とすることがで
きる。

以上、本考案の実施例を図面により詳述してき
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、例えばアツパーモールの挟持機構や掛
止機構については実施例以外に多種の機構が考え
られ、要するにドアガラスの上端縁部を表側挟持
片と裏側挟持片とで挟持できる機構、及びアツパ
ーモールをドアパネルに対して隙間を有して掛止
固定できる機構であれば、本考案の挟持機構及び
掛止機構に含まれる。

また、実施例にあつては、アツパーモールの上
端をドアパネルの上をほぼ同位置程度としたが、
アツパーモールの上端をドアパネルの上端より長
く延設してもよく、要するにアツパーモール１２
とルーフパネル２５の外表面とが一体的になるも
のであれば実施例には限定されない。尚、バツク
ドアのアツパーモールデイング構造を例にして説
明したが、アツパーモールデイングに限定される
ものではなく、サイドモールデイングやロアモー
ルデイングに適用しても良いし、かつ、サイドウ
インドガラスのモールデイングに適用しても本考
案の効果が発揮されるのでバツクドアにも限定さ
れない。

次に、バツクドアのサイドモールについて第８
図に示す図面により、その構成及び特徴を説明す
る。まず、第８図はサイドモール１３の取付構造
を示す断面図であつて、１１はドアガラス、１３
はサイドモール、１５はドアパネル、２０はスク
リユーグロメツト、２１は固定ビス、２７はシー
ラント（接着剤）、２４はウエルト、１６は黒色
セラミツクプリントである。

ここで、特徴的な構成は、ドアパネル１５に穿
設した位置決め孔１５ｃに挿嵌する突起２０ａを
スクリユーグロメツト２０（第３図に斜視図を示
す。）に突設した点であつて、該突起２０ａによ
り、サイドモール１３とドアガラス１１とドアパ
ネル１５との三者の間に介在させるスクリユーグ
ロメツトア２０の位置決めが容易で取付作業性も
向上するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のバツクドアのアツパーモールデ
イング構造を示す断面図、第２図は本考案第１実
施例のアツパーモールデイング構造を適用したバ
ツクドアを示す斜視図、第３図は第１実施例構造
を適用したバツクドアの分解斜視図、第４図は第
２図−線にる第１実施例構造を示す断面図、
第５図は１実施例構造の掛止クリツプを示す斜視
図、第６図は第２実施例のアツパーモールデイン
グ構造を示す断面図、第７図は第２実施例の掛止
クリツプを示す斜視図、第８図は第２図−線
によるサイドモール取付構造を示す断面図であ
る。 １１……ドアガラス（ガラス）、１２……アツ
パーモール（モール）、１２Ａ……挟持機構、１
２ａ……折曲部（表側挟持片）、１２a′……屈曲
部（裏側挟持片）、１２ｂ……挟持用空間、１２
Ｂ……掛止機構、１５……ドアパネル、３０……
隙間。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 パネル開口部にパネルの外表面より低い段差を
   有して開口部端縁を形成し、該開口部端縁にガラ
   スを接着し、該ガラス端縁にモールを装着した自
   動車用ガラスのモールデイング構造において、 該モールのガラス側に、ガラスの表側に位置す
   る表側挟持片と、ガラスの裏側に位置する裏側挟
   持片とによりガラスを挟持する挟持機構を形成
   し、 該挟持機構により前記ガラス端縁にモールを装
   着し、 前記表裏両側挟持片間に形成された挟持用空間
   の長さを、ガラス挟持状態におけるガラスの挟み
   代よりも長い寸法に形成し、 前記裏側挟持片を、ガラスの裏側に弾発的に当
   接するように屈曲形状に形成し、 前記モールのガラス側と反対側下面部に、モー
   ルをパネルの外表面との間に隙間を介した状態で
   着脱可能に取り付ける掛止機構を形成し、 前記モールのモール表面をガラスの上部からパ
   ネルの外表面を覆う位置まで一体的に延長させた
   ことを特徴とする自動車用ガラスのモールデイン
   グ構造。