JPH0260887B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はボール接手用ライナと、このライナを
有するボール接手とに関する。

ギヤーボツクス上にギヤー選択レバーを装架す
るのに使われるような普通のボール接手は、通常
円筒形の凹所を中に持つハウジングと、凹所内で
回動的に受けられるボール要素と、ボール要素と
凹所との間のベアリングライナとを有する。

例えばイギリス特許第1187187号に記載のよう
な既知のライナの一つは内側にベアリング球面を
持つ弾性的に変形可能なプラスチツク材料の環体
を有する。ライナをボール要素上に押込むことが
出来るよう、環体の少くとも一端部は複数個の軸
線方向に延び周辺方向に離隔された舌を有する。
これら舌は、ボール要素が環体に押入される時に
環体の端部を拡張させるよう半径方向外方に拡が
る。

ボール要素とライナとをハウジング内に保持す
るため、ばねクリツプ又はナツトなどの保持器が
ライナと接触するようハウジングに取付けられ
る。ギヤー選択レバーの場合、ナツトが保持器と
して使われるならば、ナツトは通常、ボール要素
上のレバーの運動範囲を限定する所に置かれる。
もしクリツプが使われる時は、クリツプは、製作
公差のためのボール要素と凹所との寸法変動に対
し補正するためハウジング内にシムを挿入するこ
とが通常必要である。それゆえ接手の組立ては比
較的複雑である。

本発明によりボール接手用ライナが得られ、こ
のライナは内側にベアリング球面を持つ弾性的に
変形可能なプラスチツク材料の環体を有し、環体
の少くとも一端部は複数個の軸線方向に延び周辺
方向に離隔された舌を持ち、舌は環体の端部を拡
張させるよう半径方向に撓むことが出来るライナ
であつて、舌の少くともいくつかはベアリング球
面内に横たわる内面を持ち、そして舌の少くとも
一つはベアリング装架体内にライナを保持するた
め半径方向外方に延びる突起を持ち、そしてベア
リング球面から半径方向外方に離隔された内面を
持つことを特徴とする。

使用時に、ライナはボール接手のボール要素上
にその球面がボール要素の球面と摺動接触するよ
うに装架され、舌は、ボール要素が中に挿入され
る時に環体の端部を拡張させるよう半径方向の撓
みを受ける。組立てられたボール要素と環体と
は、それでボール要素とライナとを受ける凹所を
設けられたハウジング内に装架することが出来、
ライナは突起又はその各々が凹所内の半径方向の
空所、例えば周辺方向の溝と係合することにより
凹所内に保持される。半径方向の突起を担持する
環体の舌又はその各々が、環体のベアリング球
面、それゆえボール要素から半径方向に離隔され
た内面を持つために、舌は半径方向内方に撓むこ
とが出来、それにより半径方向の突起はハウジン
グの凹所内に挿入することが出来る。

環体を凹所内に容易に挿入するため、突起又は
その各々は、環体の軸線から遠ざかる方向に、そ
の中心の半径方向の面に向けてライナの外面と鋭
角で傾斜する半径方向外面を持つのが好ましい。
その結果、突起が凹所の口と係合すれば、舌上に
半径方向内向きの力を働らかせる。その上、突起
は反対方向に傾斜するその面の他の部分を持ち、
突起が軸線断面でくさび型であるのが好ましい。
この事が、ライナと空所との半径方向、軸線方向
相対位置が製作公差内で変化しても、凹所の空所
内での突起の積極的係合を確実にする。

環体の他端部は又複数個の半径方向に延び周辺
方向に離隔された舌を持ち、舌の内面が環体のベ
アリング球面内に横たわるのが好ましい。この構
成は、ボール要素を環体内に何れの端部からも挿
入することを可能にする。このように構成して、
舌は環体の一端の拡張が環体の他端の収縮を生ず
るよう互に配置するのが好ましい。例えば舌は、
環体の端部から軸線方向に延びる環体内の溝によ
り形成することが出来、各端の溝は環体がその半
径方向中心面の所で弱くなるのを防ぐため、周辺
方向で互い違いにあるのが好ましい。このような
構成により、環体の一端を凹所に挿入すること
は、ボール要素を一部挿入することによつて環体
の他端を拡張することで容易となる。ライナは又
半径方向に拡張し、ボール要素の製作公差内での
変動に適応するのが好ましい。

本発明をよりよく理解するため、その好適実施
例が添付図面を引用して、例として次に述べられ
る。

図面を参照すると、ギヤーボツクス用ギヤー選
択レバー組立体は円筒形凹所２を持つハウジング
１を有し、凹所の内面は周辺方向の溝３の形の半
径方向空所を有する。

選択レバー６に圧入されている焼成金属のボー
ル要素５は凹所２内に受けられる。ボール要素５
は凹所２より小直径の球面７を持ち、第２図第３
図に詳しく示すライナ１０により凹所内に保持さ
れる。

ライナ１０は、ベアリングライナ材料として好
都合に使われる種類の例えば自己潤滑アセタール
共重合体など弾性的に変形可能のプラスチツク材
料の一体成型品を有する。ライナ１０は全体とし
て円筒形外面１１を持つ環体であり、この外面は
凹所２に滑合している。ライナの内面１２は、ボ
ール要素５の球面７の直径に補合する直径のベア
リング球面を画定し、ボール要素５の球面７はこ
れと摺動接触することが出来る。

ライナ１０の各端部は８個の軸線溝１５を設け
られる。各端の溝１５はライナ１０の中心の半径
方向の面を越えて延び、反対側の溝と周辺方向で
互い違いにあり、環体はやわらかく強い曲りくね
つた形を持つている。

溝の隣接する対は、環体の端部を８個の周辺方
向に離隔された舌１６，１６ａ，１６ｂに分割す
る。ライナ１０の何れかの端部の舌は、ライナ１
０の端部を拡張するよう半径方向外方に撓ませる
ことが出来、一端における拡張は環体の他端にお
ける収縮を伴なう。この事が第４図に示すようボ
ール要素５を環体の何れかの端部に挿入可能にす
る。

環体の一端のすべての舌１６は、ライナ１０の
ベアリング球面１２内に存在する内面１７を持つ
ている。しかし環体の他端では４個の舌１６ａだ
けがライナのベアリング面内に存在する内面１７
ａを持つている。他の４個の舌１６ｂは、ライナ
１０のベアリング内面１２から半径方向外方に離
れた内面１７ｂを持ち、この面はライナ１０の外
面１１に平行な円筒面内に存在し、且つライナ１
０の中心の半径方向の面の所でベアリング内面１
２に接している。これら４個の舌１６ｂは又半径
方向外方に延びる突起１８を設けられる。各突起
は軸線方向の断面で先端に半径方向外側の円錐面
１８ａを持つ大体くさび型であり、この円錐面は
ライナの中心軸線からその中心面に向けて遠ざか
るよう半径方向の面に角度Ａで外方に傾斜し、後
端には半径方向の面に、より小さい角度Ｂで反対
方向に傾斜する外側円錐面１８ｂを持つている。
これら突起の基部は溝３より軸線方向に広く、突
起の末端は周辺溝３内に係合し、ライナ１０とボ
ール要素５とを凹所２内に保持する。

接手を組立てるため、ボール要素５は突起１８
と反対側の環体の端部に部分的に挿入され、端部
と挿入された中で拡張させ、反対端を収縮させ
る。環体の収縮端はそれゆえ第４図に示すよう凹
所２の口の中に容易に挿入することが出来る。突
起１８のくさび型がこの運動を容易にする。

ボール要素５は次にライナ１０の中にしつかり
押込まれ、その球面７はライナのベアリング内面
１２と接触して置かれる。この運動がライナ１０
の拡張端をそのもとの寸法に復帰させ、ライナを
凹所２内に摺り入れることが出来る。突起１８を
担持する４個の舌１６ｂがライナ１０のベアリン
グ内面１２から離隔された内面を持つから、突起
１８と凹所２の円筒形内面との係合は舌１６ｂを
半径方向内方に撓ませ、突起１８は第５図に示す
よう凹所２内に適応する。溝１５がライナ１０を
半径方向に拡張させるから、製作公差によるボー
ル要素５の寸法の変動に適応することが出来る。

ライナ１０とボール５とを凹所内にさらに動か
すと、突起を溝３と一致させ、この時舌１６ｂは
半径方向外方に拡張してライナをその位置に保持
する。突起１８が軸線断面でくさび型であり、そ
の面が中心の半径方向の面と反対方向に鋭角で傾
斜しているため、突起は、製作公差による溝３と
ライナ１０との相対位置の小さい変動と無関係
に、溝３内に係合する。

選択レバー６をハウジング１にさらに固定する
必要はなく、ハウジング１に関するレバー６の運
動はナツトなどの保持器により妨害されない。そ
の上、くさび型保持突起１８を持つやわらかいラ
イナ１０の使用はハウジング内の凹所２とボール
要素５との製作公差内での寸法変動に適応し、そ
れによりシム又はその他の間隔体の必要を排除す
る。比較的大きい公差内での変動に全く適応する
ことが出来、この事が組立体の要素を安価な方法
で作ることを可能にする。例えばボール要素５は
焼成金属でもよい。

すなわち、本発明のライナでは、ライナ１０の
突起のある側の端部をハウジング１の孔に押し込
もうとすることにより、突起がハウジング１の孔
の周壁によつて径方向内方に押圧されるので、突
起のある舌片が径方向内方に移動せしめられる。
この際、突起１８のある舌片１６ｂはもともとベ
アリング球面１２から半径方向外方へ離隔した内
面１７ｂを有しているので、突起１８のある舌片
１６ｂの径方向内方への移動が内面１７ｂによつ
て妨げられることはない（すなわち許容される）。
突起１８のある舌片１６ｂが径方向内方に移動さ
れるようにライナ１０の前記他端側が変形される
とライナの逆側の端部（前記一端側）は拡げら
れ、ボール要素５は確実にライナの奥深く挿入さ
れ得る。従つて、ボール要素５及びライナ１０の
組み込みが実際上自動的に行なわれ得る。

以上のとおり、本発明のライナでは、舌片１
６，１６ａ，１６ｂが環体の両端部に設けてあつ
て一方の舌片が拡張したときに他方の舌片が収縮
し、半径方向外方に変位した舌片１６ｂの外端に
突起１８を設けた構成としてあるため、突起とは
反対側の端部からボール要素５をライナ１０に挿
入し、減径した突起のある側の端部（他端部）か
らライナをボール要素と一緒にハウジング１の孔
に挿入するだけで、極めて簡単にしかも自動的に
ボール接手を組み込むことができる。

しかも、本発明のライナでは組込み後は舌片１
６ｂが元の位置に復帰して突起によりライナを適
所に保持するので、クランプの如き余分な組立て
部品を必要としない。以上のとおり突起は二様の
機能を有している。

更に、ボール要素のライナへの挿入及びハウジ
ング１へのボール要素とライナの一体組み込みを
実質上同時にしかも自動的に行なうことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるライナを組入れたボール
接手の断面図、第２図は第１図のボール接手内に
組入れたライナの拡大端面図、第３図は第２図の
ライナの軸線断面図、第４図は第１図のボール接
手の部品の第１組立段階における拡大断面図、第
５図はボール接手の組立の、あとの段階における
第４図と同様な断面図である。 １……ハウジング、２……凹所、３……溝、５
……ボール要素、６……レバー、７……球面、１
０……ライナ、１１……外面、１２……内面、１
５……溝、１６，１６ａ，１６ｂ……舌、１７，
１７ａ，１７ｂ……内面、１８……突起。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ボール接手用ライナにして、内側にベアリン
   グ球面を持つ弾性的に変形可能なプラスチツク材
   料の環体を有し、前記環体の両端部にそれぞれ、
   溝により分割された複数個の軸線方向に延び円周
   方向に離間した舌片を備え、前記環体の一端部に
   おける該舌片間の前記溝が該環体の他端部におけ
   る対応する舌片内へ軸方向に延びていて、該環体
   の該一端部における該舌片が半径方向内方にたわ
   んだときに該環体の他端部における該舌片が半径
   方向外方にたわんで該環体の該他端部が拡がるよ
   うに構成されており、 前記環体の前記一端部における前記舌片のうち
   の少なくともいくつかは前記ベアリング球面内に
   存在する内面を有し、該少なくともいくつかの舌
   片に円周方向で隣接して位置した、該環体の該一
   端部における該舌片の少なくとも一つは、その先
   端近傍に、前記ライナをベアリング装架体内に保
   持するための半径方向外方に延びる突起を有し、
   該環体の前記他端部における前記舌片が前記ベア
   リング球面内に存在する内面を有するボール接手
   用ライナ。 ２ 特許請求の範囲第１項記載のボール接手用ラ
   イナにおいて、前記突起は前記環体の軸線から遠
   ざかる方向にその中心面に向けて、前記ライナの
   外面と鋭角で傾斜する部分を前記突起の半径方向
   外面に持つているボール接手用ライナ。 ３ 特許請求の範囲第２項記載のボール接手用ラ
   イナにおいて、前記突起は反対方向に傾斜する部
   分を前記突起の半径方向外面に持つているボール
   接手用ライナ。 ４ 特許請求の範囲第１項から第３項までのいず
   れかに記載のボール接手用ライナにおいて、前記
   各端部の舌片は、前記環体の一端の拡張が前記環
   体の他端に収縮を生ずるよう互に配置されている
   ボール接手用ライナ。 ５ ライナを有するボール接手において、 内側にベアリング球面を持つ弾性的に変形可能
   なプラスチツク材料の環体を有し、前記環体の両
   端部にそれぞれ、溝により分割された複数個の軸
   線方向に延び円周方向に離間した舌片を備え、前
   記環体の一端部における該舌片間の前記溝が該環
   体の他端部における対応する舌片内へ軸方向に延
   びていて、該環体の該一端部における該舌片が半
   径方向内方にたわんだときに該環体の他端部にお
   ける該舌片が半径方向外方にたわんで該環体の該
   他端部が拡がるように構成されており、前記環体
   の前記一端部における前記舌片のうちの少なくと
   もいくつかは前記ベアリング球面内に存在する内
   面を有し、該少なくともいくつかの舌片に円周方
   向で隣接して位置した、該環体の該一端部におけ
   る該舌片の少なくとも一つは、その先端近傍に、
   前記ライナをベアリング装架体内に保持するため
   の半径方向外方に延びる突起を有し、該環体の前
   記他端部における前記舌片が前記ベアリング球面
   内に存在する内面を有しており、ボール要素の面
   と摺動接触するよう前記環体の前記ベアリング球
   面上に装架されたライナと、 前記ボール要素とライナとを受けるための凹所
   を画定する内面を有するハウジングを有し、 前記ライナは、前記突起が前記凹所内の半径方
   向の空所と係合することにより、前記凹所内に保
   持されることを特徴とするボール接手。 ６ 特許請求の範囲第５項記載によるボール接手
   において、前記ライナは前記環体の軸線から遠ざ
   かる方向にその中心面に向けて、前記ライナの外
   面と鋭角で傾斜する部分を半径方向外面に持つ突
   起を有するボール接手。 ７ 特許請求の範囲第５項記載のボール接手にお
   いて、前記ライナは反対の方向に傾斜する別の部
   分を前記半径方向外面に持つ突起を有するボール
   接手。 ８ 特許請求の範囲第５項記載のボール接手にお
   いて、前記ライナは各端部に、前記環体の各端の
   拡張が前記環体の他端に収縮を生ずるよう互いに
   配置された舌片を持つているボール接手。