JPH025904B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は１つの燃焼室に複数の吸気ポートが開
口された複数吸気ポートを有するエンジンに関す
るものである。

（従来技術） シリンダブロツクとシリンダヘツドと該シリン
ダブロツク内に嵌挿されたピストンとによつて燃
焼室が画成された往復動型エンジンにあつては、
１つの燃焼室に対して複数の吸気ポートを開口さ
せるようにしてものがある（実開昭58−178454号
公報参照）。

上記吸気ポートは、シリンダヘツドに形成され
るものであるが、この複数の吸気ポート同士は、
シリンダヘツドの隔壁部によつて互いに画成され
たものとなつている。そして、燃料は上記隔壁部
より上流の吸気通路に供給され、特に燃料噴射式
のものにおいては、燃料噴射弁からの燃料を複数
の吸気ポートに対して分配する関係上、この燃料
噴射弁の燃料を上記隔壁部に向けて噴射すること
が一般に行われている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、燃料を上記隔壁部より上流の燃
気通路に供給した場合、この隔壁部に当たつた燃
料の気化により当該隔壁部から気加熱を奪つて温
度を下げるため、後続の大部分の燃料の気化、霧
化が悪く、すなわち多量の燃料が隔壁部に付着し
て、低負荷時において燃費が悪化したり、エンジ
ンの応答性が悪くなる等の問題を発生し易いもの
となつていた。特にこのような問題は、隔壁部に
向けて燃料を噴射する燃料噴射式の場合に特に顕
著となる。

したがつて、本発明の目的は、複数の吸気ポー
ト間にあるシリンダヘツドの隔壁部より上流側の
吸気通路に対して燃料を供給するものにおいて、
この隔壁部に対して多量の燃料が付着されたまま
になることを極力抑制して、燃料の気化、霧化が
より良好に行えるようにした複数吸気ポートを有
するエンジンを提供することにある。

（問題点を解決するための手段、作用） 前述の目的を達成するため、本発明にあつて
は、エンジン冷却水の有する高熱を利用して隔壁
部を暖めておくことにより、この隔壁部に当たつ
た燃料がすみやかに気化、霧化されるようにして
ある。そして、本発明にあつては、この隔壁部内
の冷却水の通過を良好に得るべく、すなわち冷却
水による隔壁部の暖熱化を効果的に得るべく、隔
壁部に貫通孔を形成して、この貫通孔の両端を、
シリンダヘツド内の冷却水通路に対してそれぞれ
連通させるようにしてある。

（実施例） 以下本発明の実施例を添付した図面に基づいて
説明する。

第１図において、シリンダブロツク１上にガス
ケツト２を介してシリンダヘツド３が載置固定さ
れ、このシリンダブロツク１とシリンダヘツド３
とシリンダブロツク１内に摺動自在に嵌挿された
ピストン４とによつて、燃焼室５が画成されてい
る。

前記１つの燃焼室５に対しては、第２図に示す
ように、それぞれシリンダヘツド３に形成された
２つの吸気ポート６，７と１つの排気ポート８が
開口され、吸気ポート６，７は吸気弁６Ａ，７Ａ
により、また排気ポート８は排気弁８Ａにより、
カムシヤフト９によつて周知のタイミングで開閉
されるようになつている。そして、２つの吸気ポ
ート６，７はクランク軸方向（第２図上下方向）
に隣り合つて形成され、また排気ポート８は一方
の吸気ポート６に対してエンジン幅方向（第２図
左右方向）に隣合つて形成され、さらに他方の吸
気ポート７に対して、エンジン幅方向に隣り合つ
て点火プラグ取付孔１０が形成されている。

上述のようなエンジンの吸気通路Ａは、シリン
ダヘツド３内においては、その上流部分が共通吸
気通路１１とされる一方、その下流端部分が、吸
気ポート６あるいは７に連なる左右一対の分岐吸
気通路１１Ａ，１１Ｂとされている。この両分岐
吸気通路１１Ａと１１Ｂすなわち両吸気ポート
６，７は、シリンダヘツド３に一体成形された隔
壁部３ａによつて画成されており、これにより、
それぞれ図示を略すエアクリーナよりスロツトル
バルブ等を経て吸気管１２から共通吸気通路１１
へ導入された吸気は、隔壁部３ａによつて分配さ
れて、分岐吸気通路１１Ａを通つて吸気ポート６
から燃焼室５へ導入される一方、分岐吸気通路１
１Ｂを通つて吸気ポート７から燃焼室５へ導入さ
れることになる。

一方、燃料は、シリンダヘツド３と上記吸気弁
１２との接続部分に設けられた燃料噴射弁Ｉから
供給されるようになつている。この燃料噴射弁Ｉ
（の噴射口）は、隔壁部３ａ（の上流側端面）に向
けて指向され、これにより、燃料噴射弁Ｉから噴
射された燃料は、その拡散作用によつて、両吸気
ポート６，７（両分岐吸気通路１１Ａ，１１Ｂ）
に分配、供給されることになる。

前記シリンダヘツド３内には、エンジンの冷却
水通路１３，１４，１５が形成されている。この
冷却水通路１３，１４，１５のうち、冷却水通路
１３と１４とはシリンダヘツド３の周縁部分でか
つシリンダヘツド３の底部（シリンダブロツク３
側）においてクランク軸方向に伸びるように形成
されて、冷却水通路１３は共通吸気通路１１より
隔壁部３ａの下方に位置し、また冷却水通路１４
は排気ポート８に連なる排気通路１９下方に位置
されている。また、残る冷却水通路１５は、シリ
ンダヘツド３の中央部でかつ高い位置にクランク
軸方向に伸びるように形成されて、上記冷却水通
路１２とは隔壁部３ａを挟むような配置関係とさ
れている。そして、冷却水通路１３，１４は、そ
れぞれシリンダヘツド３の下面に開口された連通
口１６あるいは１７を介してシリンダブロツク１
内の冷却水通路１８と連通される一方、冷却水通
路１５に対してはそのクランク軸方向側端におい
て連通されている。

上述したように、中央上部にある冷却水通路１
５と、隔壁部３ａ下方にある冷却水通路１３と
が、第３図に示すように、隔壁部３ａに形成され
た貫通孔２０によつて連通されている。すなわ
ち、貫通孔２０は直線状とされて、その一端が冷
却水通路１３に、また他端が冷却水通路１５に開
口したものとなつている。このように、冷却水通
路１３と１５とが、第１冷却水通路と第２冷却水
通路とを構成している。このような貫通孔２０
は、実施例ではシリンダヘツド３のシリンダブロ
ツク１に対する合せ面側より、矢印Ｘで示すよう
に、冷却水通路１３、隔壁部３ａを通つて冷却水
通路１５へ至るようにキリ加工（ドリル加工）す
ることにより、すなわち、上記合せ面より、燃焼
室５の中心に向かうように斜め上方に向けてキリ
加工することにより形成され、このキリ加工によ
り形成された不用な加工孔２１、すなわち加工孔
２１のシリンダヘツド３下面側開口端２１ａは、
このシリンダヘツド３をシリンダブロツク１に対
して組付けたときに、ガスケツト２を介して当該
シリンダブロツク１により閉塞されることにな
る。

以上のような構成において、冷却水は、シリン
ダブロツク１内の冷却水通路１８よりシリンダヘ
ツド３内の冷却水通路１３，１４へと上昇した
後、冷却水通路１５を通つて、最終的に図示を略
すラジエタへ戻され、このラジエタで冷却された
後上述のような循環を繰り返すことになる。この
ような冷却水は、貫通孔２０をも流れるため、隔
壁部３ａがこの冷却水によつて暖熱化される。特
に、貫通孔３ａが連なる冷却水通路１３と１５と
は互いに異なる位置にあるので、その圧力差（流
速差）によつて貫通孔２０内は常に冷却水が流通
して、隔壁部３ａを効果的に暖熱する。これによ
り燃料噴射弁Ｉから噴射された燃料が隔壁部３ａ
に当たつたとき、すみやかに気化、霧化が行われ
ると共に、この燃料の気化による冷却作用を補つ
て隔壁部３ａは常に燃料を良好に気化、霧化させ
続けることになる。

第４図、第５図は本発明の他の実施例を示すも
ので、前記実施例と同一構成要素には同一符号を
用いてその説明は省略する。本実施例では、排気
ポート８′をさらに１つ設けて、いわゆる４バル
ブ式としたもので、これに伴い、点火プラグ（の
取付孔１０）を燃焼室５の中央へ位置させるよう
にしてある。

以上実施例について説明したが、貫通孔２０は
中子を利用してシリンダヘツド３の鋳造時に形成
するようにしてもよい。もつとも、実施例のよう
にキリ加工により形成するようにすれば、隔壁部
３ａを細幅のものとすることができて、分岐吸気
通路１１Ａ，１１Ｂの有効開口面積を大きく確保
する上で、またこの有効開口面積確保のために分
岐吸気通路１１Ａ，１１Ｂを大きく湾曲させると
いうようなことも不用となつて、吸気抵抗増大防
止の上でも好ましいものとなる。さらに、キリ加
工の場合は、中子を利用して形成した場合に比し
て、貫通孔２０内表面が滑らかになつて、冷却水
の円滑な流通、換言すれば貫通孔３ａのより効果
的な暖熱化を図る上で好ましいものとなる。勿
論、貫通孔２０は、隔壁部３ａの長手方向（第２
図左右方向）に間隔をあけて複数個形成してもよ
い。勿論、燃料供給装置としては、燃料噴射式の
ものに限らず、気化器を用いたものであつてもよ
い。

（発明の効果） 本発明は以上述べたことから明らかなように、
エンジン冷却水を利用して吸気ポート間の隔壁部
を十分に暖熱化して、燃料の気化、霧化を良好に
行うことができる。

特に、隔壁部に形成された貫通孔は、第１冷却
水通路と第２冷却水通路とを連通するものとして
構成してあるので、この貫通孔内を常に冷却水が
流れて、隔壁部を常に十分に暖熱化しておくこと
ができ、上述の気化、霧化を良好に行なう上で好
ましいものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す側面断面図。
第２図は第１図の吸気通路および排気通路に沿う
と共に貫通孔を横断する方向での平面断面図。第
３図は貫通孔に沿う要部断面図。第４図は、第５
図は本発明の他の実施例を示すもので、第４図は
第１図に対応した側面断面図、第５図は第２図に
対応した平面断面図。 Ａ：吸気通路、Ｘ：キリ加工方向、Ｉ：燃料噴
射弁、１：シリンダブロツク、３：シリンダヘツ
ド、３ａ：隔壁部、４：ピストン、５：燃焼室、
６，７：吸気ポート、８，８′：排気ポート、１
１：共通吸気通路、１１Ａ，１１Ｂ：分岐吸気通
路、１３，１４，１５，１８：冷却水通路、１
６，１７：連通口、２０：貫通孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シリンダブロツクとシリンダヘツドと該シリ
   ンダブロツク内に嵌挿されたピストンとによつて
   燃焼室が画成され、１つの燃焼室に対してそれぞ
   れ前記シリンダヘツドに形成された複数の吸気ポ
   ートが開口され、前記複数の吸気ポート間が前記
   シリンダヘツドの隔壁部によつて画成されるとと
   もに、この隔壁部上流の吸気通路に燃料供給装置
   を設けた複数吸気ポートを有するエンジンにおい
   て、 前記シリンダヘツドには、前記隔壁部を挟んで
   第１冷却水通路と第２冷却水通路とが形成され、 前記隔壁部には、前記第１冷却水通路と第２冷
   却水通路とを連通させる冷却水通過用の貫通孔が
   形成されている、 ことを特徴とする複数吸気ポートを有するエンジ
   ン。 ２ 特許請求の範囲第１項において、前記燃料供
   給装置が、前記隔壁部に向けて燃料を噴射する燃
   料噴射装置とされていることを特徴とする複数吸
   気ポートを有するエンジン。