JPH0256236B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は電子写真オフセツト印刷用版面処理液
に係わり、さらに詳しくはシアン化合物を一切含
まないシアンフリーのオフセツト印刷用不感脂化
処理液に関する。 電子写真オフセツト印刷用原版（以下マスター
と称する）は、酸化亜鉛のごとき光導電性微紛体
を樹脂結着剤中に分散された感光層を有し、この
層上に通常の電子写真操作を施して親油性画像を
形成することにより得られる。 一般にオフセツト印刷では水に湿潤され易い非
画線部（親水性部）と水に湿潤され難い画線部
（親油性部）とから構成された版が使用される。
電子写真オフセツト印刷版は、その非画線部が疎
水性の光導電層より成つているため、そのまま印
刷を行うと印刷インキは非画線部にも付着し、正
常な印刷物を得ることができない。それ故に、印
刷に先だつて印刷原版の非画線部を不感脂化処理
して親水性にしなければならない。 従来よりこの種の不感脂化処理液として、フエ
ロシアン塩やフエリシアン塩を主成分とするシア
ン化合物を含有する処理液や、アミンコバルト錯
体、フイチン酸及びその誘導体、グアニジン誘導
体を主成分としたシアンフリーの処理液が知られ
ている。 しかしながら、これらの処理液は未だ充分分満
足できる処理液とは言えないものである。前者の
フエロシアン塩やフエリシアン塩含有の処理液
は、不感脂化が強く強固な親水性被膜形成能を持
ち、しかも成膜速度が速い利点はあるが、反面フ
エロシアンイオンは熱や光に対して不安定であ
り、光にさらすと著しく着色し、沈澱を生じて不
感脂化力が弱まり、さらにシアンイオンを含有す
るため遊離のシアンとして検出されることによ
り、排水公害の面において種々の問題を提起する
欠点を持つている。 一方、このような点を考慮して後者の様な不感
脂化剤を主成分としたシアンフリーの処理液が提
案されているが、これらは未だ充分満足すべき処
理液とは言えない。具体的には前者に比べて成膜
速度が遅く、プロセツサーを用いた場合、１回通
しのエツチングで直ちに印刷可能な物理強度の高
い親水性被膜ができず、地汚れや網点階調につぶ
を生ずる欠点を有している。 本発明は、後者の欠点を改善したシアンフリー
の処理液であり、イノシツトヘキサリン酸エステ
ル、又はその塩とSiOH基を有する粒径40ｍμ以
下の酸性コロイド硅酸を含有させたオフセツト印
刷用不感脂化処理液である。 本発明の処理液は、マスター非画線部の親水性
と成膜性を著しく高め、プロセツサー通し１回の
処理で充分印刷可能な原版を得ることができる。 本発明に用いるイノシツトヘキサリン酸エステ
ル及びその塩がマスターの不感脂化剤として用い
られることは、特公昭45−24609号公報によりす
でに公知であるが、これを単独で不感脂化処理液
や湿し水に用いても反応性が弱くマスター版面の
非画線部の親水性は充分行われず実用性に乏し
い。又、イノシツトヘキサリン酸エステルに金属
原子や置換基を導入した誘導体を用いる方法が特
開昭53−83806号公報、同53−109701号公報、同
53−127002号公報、同53−127003号公報、同54−
44901号公報、同57−27840号公報等に開示されて
おり、さらにトリエチレンテトラミン・トリアセ
テート、水溶性フツ化物等の不感脂化促進剤を用
いる方法などが知られている。しかし、これらは
いずれも不感脂化能力を向上することはできた
が、成膜速度がいまだ遅く、プロセツサーを用い
た場合１回の処理で印刷可能な親水性被膜が形成
されず、地汚れや網点階調のつぶれを生じる。 本発明では、これらの欠点を改良するため鋭意
検討を加えた結果、イノシツトヘキサリン酸エス
テル及びその塩にSiOH基を有する粒径40μｍ以
下の酸性コロイド硅酸を含有させた処理液によ
り、マスター非画線部の親水性、成膜性を著しく
高め、プロセツサー１回の処理で充分印刷可能な
原版が得られたものである。 一般に、無機、有機のSiOH基を有する化合物
は親水性被膜形成能を有する化合物であることは
知られているが、単独では不感脂化効果はなく、
又、イノシツトヘキサリン酸エステル以外の不感
脂化剤と共存させても沈澱を生じたり、あるいは
沈澱を生じなくてもその親水性は弱く、印刷汚れ
防止効果は達成できない。しかし、イノシツトヘ
キサリン酸エステル又はその塩と共存させると、
SiOH基は平版印刷原版の表面金属に強く吸着
し、強固な親水性被膜を形成し印刷原版の保水性
を著しく向上することを見出し、本発明に至つ
た。 上記SiOH基を含有する化合物としては硅素の
酸化物や水酸化物、及びそのゾル体が挙げられる
が、本発明では二酸化硅素ゾル体の40μｍ以下の
粒径を有する酸性コロイダル硅酸を用いることを
特徴とするものである。 上述した本処理液を構成するイノシツトヘキサ
リン酸エステル又はその塩とSiOH基を有する酸
性コロイド硅酸の構成比は特に重要であり、イノ
シツトヘキサリン酸エステル又はその塩100重量
部に対して酸性コロイダル硅酸0.5〜5.0重量部が
適当であり、特に1.0〜2.0重量部の範囲が最適量
である。酸性コロイダル酸が0.5重量部以下では
親水性被膜が充分形成されず、地汚れ防止効果が
ない。又、5.0重量部以上では親水性が強くなる
ため印刷立上り画像のインキ受容性が悪く、画像
のカスレが出て好ましくない。 本処理液に係るイノシツトヘキサリン酸エステ
ル又はその塩は市販品として、又は公知の方法で
容易に合成できる。 本発明の処理液には上記成分の他にPH調整剤と
して有機、無機の酸類、水酸化カリウム、水酸化
ナトリウム等の塩基性水酸化物など、湿潤剤とし
てグリセリン、エチレングリコール、ソルビトー
ル、また防腐剤としてエチレンジアミン四酢酸、
アミン類等当量添加して使用できる。 本処理液を使用するに当たり、処理液のPHは
4.0〜5.0の範囲が望ましい。又、本処理液は水で
２〜10倍に稀釈して給湿液としても使用できる。 次に実施例、比較例により本発明を説明する。 実施例 １ 水 852重量部 イノシツトヘキサリン酸エステル 70 〃 クエン酸２アンモン 3.5 〃 グリセリン 70 〃 ポリアクリル酸ナトリウム 3.5 〃 酸性コロイダル硅酸 1.0 〃 を充分溶解し、水酸化ナトリウムでPH＝4.5とし
た。 実施例 ２ 水 788重量部 イノシツトヘキサリン酸エステル・マグネシウ
ム 100 〃 コハク酸ナトリウム 10 〃 グリセリン 100 〃 酸性コロイダル硅酸 ２ 〃 を充分溶解し、水酸化ナトリウムでPH＝4.5とし
た。 比較例 水 854.5重量部 イノシツトヘキサリン酸エステル・ナトリウム
70 〃 クエン酸２アンモン 3.5 〃 グリセリン 70 〃 ポリアクリル酸ナトリウム ２ 〃 を充分溶解し、水酸化ナトリウムでPH＝4.5とし
た。 一方、酸化亜鉛〜樹脂分散系の電子写真感光材
料に、常法に従い画像形成後各々の処理液でプロ
セツサー（リコー社製）１回通しの不感脂化処理
を行い、オフセツトマスター原版とした。 給湿液として、各々の処理液を水で５倍に稀釈
したものを用いて印冊を行つた結果は下記の通り
である。

【表】 表のごとく、実施例１、２はいずれも１枚目か
ら3000枚以上地汚れがなく、インキ濃度低下のな
い良好な印刷物が得られた。一方、比較例はイン
キ分離性が悪く10枚以上の印刷は不能であつた。 以上の如く、本発明の処理液はフエロシアン化
合物を一切含まず、熱や光に安定で且つ、長時間
保存しても変色、沈澱を全くせず、又無害の物質
のみをその構成成分とし、しかも不感脂化膜の成
膜速度が従来のシアンフリー処理液に比べて著し
く向上した優れたシアンフリーの処理液であり、
プロセツサーエツチング１回処理で充分印刷可能
とするものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ イノシツトヘキサリン酸エステル、又はその
   塩とSiOH基を有する粒径40ｍμ以下の酸性コロ
   イダル硅酸を含有することを特徴とするオフセツ
   ト印刷用不感脂化処理液。 ２ 前記酸性コロイダル硅酸がイノシツトヘキサ
   リン酸エステル、又はその塩に対して0.5〜5.0％
   含有することを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載のオフセツト印刷用不感脂化処理液。