JPH0256235B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はオフセツト印刷用不感脂化処理液に関
し、より詳しくは電子写真法で画像を形成させた
電子写真複写材料をオフセツト印刷原版とする際
に用いるシアン化合物を一切含まない不感脂化処
理液に関する。 酸化亜鉛のごとき光導電性粉末と樹脂結着剤を
感光層とする電子写真オフセツト印刷原版（以下
マスターを称する）は、感光層面に帯電、露光、
現象及び定着の操作を施して親油性画像を形成さ
せ、不感脂化処理液で処理してつくられる。 一般に、オフセツト印刷ではマスター表面に処
理液を塗布して非画像部に親水性被膜を形成せし
め、油性インキの付着を防ぎ、一方画像部には油
性インキを付着せしめ、このインキによつて形成
された画像を紙に転写する印刷方法であることは
周知の通りである。 従来、このような不感脂化処理液としてはフエ
ロシアン化合物及びフエリシアン化合物を主成分
とするものが公知であり、これらの処理液は不感
脂化力が強く有効なものであるが、フエロシアン
イオン及びフエリシアンイオンは熱や光に対して
不安定であり、またシアンイオンを含むため遊離
のシアンとして検出されるので公害上種々の問題
を提起することになる。 しかるに本発明は、公害上問題となり且つ熱、
光によつて劣化するフエロシアン化合物及びフエ
リシアン化合物を含まず、無害の物質のみをその
構成成分とする優れた不感脂化処理液を提供する
ものである。 すなわち本発明は、イノシツトヘキサリン酸エ
ステルの金属塩又はアルカリ金属塩と水溶性フツ
化物及びジカルボン酸のアルカリ金属塩とリン酸
のアルカリ金属塩を含有することを特徴とする印
刷用不感脂化処理液である。 従来、イノシツトヘキサリン酸エステルおよび
その塩は金属とキレート化合物をつくることは周
知の通りであるが、単独でオフセツト印刷用の不
感脂化剤として用いても弱い不感脂化力しかな
く、マスター基材の非画像部の親水化を充分にな
し得ないための不感脂化処理剤としての実用性は
乏しい。 本発明の処理液はイノシツトヘキサリン酸エス
テル金属塩に水溶性フツ化物及びジカルボン酸ア
ルカリ金属塩とリン酸のアルカリ金属塩を含有さ
せることにより、マスター表面上に存在する多価
金属の酸化物との反応性を著るしく向上させたも
のである。 具体的には、イノシツトヘキサリン酸エステル
金属塩100重量部に対して水溶性フツ化物を１〜
20重量部、ジカルボン酸のアルカリ金属塩を10〜
100重量部、リン酸のアルカリ金属塩を10〜100重
量部配合させた水溶液であり、そのPH値は４〜５
の範囲にあることを特徴とするオフセツト印刷用
不感脂化処理液である。 本発明において、イノシツトヘキサリン酸エス
テル金属塩としては公知の方法により容易に合成
でき、また市販されているものを用いることがで
きる。水溶性フツ化物としては、例えばフツ化ナ
トリウム、フツ化カリ、フツ化アンモニウム、フ
ツ化水素ナトリウム、フツ化水素カリウム、フツ
化水素アンモニウム、ケイフツ化物、ホウフツ化
物が挙げられる。 ジカルボン酸のアルカリ金属塩としては、例え
ばマロン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、グ
ルタミン酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、
マレイン酸ナトリウム、等。 上記フツ化物、及びジカルボン酸のアルカリ金
属塩と併用して有効な不感脂化処理効果を発揮す
るリン酸のアルカリ金属塩としてはリン酸ナトリ
ウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナト
リウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、
リン酸二水素カリウム、ピリリン酸ナトリウム、
ピロリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メ
タリン酸カリウム、等を挙げる事ができる。 本発明の処理液には上記の成分の他にPH調整剤
として、有機・無機の酸類、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等の塩基性水酸化物、湿潤剤とし
てグリセリン、エチレングリコール、ソルビトー
ル、また、防腐剤としてサルチル酸、デヒドロ酢
酸ソーダー、防錆剤としてエチレンジアミン四酢
酸、アミン類などを適用量添加して使用できる。 本発明の処理液を実施するにあたり、処理液の
PH値は４〜５の範囲が適正値であり、最も不感脂
化効果が発揮される。また本処理液は水で２〜10
倍に希釈して湿し水として使用することもでき
る。 上記の如く本発明の処理液は、公害上問題とな
り、かつ熱や光によつて経時劣化するフエロシア
ン化合物及びフエリシアン化合物を一切含まず無
毒性分質のみをその構成成分とするものである。
従来のヘキサリン酸エステルの金属塩を主体にし
た処理液に比べて、フツ化物を含有させたことに
よつてマスター版面の金属酸化物との反応性が著
しく速くなり、かつ保水性が大巾に向上したもの
である。 以下実施例、比較例にて説明する。 実施例 １ 下記の配合で処理液を調製した。（PH＝4.4） 水 700重量部 イノシツトヘキサリン酸エステルマグネシウム
100 〃 コハク酸ナトリウム 30 〃 マロン酸ナトリウム 30 〃 フツ化ナトリウム 10 〃 リン酸ナトリウム 20 〃 ポリアクリル酸ナトリウム 10 〃 グリセリン 100 〃 実施例 ２ 下記の配合で処理液を調製した。（PH＝4.5） 水 715重量部 イノシツトヘキサリン酸エステルナトリウム
100 〃 フツ化アンモン ５ 〃 メタリン酸ナトリウム 20 〃 コハク酸ナトリウム 30 〃 リン酸二ナトリウム 30 〃 グリセリン 100 〃 比較例 １ 下記の配合で、水酸化カリウムによりPH4.5の
処理液を調製した。 水 900重量部 イノシツトヘキサリン酸ナトリウム 100 〃 比較例 ２ 下記の配合で、水酸化カリウムによりPH＝4.5
の処理液を調製した。 水 730重量部 イノシツトヘキサリン酸エステルマグネシウム
100 〃 マロン酸ナトリウム 50 〃 メタリン酸ナトリウム 20 〃 グリセリン 100 〃 次に、市販の酸化亜鉛〜樹脂分散系の電子写真
感光材料に、常法により画像を形成させた後上記
の各々の処理液を自動エツチング装置（リコープ
ロセツサー）に入れて、感光層をエツチングして
オフセツト印刷原版とし、湿し水には各々の処理
液を水で５倍に希釈したものを用いて印刷を行つ
た。 その結果を表に示す。

【表】 上記の如く、実施例１〜２はいずれも10000枚
の印刷でマスター版および印刷物に地汚れは全く
なく、インキ着肉性の良好な印刷物が得られた。 しかし比較例１〜２はインキ分離性が悪く、10
枚以上の印刷は不可能であつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ イノシツトヘキサリン酸エステルの金属塩又
   はアルカリ金属塩と水溶性フツ化物及びジカルボ
   ン酸のアルカリ金属塩とリン酸のアルカリ金属塩
   を含有することを特徴とする印刷用不感脂化処理
   液。