JPH0253356B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、鉄塔、特に中小規模鉄塔の組立に
使用するクライミングクレーンに関するものであ
る。

（従来技術） 大型送電鉄塔の組立は、専用鉄塔組立用クライ
ミングクレーンの開発により、工期短縮、安全性
の向上に多大なメリツトを出しているが、このク
ライミングクレーンを中小規模の鉄塔組立に利用
する場合には、機械規模が大型のため利用効率が
低下する。第１図に示すような台棒方式あるいは
第２図に示すようなガイデリツク方式の従来工法
により施工される事が多い。

第１図に示すものは、鉄塔ポスト材Ｐの一部を
流用し、ジブ１と地上にあるウインチ（図示省
略）を利用した簡易デリツクであり、ジブ１の旋
回は手動式となり、また、地上よりバツクテンシ
ヨンワイヤ２を取る必要がある。

このようなクレーンの場合、装置が簡便で軽量
のため、装置費用が低減されるものの、次のよう
な問題が考えられる。

吊り上げ用ジブ１を鉄塔のポスト材Ｐに取付
けるため作業範囲が限定され、使用が不便であ
る。

旋回等を入力で行なうため作業性が悪い。

バツクテンシヨンワイヤ２を必要とするが、
鉄塔が高い場合、取付けに手間がかかる。ま
た、敷地の制限も受ける場合がある。

迫り上げ（クライミング）時に、ジブ１の段
取りにも手間がかかる。

過負荷防止等の安全装置類を装備していな
い。第２図に示すものは、鉄塔中央にマスト３
を立設し、水平支持装置６により支持されたマ
スト３の上部にガイデリツククレーン４を載置
し、マスト迫り上げ装置５により迫り上げつつ
鉄塔を構築し、作業性の向上を図つたものであ
るが、装置が大がかりであり、中小規模の鉄塔
構築には効率的ではなかつた。

このため、中小規模の鉄塔組立専用のクレー
ンの開発が望まれている。

（発明の目的） この発明は、このような事情に鑑みて提案され
たもので、その目的は、小型、軽量、安価で安全
性、操作性の向上を図れるクライミングクレーン
を提供することにある。

（発明の構成） この発明に係る鉄塔組立用クライミングクレー
ンは、鉄塔の一側面における中央に立設された昇
降レールを案内として上昇しつつ鉄塔を構築する
クライミングクレーンであつて、ジブクレーン
と、このジブクレーンの基部に垂設された所定長
さのマストと、マストに設けられ上，下水平支持
梁の取付材となる梁基部と両端部を鉄塔ポスト材
に着脱自在とした上，下水平支持梁とからなり、
前記の一方の梁基部をマストに固定し、他方の梁
基部をマストに沿つて昇降自在に取付けると共
に、これら水平支持梁を上下方向に相対移動させ
る昇降装置を備え、一対の水平支持梁を昇降装置
により交互に上昇させてジブクレーンを上昇させ
るようにしたものである。

（実施例） 以下、この発明を図示する実施例に基づいて説
明する。第３図に示すように、クライミングクレ
ーンは、構築された鉄塔の一側面における中央に
立設された昇降レール１０を案内として昇降自在
とされ、ジブクレーン１１と、このジブクレーン
１１の基部に垂設された所定長さのマスト１２
と、このマスト１２に上下一対で取付けられた水
平支持梁１３，１４と、これら水平支持梁１３，
１４を上下方向に相対的に移動させる昇降装置１
５と、安全支持装置１６を備えている。

ジブクレーン１１は、旋回装置１７と、起伏、
巻上げ用の機械装置１８と、ジブ１９を有し、さ
らに、鉄塔側面の傾斜に対して水平に旋回できる
ように角度調整装置２０を備えている。

水平支持梁１３，１４は、水平支持梁１３，１
４は、水平支持梁の取付部材となる梁基部２１，
２２を介してマスト１２に取付けられ、上部の水
平支持梁１３を取付ける梁基部２１は、マスト１
２上部に固定され、下部の水平支持梁１４を取付
ける梁基部２２は、マスト１２に沿つて昇降自在
とされている。さらに、水平支持梁１３，１４
は、両端部にバンド式支持金物２３を有し、これ
により鉄塔ポスト材Ｐに着脱自在に固定されると
ともに鉄塔の幅変化に対応できるように伸縮自在
に梁基部２１，２２に取付けられている。そのた
め、水平支持梁１３，１４は、それぞれ二つの部
材からなり、第３図、第４図に示すように、水平
方向に互い違いに配置してもよいし、第５図、第
７図に示すように、上下方向に互い違いに配置し
てもよい。また、昇降レール１０を転動するガイ
ドローラ２４は、梁基部２１，２２に取付けられ
る。

昇降装置１５は、水平支持梁１３，１４をいわ
ゆる尺取り式に移動させる装置で、下部の水平支
持梁１４を昇降させる昇降装置１５Ａと、マスト
１２すなわち上部の水平支持梁１３を昇降させる
昇降装置１５Ｂとからなる。

昇降装置１５Ａは、下部の梁基部２２に固定さ
れたウインチ２５Ａと、梁基部２２に取付けられ
た一対の滑車２６Ａ，２６Ａと、鉄塔ポスト材Ｐ
に取付けられた一対の滑車２７Ａ，２８Ａと、ウ
インチ２５Ａのワイヤロープ２９Ａからなる。こ
のワイヤロープ２９Ａは、ウインチ２５から滑車
２７Ａ，２６Ａ，２６Ａ，２８Ａに順に巻回され
て先端が梁基部２２に固定されており、ワイヤロ
ープ２９Ａをウインチ２５Ａにより巻上げ、巻下
げすることにより、下部の水平支持梁１４が昇降
することになる。

昇降装置１５Ｂは、昇降装置１５Ａと同様であ
るが、滑車２７Ｂ，２８Ｂは、マスト１２の下端
部に取付けられるとともに滑車２６Ｂは一つでよ
く、これによりマスト１２すなわち上部の水平支
持梁１３およびジブクレーン１１が昇降する。

安全支持装置１６は、第６図、第７図に示すよ
うに、下部の梁基部２２と上位の鉄塔ポスト材Ｐ
とを連結する安全支持ワイヤロープ３０と、梁基
部２１，２２とポスト材Ｐを水平に連結する水平
支持ワイヤロープ３１，３２とからなる。安全支
持ワイヤロープ３０は、クレーンの自重等を支持
しポスト材Ｐへ伝達するようにされ、水平支持ワ
イヤロープ３１，３２は、水平支持梁１３，１４
に加わる圧縮力を負担し、これらによりジブクレ
ーンからの作用力は、鉄塔へ効果的に伝達され
る。

以上のような構成において、下部の水平支持梁
１４はマスト１２に沿つて昇降自在であるため、
支持梁１３，１４の間隔を任意に選ぶことがで
き、第７図に示すように、支持梁１３，１４を鉄
塔のブレース材ｂ取付点近傍に位置せしめること
ができる。このような状態で、クレーンはワイヤ
ロープ３０，３１，３２等により強固に鉄塔に支
持されており、ジブクレーン１１により上位のポ
スト材Ｐを組立てることになる。

次いで、第８図に示すように、ジブクレーン１
１により滑車２７Ａ，２８Ａを組立てられたポス
ト材Ｐの上部に移動させてワイヤロープ２９Ａを
盛り替え、ジブ１９を直立させ、下部の水平支持
梁１４の端部の接続を外し、昇降装置１５Ａによ
り水平支持梁１４を昇降レール１０に沿つて上昇
させる。

続いて、第９図に示すように、下部の水平支持
梁１４をポスト材Ｐへ固定し、ワイヤロープ３
０，３２を張つた後、上部の水平支持梁１３をポ
スト材Ｐから開放し、昇降装置１５Ｂによりマス
ト１２すなわち水平支持梁１３およびジブクレー
ン１１を昇降レール１０に沿つて上昇させる。

続いて、第１０図に示すように、上部の水平支
持梁１３をポスト材Ｐに固定し、ワイヤロープ３
１を張つて上位のポスト材Ｐの組立てを行なう。

以上のような工程を順に繰返しながら鉄塔を構
築することになる。下降に際しては、上昇の場合
と逆の動作になる。

次に、第１１図に示すのは、上下の水平支持梁
を伸縮自在とせずに、固定的な梁１３′，１３′と
し、バンド式支持金物２３が水平支持方向に移動
するようにしたものである。バンド式支持金物２
３は、第１２図、第１３図に示すように、水平支
持梁１３′あるいは１４′に係合して軸方向に摺動
自在とされた摺動支持金物３３に取付けられ、鉄
塔幅に合わせてこの摺動支持金物３３を移動さ
せ、固定金具３４で固定するようにされている。
また、鉄塔ポスト材Ｐには、予め所定位置にリン
グ状の落下防止金物３５が取付けられている。こ
の落下防止金物３５は、リング状に限らず、リ
ブ、突起などでもよい。

なお、上部の水平支持梁１３を固定し、下部の
水平支持梁１４を昇降させるようにしたが、これ
とは逆に下部の水平支持梁１４を固定し、上部の
水平支持梁１３を昇降させるようにしてもよい。
また、上下の水平支持梁１３，１４を両方ともマ
スト１２に固定し、昇降レール１０に沿つて昇降
装置により昇降させるようにしてもよい。

また、昇降装置は、ウインチ、滑車、ワイヤロ
ープにより構成されているが、これに限らず、水
平支持梁１３，１４を上下方向に相対的に移動さ
せ得る装置であればよく、例えばラツク・ピニオ
ン方式、流体圧シリンダ等が考えられる。

（発明の効果） この発明は、以上のような構成からなるので、
次のような効果を奏する。

クライミングクレーンが、鉄塔の側面に据付
けることができる為、鉄塔内の結構材（対角
材、平面材等）がすべて取付けることができ
る。

従来のクライミングクレーンは鉄塔の内面に
取付けてあり結構材のすべてを取付けることが
できなかつた。

上下の水平支持梁の間隔が調整できるため、
構築する鉄塔の制限がない。

クレーンより発生する作用力が効果的に鉄塔
へ伝達される。

鉄塔の幅変化にも容易に対応できる。

昇降方式が単純でかつ安全であり、鉄塔に支
持されてクライミングしてゆくため、装置が軽
量で安価となる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は、従来の鉄塔の構築方法を示
す概略図、第３図は、この発明に係るクライミン
グクレーンを示す斜視図、第４図は水平支持梁の
基部を示す概略平面図、第５図は、これと別の態
様を示す概略平面図、第６図は、昇降装置を示す
概略図、第７図、第８図、第９図、第１０図は、
上昇工程を順に示した正面図、第１１図は、水平
支持梁の別の態様を示す斜視図、第１２図、第１
３図は、その部分拡大断面図、部分拡大平面図で
ある。 １…ジブ、２…バツクテンシヨンワイヤ、３…
マスト、４…ガイデリツククレーン、５…マスト
迫り上げ装置、６…水平支持装置、１０…昇降レ
ール、１１…ジブクレーン、１２…マスト、１
３，１４…水平支持梁、１５…昇降装置、１６…
安全支持装置、１７…旋回装置、１８…機械装
置、１９…ジブ、２０…角度調整装置、２１，２
２…梁基部、２３…バンド式支持金物、２４…ガ
イドローラ、２５…ウインチ、２６，２７，２８
…滑車、２９…ワイヤロープ、３０…安全支持ワ
イヤロープ、３１，３２…水平支持ワイヤロー
プ、３３…摺動支持金物、３４…固定金具、３５
…落下防止金物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鉄塔の一側面における中央に立設された昇降
   レールを案内として上昇しつつ鉄塔を構築するク
   ライミングクレーンであつて、ジブクレーンと、
   このジブクレーンの基部に垂設された所定長さの
   マストと、マストに設けられ、上，下水平支持梁
   の取付部材となる梁基部と両端部を鉄塔ポスト材
   に着脱自在とした上，下水平支持梁とからなり、
   前記の一方の梁基部をマストに固定し、他方の梁
   基部をマストに沿つて昇降自在に取付けると共
   に、これら水平支持梁を上下方向に相対移動させ
   る昇降装置を備えていることを特徴とする鉄塔組
   立用クライミングクレーン。