JPH02503354A - 電気泳動‐エレクトロスプレーを結合するインターフェース及び方法 - Google Patents

電気泳動‐エレクトロスプレーを結合するインターフェース及び方法

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JPH02503354A JP63504549A JP50454988A JPH02503354A JP H02503354 A JPH02503354 A JP H02503354A JP 63504549 A JP63504549 A JP 63504549A JP 50454988 A JP50454988 A JP 50454988A JP H02503354 A JPH02503354 A JP H02503354A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるため要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 電気泳動−エレクトロスプレーを結合するインターフェース及び方法 l匪葛1遣 この発明は化学組成の分析方法及び装置、より詳細には、混合物サンプルのフリ ーゾーン電気泳動分離を、オンライン検出装置又はオフライン収集装置に結びつ けるためのエレクトロスプレーと結合させる方法及びシステムに関する。本発明 は特にキャピラリゾーン電気泳動と質量分析との結合(以下CZE−MSと略記 する)への適用に有利であることが見出される。
検体の分離及び分析に用いられる多くのシステムが従来の技術において知られて いる。しかし、これらの従来技術のシステムは、混合物質からなる検体又は高分 子量、不揮発性及び極性が高い化合物の分離及び/又は分析には必ずしも広く適 用されていない。
検体混合物の分離の公知方法の1つである小径キャピラリ中でのフリーゾーン電 気泳動、即ちキャピラリゾーン電気泳動(以下CZEと略記する)は、アミノ酸 、ペプチド、蛋白及び錯塩混合物の高分解能の分離を含む広い様々な分析に用い られる。キャピラリゾーン電気泳動は、検体の成分、特にイオンを、キャピラリ 中の電気浸透流に加えて電気泳動の移動度の差によって分離するために電場の傾 きを伴ったキャピラリを採用する。電気浸透流はキャピラリ表面でイオンの二重 層ができてキャピラリに沿って長く電場がかけられる時に生じる。電場は、各検 体の電気泳動移動度によって決まる速度で反対に負荷をかけられた電極に向かっ て泳動するイオンを生じる。得られるバルク電気浸透流中で、正に帯電したイオ ン、中間種、及び負に帯電したイオンが異なった時間間隔で溶出する。この分離 の範囲と速度は、検体の電気泳動移動度の差、キャピラリの長さ、バルク電気浸 透流及び電場の強さによって決まる。
第1図はCZEシステムの汎用装置の概略図である。
この装置において、完全な高圧電気回路が緩衝液で満たされたキャピラリの向い 合った両端の間に形成されなければならない。これはキャピラリの両端をシステ ムの各端で緩衝液のビーカーに浸すことにより成される。
CZE検出は電流的に、分離の質を下げないように、紫外線或いは蛍光紫外線検 出技術による分析に限られる。このような検出技術は、蛍光する、吸光する、又 は、蛍光或いは吸収発色団での誘導体化に馴染みやすい種にとっては足るもので あった。これらの検出器は又、高分離能と高感度が共存するのを妨げるようにな る限界をセル容積及びサンプルサイズに課す。未知の検体及びその成分の正しい 同定に必要な構造情報は、小さなサンプル容積と紫外線や蛍光の検出技術に固有 の限られた分光データとによるこれらの検出器を用いては得ることはできない。
多数の化合物を検出することができず、もし検出できても明白に同定することは できないので、これらの限界は、複雑な混合物の分離及び同定にCZEを使用す ることにおいて多くの欠点を与える。詳細な解説は刊行物「サイエンス(198 3)」第222巻266頁より[5cience、 Jorgenson。
et al、]においてのジョーゲンソンらによる論文に明らかにされている。
分離技術と分析検出手段を結合するよく知られた分析技術にはガスクロマトグラ フィー質量分析(以下GC−MSと略記する)がある。この方法において、GC は十分揮発性の化合物の分離をもたらすことができ、その化合物はその後イオン 化されて質量分析で分析される。GC−MSは、扱い易い化合物、つまりGC分 離の為の十分な揮発性と質量分析に用いられる従来の気相電子衝突又は化学的イ オン化法によるイオン化性とを有する化合物の定性分析技術として確立された。
不揮発性化合物及び混合物についてはそのような確立された広い適用可能性の存 在は知られていない。液体クロマトグラフィを質量分析と結合させるシステムが アメリカ合衆国特許第4.209.696号及びヨーロッパ特許出願第8430 2751.7号に記述されている。これらのシステムにおいて、液体クロマトグ ラフからのキャリア液はエレクトロスプレーに供せられ、質量分析によって分析 される。エレクトロスプレーは有効に作用するために約10−2モル以下のイオ ン強度を要求する。液体クロマトグラフィと質量分析を結合する様々な他の試み は「マイクロカラム高成果液体クロマトグラフィJP、クセラ編[−Micro columnHigh Performance Liquid Chroma tography”。
P、Kuceral 、「ジャーナル オブ クロマトグラフィライブラリ」第 28巻第8章260−300頁(1984)[J、 Chromato ra  h  Librar ]及び「小径液体クロマトグラフィカラム:その性質と利 用J R,P、W。
スコツト編第72巻104−114頁1984年[Small Bore Li quid Chromatography Columns: TheirPr operties and Uses”、 R,P、W、 5cott]に記述 されている。不運にも、これらのシステム及び他のLC−MSのアプローチは、 複雑な混合物を効果的に分離することが不可能であること、それらの分離能が限 られていること、及び分析或いは分離に要される時間による重要な限界があるこ とに悩まされている。液体クロマトグラフィー質量分析の結合では高分解能の分 離は得られない。液体クロマトグラフィにおいて1回の載置の理論最大量は相応 な分離時間(約1時間以下)に対して約10000に限定される。これに対し、 CZEは同じ時間において1000000以上の理論載置量が提供可能であるこ とが示されている。
従って、CZEにおける高分解分離能と、加えて広い範囲の不揮発性化合物を分 析する能力とを有する分離方法に対する需要が残されている。
免肌二且1 本発明は、生じた溶出液をエレクトロスプレーに供したものの分子成分が時間に よる分布を有し且つ溶媒蒸発により濃縮され得るように、サンプルのフリーゾー ン電気泳動分離とエレクトロスプレーをそれぞれ結合するシステム及び方法に関 する。エレクトロスプレーに供せられた溶出液は次に、質量分析を用いるオンラ イン或いは他の分析方法で分析的に検出することができ、又は、分析或いは高純 度サンプルを必要とする他の適用の為にオフラインで収集することができる。
サンプルの分子成分を分析するシステム及び方法は、サンプル溶液の形成、溶液 を相対電気泳動移動度に従って長手方向に分離された成分溶出液にするキャピラ リ電気泳動による分離、分子成分が時間的分布を有するような帯電した霧状物を 形成するための溶出液をエレクトロスプレーに供すること、及び、分離した成分 を霧状物の時間的分布に従って検出或いは収集することを含む。
第1の高電圧(例えば5〜100KV直流)は先ず成分を分離する溶液に印加さ れる。分離した溶出液はエレクトロスプレーに供せられ、その霧状物は、キャピ ラリ出口の溶出液と出口の前に間隔を置いておかれる対極との間の第2の高電圧 (例えば+/−2〜8 KV直流)によって帯電する。キャピラリ出口で溶出液 と直接接触する導体によって完全な電気回路が形成される。
キャピラリ電気泳動は、界面動電クロマトグラフィ或いは等速回転電気泳動の様 な変形を含む。エレクトロスプレーは電場を伴うプロセスを含み、霧状化させる 気体あるいは加熱方法の同時使用を含むことができる。
サンプルは、複雑で高分子量、不揮発性の極性の高い化合物を含むことができる 。通常、溶液は緩衝試薬を含む。検出は、成分の蛍光や紫外線によらずに成分の 定性及び定量が可能な、即ち統括的な検出を提供する装置によることができる。
インターフェースは、サンプル液源とキャピラリ出口の間に第1高電圧を印加し てサンプルの電気泳動を達成する手段と、キャピラリ出口と収集装置或いは検出 装置との間に第2高電圧をかけて分離したサンプルが帯電するようにエレクトロ スプレーに供してイオン化する手段とを含んでいる。1つの実施例において、キ ャピラリ出口端を金属で被覆して溶出液を第2高電圧源へ伝導的に結びつけるこ とができる。第2の実施例においては、鞘流液体の環状の鞘流がキャピラリ出口 からのサンプルの流れの周囲で同時に放電される。
後者のインターフェースはより多くのより一様なイオン流を可能にし、キャピラ リの流速と組成に制限されない。それは又インターフェースの形状や組立を単純 にし、キャピラリの末端における電気的接続について、ガス発生の問題、無効部 分による分離能の損失及びエレクトロスプレーの不安定性がないようにすること ができる。
本発明は、キャピラリーゾーン電気泳動と質量分析を結合する(CZE−MS) ことにおいて特に有効であることがわかる。この出願の1つの実施例においてC ZE陰極は分離したサンプルを質量分析計中へ噴霧するためのエレクトロスプレ ー針として利用される。
キャピラリ出口で検体溶出液はエレクトロスプレーを生じさせるのに十分な電位 で質量分析計に対してバイアスになっており、それから質量分析計で試験される 。
エレクトロスプレーは大気圧に近い状態で行われる。
従って質量分析計は、差圧的にポンプが駆動される投入室を含むのが好ましい。
インターフェースは更にイオンを検出器へ移送するのを促進するためのイオンレ ンズを含むことが可能である。更にそれはイオン化したスプレーを脱溶媒和又は 蒸気化してイオン蒸気相の流れを形成して質量分析計に送る手段を含むごとがで きる。
前述及び本発明の他の目的、特徴及び利点は図面を参照して以下に続く詳細な説 明からさらに容易に明確になるであろう。
の    な−日 第1図はキャピラリゾーン電気泳動に使用される従来の装置の概略図である。
第2図は本発明によるキャピラリゾーン電気泳動−質量分析(CZE−MS)の 装置の概略図である。
第2A図は第2図の装置の電気回路図である。
第3図は第2図の装置におけるエレクトロスプレー針としても利用されるキャピ ラリゾーン電気泳動陰極の概略断面図である。
第4図は連続的電子移動によって10−’M濃度で導入された5種の4級アンモ ニウム塩の混合物のエレクトロスプレーイオン化マススペクトルである。
第5図は本発明のCZE−MSによって得られる、10”M (14−17X1 0−”M注入)濃度での5種の4級アンモニウム塩における通電クロマトグラム である。
第6図は本発明のCZE−MSによって得られる、10−’M (0,7−0, 9X 10−”M注入)濃度での5種の4級アンモニウム塩における通電クロマ トグラムである。
第7図は第3図のものと同様の溶融シリカのキャピラリの末端で生じる十分に発 現されたエレクトロスプレーの写真である。
第8図は本発明によるCZE−MSによって得られる、5種の4級アンモニウム 塩における全イオン及び単一イオンの通電クロマトグラムである。
第9図は第6図の通電クロマトグラムにおける4級アンモニウム塩CZE−MS 混合物の分離された化合物の一式のマススペクトルである。
第10図は本発明によるCZE−エレクトロスプレー−質量分析計のインターフ ェースの第1の好適な実施例である。
第11図は第10図の11−11線に沿った横断面図である。
第12図は本発明によるCZE−エレクトロスプレー−質量分析計のインターフ ェースの第2の好適な実施例における長手方向断面図である。
第13図は第12図におけるキャピラリ出口の細部を示す拡大図である。
第14図は負イオン(A)及び正イオン(B)の形で得られるドデシル硫酸ナト リウム水溶液のESIのマススペクトルを示す。
第15図はジフェニル酢酸のESI負イオンマススペクトルである。
第16図は60cmX内径100μ重のショートキャピラリにおいて得られる4 級ホスホニウム塩の混合物についてのCZE−MSS全イン通電クロマトグラム である。
第17図は第16図の4級ホスホニウム塩混合物についての単一イオンの通電ク ロマトグラムを示す。
第18図は60 an X内径100μmのショートキャピラリにおいて分離さ れるアミン混合物についての単一イオンの通電クロマトグラムである。
第19図はプラズマシステムへの結合に適用される、CZE−エレクトロスプレ ーのインターフェースの第3の好適な実施例の断面図である。
な   の− な!■ 第2図は本発明の好適な実施例によるCZE−エレクトロスプレー−質量分析計 を結合した装置(CZE−MS)を示す。第2A図は第2図のシステムの概念の 電気回路図である。
先ず、第2A図に関して、本発明によるCZE−エレクトロスプレーのインター フェースは通常、キャピラリーゾーン電気泳動(CZ E)システム10、エレ クトロスプレーインターフェース12、検出或いは収集手段14及び高電圧電気 回路16を備えている。CZEシステム10及びエレクトロスプレーインターフ ェース12は電気回路16の必須部分を形成している。
特にCZEシステムは、第1高電圧電源18と出口ノズル22を有するキャピラ リ20とを含む副回路16Aの一部を形成している。エレクトロスプレーインタ ーフェースは副回路16Bを形成しており、それは第2高電圧電源24と対極2 6を検出器/収集器14内に含んでいる。2つの副回路はノズル22と接続点で 、例えば接地電位で、電気的に相互に接続されている。
任意に、第3電源(図示せず)が、対極を接続点28に対してバイアスにするた めに使用され得る。
次に第2図に関して、CZEシステム10は電気的に絶縁されたサンプリングボ ックス30を含んでおり、これは第1高電圧システム16Aを外界から隔離する ために設けられている。例えば、ルサイト(Lucite)或いはプレキシグラ ス(Plexiglas )の箱がこの目的に使用され得る。安全の観点から、 システムのこの部分は、この高電圧の使用によるユーザーへの危険性のにより隔 離されている。
ボックス30内に、検体サンプルとCZE緩衝液を個別に含んだサンプル挿入容 器32と緩衝液容器33がある。高電圧システム16Aは、第1高電圧電源18 と、電極、即ち容器33中へ延びているマイクロサンプリングアーム34とを含 んでいる。検体サンプル溶液35は分析される物質のサンプルに適切な化学溶媒 を加えることによって容器32中で形成される。緩衝試薬36は容器33に供給 される。典型的には、いずれかの溶液が加えられる容器は標準のマイクロビーカ ーからなり、他方の液体の容器はガラス等でできた容器からなっている。
キャピラリ20もサンプリングボックス30内に配置されている。キャピラリ2 0は、(サンプル導入方法に依存して)垂直の入口部分37を伴った屈曲部と水 平に配置される出口部分38とを有することができ、それぞれ入口端部39と出 口端部40を含んでいる。
キャピラリ人口端部39は、サンプル溶液35の注入の間はサンプル溶液容器3 2中へ延びており、分離の間は容器33の緩衝液36中へ延びている。出口端部 40は、後に記述されるように電気的に接続されており、第1高電圧システム1 6Aの為の閉じた電気回路を形成している。
キャピラリ20は、効果的なキャピラリゾーン電気泳動過程に有能ないかなるキ ャピラリ構造の形態にも構成することができる。しかしながら、特に、ガラス、 溶融シリカ、テフロン(商標名)等の非導電性物質がこのようなキャピラリの構 成に好ましい物質である。
キャピラリは、20から500cmの長さを有し、通常的25μmから約250 μmの範囲の内径を有するのが好ましいが、さらに広い範囲の大きさのものも可 能である。
キャピラリチューブ20はその出口端部40に、第2高電圧電源24を含んだ第 2高電圧供給システム16Bが接続されている。このシステム16Bはアースさ れ、即ちアース以上の選択される電圧でバイアスにされて、第2A図に示される ように高圧電源18について第1の閉じた回路を完結している。キャピラリ出口 端部での電気的接続は、CZE段階用の電極として、更にエレクトロスプレ一段 階用のスプレー針としての両方に利用される。より詳細には、システム16Bは 高電圧ライン42との物理的接続を通して高圧電源24と共に完成された回路を 形成している。このようにして、高圧電源24は一端44でアースされ、他端で 高電圧ライン42を通して出口端部40に接続されている、この電気的な接続は 又、検体を、電圧源24からライン42を通して印加された第2高電圧部分上へ 向けて、エレクトロスプレーに供することができるようにする回路16Bを形成 している。
大きな電圧降下が、キャピラリの入口端部39から出口端部40に印加され、検 体溶液36の電気泳動分離を可能にしている。高電圧は又、キャピラリ出口端部 40へ向かう緩衝剤のバルク電気浸透流をも引き起こす。電源18からマイクロ サンプリングアームを通して容器33へ高電圧が印加されている。キャピラリに 沿った電圧降下は電源18からの電圧と電源24からの電圧との差である。該電 圧降下は緩衝液36をキャピラリ20の中へ引き込む。それは又、個々の分子成 分が入口端部39から出口端部40へ異なったレベルの電気泳動移動度で通過す るので、溶液36を電気泳動により個々の分子成分に分離させる。電源18から サンプル検体溶液36への電圧量は典型的には約5KV直流から約100KV直 流の範囲である。正と負の両方の電気泳動移動度のイオンが分析される場合は、 対象の全検体がキャピラリ出口の方へ動くように、電気浸透流は、反対方向への 電気泳動による移動を相殺するに十分な大きさが必要である。不導体のキャピラ リは、キャピラリの表面、即ちいかなる表面処理にも依存するような流れの方向 及び速度での電気浸透流を伴った電気二重層を形成することができることに注目 すべきである。そのような状況において、CZE分離に必要な電圧の極性は逆に なり得る。
本発明の基本は緩衝液のビーカーにキャピラリ出口を浸すことなく、キャピラリ 出口40のところ又はその近くでの完成された電気的接触を形成することを含ん でいる。エレクトロスプレー針として用いられるキャピラリゾーン電気誘導電極 の概略図である第3図において、新規なCZE−エレクトロスプレーインターフ ェース(以下ESIと略記する)システム12が設けられている。キャピラリ2 0の出口端部40は、その周辺に同心状に設けられた導電性ステンレススチール 製キャピラリ鞘46を有している。鞘46は、互に結合された内側部分37及び 外側部分48を備えている。鞘46はエポキシ樹脂等の接着剤によってキャピラ リ20に付着されている。鞘46は銅製の導電性ワイヤ42(第2図及び第2A 図参照)によって高圧電源24に物理的に接続されている。導電性の金属めっき を施された端部分50は出口端部40の出口付近で同心状に覆われており、鞘部 分47及び48の各々の出口部分を含み、電気泳動によって分離される溶液36 と接触する導電性チップを形成している。
本発明の1形態において、非導電性溶融シリカキャピラリ20の出口から溶出液 が生じるとすぐチップ60のところで電気的接触が溶出液と直接なされるように 、金属被覆は、鞘46の出口部分と出口端部40の各々にスパッターを施される 。例としては、金、銀、プラチナ等の金属がこの目的に用いられる。電気回路の 完成後の無効体積が最小でありキャピラリ20内の乱れた流れが実際上なく、そ して実質的に検体サンプルのバンドの広がり(即ち分離の低下)の−因となるこ とがないように、導電性チップが形成されるのが好ましい。流れの乱れを最小に し、それによりキャピラリ20内の溶出液36の連続的な流れを維持する能力は 、キャピラリの径及び長さに依存する。例えば、長さ1m、内径100μmのキ ャピラリにおける実際上の無効体積は約10nLより多くあるべきでなく、好ま しくは約1nL未満がよい。
電気的接触は、(1)金属キャピラリの非導電性CZEキャピラリへの接続、あ るいは(2)キャピラリ出口近くの小さい導電性キャピラリ切片を通る電気的接 触を含む他の方法、によって形成することができる。
後者は多数の方法で行うことができるが、電気的接触後の無効体積を最小にする 研究が分離能の低下を避けるために必要である。
高電圧システム16Bは、キャピラリチップ60及び溶出液36と、第2図及び 第2A図に示される質量分析計の対極26のような収集装置或いは検出装置との 間の電気的な電位差を作る。
正或いは負のどちらに帯電した成分が次のエレクトロスプレーによって好適に生 じるかによって、対極(サンプリングオリフィス)26に比べて正或いは負のい ずれかの(+/−)電圧がキャピラリ端部40に印加される。約+/−2000 から8000V直流の電圧が一般に使用され、対極との距離によっては約+/− 3000から4000V直流の電圧が好適となる。得られる電場は溶出液36を 、キャピラリ管20の導電性チップ60から空間6・2に(エレクトロスプル− に供せられて)放出させる。これは、電場によって決定される電荷極性を有した ガスイオン、溶媒及び溶媒が運ぶ検体物質を含む電気的に帯電した小滴の優れた スプレー64を生じる。
これらのエレクトロスプレー小滴は、高電圧システムBによって作られた電場に よって、オンライン検出手段或いはオフライン収集手段の為の例えばオリフィス 63等のサンプリング設備を有する対極26の方に付着する。第7図はキャピラ リ出口40から流れる十分に発現したエレクトロスプレーの写真を示す。
エレクトロスプレー分析 エレクトロスプレーに供せられた溶出液64の分析は、溶出液の分子或いは原子 成分を分析できるオンライン検出装置或いはオフライン収集装置のどれかを用い て行われる。好適な分析技術は更に後に記述される。
オンライン検出技術による分子分析、更には質量分析による分析は、次に記述さ れるように用いられるのが好ましい。
オンライン検出気相分析において、以下に記述されるように、帯電した小滴のス プレー64の溶媒蒸発を補助するために、高温ガス68の電流に対向する流れが 典型的に使用される。それ故、蒸気はほぼ大気圧のエレクトロスプレー源の領域 62から取除かれる。得られる小滴は、はぼ均一の大きさ、同じ電荷を有し、気 体分子イオンを生じる。
第2図に描かれるように、環状部材66は空間のガスを加熱するのに用いられ、 退出するエレクトロスプレーに供せられた検体溶出液64を加熱する。一般的に 、約50℃から約120℃までのガス温度がこの目的に用いられるが、流速に応 じて更に広い範囲の温度を使用することができる。
不活性或いは反応性のガスによる電流に対向したガス流68は、単独で或いはス プレー小滴を脱溶媒和するための前述の加熱と組合せて用いることができる。
典型的な不活性ガスには、窒素、ヘリウム等が含ま枳典型的な反応性ガスには、 アンモニア、酸素等が含まれる。電流に対向するガス流はチャンバー69を通っ て空間62内のエレクトロスプレーに供せられた検体溶出液64に当るように導 かれる。約0.1リットル7分から約20リツトル/分までの典型的なガス流速 がこの目的の為に用いられる。
CZE−エレクトロスプレー インターフェースの操作 この発明の方法及びシステムは、水或いは極性溶媒に可溶なあらゆる物質、個々 のイオン化された或いは部分的にイオン化された種の分析に広く適用することが できる。このプロセスで扱い易い化合物には通常、緩衝液組成の操作によって電 荷が誘導され得る中性化合物、及び、バルク液体とミセル相の間を分割すること によりミセル権威いはマイクロエマルジョンを含有する緩衝液によって分離され る中性化合物が含まれる。
これは、CZEとキャピラリ等速回転電気泳動によって分離可能なものと同様に 、界面動電クロマトグラフィによって分離可能なものを含む。概して、溶液中の 正、負及び中性の成分の完全な混合物は、本発明による分離及び分析で扱い易い 。この方法及びシステムは、更に詳細には、水溶液中の有機、無機及び生物有機 分子の分離に適用可能である。非水溶媒も又使用できる。
幾つかの有機溶媒、特にあるイオン的性質を伴うもの、即ちイオン的構成を植付 けた或いは混ぜたものが又適用できる。検体サンプル溶液36の溶媒部分に関し て、少なくとも最小の導電性を示す限りここにおいてはいかなる溶媒も使用に適 している。溶液36は、もし気体相イオン検出方法で使用されるならば、次のエ レクトロスプレーにおいて最大の脱溶媒和を可能にするために、最小の表面張力 を有するものが好ましい。それ故、もし形成される検体溶液の最小イオン強度が ある程度に達成されるならば、溶媒の構成の混合物について水性のものから有機 溶媒までの範囲の化合物を用いることができる。水性のサンプル溶液は緩衝剤を 含むのが好ましい。これらの溶液は約0.01M以下の濃度で提供されるのが好 ましい。
緩衝剤物質は又大抵のCZE手段において必要である。緩衝剤及び溶媒混合物は 、選択された緩衝剤に対応して、電気泳動に用いられるサンプルに従って選ばれ る。溶液36の緩衝剤部分は多くの重要な性質を提供する。第1に、緩衝剤は、 導電性を高め且つ個々の成分の分離をゆがめるフィールド効果を最小限にするイ オン強度を与える。それは又、溶液を安定化させ且つ効果的成分分離が異なった 電気泳動移動度レベルで行われ得るような安定なpH手段を提供する。溶液は次 のエレクトロスプレーが効果的に行われるような十分な導電性レベルに形成され る。約10−”から約10−8モルの範囲に好適にある緩衝剤濃度がこの発明に おいて特に有益である。緩衝剤として用いられる典型的な化合物に、アンモニウ ム塩のようなイオン性の塩、塩化ナトリウム及び塩化カリウムのような無機塩、 及びフタル酸カリウムのような有機塩が含まれる。
システムに表われる電流に関して、高電圧−低電流の関係がシステム内で典型的 に維持されることに注目すべきである。本発明のシステム及び方法を助成し、検 体成分の分離を最大にすることができるような電流が用いられる。電流は、溶液 のイオン強度、キャピラリカラムの長さ及びキャピラリの内径のような多くのも のに依存するが、電流は100μAのレベルかそれ以下に維持されるのが好まし い。電流は典型的には電圧に直接比例し、最大電圧は通常キャピラリ内の緩衝液 の加熱が最小限になるように選択される。これは緩衝液の加熱が分離能を低下さ せる対流をを生じるためである。
本発明発明の方法及びシステムに従って分子成分を分析するために、サンプル溶 液36は電気泳動的に分子成分に分離される。本発明の内容に従った電気泳動の 利用は複雑な物質の高能率な分離或いは分析を助成する。先ず、電圧が検体サン プル溶液36に簡潔にかけられ、少量のサンプル溶液のキャピラリ20への移動 が最初に電気浸透流によってなされる。そして緩衝液容器33がサンプリングボ ックス30の中へ導入され、キャピラリはサンプル容器から取除かれて緩衝液容 器に導入され、そこへ高電圧が印加されて電気泳動が行われる。
電気浸透は、キャピラリ表面に接線方向に課された電場の影響下でキャピラリ表 面の電気二重層の拡散層からの電子の移動によって引き起こされる。検体中に存 在するイオンはそれから、反対に負荷をかけられた電極に向かってキャピラリの 内容物を一緒に運びながら移動する。電気浸透流は、正に帯電したイオン、中性 分子化合物及び負に帯電したイオンを短時間、典型的には1mのキャピラリにつ いて約5〜30分、で溶出させるのに十分な速さである。正の電圧勾配において は、正イオンは、最も大きい純移動度を有し、高電圧陽極によって退けられるの で最初に溶出し、正の電気泳動移動度になり、更に溶媒の電気浸透バルク流によ っても運ばれるであろう。最も大きい負の電気泳動移動度を有する負イオンは最 後に溶出するであろう。
高い電気泳動移動度をもつ負イオンは、もし電気浸透流が十分に速くなければ、 カラムから溶出することはないかもしれないが、通常、電気浸透流の移動度が常 に検体の電気泳動移動度より大きくなるように条件設定を変えることができる。
それ故、キャピラリカラムを通る移動時間は大部分において、キャピラリの長さ 、電場中の分子の電気泳動移動度、電場強度、及び支持している緩衝液の電気浸 透流の組合せによって決まる。検体サンプル36を形成する多数の成分は異なっ た比電気泳動移動度を有する。これらの電気泳動移動度の差はキャピラリ20の 入口39から出口40への分子成分移動についての異なった速度を生じる。これ により、各成分の定性及び定量が個々に分析的に決定され或いは収集されるよう に、時間に関して、これらの異なった分子成分を効果的、高能率な分離がもたら される。
入口39から出口40への検体溶出液36の電気泳動流についての最適条件の規 定において、以下のものが幾つかの好適な条件である: エレクトロスプレー形成点近くで電気回路を完成するための、キャピラリ中を流 れる検体との間の最小金属表面接触又は他の電気的接触、 入口39から出口40への実質的に一定の電圧降下、及び、 いかなる乱流効果もできる限り導入されない状態でキャピラリ中の検体溶出液3 6の電気浸透流が生じるように、有する不連続面領域が最小であり且つ実質的に 無効体積が存在しない連続的な内部流の界面。
本発明のエレクトロスプレーは正と負の両方のイオン化形態に使用できる。とは 言え、少量の酸素や他の電子捕集剤を容器のガスに添加することは、負イオンを 生成して電気的消耗を避けるのに有益である。
質量分析計の分析の為に、この大気圧のイオン源はその後典型的に、イオンの焦 点を合わせるイオンレンズシステム或いはRFのみの四重極場をもったノズルス キマー装置と質量分析及び検出の為の四電極質量分析計とを具備する分子ビーム サンプリング装置にかけられる。質量分析計の他の入口形状も適用できる。例え ば、C,M、ホワイトハウスらの[液体クロマトグラフ及び質量分析計の為のエ レクトロスプレーインターフェース」、アナリティ力ル ケミストリ第57巻6 75−679頁(Whitehouse、 C,M、、 et al、、 ”E lectrospray Interface for Liquid Chr omatographsand Mass Spectrometers−、A nal tical Chemistr )に開示されるように、非導電性キャ ピラリが使用できる。
この発明の好適な形態において、エレクトロスプレーにかけられた小滴は大気圧 に近い範囲で絶えず分けられて蒸発させられることができ、アメリカ合衆国特許 第4.209.696号及びヨーロッパ特許出願第84302751.7号に記 述されているものと同様のエレクトロスプレー技術を用いて検体のガスイオンを 形成することができる。分離能が低下しないように、キャピラリ内の溶液流は、 いかなる圧力降下よりもむしろ電気浸透流から得られるのが好ましい。それ故、 スプレー64は、通電クロマトグラムの実質的歪みがないように形成され、それ によって多数の分析的検出器による分析を可能にする。
質量分析の検出に使用されるエレクトロスプレープロセスは以前の研究者らによ って開発されたも゛のと同様である。小滴はエレクトロスプレープロセスによっ て形成される時、小滴からの溶媒の脱溶媒和が起こり始め、検体成分は液体相か らガス相へ移動し、ガス相は検体成分のガスイオンを含んでいる。小滴が出口4 0から離れ去る時、絶えずサイズが減少し、イオン蒸気相スチームが質量分析計 で検出可能な形態になるまで、質量対電荷の割合が絶えず小さくなる。溶媒の小 滴における会合状態からの脱溶媒和は熱によって及び/又は電流に対向するガス 流によって助成される。エレクトロスプレーは電場を伴うプロセスを含み、霧状 にするためのガス或いは加熱方法の同時使用を含むことができる。
いかなる場合においても、生じた脱溶媒和蒸気相イオンは、空間62内に存在す る検体の残り部分と一緒に、検体サンプルに含まれる個々の成分の定性及び定量 をするための質量分析計へ運ばれる。
CZE−質量分析システムの為の 質量分析計における改良 エレクトロスプレーに供せられた溶出液64の分析に関して、質量分析を用いて 分析を改良或いは助成するようなある性質が又明らかにされている。これらは例 えば、質量分析計の第1真空領域におけるRFのみのレンズの使用を含んでいる 。これらのレンズは三電極、画電極質量分析計におけるイオンのほぼ100%の 抑制を提供し、そこではレンズは、CZE−MSシステムインターフェースの第 1真空領域に用いられる圧力と同様の、約5 X 10−’Torrの中間的な 真空において操作される。このRFのみのレンズは又、対象となる所定質量以上 のイオンのみを質量分析計へ通過させることができる高通過質量フィルターとし ても働く。
このクレンジング効果は、(低い質量で用いられる緩衝剤から高イオン電流が予 期されるので)分析者が対象としていないイオンを含む高イオン電流が通常の画 電極質量分析計に入って質量分析の間に退けられる時に、生じた空間電荷効果か ら潜在的に自由なスペクトルを提供する。
好適に組合されたRF−RF/DC対の四電極レンズは又、レンズの組合せがD C−RF/DCである時に観察されるフリンジフィールド効果を最小限にするの に用いられる。これは質量分析計の中へのイオンの移送を最大限にするように働 く。
最後に、大気圧エレクトロスプレーイオン化源からイオンを移送するための水晶 の入口キャビラリの使用は、移送されるイオンのRFのみの4電極への直接的注 入を可能にするノズルスキマー誘導法との択一的な方法として適している。
好適な分析応用 エレクトロスプレーインターフェースは又、CZE分離を他のオンライン分析技 術と結合させる基礎を提供する。これらの方法においてエレクトロスプレーは、 小さな液体の小滴或いは気体相イオンが分析或いは検出手段へ誘導されるような 見本となるものである。それ故、この発明はフリーゾーン電気泳動(及び、界面 動電クロマトグラフィと等速回転電気泳動とを含む変形による)分離方法を含み 、エレクトロスプレーを用いており、以下の他の検出方法を伴う。
1、水素炎イオン化検出 2、誘導結合プラズマによる成分分析或いは成分分析の為のマイクロ波プラズマ 原子分光 3、イオン移動度検出 4、光イオン化検出 5、成分限定イオン化検出 6、電子捕獲検出 7、表面高感度分析法 8、エレクトロスプレーに供された沈着物の赤外線分析 上記の分析方法の通常の性質は気体或いはエアロゾルサンプルが要求されること である。エレクトロスプレープロセスはこれらの検出手段に支障なく結び付けら れるような気体やエアロゾルを生じる。各分析方法はエレクトロスプレーをサン プリングするためにいくらか異なった方法を要する。しかしその方法は、上記の 技術にかなり熟達したものが、ここに開示された情報を得て、選択した分析方法 にCZEをうまく結合することができるようなものである。いくつかの方法には 限界感度による困難が存在し、それ故CZEの実行や分析検出手段に何等かの制 限(分離能を下げる最大サンプル量より多くサンプルを使用すること等)が課さ れ得ることに注目すべきである。
オフライン収集成いは分析方法は又、エレクトロスプレーを使用するのに適して いる。これらの方法において、エレクトロスプレーは固体或いは液体表面に収集 される。個々の検体の時間分布が空間分布として該表面に置かれるように、該表 面は移動可能である。表面に収集された分離サンプルは他のオフライン分析方法 や少量のサンプルのみを必要とする他の目的に用いられることが可能である。空 間的に分布した物質は又、表面で固体サンプルと共存できる分析方法によって分 析することができる。これらの分析方法には以下のものが含まれる。
1、イオン衝撃或いは原子衝撃を含むイオン化法を伴うリボン或いは帯を使用す る質量分析2、表面の赤外線分析 3、あらゆる表面高感度分析方法 支−ILJI (実施例1) 第2図に詳細に示したCZE−質量分析計システムを用いて、検体サンプルの同 定及び定量を行った。
グラスマン高電圧有限会社(Glassman High VoltageIn c、 ホワイトハウスステーション、ニュージャージ州)製のLG60P2.5 型のO〜60Kv電源を用いて、CZEを作動させた。溶液の交換及び注入を容 易にするためのリモートコントロールのサンプリングアーム及び注入タイマーを 備えた絶縁されたサンプリングボックスに、高電圧電極及びキャピラリ端部(陽 極)及び溶液ビンを配置した。ポリミクロチクノロシーズ有限会社(Polym icro Technologies  フェニックス、アリシナ州)製の内径 100μm1長さ100cmの溶融シリカキャピラリを全ての実験にそのまま使 用した。
溶融シリカキャピラリの陰極(低電圧端部)は、内径300μm1外径450μ mのステンレススチール製キャピラリ鞘中にその末端を置いた(第3図参照)。
鞘の電位はO〜5KVの直流電源で制御され、CZEの陰極とエレクトロスプレ ー針との両方の作用をする(第2A図参照)。
エレクトロスプレーのイオン化は、大気圧下で長さ2.54an、内径2.29 cmのステンレススチール容器の中で行った。その容器の末端は、電気的にバイ アスになった(直流190V)開口部が0.475anの集束リング44の中に 置かれた。イオンサンプリングオリフィス(或いはノズル)63は開口部の内径 が0゜5 mの銅製のものであり接地電位の銅容器に接している。この容器はエ レクトロスプレ一部分を囲んでおり、カートリッジ式ヒーターのシステム(図示 せず)により60℃に加熱された。エレクトロスプレー針、集束リング66及び イオンサンプリングノズル63は質量分析計と同心状に配置された。たとえ高電 圧がかかった時でも最大のイオン生成及び輸送が可能となるように、これらの部 品は、(直線動作伝導装置の助けを借りて)固定したスキマー70に関して独立 に位置させられることが可能である。集束リング66とノズル63の間には、流 速2.5L/分のエアカーテンを窒素流によって形成し、その流れは脱溶媒和過 程を促進するためにエレクトロスプレーと逆方向に流れるように方向が定められ た。
多くの異なった変形が可能であるが、真空系は3段階の別々に脱気するチャンバ からなっている。第1段階は、超音波ビームの拡散がイオンサンプリングノズル 63を通るのを可能にする。この部分は0.85Torr*で150L/秒のル ーツブロワ−により吸引される。超音波ビームの一部は、ビーム ダイナミクス 有限会社(ミネアポリス、ミネソタ州)製1型の内径1.2關のビームスキマー により集められる。第2の別な脱気段階は、長さ22cn、系が0.95cIT lの四重極フイルタ−72からなる。この四電極は直流1〜1゜8vのロッドバ イアスで、RFのみのモードで操作され、分析用四電極へのイオンの通過を容易 にするイオンレンズとして働く。この部分の気圧は、1500L/秒のターボモ レキュラーポンプにより10−4〜10−”Torrに維持される。本装置の別 な型式では、排気速度が約50000L/秒である一体式クライオポンプに置き 換えて、オリフィス開口部とスキマー直径をより大きくすることが可能である。
内径0.635国のオリフィスをもつ電気的に絶縁されたステンレススチール板 (直流−28V)は、550L、/秒のターボモレキュラーポンプを用いて質量 分析計のチャンバを2×10″″’Torrに維持することができる。エクスト レル社(Extrel Co、ピッツバーグ、ペンシルベニア州)CQPSIH V型の2000 amuの範囲の4電極マスフイルタ及びディテクタ チクノロ シーズ有限会社(Detector Technologies、 Inc、ブ ルックフィールド、マサチューセッツ州)203型チャンネルトロン電子増幅器 74をアナログモードで操作した。データの取込と質量数の走査はテクニベント 株式会社(Teknivent Corp、セントルイス、ミズーリ州)105 0型インターフェース−IBM  PC/XT準拠システムにより行った。付随 する操作上の変数は次の通りである。つまり、使用電圧:直流40000V、エ レクトロスプレー電圧:直流3000V、集束リングの電圧:直流190V、窒 素流速2.5L/分、エレクトロスプレー源温度60℃、RFのみの四電極直流 バイアス:直流−1,8V、そしてイオン入口開口部:直流−28Vである。
CZEキャピラリへのサンプル注入はヨルゲンセン(Jorgensen )ら の電子移動法を用いて行った。電子移動法においては、カラムの陽極端部39が 検体サンプル溶液中に導入され、所定時間の間、注入電圧が印加され、電圧が断 たれて緩衝液に置き換えられ、次にCZE印加電圧CV−pe”直流40000 ■)及びエレクトロスプレー電圧(Vts+ = 3000 V) ノミ圧がか けられ、分離が続けられる。(この場合、CZE電圧(VC!、)とは陰極電圧 がエレクトロスプレー電圧に維持されているために、伝統的な意味とは異り、C ZEカラムを通じての電圧降′下のことである。即ち、V (11= V 61 g  V z@1である0)10−’MのKCIの(50−50)水−メタノー ル溶液を分離媒体及びエレクトロスプレー媒体として使用した。溶融シリカキャ ピラリを使用する時、水−メタノールは相当な電気浸透移動度(3,6X10− ’an ” / V秒)を示すことが観察された。従って、正にイオン化した物 質は12.5分より速い時間に長さ100anのカラム(Vczt =3700 0Vの時)から流出する。
(実施例1:結果と考察) 5種のアンモニウム塩について試験を行った。即ち、臭化テトラメチルアンモニ ウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム 、水酸化テトラブチルアンモニウム及びヨウ化トリメチルフェニルアンモニウム である。これらの4級アンモニウム塩はどれも4級アンモニウムカチオンに相当 するマススペクトル位置に明瞭なピークとして良好なエレクトロスプレーシグナ ルを与える。
第4図には10−”Mの濃度で注入した5種の成分を、CZE分離を行わずに連 続的電子移動をした場合のマススペクトルを示す。主なピークは4級アンモニウ ムカチオンに起因するものである。即ち、臭化テトラメチルアンモニウム(m/ Z=74)、過塩素酸テトラエチルアンモニウム(+++/Z=130)、ヨウ 化トリメチルフェニルアンモニウム(m/Z=136)、水酸化テトラプロピル アンモニウム(m/Z=186)、水酸化テトラブチルアンモニウム(m/Z  = 242)及びNa−MeOH+に起因するバックグランドピーク(m/Z= 55)である。
このような混合物を、対応する4級アンモニウムカチオンビークについて多重イ オンモニタリングを用いて行った最初のCZE−MS分離を第5図に示す。第5 図は5種の4級アンモニウム塩について濃度10−@M(14〜17フ工ムトモ ル注入)でCZE−MSにより得られた電子フェログラムである。即ち、(A) 臭化テトラメチルアンモニウム、(B)ヨウ化トリメチルアンモニウム、(C) 過塩素酸テトラエチルアンモニウム、(D)水酸化テトラプロピルアンモニウム 、(E)水酸化テトラブチルアンモニウムの5種である。
4級アンモニウム塩の注入量が14〜17フ工ムトモル、良好なピーク形状及び シグナル/ノイズ比でシグナルイオンの通電クロマトグラムが得られた。
第6図は5種の4級アンモニウム塩について濃度10−’M (0,7〜0.9 フ工ムトモル注入)テcZE−MSにより得られた通電クロマトグラムである。
臭化テトラメチルアンモニウム(m/Z =74) 、過塩素酸テトラエチルア ンモニウム(m/Z=130)、ヨウ化トリメチルフェニルアンモニウム(m/ Z = 136)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(m/Z=186)、水 酸化テトラブチルアンモニウム(lIl/Z=242)。
第6図は、0.7〜0.9フ工ムトモルを注入し、Viを20000 V j、 :、Cを10−’M?、:下げた時に得られる同様な分離を示している。
第5図の分離能は26000から100000の理論段数に変化するが、第6図 では理論段数が35000から140000へ増加した。このようにサンプルの 濃度及びサイズが減少すると分離能が上昇することから、緩衝液のイオン強度が より高く且つキャピラリの径がより小さいか或いは長さが長い時にはいっそう改 良がなされることが示唆される。
前述したように、陰極は緩衝液容器にある必要はなく、ただ陽極に対して負にバ イアスにされればよい。
つまり、キャピラリ管の金属被覆部分或いは緩衝液との他の電気的接点により電 場の基本的制御がなされる。
もしキャピラリの全長に渡っての圧力降下を無くすると、(質量分析用インター フェースに不可欠な)この方法は、少なくともエレクトロスプレーの直前の蛍光 検出器で検出される程度にまで電気浸透流を変化させることはない。この方法の 成功は、より高い分離能での分離が得られることにより更に支持される。これら の結果から、エレクトロスプレーイオン化法は、高分離能の分離技術であるCZ Eと質量分析計による高感度且つ高選択性の検量器とを結合するための理想的イ ンターフェースとなるのが明らかである。
化合物の複雑な混合物は、各成分の同定や定量が簡単にできないために、熟練し た質量分析者にとってさえも問題を提起する。本発明のシステムと手法とを利用 して、上述の5種の4級アンモニウム塩の一連の通電クロマトグラムを得た(第 8図参照)。これらの通電クマトグラムは、分離の過程を通して(時間に沿って )質量m/Zの特定のイオンについてイオン電流を測定することにより得られる 。測定される各成分についての単一のマススペクトル(第9図参照)は分離過程 のある特定の時間について得られる。これらのマススペクトルは特定の成分の分 子量を確認するために用いられ、一方、通電クロマトグラムのピーク面積は定量 するのに用いられる。
組電極流を有する好適な実施態様 前述したCZE−MSインターフェースにはいくつかの興味深い点があるが、そ の中には、有効検出体積が無視できるもので且つCZEバンド巾に寄与しないこ とが含まれる。その上、エレクトロスプレーはCZEキャピラリの端部で直接形 成され、(層流に起因する)カラム外のバンドの広がり或いは検体の吸着に寄与 するようなカラム分離の後の部分を全て除いである。
エレクトロスプレーインターフェース操作の前述した例では、LC−MSについ てヘニオン(Hen1on)らが述べた”イオンスプレー”の形状、及び、より 大きな液滴径の分布に関する付随した問題におけるような霧状化を目的とするい かなる気体流をも更に必要とはしなかった。これらの問題は、′軸から外れる” エレクトロスプレーを集める必要があること、及び、より大きな液滴は効率良く イオン化されないので感度が低下することを含んでいる(A、P、ブルインズ、 T、R。
コーベイ、J、D、ヘニオン、”アナリティ力ルケミストリ″ [Bruins 、 A、P、;Covey、 T、R,; J、D、、 ”Anal。
Chem、”] 1987年59巻、2642−2646頁)。
しかしながら、CZE−MSインターフェースの先の例では、著しい制限がCZ Hの分離条件に関わっている。第1の制限は安定したエレクトロスプレーを生成 するのに要する最小限の流速に関与している。CZEに相当する溶融シリカキャ ピラリ中の電気浸透の流速は0から数μL/分程度であり、それはキャピラリの 表面処理、半径方向の電場勾配及び緩衝液組成(即ち、イオン強度とpH)に依 存している。安定したエレクトロスプレーは、流速が0.5μL以下の場合に維 持するのが著しく難しくなり、電場からの反れ、機械的な乱れ(例えば振動)或 いは微細な流速変化によって乱される。そして、流速が減少するに従って性能に 揺らぎが大きくなる。第2の制限は緩衝液の組成に関連している。例えば、イオ ン強度が約10−1M以上 。
の水溶液或いは緩衝液では効率良く噴霧することができない。アルコールと水と の混合物は容易にエレクトロスプレーに供することができるので、これらの制限 は予想されるほど厳しいものではないが、ある種の検体については、有用なCZ Eの条件範囲と同様、適用に制限がある。更に、緩衝液の化学的条件はESI過 程に強く影響し、成分によってはイオン化効率を抑制したり増大させたりするが 、分離の過程に対しては必ずしも望ましい影響を与えるものではない。発明者の もともとのインターフェースにおける最後の制限は、CZEとESIとの電場勾 配を設定するのに用いられる電気的接触を供給するためにキャピラリ端部に金属 を蒸着する必要があることである。金属を蒸着するためと、機械的強度を出すの に使われる周囲を囲むステンレススチールの鞘と接触させるために数段間が必要 であり、キャピラリの調整過程に長い時間が要される。
その上、蒸着した金属はゆっくりと腐食するので、数日の操作を行った後に交換 する必要がある。
そこで発明者らはCZE−MS用の改良型エレクトロスプレーイオン化インター フェース(ESI)110.110A(第10から第14図)とll0B(第1 9図)及び前述した設計における制限を除くための他の応用技術を開発した。改 良型の設計の目的は前述の設計の内、魅力的な点(即ち、カラム外体積を無くす ること、良好に作動するエレクトロスプレー過程等)は保持するが、一方、操作 上新たな制限を全く付は加えないことである。この改良では、CZE出口40の 金属接点を薄い鞘状の流れる導電性の溶液に換えた。
この改良により全体として、CZE流速と緩衝液組成に関わる前述の制限を解消 する一方、発明者らのもともとのインターフェースの望ましい点を維持する結果 となっている。更に、これらの改良によりESIの安定性は定量的に改善され、 CZEキャピラリに特別な処理をする必要のない設計であり、且つCZEキャピ ラリを容易に交換することができるようになっている。
次の実施例2の中で述べるこれら及び他の利点から、改良されたESIインター フェースはCZE−MS法をより広く応用可能にし、他のキャピラリ電気泳動法 に展開するための基礎となることが示唆される。
(実施例2) CZE−MSの この例におけるCZE−MS用のシステムの改良及び装置の使用は、大部分が実 施例1について上述したものと同じであり、第10図から第13図で同様の部分 を示すのに同じ参照符号を使用したである。CZEは、高電圧(10〜50KV )電極で電気浸透サンプルの導入により溶融シリカキャピラリ20中で行われた 。
緩衝液とサンプル容器とを有する高電圧部は連結されたプレキシグラスの箱30 の中で電気的に絶′縁されている。未処理の内径100μmの溶融シリカキャピ ラリを全ての実験に用いた。
先に示したように、CZEとESIの両方を操作するには、キャピラリ端部或い はその近傍で、電気浸透的に流出する溶液が妨害されずに電気的に接触すること が要求される。本実施例では、キャピラリ20の低電圧側(検出)端部の緩衝液 への電気的接触は液体116の鞘流によりなされ、その液体は通常はメタノール 、プロパツール、アセトニトリル或いは容易にエレクトロスプレーに供せられる 次の節で述べるようなものである。この電気的接触も又、典型的例では3〜5K Vの範囲にESI電圧を設定するものである。ESI集東電極26は典型的例で は+300V (陽イオン操作)であった。ノズルスキマーのバイアスは80〜 150Vで最良の作動状態が得られるのが分かった。スキマー70は実施例1と 同じく接地電位とした。組電極流の為の脈動のない正確な溶液の流れは、サージ インストロメンツ(Sage Instruments  ケンブリッジ、マサ チューセッツ州)の341B型の小さなシリンジポンプ(図示せず)により得ら れた。
予備的な気体の流れ136もしばしば用いられ、キャピラリ端部(ESI電極) の周囲の鞘として、0゜1〜ILZ分の流速で導入された。この気体の流れの目 的は、(1)陰イオンモードで操作する際の放電を抑制するために酸素を付加す ること、(2)高いCZE電流の時に鞘液流を冷却すること、である。この気体 の流れの2番目の利点は、限界になる(即ち用いられる組電極液流の流速にして はイオン強度が通常は高過ぎる)傾向のある緩衝液について、重力起因のエレク トロスプレーの不安定さを抑制することにあった。
ESI過程によって生成されるイオンは、1段階のルーツブロウを用いて150 L/秒で機械的に吸引されている領域にlll11のオリフィス(ノズル)63 を通して集められた。この領域に入ったイオンはノズルオリフィス63の0.5 an後に配置されるスキマー70の径2關のオリフィスを通して集められた。ス キマー70を通過したイオンはラジオ周波数(rf)のみの集束四重枠72に入 る。この領域は特別に設計されたレイボールド へレアウス(Leybold  Hereaus )のクライオポンプにより差圧的に脱気した。このポンプは標 準的なコンプレッサーと約14Kに冷却された特性の円筒状の2段調整器を備え たコールドヘッドとを備え、四電極を包み込んで、窒素で30000L/秒以上 の効率のよい排気速度が得られる。分析用の四電極チャンバはターボモレキュラ ーポンプにより、’500L/秒で排気された。開口部0.64anの単一イオ ンレンズはイオン集束部と分析用四重枠チャンバを分けている。集束部及び分析 用チャンバの気圧は、それぞれ約lXl0−’及び2 x 10−’Torrで あった。エレクトロスプレーから脱溶媒和するための逆方向の窒素の流れ68( −70℃)は、3〜6L/分の範囲にあった。質量分析計(エクストレル社(E xtrel Co、’)、ピッツバーグ、ペンシルベニア州)はm/22000 の測定範囲を有していた。
ESIインターフェースの!ルーと且へこの研究で開発された組電極ESIイン ターフェースの望ましい型式の図解を第12図及び第13図に示す。ESIプロ ーブ本体114はポリカーボネートを加工した中心軸の溝115を有するもので 、小さな光学的ベンチレール(図示せず)上を移動可能な特別注文のホルダーの 上に取付けである。CZEキャピラリ20及び鞘液116はプローブ本体の外側 にテフロン台(図示せず)を通して外径1/16インチのテフロン管126の中 央に納められている。ポリカーボネートチップホルダ118は、長さ1.9an 、21ゲージ(内径0.51mm、外径0.81m5)のステンレススチール管 122の中に同心状にハンダ付けされた長さ3.3ao、26ゲージ(内径0. 25mm、外径0.46mm)のステンレススチール管から作られた導電性エレ クトロスプレー電極120を保持する。管122はチップホルダーの後にある軸 孔123に取付けられ、テフロン管126の端部に向かって後ろ向きに延びてい る。ステンレススチール電極のESI端部121は約45°のテーパーに加工さ れてから電解研磨されている。チップホルダー118はプローブ本体114の中 に同心状に捩じ込まれているので、ステンレススチール電極120は、突き出て いる溶融シリカキャピラリ20の上に滑り出て、環状の通路とキャピラリ20の 端部周囲の出口125を形成し、導線42に組合され且つバネのついたクリップ 型高電圧コネクターと接続され、テフロン台につながった中心のテフロン管12 6の中にきちんと接続されている。ステンレススチール電極120との比較によ るキャピラリ20のCZE端部40の軸上における位置は、前述のテフロン台の 中のキャピラリをスライドさせて簡単に合わせることができる。
通常の操作条件では必要ないが、(高いCZE電圧による)鞘電極或いは加熱さ れた窒素の逆方向の流れから出る熱に起因するあらゆる妨害となる影響を予備的 な鞘気体流の能力により抑制することができる。中心軸の溝115はプローブの 気体の鞘として窒素或いは酸素を流す(0,1〜IL/分)6本の外径1/16 インチのテフロン管128(2本を図示した)、及び、CZE溶融シリカキャピ ラリ20と組電極液体115とを有する中央の管126を有している。2つの内 径1/16インチの穴130がチップホルダ118の後半分に開けられており、 チップホルダの前半分でESI電源を囲っている単一の同心状の溝132につな がっている。これらの通路は、6本のテフロン管128によって供給される気体 の約半分を、チップホルダを通してESIチップの上へ向かって前方へと送るこ とができる。残りの気体は溝115を通り、管126及び128の間の空間にあ るプローブ本体114の中へ後ろ向きに流れる。長さ0.5cm、11ゲージ( 内径2.4 m、外径3.2m)のステンレススチール管134からなる電極が 更に、ESIチップの上且つチップホルダの中央の溝132の中に置かれる。そ の電極は同心状の気体の流れ136をチップ状に流し、管134に接触する2つ 目のクリップ型バネコネクター(図示せず)によってESI電位に保たれる。
2番目の、もう一方の実施態様110Aは第10図及び第11図に示されている 。キャピラリ20は銅板142上に置かれたルサイトプラスチック台140を通 っている。短いステンレススチール管144は銅板142を通り、台140の一 方の脚の中を同心状に通り、キャピラリ出口端部40の周りを囲む。キャピラリ 出口40の周囲の鞘液流の為に環状の通路145を形成するように、ステンレス スチール管144はキャピラリ20と関係をもたせた大きさになっている。この 様な流れは短い銅管148により、台のもう一方の脚に接続された2つ目のキャ ピラリ146を介して導入される。ステンレススチール管、鋼管、銅板及び2つ 目のキャピラリを通して導入される緩衝液はESI電位に維持される。
(実施例2:結果と考察) ESIインターフェースの 第10図から第13図に示されたインターフェースにより得られる重要な改良点 は、マススペクトル検出に適用できるようなCZE操作条件の範囲が更に広がる ことである。例えば、安定なESI性能の為にインターフェースを用いることで CZE流速を予め著しく小さく (く0.5μL/分)して操作することができ る。電気的接触が導電性液体116を介して作られている場合、理想的なエレク トロスプレーが溶融シリカキャピラリ20から放出される。この様な操作モード ではスプレー用気体を用いる時と同じく、イオンの生成は安定しており、大きな 液滴は生成しない。同様のエレクトロスプレーは、金属キャピラリ又はCZE− MSについて前述の金属を塗布した溶融シリカキャピラリを用いることにより更 に大きい流速の時にも得られた(第7図参照)。しかしながら、より遅い流速で はエレクトロスプレーは、いっそう大きな液滴及び液流が時々生じるような不安 定な状態に陥る。そのように不安定な作動状態は、エレクトロスプレーが金属表 面の様々な部分から生じ、或いはある部分から他の部分へと移動し、そして結果 として測定されるイオン電流が大きく変化することによって特徴づけられる。金 属表面はより頻繁にコロナ放電を起こし、その為に通常は検体のシグナルが欠失 するのがわかる。金属表面のないところでは、エレクトロスプレーは通常は体積 が5〜10nLの範囲であるような小さな液体円錐の頂点(第13図)から放出 される。この型のエレクトロスプレーは理想的な状態と考えられたので、発明者 らは首尾よく新しいインターフェースと同じものを作った。
第13図はキャピラリ端部(第11図の末端から見た図も参照)の詳細な図であ る。電気浸透によって緩衝液が流れ込むCZEキャピラリ20の低圧側端部40 の電気的接触をエレクトロスプレーイオン化に不可欠なものでもある。それ故ス テンレススチールキャピラリ120の電圧(陽イオン生成の為に+3〜6 KV )がCZEとESIとの電場勾配を決定する。実際のCZEの電気的接触は溶融 シリカキャピラリの上を流れる薄い鞘の液体116により効率良く作られる。C ZEキャピラリは、良好に作動するように、軸方向に僅かな距離(>0.2m) だけ金属キャピラリ120を越えて延される必要がある。組電極を通しての電圧 降下は鞘液116バルク導電性に基づいて予想されるものより小さくなるが、典 型的な条件では、ESIとCZEの両成果は予想される電場勾配に一致する。従 って、CZEからの流出液はどんな金属表面との接触も避け、電気化学反応によ る損失から切り離されている。
興味深いことに、もしCZEキャピラリがステンレススチールキャピラリの中に 引き込まれていると、見た目には乱されていないエレクトロスプレーが依然とし て生じていても、検体のシグナルは失われてしまう。
おそらく、検体イオンがステンレススチールキャピラリでの電気化学的過程によ って失われるのであろう。
組電極液116はCZE緩衝液と同じでよいが、別の液体を使用することはエレ クトロスプレーの状態を改善するのにしばしば有利に働く。水溶液の緩衝液をエ レクトロスプレーに供せられなかったので、発明者らのCZE−MSを用いた最 初の実験では少量の電解質(例えばKl)を加えたメタノール/水の緩衝液(5 0150、V%/V%)を用いた。しかし、組電極液にメタノール或いはプロパ ツールを用いる時には、0.05Mまでのイオン強度であるような水溶液のCZ E緩衝液を用いることができる。同様に、メタノール/水緩衝液でのイオン強度 は0.01M以下という先程の制限を逃れることができる。典型的な組電極流速 は5〜10μL/分であるが、2〜30μL/分が実際的である。内径100μ mのキャピラリでは典型的なCZE流速は0.2から0.5μmL/分の範囲で あるから、鞘液によってかなりの効率で希釈されるために更に大きなイオン強度 (約0.1M)の緩衝液をより小さな径のキャピラリに用いることができると予 想した。高いCZE電流(〉50μA)では、鞘液に少量の電解質を添加するこ とで、過剰な電圧降下、熱、及び、結果として起こる電気的接触の破壊を有効に 防ぐことができた。メタノールとインプロパツールはあまり導電性の高い液体で はないが、それらの導電性は、通常のCZE電流(く30μA)に対してステン レススチールキャピラリからエレクトロスプレー発生部までの距離が短か< ( 0,3〜0.4m+)定められた場合には充分である。検体のシグナルは鞘型極 液の流速に対してどちらかというと無関係である。
鞘型極液は又、イオン脱離に関連する液相化学の操作や或いは、顕著なマススペ クトル情報或いはより効率的なイオン化が得られる検体をもたらすようなカラム 後の誘導体化によって潜在的にエレクトロスプレー過程を改良するのに使用され る。他の点では述べられなかったがCZE緩衝液(つまり水溶液)によりESI の作動状態は著しく変わるので、発明者らの結果からエレクトロスプレー円錐1 38(第13図)中の混合は広範囲に渡るのが分かる。発明者らは更に、エレク トロスプレーに成分を導入するために鞘型極液116(例えば酢酸アンモニウム 、トリフルオロ酢酸等)を用いており、この様な方法はESI効率に影響を及ぼ す充分な可能性がある。
本発明のインターフェースは基本的にはどのようなCZE緩衝液組成やESIの ための流速制限であっても除去することができる。現在においては小さな径のキ ャピラリ及びゲルを含めた高粘度のCZE媒体を用いることが可能である。加え て、他の型のキャピラリ電気泳動(等速回転電気泳動及び等電集束法)やキャピ ラリ界面動電クロマトグラフィについても同様にできるだけ早く質量分析計と接 続されるべきである。
ESIスペクトル CZE−MSインターフェースは、先立って処理するのが難しい緩衝液を効率よ くエレクトロスプレーに供することができる。第14図に、0.05ドデシル硫 酸ナトリウム(以下SDSと略記する)水溶液をCZE緩衝液とした時に、鞘型 極液としてインプロパツールを用い、その流速を約5μL/分として得られたE SIマススペクトルを示す。この陰イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度(以下C MCと略記する)は約8X 10−’Mであり、従って大部分のSDSはCZE 緩衝液中にミセルとして存在する。陰イオンスペクトルは、フェンらにより最初 に示された方法と同様に、電子を消費し電荷を抑制するために、更に酸素の鞘気 体流を用いて測定した(C,M、ホワイトハウス、RoN、ドレイヤー、M、ヤ マシタ、J、B、フェン[Whitehouse、 C,M、; Dreyer 、 R,N、; Uamashita、 M、;Fenn、 J、B、、]   ”アナリティカル ケミストリ”1985年57巻675−679ページ)。第 14“へ図に示した陰イオンスペクトルは、m/Z 265にドデシル硫酸陰イ オンのみを示している。少量の1価に帯電した2M体も高いSDS条件の時に観 測されることがあった。同様のスペクトルが更に希釈した10−sの溶液につい て得られる。正のESIスペクトルを第14A図に示す。ナトリウムの付加によ る強い分子イオンが観測され、感度は陰イオンモードと同程度である。スペクト ル中の他のイオンはナトリウム陽イオンと不純物とに起因する。この結果は大変 期待できるものである。というのは、CMCを越える濃度の不揮発性界面活性剤 を必要とするキャピラリ界面動電クロマトグラフィ(S、テラベ、K、オオクカ 、T、アンドウ、”アナリティ力ル ケミストリ”1985年第58巻834− 841頁)と質量分析計をインターフェースで結合することにより、様々な分離 選択性と中性物質への応用が可能になることが明らかであるからである。
更に2つの観察がESIマススペクトルに関してなされ得る。第1に、陽イオン モードでは普通フラグメンテーションは認められないが、陰イオンスペクトルは 時折有用なフラグメントビークを示す。例えば、酢酸ジフェニルのスペクトル( 第15図)は、分子イオン(H”欠失に起因)と同様にvn/Z 97と167 に大きなシグナルを示す。第2に、第14図と第15図に示したマススペクトル は、*/Z 150以下に大きなバックグランドシグナルを示す他の脱イオン化 法(即ち、サーモスプレー、粒子衝突及びレーザー脱離)とは全く異なっている 。このことは、他の脱離イオン化法と比べてESI過程が相対的に単純であるこ と、及びこの方法ではサンプルのバルクや一部を加熱することがないという事実 に関与しているであろう。
CZE−MS 鞘電極流を用いたCZE−MSインターフェースについて先に検討した4級アン モニウム塩の混合物を用い、水/メタノール緩衝液により評価した。基本的には 、同一の操作により理論段数が1〜3X10’、検出限界が10〜100アトモ ルの範囲が得られた。前述のインターフェースと比較して、同程度の分離が水溶 液の緩衝液についても得られた。
4級ホスホニウム塩混合物のCZE−MS全イオン通電クりマトダラムを第16 図に示す。約1ピコモル/成分で含まれるサンプルプラグを注入するのに、前述 した方法により電気浸透を用いた。分離はどちらかというと短い60cmのキャ ピラリにより、11に■のCZE電圧降下を用いて行った。緩衝液の導電率を通 常は101μwho/cmのオーダーに設定した。第16図に示した分離は、N aOHで規定してpHを4.8とした10−’MのKCIを含有する0、05M フタル酸水素カリウム水溶液を緩衝液として用いた時に得られた。
(pHが高い時には著しいテーリングを伴う悪い状態になることに注意すべきで ある。)鞘型極液は10−4Mの酢酸アンモニウムを含むインプロパツールであ った。第17図のシグナルイオンの通電クロマトグラムに示すように、理論段数 40000〜80000が個々の成分を分離する際に得られたが、4種の混合物 では第16図のように2つのピークしか認められない。
ビニルトリフェニル及びエチルトリフェニルホスホニウムイオンが同時に溶出す るのは、電気泳動移動度が類似することが予想されるので、驚くべきことではな いが、テトラブチル及びテトラフェニルホスホニウムイオンも同様に溶出するの は殆ど予測がつかないことである。より小さな内径又はより長いキャピラリ或い は別な緩衝液系を用いて得られる分離は、これらの成分の電気泳動的分離能を改 良できることが予想される。
交感神経作用性の、及びその関連のアミン4種類の混合物のシグナルイオン通電 クロマトグラムを第18図に示す。どの場合でもプロトンの付加した分子イオン が際立った。分離は、前述の緩衝液と同様の、塩酸によりpHを3.8とし、1 0−’MのKCIを含有するものを用い、11に■のCZE電圧、長さ60cm ×内径100μmのキャピラリを用いて行った。ドーパミンと5−ヒドロキシト リプタミンとは電気泳動では分離しないが、ノルエピネフリン及びエピネフリン は他の成分と分離する。CZE分離の最適化の為の実験は行わなかったが、これ らの物質は生物学的に重要であるので、この様な結果は今後に大変期待がもてる 。
ここで述べたCZE−MSインターフェースはより広範な応用の基礎となる。液 体の鞘電極によりエレクトロスプレーイオン化インターフェースを、CZEにと って興味深い殆ど全ての緩衝液系に用いることができる。これには、他の方法で はエレクトロスプレーにかけられなかった水溶液やイオン強度の高い緩衝液も含 まれる。その上、インターフェースにより操作が容易になり、以前には得られな かった日間の再現性が得られる。CZEキャピラリは簡単に、短時間で交換する のが可能であり、準備としての特別な処理を必要としない。エレクトロスプレー インターフェースはCZEの効率には影響せず、キャピラリを通じての圧力降下 や他の方法では問題となる点を避けることができる。
組電極流も、質量分析計のキャリブレーション、ESI過程の調整、カラム後の 誘導体化の為の便利な試薬導入方法を提供する。鞘流速をより速くしたいならば 、エレクトロスプレー過程を補助するためにスプレー用気体を導入することがで きる(A、P、ブルインズ、T、R,コベイ、J、D、ヘニオン、[Bruin s、A、P、;Covey、T、R,; Hen1on、 J、D、] ”アナ リティカルケミストリ”1987年第59巻2642−2646頁)。
CZE−MS法は、それを多くの生物学的サンプルに対して唯−適しているよう にするような分離能と検出限界との組合せである。例えば、マイクロピペットと CZEとを直結させることが可能であり、それは単細胞を直接サンプリングして 細胞成分を迅速に質量分析によるキャラクタリゼーションを行うための基礎を提 供する。より高い分解能が必要な時には、LC−MS1イオンクロマトグラフィ 及びI PC−MSによって行われる通常の有機及び無機分析でもCZE−MS の恩恵を受けるであろう。数分以内の分離が必要な時は、より短いカラムを使用 すれば可能であり、とりわけその場合には、感度の高い検出法によりサンプル体 積を最小限にすることができる。等電果末法、キャピラリ界面動電クロマトグラ フィ及び等速回転電気泳動(F、M、工ヴエレット、J、L、ベラカース、T  h。
P、E、M、フェアヘーゲン、”等速回転電気泳動”、ジャーナルオブクロマト グラフィライブラリ第6巻、エルゼビアサイエンス出版、アムステルダム、19 76年)を含むキャピラリ電気泳動の他の応用法は、新しいインターフェースを 用いることにより質量分析検出に接続することが可能である。
鞘流エレクトロスプレーインターフェースも他の形式の分析法のインターフェー スとなることができる。
第19図には、例えば元素発光、原子吸光或いは他の公知の形式の分光法の為の プラズマにCZE−エレクトロスプレーインターフェースを取付けた第3の別の 具体例110Bを示しである。このインターフェースは2つのテフロン取付は具 150及び152を使っている。キャピラリ20はテフロン管154と栓156 とを通ってT型取付具152に入ってから、向い側の管162の中を通る。鞘液 は管160を通り、T型取付具152に導入されて、キャピラリ20の外側の管 162を通って、四方取付具150の中のキャピラリ20を囲んでいるステンレ ススチール管に入る。ESl電圧調整器42はテフロン管164と栓166を通 って取付は具150に入り、ステンレススチール管120に接続される。鞘気体 136はテフロン管168を通って取付は具150に導入され、キャピラリ出口 140に向ってステンレススチール管120の外側を流れる。取付具150の4 本の脚はCZE溶出液、鞘型極液流及び鞘気体流の為の同心状の出口を有してお り、円筒状のガラス製のスプレー室170の入口端部に接続されている。これら の出口から軸方向に離れたところに、スプレー室170はステンレススチール製 のカラー172を有している。このカラーはインターフェース全体をプラズマ分 析装置(図示せず)につないでおり、エレクトロスプレーの的としておかれてい る2番目の高電圧回路16Bに接続されている。インターフェース110Bの操 作は全般的に110及び110Aの具体例について上述した通りである。主な違 いはエレクトロスプレー液滴の脱溶媒和の為の逆方向の気体の流れである。しか も、典型的にはヘエリウムかアルゴンである鞘気体はプラズマの生成を補助する のに必要である。この鞘気体流も、上述した軸方向の流れ、例えば0.1〜0, 2L/分よりも大きい値である。
好適な実施態様において本発明の原理を図示し、説明したので、この様な原理か ら逸脱することな〈発明が配列や詳細において変形され得るものであることは当 業者にとって容品に明白になるであろう。更に液体或いは気体流、加熱或いは集 束の為の供給を含むエレクトロスプレー過程の変形も又、この発明の一部である 。発明者らは添付する請求の範囲及び精神の範囲に於ける全ての変形を保護しよ うとするものである。
第4図 第5図 第9図 M/Z 区 罷 第17図 時間(分) 賊 補正書の翻訳文提出帯 (特許法第184条の7第1項) 平成1年10月 6日

Claims (59)

    【特許請求の範囲】
  1. 1.多数の分析検出器によって分析されることが可能な高分解能検体分離物を生 成する方法において、検体サンプル溶液源を供給することと、該検体サンプル溶 液を電気泳動的に分離して高分離検体溶出液を形成することと、 電気的に帯電した該被分離検体溶出液をエレクトロスプレーに供すること とを備える分離方法。
  2. 2.電気的に非導電性のキャピラリ中でサンプル溶液の該電気泳動分離を実施す ることと、該キャピラリの出口付近の溶出液に電気的に接触するための導電性手 段を供給することと、サンプル溶液を電気泳動的に分離して被分離検体溶出液を エレクトロスプレーに供するための高電圧回路手段に、該導電性の手段を結びつ けることとを含む請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 3.上記サンプル溶液源と該電気泳動分離を行う為の導電性手段との間のサンプ ル溶液に高電圧電位差を供給することを含む請求の範囲第2項記載の方法。
  4. 4.導電性手段と、該被分離検体溶出液をエレクトロスプレーに供するために近 接しておかれる検出器或いは収集器との間に、電圧電位差を供給することを含む 請求の範囲第2項記載の方法。
  5. 5.非導電性キャピラリ中で電気泳動分離を実施することと、 該被分離検体溶出液が該キャピラリの出口から生じた時ににエレクトロスプレー に供することとを含む請求の範囲第1項記載の方法。
  6. 6.非導電性キャピラリ中で電気泳動分離を実施することと、 該キャピラリの出口からの該被分離検体溶出液をエレクトロスプレーに供するこ とと、 該検体サンプルを電気泳動的に分離するための電極と該被分離検体溶出液をエレ クトロスプレーに供するためのエレクトロスプレー源との両方を形成するように 該キャピラリ出口を電気的に接続することとを含む請求の範囲第1項記載の方法 。
  7. 7.検体の通電クロマトグラムに実質的な歪みがなく、エレクトロスプレーに供 せられた溶出液が、多数の分析器によって該検体サンプルを形成する成分の定性 及び定量を分析的に決定するための高分解能分離を維持するように、該エレクト ロスプレーに先立って直に検体溶出液に電気的電位差を直接与えることを含む請 求の範囲第1項記載の方法。
  8. 8.該電気泳動分離を実施することと、直接的に電気的に帯電させることと、 検体の電気浸透流がいかなる乱流効果もできる限り取り込まれない状態で供給さ れるように、実際上の無効体積が最小の状態で該エレクトロスプレーを行うこと とを含む請求の範囲第1項記載の方法。
  9. 9.実際上の無効体積が約1nL未満である請求の範囲第8項記載の方法。
  10. 10.検体サンプル溶液の供給及び電気泳動分離過程が 成分の各々が異なった電気泳動移動度を有している成分の混合物からなるサンプ ル溶液の容器と、緩衝液の容器とを供給することと、 入口端部と出口端部とを有し、該溶液の電気浸透流をもたらすことが可能な非導 電性物質で形成される開口した管状のキャピラリを供給することと、キャピラリ を緩衝液で満たすことと、 キャピラリの入口端部において少量のサンプル溶液を導入することと、 キャピラリの入口端部を緩衝液の中に置くことと、該成分の各々が異なった時間 間隔で該キャピラリの該入口端部から出口端部へ電気泳動移動度に従って移動す ることにより、該サンプル混合物を電気泳動的に分離してサンプル成分にするた めにキャピラリの入口端部と出口端部との間の緩衝液に第1高電圧電位差を供給 することを含み、 各成分が電気泳動によって決められる時間間隔でエレクトロスプレーに供せられ るように、エレクトロスプレー過程が、該被分離成分をエレクトロスプレーに供 するために該出口端部で該被分離サンプルに直接第2電圧電位差をつなげること を含み、 該時間間隔に従って該サンプル混合物を形成する成分の定性及び定量の分析及び 検出を行うことを更に含む 請求の範囲第1項記載の方法。
  11. 11.成分の各々が異なった電気泳動移動度を有するような複数成分からなるサ ンプルの分子成分を分析するための方法であって、 分離段階が、キャピラリゾーン電気泳動により溶液を、相対電気泳動移動度に従 って長手方向に分離される成分の溶出液に分離することによってなされ、溶出液 のエレクトロスプレー過程が、分子成分が時間的分布を有するような帯電したス プレーを形成し、スプレー中の時間的分布に従って分離された成分を検出或いは 収集することを更に含む、 請求の範囲第1項記載の方法。
  12. 12.完全な電気回路を形成することを含み、キャピラリ出口で溶出液に直接接 触する導体を含み、電気泳動的にサンプルを分離して被分離溶出液をエレクトロ スプレーに供するために、サンプル源と検出器或いは収集器との両方に対して該 導体をバイアスにする請求の範囲第1項記載の方法。
  13. 13.電気泳動的に分離され、エレクトロスプレーに供せられた溶液から溶媒を 取り去るために帯電したスプレーを脱溶媒和することを含む請求の範囲第1項記 載の方法。
  14. 14.電気泳動的に分離されたイオンのガススプレーを生じさせるために全ての 溶媒を取り去ることを含む請求の範囲第13項記載の方法。
  15. 15.検出及び分析が質量分光分析を含む請求の範囲第14項記載の方法。
  16. 16.スプレーに供せられたイオンを軸方向流路へ拘束するための4重極イオン レンズを形成することを含む請求の範囲第15項記載の方法。
  17. 17.分離された検体が大気に近い圧力の中へ向かってエレクトロスプレーに供 せられる請求の範囲第1項記載の方法。
  18. 18.電気泳動分離が実質的に一定の圧力下で行われる請求の範囲第1項記載の 方法。
  19. 19.分析検出器が質量分析器であり、エレクトロスプレー段階が、イオン化さ れたスプレーが生じるに十分な電圧で検体溶出液を質量分析計に対してバイアス にすることと、質量分析を用いてイオン化されたスプレーをサンプリングするこ とを含む請求の範囲第1項記載の方法。
  20. 20.検体が大気に近い圧力の領域の中へ向かってエレクトロスプレーに供せら れる請求の範囲第19項記載の方法。
  21. 21.イオン化されたスプレーのサンプリングの後、分析に先立つ段階において 圧力が下げられることを含む請求の範囲第20項記載の方法。
  22. 22.イオン化されたスプレーを脱溶媒和してサンプリングの為の気体相イオン スプレーを形成することを含む請求の範囲第19項記載の方法。
  23. 23.気体相イオンスプレーのサンプリングされる部分を質量分析計の入口に集 束させることを含む請求の範囲第22項記載の方法。
  24. 24.鞘電極液源を供給することと、被分離検体溶出液及び隣接した流れにおけ る鞘電極液を帯電させることとを含み、 エレクトロスプレー段階が、被分離検体溶出液及び鞘電極液を−緒にエレクトロ スプレーに供して電気的に帯電したスプレーを形成することを含む請求の範囲第 1項記載の方法。
  25. 25.鞘電極液が被分離検体溶出液の流れを取囲む鞘流れに放出される請求の範 囲第24項記載の方法。
  26. 26.電気的に非導電性のキャピラリ中のサンプル溶液の該電気泳動分離を行う ことと、 鞘電極液に電気的に接触するための導電性手段を供給することと、 サンプル溶液を電気泳動的に分離して被分離検体溶出液と鞘電極液をエレクトロ スプレーに供するための高電圧回路に該導電性手段をつなげることとを含む請求 の範囲第25項記載の方法。
  27. 27.キャピラリ中のサンプル溶液の該電気泳動的分離を行うことと、 キャピラリの中央出口開口部から被分離検体溶出液を放出することと、 キャピラリの出口付近の環状の鞘流れに鞘電極液を独立して放出することとを含 む請求の範囲第24項記載の方法。
  28. 28.サンプル溶液源と鞘電極液へとの間のサンプル溶液に高電圧電位差を供給 して該電気泳動的分離を行うことを含む請求の範囲第27項記載の方法。
  29. 29.被分離検体溶出液を鞘電極液と共にエレクトロスプレーに供するために、 キャピラリ出口開口部に軸方向に近接して位置する検出器或いは収集器と鞘電極 液との間に電圧電位差を供給することを含む請求の範囲第27項記載の方法。
  30. 30.一緒になった検体溶出液流と鞘電極液がエレクトロスプレーに供せられる ように、鞘電極液の流速及び組成の一方を調整することを含む請求の範囲第24 項記載の方法。
  31. 31.鞘電極液が10−3モル以下のイオン強度と1〜50マイクロリットル/ 分の範囲の流速を有する請求の範囲第24項記載の方法。
  32. 32.電気泳動的分離とエレクトロスプレー段階を独立に制御することを含む請 求の範囲第24項記載の方法。
  33. 33.分析検出器による分析の為の検体組成物の高分解能分離を行うためのシス テムにおいて、検体サンプル溶液源と、 該検体サンプル溶液を電気泳動的に分離して高分解度の検体溶出液を形成するた めの手段と、該被分離検体溶出液を検体分離について実質的な歪みなしにエレク トロスプレーするための手段とを具備するシステム。
  34. 34.該エレクトロスプレーに先立って直に該被分離検体溶出液に電気的電位差 を直接与えるための手段を含む請求の範囲第33項記載のシステム。
  35. 35.該電気泳動分離を行うための電気的に非導電性のキャピラリと、該被分離 検体溶出液と電気的接触を形成するために該キャピラリの出口端部に配置される 電気的接触手段とを含む請求の範囲第33項記載のシステム。
  36. 36.電気泳動的に分離するために該検体溶出液を通して第1高電圧回路を形成 するための、該電気的接触手段につなげられる第1高電圧供給部を更に含む請求 の範囲第35項記載のシステム。
  37. 37.溶出液をエレクトロスプレーに供するために、該出口端部に近接して位置 させられる検出器或いは収集器と検体溶出液との間に第2電圧電位差を形成する ための、該電気的接触手段につなげられる第2高電圧供給部を更に含む請求の範 囲第35項記載のシステム。
  38. 38.該電気泳動分離を行うための電気的に非導電性のキャピラリを含み、該キ ャピラリが、電気泳動的に該検体サンプル溶液を分離するための電極と該被分離 検体溶出液をエレクトロスプレーに供するためのエレクトロスプレー源との両方 を示す導電性手段を備える出口部分を含む、請求の範囲第33項記載のシステム 。
  39. 39.該出口部分が、それにつなげられる導電性端部で、且つ該溶出検体に電気 的に接触するためにキャピラリの出口付近に同心状に位置させられるものを含ん でいる請求の範囲第38項記載のシステム。
  40. 40.該導電性端部分が、軸方向の端部分を含むキャピラリの端部分に配置され る導電性金属被覆を備える請求の範囲第38項記載のシステム。
  41. 41.検体の電気浸透流が乱流の導入が最小限の状態で供給されるために、該電 気泳動的分離手段と該導電性手段とが、実質的な無効体積が最少量であるような 連続流表面を示すように配列される請求の範囲第38項記載のシステム。
  42. 42.検体溶液のスプレーの成分を検出するための検出器手段と、 検体サンプルを電気泳動的に分離するための電極と源の間に第1高電圧電位差を 供給するための該導電性手段につなげられる第1電圧供給手段と、エレクトロス プレー針と検出器手段との間に第2電圧電位差を供給するための該導電性手段に つなげられる第2電圧供給手段 とを含む請求の範囲第38項記載のシステム。
  43. 43.検出器手段が質量分析計である請求の範囲第38項記載のシステム。
  44. 44.質量分析計が、検体溶出液がエレクトロスプレーに供せられて通る空間間 隔だけキャピラリの出口部分から離れて位置する請求の範囲第43項記載のシス テム。
  45. 45.空間間隔が大気に近い圧力の領域を画成し、質量分析計が差圧的に排気さ れる入力室を含む請求の範囲第44項記載のシステム。
  46. 46.質量分析計によるサンプリングの為に気体相イオンスプレーを生じさせる ための、エレクトロスプレーを脱溶媒和する手段を含む請求の範囲第44項記載 のシステム。
  47. 47.気体相イオンスプレーのサンプリングされる部分を質量分析計に集束させ るためのイオンレンズを規定するための手段を含む請求の範囲第46項記載のシ ステム。
  48. 48.鞘電極液源と、 被分離検体溶出液と鞘電極液とを近接した流れの中に放出するための手段と、 該鞘電極液と被分離検体溶出液を−緒にエレクトロスプレーするための手段 とを含む請求の範囲第33項記載のシステム。
  49. 49.該鞘電極液へ、及びそれによってエレクトロスプレーのすぐ先の被検体溶 出液へ、電気的な電位差を直接与えるための手段を含む請求の範囲第48項記載 のシステム。
  50. 50.該電気泳動的分離を行うための電気的に非導電性のキャピラリと、放出さ れる検体溶出液の周りの環状の鞘流に鞘電極液を放出するための該キャピラリの 出口端部付近に配置される手段とを含む請求の範囲第48項記載のシステム。
  51. 51.該鞘電極液とそれによる被分離検体溶出液とに電気的接触を形成する手段 と、電気泳動的に分離するために該検体溶出液を通して第1高電圧回路を形成す るための、該電気的接触手段につながれる第1高電圧供給部とを更に含む請求の 範囲第50項記載のシステム。
  52. 52.該鞘電極液とそれによる被分離検体溶出液とに電気的接触を形成する手段 と、溶出液をエレクトロスプレーに供するためのキャピラリの該出口端部に近接 して位置される検出器或いは収集器と検体溶出液との間の第2電圧電位差を形成 するための、該電気的接触手段につながれる第2電圧供給部とを更に含む請求の 範囲第50項記載のシステム。
  53. 53.該電気泳動的分離を行うための電気的に非導電性のキャピラリであり出口 部分を含むキャピラリと、出口部分を囲む通路を供給するために該出口端部を囲 みそこから外方へ向かって位置する導電性の菅と、鞘電極液を通路へ導くための 手段とを含み、上記管とキャビラリが放出された検体溶出液の周りの鞘電極液の 鞘流れを放出するために位置させられる軸方向に近接した出口を有する請求の範 囲第48項記載のシステム。
  54. 54.キャピラリ出口部分が導電性の管の出口から突き出る請求の範囲第53項 記載のシステム。
  55. 55.該溶出検体と電気的に接触するための導電性の管に電圧電位差を結合させ るための手段を含む請求の範囲第53項記載のシステム。
  56. 56.導電性の管との電気的接触を作るための導電性手段と、 検体溶液のスプレーの成分を検出するための検出器手段と、 電気泳動的に検体サンプルを分離するためにキャピラリ出口で鞘電極液とサンプ ル液源との間に第1高電圧電位差を供給するための該導電性手段につなげられる 第1電圧供給手段と、 キャピラリ出口の鞘電極液と検出器手段との間に第2電圧電位差を供給するため の、該導電性手段につながれる第2電圧供給手段 とを含む請求の範囲第53項記載のシステム。
  57. 57.鞘電極液の流れを導入する手段が、その向い合った脚部を通過するキャピ ラリであって且つ管とキャピラリの出口を関連させて位置させるための管から独 立して軸方向に移動可能なものであるキャピラリを有するティを含む請求の範囲 第53項記載のシステム。
  58. 58.キャピラリの流れと独立に鞘電極液の流れを調整するための手段を含む請 求の範囲第48項記載のシステム。
  59. 59.検体溶出液と鞘電極液とが結合された流れを囲んでいる鞘気体流を導入す るための手段を含む請求の範囲第48項記載のシステム。
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