JPH0249374B2 - - Google Patents
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- JPH0249374B2 JPH0249374B2 JP61014834A JP1483486A JPH0249374B2 JP H0249374 B2 JPH0249374 B2 JP H0249374B2 JP 61014834 A JP61014834 A JP 61014834A JP 1483486 A JP1483486 A JP 1483486A JP H0249374 B2 JPH0249374 B2 JP H0249374B2
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Landscapes
- Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、シヤドウマスク用Cr含有Fe―Ni系
合金のプレス成形性改善方法に関し、とくに圧下
率の如何によつて変動する硬さを焼鈍との関係で
望ましいレベルに調整することによつて、プレス
成形性に優れるシヤドウマスク用材料を製造する
ようにした方法を提案する。 一般に、Ni30〜45%を含むFe―Ni系合金は、
室温から300℃の温度域では熱膨張係数が著しく
小さいため、従来、各種電子管用材料として用い
られ、特にシヤドウマスク,マスクフレームおよ
びマスクホルダー等の機能材料として用途があ
る。 〔従来の技術〕 さて、カラー受像管シヤドウマスクというの
は、温度上昇に伴なう加熱膨張に問題があつた。
よく知られているように、シヤドウマスクの開口
部を通過する電子ビームは、螢光面で発光する
が、開口部を通過しない電子ビームはシヤドウマ
スクに照射されることになる。その結果、このシ
ヤドウマスクは加熱されて熱膨張する。このこと
は、前記電子ビームが決められた蛍光面に当たら
なくなる、いわゆるドーミング現象を発生させる
ことになる。このことから、従来、このドーング
現象をなくすことを目的とし、熱膨張の小さいア
ンバー合金をシヤドウマスク材料として採用する
ことが検討されてきた。 しかし、従来のアンバー合金そのままのシヤド
ウマスク材料は、一般の軟鋼に比べて0.2%耐力
が高いので、シヤドウマスクのような高精度に加
工することが必要なときはその加工が困難であ
り、実用化に達していないのが実情である。 また、この種の材料としては、特開昭59−
59861号に開示されているような、電子管の内部
で用いられる管内部品材料も知られている。この
材料は、Ni25〜50%,強度改善成分25%以下,
残部が実質的にFeからなる材料にて形成した材
料であつて、特にNi25〜50%,Cr25%以下,残
部FeからなるCr含有Fe―Ni系合金である。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明者らは、前記既知材料について研究する
うち、とくに特開昭59−59861号公報に記載の合
金については、Crを含有しているために、同公
報の第(3)頁右欄の第1表から判るように、試料番
号6のアンバー合金(硬度Hvは130)に比べる
と、 試料番号4や試料番号5のCrを1%または3
%含有するFe―Ni系合金(硬度Hvはそれぞれ
140,145)は硬さが高くなることが知られてい
た。すなわち、「…表より明らかなように、クロ
ムを添加したものは機械的強度(硬度)が著しく
改善され、熱膨張係数はそれ程大きくはならな
い。」 と記載されているとおりである。 以上説明したように、従来のアンバー合金、と
くにCrを1〜3%添加したアンバー合金は、Cr
を含有しないものに比べると、硬度Hvは1割程
度上昇することから、シヤドウマスクに加工する
際、プレス成形性が劣化するという問題点があつ
た。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は、前記従来の技術に見られる欠点ある
いは問題点を除去・改善できるシヤドウマスク用
Fe―Ni系合金を提供するのに適したプレス成形
性改善技術の開発を目的とするものである。すな
わち本発明は、 C:0.02%以下,Si:0.2%以下,Mn:0.5%以
下,Ni:30〜45%,Cr:1.5〜6%を含有し、残
部実質的にFeよりなるFe―Ni系合金を1回冷間
圧延してから焼鈍するとき、その圧下率は40〜85
%の範囲内で行い、かつその後に行う焼鈍は800
〜1150℃の温度範囲内で行うことを特徴とするシ
ヤドウマスク用Cr含有Fe―Ni系合金のプレス成
形性改善方法、 および前記Fe―Ni系合金として、さらにNb,
Ta,Ti,Zr,VおよびAlのうちから選ばれる何
れか一種または2種以上を単独または合計で
0.005〜0.4%含有した合金を出発材料とすること
を特徴とする方法を提案する。 〔作用〕 本発明改善方法の対象となるFe―Ni系合金の
成分組成は、前記特開昭59−59861号公報記載の
管内部品(以下「先行例」と称す)のそれと一部
で重複する組成のものである。しかし、本発明の
プレス成形性改善技術とは、以下のように大きな
違いがある。 すなわち、先行例の下ではFe―Ni系合金(ア
ンバー合金)は、Crを添加すると、高い圧下率
をかけた場合には硬さが増加し、それ故にプレス
成形性が悪くなることが指摘されている。 ところが、本発明者らの研究によると、アンバ
ー合金にCrを添加した場合でも、一定の圧下率
で冷間圧延ならびに前記圧延後一定の温度での焼
鈍を施すと、驚くべきことに、Cr添加に伴なう
硬さの上昇は避けられ、却つて低下する傾向が見
られ、従つて、プレス成形性が著しく良くなるこ
とを新規に知見したのである。 次に、この知見について、実験データに基づい
て説明する。 本発明者らは、まず通常のアンバー合金と本発
明適用の下の対象となつているFe―Ni系合金に
ついて、熱間圧延と焼鈍を施した後に冷間圧延を
施したケースにおいて、その冷間圧延時の圧下率
が硬さに与える影響を調べた。その結果を第1図
に示す。この図から判るように、Cr含有Fe―Ni
系合金(以下「本発明材料」という)は、冷間圧
下率が25%までは通常のアンバー合金(以下「比
較材料」という)より硬さは低いが、25%を超え
ると逆に比較材料のそれよりも著しく高くなるこ
とが判つた。 次に、これらの材料に対し、焼鈍を施したとき
の焼鈍温度が硬さに及ぼす影響を調べた。この結
果、第2図および第3図に示すように、冷間圧下
率が25%以下の場合には600〜1200℃の焼鈍を施
しても本発明材料の硬さは比較材料のそれよりも
低いことがわかつた。 このことから、Crを含む合金では、通常の冷
間圧延,すなわち25%以上の圧下率で圧延を行う
と、硬さが上昇してプレス成形性が阻害されるこ
とが判つた。 ところが、冷間圧下率が25%を超える場合に
は、600〜800℃の焼鈍温度で焼鈍した本発明材料
は、その硬さは比較材料のそれよりも高いが、
800℃を超えると、第4図に示すように本発明材
料の硬さは比較材料のそれよりも逆に低くなるこ
とが判つた。 このような実験結果より、本発明材料が比較材
料よりも硬さが高くなるという現象は、冷間圧下
率が25%以上であり、かつ焼鈍温度が800℃以下
のときに見られる現象である。 ところが、上述のような構成の本発明材料にあ
つても、焼鈍温度が800℃を超える場合には比較
材料よりも硬さが低く、前記従来技術の下で知ら
れていた上述の現象とは驚くべきことに全く逆の
現象が生ずることを見出した。 従つて、本発明材料を25%以上の圧下をかける
ときには、800℃を超える温度での焼鈍を施せば、
通常組成(Crを含まない合金)の合金に比べ、
硬さが低く、従つて、プレス成形性が極めて優れ
たものとなることが判つた。 しかし、冷間圧下率は25%以上であればそれだ
けでよいかと言うと、そうではなく、冷間圧延時
の圧下率は40%以上でなければならない。それ
は、これ以上に小さい圧下では再結晶するまでに
は至らず、従つて、異方性が残り、プレス成形後
の肌荒れが生じて外観不良となるため、冷間圧下
率は40%以上とする。 次に、本発明の適用対象合金の成分組成を限定
する理由を説明する。 C:Cは熱膨張係数を増加させ、また0.2%耐力
を増加させる元素であり、なるべく少ないこと
が望ましく、Cは0.02%以下にする必要があ
る。 Si:SiはCと同様に熱膨張係数を増加させ、また
0.2%耐力を増加させる元素であり、なるべく
少ないことが望ましく、Siは0.2%以下にする
必要がある。 Mn:MnはC,Siと同様に熱膨張係数を増加さ
せ、0.2%耐力を増加させる元素であり、なる
べく少ないことが望ましく、Mnは0.2%以下に
する必要がある。 Ni:Niは熱膨張係数を支配する基本的成分元素
であり、100℃以下の低温側においてはNi36%
付近で、またより高温側においてはNi42%付
近で最も小さい熱膨張係数を示す。30%未満に
おいてはマルテンサイトが生成し熱膨張係数が
大きくなり、一方45%を超えるとまた熱膨張係
数が大きくなるので、Niは30〜45%の範囲内
にする必要がある。 Cr:Crは0.2%耐力を著しく低下させ、プレス成
形性を向上させ、一方では熱膨張係数を増加さ
せる元素である。しかし1.5%未満では0.2%耐
力の低下が十分でなく、一方6%を超えると熱
膨張係数が大きくなりすぎて、例えばシヤドウ
マスク材料として使用する場合には電子ビーム
が蛍光面に当たらなくなるという障害が生じる
ので、Crは1.5〜6%にする必要がある。 Nb,Ta,Ti,Zr,V,Al:Nb,Ta,Ti,Zr,
V,AlはそれぞれCおよびNと結合して炭化
物,窒化物を生成し、結晶粒度の微細化に寄与
する元素である。Nb,Ta,Ti,Zr,V,Al
のなかから選ばれる何れか1種または2種以上
が単独または合計量で0.005%未満では上記寄
与効果を十分に得ることができず、一方0.4%
より多いとそれら元素の固溶量が多くなり、
0.2%耐力の増加をひきおこし、プレス成形性
が低下する。このため上記Nb,Ta,Ti,Zr,
V,Alは0.005〜0.4%の範囲内にする必要があ
る。 次に冷間圧下率と焼鈍温度とを限定する理由に
ついて述べる。 冷間圧下率:本発明では、冷間圧下率が40%より
少ないと、冷間圧延後に施される焼鈍によつて
も再結晶することがなくなり、健全な組識が得
られないため、プレス成形性が却つて不良とな
る。このため冷間圧下率は40%以上とする必要
がある。しかし、第1図から判るように、冷間
圧下率が85%より高くなつても硬さは高くなら
ない。また、冷間圧下率85%以上の材料に、
800℃以上の焼鈍を施しても、プレス成形性は
変わらない。むしろ冷間圧下率を高くするだけ
コスト高となる。 焼鈍温度:冷間圧下率40%〜85%を施した本発明
材料を800℃より低い温度で焼鈍した場合には、
比較材料の硬さより高い硬さとなるため(第4
図)、良好なプレス成形性を得ることができず、
一方1150℃より高い温度で焼鈍すると結晶粒が
粗大化するためプレス後の肌荒れを生じ、外観
不良となるので、焼鈍温度は800〜1150℃の範
囲内にする必要がある。 〔実施例〕 次に本発明材料の実施例について説明する。 本発明適用対象となる合金を得るため、まず製
造用諸原料を大気下で電気炉溶解した後、AOD
法(アルゴン―酸素吹き脱炭法)またはVOD法
(真空―酸素吹き脱炭法)により精錬した後、大
気中または真空中で造塊した。次いで、熱間圧
延,冷間圧圧延,焼鈍,酸洗工程を経て最終製品
とした。なお、前記焼鈍は空気中および/または
非酸化性雰囲気中で施す。 下記の表に示す成分組成を有する本発明適用材
料ならびに比較材料であつて、熱間圧延後圧下率
80%で冷間圧延を施した後、950℃で焼鈍を施し
た材料について0.2%耐力,硬さHv,熱膨張係数
を調べた結果を同表に併記する。
合金のプレス成形性改善方法に関し、とくに圧下
率の如何によつて変動する硬さを焼鈍との関係で
望ましいレベルに調整することによつて、プレス
成形性に優れるシヤドウマスク用材料を製造する
ようにした方法を提案する。 一般に、Ni30〜45%を含むFe―Ni系合金は、
室温から300℃の温度域では熱膨張係数が著しく
小さいため、従来、各種電子管用材料として用い
られ、特にシヤドウマスク,マスクフレームおよ
びマスクホルダー等の機能材料として用途があ
る。 〔従来の技術〕 さて、カラー受像管シヤドウマスクというの
は、温度上昇に伴なう加熱膨張に問題があつた。
よく知られているように、シヤドウマスクの開口
部を通過する電子ビームは、螢光面で発光する
が、開口部を通過しない電子ビームはシヤドウマ
スクに照射されることになる。その結果、このシ
ヤドウマスクは加熱されて熱膨張する。このこと
は、前記電子ビームが決められた蛍光面に当たら
なくなる、いわゆるドーミング現象を発生させる
ことになる。このことから、従来、このドーング
現象をなくすことを目的とし、熱膨張の小さいア
ンバー合金をシヤドウマスク材料として採用する
ことが検討されてきた。 しかし、従来のアンバー合金そのままのシヤド
ウマスク材料は、一般の軟鋼に比べて0.2%耐力
が高いので、シヤドウマスクのような高精度に加
工することが必要なときはその加工が困難であ
り、実用化に達していないのが実情である。 また、この種の材料としては、特開昭59−
59861号に開示されているような、電子管の内部
で用いられる管内部品材料も知られている。この
材料は、Ni25〜50%,強度改善成分25%以下,
残部が実質的にFeからなる材料にて形成した材
料であつて、特にNi25〜50%,Cr25%以下,残
部FeからなるCr含有Fe―Ni系合金である。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明者らは、前記既知材料について研究する
うち、とくに特開昭59−59861号公報に記載の合
金については、Crを含有しているために、同公
報の第(3)頁右欄の第1表から判るように、試料番
号6のアンバー合金(硬度Hvは130)に比べる
と、 試料番号4や試料番号5のCrを1%または3
%含有するFe―Ni系合金(硬度Hvはそれぞれ
140,145)は硬さが高くなることが知られてい
た。すなわち、「…表より明らかなように、クロ
ムを添加したものは機械的強度(硬度)が著しく
改善され、熱膨張係数はそれ程大きくはならな
い。」 と記載されているとおりである。 以上説明したように、従来のアンバー合金、と
くにCrを1〜3%添加したアンバー合金は、Cr
を含有しないものに比べると、硬度Hvは1割程
度上昇することから、シヤドウマスクに加工する
際、プレス成形性が劣化するという問題点があつ
た。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は、前記従来の技術に見られる欠点ある
いは問題点を除去・改善できるシヤドウマスク用
Fe―Ni系合金を提供するのに適したプレス成形
性改善技術の開発を目的とするものである。すな
わち本発明は、 C:0.02%以下,Si:0.2%以下,Mn:0.5%以
下,Ni:30〜45%,Cr:1.5〜6%を含有し、残
部実質的にFeよりなるFe―Ni系合金を1回冷間
圧延してから焼鈍するとき、その圧下率は40〜85
%の範囲内で行い、かつその後に行う焼鈍は800
〜1150℃の温度範囲内で行うことを特徴とするシ
ヤドウマスク用Cr含有Fe―Ni系合金のプレス成
形性改善方法、 および前記Fe―Ni系合金として、さらにNb,
Ta,Ti,Zr,VおよびAlのうちから選ばれる何
れか一種または2種以上を単独または合計で
0.005〜0.4%含有した合金を出発材料とすること
を特徴とする方法を提案する。 〔作用〕 本発明改善方法の対象となるFe―Ni系合金の
成分組成は、前記特開昭59−59861号公報記載の
管内部品(以下「先行例」と称す)のそれと一部
で重複する組成のものである。しかし、本発明の
プレス成形性改善技術とは、以下のように大きな
違いがある。 すなわち、先行例の下ではFe―Ni系合金(ア
ンバー合金)は、Crを添加すると、高い圧下率
をかけた場合には硬さが増加し、それ故にプレス
成形性が悪くなることが指摘されている。 ところが、本発明者らの研究によると、アンバ
ー合金にCrを添加した場合でも、一定の圧下率
で冷間圧延ならびに前記圧延後一定の温度での焼
鈍を施すと、驚くべきことに、Cr添加に伴なう
硬さの上昇は避けられ、却つて低下する傾向が見
られ、従つて、プレス成形性が著しく良くなるこ
とを新規に知見したのである。 次に、この知見について、実験データに基づい
て説明する。 本発明者らは、まず通常のアンバー合金と本発
明適用の下の対象となつているFe―Ni系合金に
ついて、熱間圧延と焼鈍を施した後に冷間圧延を
施したケースにおいて、その冷間圧延時の圧下率
が硬さに与える影響を調べた。その結果を第1図
に示す。この図から判るように、Cr含有Fe―Ni
系合金(以下「本発明材料」という)は、冷間圧
下率が25%までは通常のアンバー合金(以下「比
較材料」という)より硬さは低いが、25%を超え
ると逆に比較材料のそれよりも著しく高くなるこ
とが判つた。 次に、これらの材料に対し、焼鈍を施したとき
の焼鈍温度が硬さに及ぼす影響を調べた。この結
果、第2図および第3図に示すように、冷間圧下
率が25%以下の場合には600〜1200℃の焼鈍を施
しても本発明材料の硬さは比較材料のそれよりも
低いことがわかつた。 このことから、Crを含む合金では、通常の冷
間圧延,すなわち25%以上の圧下率で圧延を行う
と、硬さが上昇してプレス成形性が阻害されるこ
とが判つた。 ところが、冷間圧下率が25%を超える場合に
は、600〜800℃の焼鈍温度で焼鈍した本発明材料
は、その硬さは比較材料のそれよりも高いが、
800℃を超えると、第4図に示すように本発明材
料の硬さは比較材料のそれよりも逆に低くなるこ
とが判つた。 このような実験結果より、本発明材料が比較材
料よりも硬さが高くなるという現象は、冷間圧下
率が25%以上であり、かつ焼鈍温度が800℃以下
のときに見られる現象である。 ところが、上述のような構成の本発明材料にあ
つても、焼鈍温度が800℃を超える場合には比較
材料よりも硬さが低く、前記従来技術の下で知ら
れていた上述の現象とは驚くべきことに全く逆の
現象が生ずることを見出した。 従つて、本発明材料を25%以上の圧下をかける
ときには、800℃を超える温度での焼鈍を施せば、
通常組成(Crを含まない合金)の合金に比べ、
硬さが低く、従つて、プレス成形性が極めて優れ
たものとなることが判つた。 しかし、冷間圧下率は25%以上であればそれだ
けでよいかと言うと、そうではなく、冷間圧延時
の圧下率は40%以上でなければならない。それ
は、これ以上に小さい圧下では再結晶するまでに
は至らず、従つて、異方性が残り、プレス成形後
の肌荒れが生じて外観不良となるため、冷間圧下
率は40%以上とする。 次に、本発明の適用対象合金の成分組成を限定
する理由を説明する。 C:Cは熱膨張係数を増加させ、また0.2%耐力
を増加させる元素であり、なるべく少ないこと
が望ましく、Cは0.02%以下にする必要があ
る。 Si:SiはCと同様に熱膨張係数を増加させ、また
0.2%耐力を増加させる元素であり、なるべく
少ないことが望ましく、Siは0.2%以下にする
必要がある。 Mn:MnはC,Siと同様に熱膨張係数を増加さ
せ、0.2%耐力を増加させる元素であり、なる
べく少ないことが望ましく、Mnは0.2%以下に
する必要がある。 Ni:Niは熱膨張係数を支配する基本的成分元素
であり、100℃以下の低温側においてはNi36%
付近で、またより高温側においてはNi42%付
近で最も小さい熱膨張係数を示す。30%未満に
おいてはマルテンサイトが生成し熱膨張係数が
大きくなり、一方45%を超えるとまた熱膨張係
数が大きくなるので、Niは30〜45%の範囲内
にする必要がある。 Cr:Crは0.2%耐力を著しく低下させ、プレス成
形性を向上させ、一方では熱膨張係数を増加さ
せる元素である。しかし1.5%未満では0.2%耐
力の低下が十分でなく、一方6%を超えると熱
膨張係数が大きくなりすぎて、例えばシヤドウ
マスク材料として使用する場合には電子ビーム
が蛍光面に当たらなくなるという障害が生じる
ので、Crは1.5〜6%にする必要がある。 Nb,Ta,Ti,Zr,V,Al:Nb,Ta,Ti,Zr,
V,AlはそれぞれCおよびNと結合して炭化
物,窒化物を生成し、結晶粒度の微細化に寄与
する元素である。Nb,Ta,Ti,Zr,V,Al
のなかから選ばれる何れか1種または2種以上
が単独または合計量で0.005%未満では上記寄
与効果を十分に得ることができず、一方0.4%
より多いとそれら元素の固溶量が多くなり、
0.2%耐力の増加をひきおこし、プレス成形性
が低下する。このため上記Nb,Ta,Ti,Zr,
V,Alは0.005〜0.4%の範囲内にする必要があ
る。 次に冷間圧下率と焼鈍温度とを限定する理由に
ついて述べる。 冷間圧下率:本発明では、冷間圧下率が40%より
少ないと、冷間圧延後に施される焼鈍によつて
も再結晶することがなくなり、健全な組識が得
られないため、プレス成形性が却つて不良とな
る。このため冷間圧下率は40%以上とする必要
がある。しかし、第1図から判るように、冷間
圧下率が85%より高くなつても硬さは高くなら
ない。また、冷間圧下率85%以上の材料に、
800℃以上の焼鈍を施しても、プレス成形性は
変わらない。むしろ冷間圧下率を高くするだけ
コスト高となる。 焼鈍温度:冷間圧下率40%〜85%を施した本発明
材料を800℃より低い温度で焼鈍した場合には、
比較材料の硬さより高い硬さとなるため(第4
図)、良好なプレス成形性を得ることができず、
一方1150℃より高い温度で焼鈍すると結晶粒が
粗大化するためプレス後の肌荒れを生じ、外観
不良となるので、焼鈍温度は800〜1150℃の範
囲内にする必要がある。 〔実施例〕 次に本発明材料の実施例について説明する。 本発明適用対象となる合金を得るため、まず製
造用諸原料を大気下で電気炉溶解した後、AOD
法(アルゴン―酸素吹き脱炭法)またはVOD法
(真空―酸素吹き脱炭法)により精錬した後、大
気中または真空中で造塊した。次いで、熱間圧
延,冷間圧圧延,焼鈍,酸洗工程を経て最終製品
とした。なお、前記焼鈍は空気中および/または
非酸化性雰囲気中で施す。 下記の表に示す成分組成を有する本発明適用材
料ならびに比較材料であつて、熱間圧延後圧下率
80%で冷間圧延を施した後、950℃で焼鈍を施し
た材料について0.2%耐力,硬さHv,熱膨張係数
を調べた結果を同表に併記する。
以上述べたように、本発明プレス成形性改善方
法によれば、先行例に記載の合金に特定の冷間圧
延ならびに焼鈍を施すことにより、上記合金の有
する問題点を除去,改善した材料が得られ、シヤ
ドウマスク用Fe―Ni系合金の品質向上に大きく
寄与することができる。
法によれば、先行例に記載の合金に特定の冷間圧
延ならびに焼鈍を施すことにより、上記合金の有
する問題点を除去,改善した材料が得られ、シヤ
ドウマスク用Fe―Ni系合金の品質向上に大きく
寄与することができる。
第1図は、本発明材料と比較材料の成分組成な
らびにそれらの材料についての冷間圧下率が硬さ
に及ぼす影響を示す図、第2図は、圧下率10%の
冷間圧延をそれぞれ施した上記2種の材料につい
て焼鈍温度が硬さに及ぼす影響を示す図、第3図
は、圧下率25%の冷間圧延をそれぞれ施した上記
2種の材料について焼鈍温度が硬さに及ぼす影響
を示す図、第4図は、圧下率85%の冷間圧延をそ
れぞれ施した上記2種の材料について焼鈍温度が
硬さに及ぼす影響を示す図である。
らびにそれらの材料についての冷間圧下率が硬さ
に及ぼす影響を示す図、第2図は、圧下率10%の
冷間圧延をそれぞれ施した上記2種の材料につい
て焼鈍温度が硬さに及ぼす影響を示す図、第3図
は、圧下率25%の冷間圧延をそれぞれ施した上記
2種の材料について焼鈍温度が硬さに及ぼす影響
を示す図、第4図は、圧下率85%の冷間圧延をそ
れぞれ施した上記2種の材料について焼鈍温度が
硬さに及ぼす影響を示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.02%以下, Si:0.2%以下, Mn:0.5%以下, Ni:30〜45%, Cr:1.5〜6%を含有し、残部実質的にFeより
なるFe―Ni系合金を1回冷間圧延してから焼鈍
するとき、その圧下率は40〜85%の範囲内で行
い、かつその後に行う焼鈍は800〜1150℃の温度
範囲内で行うことを特徴とするシヤドウマスク用
Cr含有Fe―Ni系合金のプレス成形性改善方法。 2 C:0.02%以下, Si:0.2%以下, Mn:0.5%以下, Ni:30〜45%, Cr:1.5〜6%を含有し、さらにNb,Ta,Ti,
Zr,VおよびAlのうちから選ばれる何れか一種
または2種以上を単独または合計で0.005〜0.4%
含有し、残部実質的にFeよりなるFe―Ni系合金
を1回冷間圧延して焼鈍するとき、その圧下率は
40〜85%の範囲内で行い、かつその後に行う焼鈍
は800〜1150℃の温度範囲内で行うことを特徴と
するシヤドウマスク用Cr含有Fe―Ni系合金のプ
レス成形性改善方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1483486A JPS62174351A (ja) | 1986-01-28 | 1986-01-28 | シャドウマスク用Cr含有Fe―Ni系合金のプレス成形性改善方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1483486A JPS62174351A (ja) | 1986-01-28 | 1986-01-28 | シャドウマスク用Cr含有Fe―Ni系合金のプレス成形性改善方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62174351A JPS62174351A (ja) | 1987-07-31 |
JPH0249374B2 true JPH0249374B2 (ja) | 1990-10-30 |
Family
ID=11872058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1483486A Granted JPS62174351A (ja) | 1986-01-28 | 1986-01-28 | シャドウマスク用Cr含有Fe―Ni系合金のプレス成形性改善方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62174351A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02125580U (ja) * | 1989-03-28 | 1990-10-16 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5959861A (ja) * | 1982-09-29 | 1984-04-05 | Toshiba Corp | 管内部品 |
JPS60251227A (ja) * | 1984-05-29 | 1985-12-11 | Nippon Steel Corp | 低熱膨張Fe−Ni系鋼板の製造方法 |
JPS62120432A (ja) * | 1985-11-19 | 1987-06-01 | Nippon Mining Co Ltd | シヤドウマスクの製造方法 |
-
1986
- 1986-01-28 JP JP1483486A patent/JPS62174351A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5959861A (ja) * | 1982-09-29 | 1984-04-05 | Toshiba Corp | 管内部品 |
JPS60251227A (ja) * | 1984-05-29 | 1985-12-11 | Nippon Steel Corp | 低熱膨張Fe−Ni系鋼板の製造方法 |
JPS62120432A (ja) * | 1985-11-19 | 1987-06-01 | Nippon Mining Co Ltd | シヤドウマスクの製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02125580U (ja) * | 1989-03-28 | 1990-10-16 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62174351A (ja) | 1987-07-31 |
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