JPH0249276Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はクレーン等の建設機械等の過負荷防止
装置に初期設定した作業状態を画面に表示すると
共に、実荷重での限界作業半径を限界値として表
示するよにした建設機械等の作業表示板に関する
ものである。

〔従来技術〕 クレーン、ジブクレーン等ではブーム、ジブを
俯仰して荷を吊り上げ、下げしているが、ブー
ム、ジブの角度に対して負荷し得る荷の重量は一
定の制限を受け、この制限重量を越えると転倒す
る危険があるので、第１図に示すようにクレーン
等の作業半径と荷重との関係として定格総荷重カ
ーブを作成し、該定格総荷重カーブの範囲内で作
業するようにしている。

そのため、従来は設定器で、クローラ、アウト
リガ、タイヤ等の機種設定、主ブーム、ジブ、タ
ワー等の作業設定、ブーム長、ジブ長、ジブ角、
条数、主フツク等を選択し、ブームの上限角、下
限角の指定を行ない、クレーンに設けた荷重検出
器により実荷重を検出すると共にブーム角を検出
し、演算装置でこれら設定値及び実測値をもとに
定格総荷重カーブの範囲内であるか否か演算、判
定し、警報ブザー等により作業限界を運転者に知
らせるか又は作業を停止させるようになつてい
た。

しかし、従来は機種設定及び作業設定は表示手
段がなく、運転者が正しく設定したかどうかを容
易に確認する手段がなく、誤つた設定で作業を行
なう場合も起り得て安全対策上問題であつた。

又、機種設定及び作業設定を正しく行なつて
も、荷重、作業半径、ブーム角度の限界値及び実
際値が表示されないため、運転者は警報ブザーが
鳴るか、作業が停止するまでカンにより運転せざ
るを得ず、作業途中で警報ブザーが鳴るか又は作
業が停止し、あわててこれに対処する等作業能率
が悪かつた。

〔考案の目的〕

本考案は、運転者が機種設定及び作業設定した
作業モードを表示して設定の誤りを早期に知り得
るようにすること、及び、荷重、作業半径、ブー
ム角度等を機種設定及び作業設定に応じて夫々の
限界値を表示すると共にこれらの実際値を表示
し、限界値と実際値とのモーメント比を表示する
ようにして運転者が作業状態を容易に知り得るよ
うにして、作業の安全性及び能率を高めることを
目的とする。

〔考案の構成〕

本考案は、建設機械等に設けた荷重検出器及び
角度検出器により検出した荷重、作業半径、ブー
ム角度を表示する実際値デジタル表示部と、各実
際値と設定器に入力した各設定値とから演算装置
にて演算される限界値を表示する限界値デジタル
表示部と、限界値に対する前記実際値の割合をモ
ーメント比で表わすモーメント比表示部を備えた
建設機械等の作業表示板において、設定器に設定
した、建設機械等の本体部分、変化部分、作業対
象物等の各部分の使用態様を示す作業モードを、
前記各部分を表わす図形を使用態様に応じて組合
せて表示すると共に、各作業モードに共通の部分
及び各作業モードで変化する部分を互いに明瞭に
異なる色調で表示する作業モード表示画面を備え
たことにより、運転者が設定した作業モードを表
示して設定ミスを無くすと共に、作業状況を正確
に把握し得るようにして作業能率を高めた建設機
械等の作業表示板にかかるものである。

〔実施例〕

以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明す
る。

第２図は本考案の一実施例であり、クレーン等
の建設機械の設定器及び演算装置に接続した作業
表示板１である。該作業表示板１は作業モードを
図形で表示する作業モード表示画面２と、荷重、
作業半径及びブーム角度の限界値及び実際値をデ
ジタル表示するデジタル表示部３と、限界値及び
実際値の比をグラフ表示するモーメント比表示部
４とから構成してある。

該作業モード表示画面２は、例えばクローラク
レーンにより行ない得るすべての作業モードを第
３図イ，ロ，ハ，ニ，ホに示すようにクローラク
レーンイ、ジブ無主ブーム吊ロ、ジブ有主ブーム
吊ハ、ジブ吊ニ、タワーホを表示し得るようにし
てある。これらは、クローラクレーンに本考案の
作業表示板１を配備する場合は、黒地に白く本体
部分としてのクローラクレーン５を表示しておき
〔第３図イ〕、運転者が設定器でジブ無主ブーム吊
を設定すると同時に、変化部分としてのブーム６
及び作業対象物としての荷７が赤く浮き出るよう
にし〔第３図ロ〕、ジブ有主ブーム吊を設定する
と、ブーム６、変化部分としてのジブ８及び荷
７′が赤く浮き出〔第３図ハ〕、ジブ吊を設定する
とブーム６、ジブ８及び荷７′が赤く浮き出〔第
３図ニ〕、更にタワーを設定すると垂直なブーム
６′、ジブ８′及び荷７″が赤く浮き出るようにし
てある。

又、トラツククレーンに本考案の作業表示板１
を配備する場合は、第４図イ，ロ，ハ，ニ，ホに
示すように黒地に白くトラツククレーン９を表示
しておきイ、運転者がアウトリガージブ無主ブー
ム吊を設定器で設定すると同時にアウトリガー１
０、主ブーム１１及び荷１２が赤く浮き出るよう
にしロ、同様にアウトリガージブ吊を設定すると
アウトリガー１０、主ブーム１１、ジブ１３及び
荷１２′が赤く浮き出しハ、タイヤジブ無主ブー
ム吊を設定するとタイヤ１４、主ブーム１１及び
荷１２が赤く浮き出しニ、更にタワーを設定する
と垂直な主ブーム１１′、ジブ１３′及び荷１２″
が赤く浮き出るようにしてあるホ。

荷重、作業半径及びブーム角度の限界値及び実
際値をデジタル表示するデジタル表示部３は、限
界値及び実際値共に２桁及び小数点以下第１位ま
で表示し得るようにしてあり、運転者が設定器に
より選択したブーム長、ジブ長、ジブ角度、条
数、主フツク（ｔ用）等の数値と例えば第５図
イ，ロ，ハの如く設けた荷重検出器１５及び角度
検出器１６により検出又は演算された実測値とか
ら演算装置により設定した作業モードにおける定
格総荷重カーブと比較し、当該作業半径における
最大許容荷重を荷重限界値として表示し、当該実
荷重における最大許容半径及びブーム角度を夫々
作業半径限界値及びブーム角度限界値として表示
し得るようにしてある。又、前記荷重検出器１
５、角度検出器１６により検出した値及びこれら
の値から演算装置により演算して得られる荷重、
作業半径、ブーム角度を夫々実際値として表示し
得るようにしてある。ここで、荷重、作業半径、
ブーム角度の限界値及び実際値は荷重表示ボタン
１７、作業半径表示ボタン１８、ブーム角度表示
ボタン１９により夫々対となつて表示できるよう
にしてあり、通常は荷重の限界値及び実際値を表
示した状態としておき、作業半径表示ボタン１８
を押したときだけデジタル表示部３に作業半径の
限界値及び実際値が表示され、又ブーム角度表示
ボタン１９を押したときだけブーム角度の限界値
及び実際値が表示されるようにしてある。

更に、モーメント表示部４は荷重検出器１５及
び角度検出器１６で検出した実際値とこれらの実
際値から演算装置により演算して得られる限界値
とから、限界値に対する実際値の割合を棒状のグ
ラフで示すようにしたものであり、前記荷重表示
ボタン１７、作業半径表示ボタン１８、ブーム角
度表示ボタン１９のいづれかのボタンを押したと
きに押したボタンの表示値のモーメント比が表示
できるようにしてある。ここで、モーメント表示
部４は90％以下の領域を緑色として安全を表示
し、90〜100％の領域を黄色として要注意を表示
し、100％以上の領域を赤色として危険を表示し、
運転者の理解を容易にする。

図中、２０は荷重計の安全モニターランプ、２
１は角度計の安全モニターランプ、２３はコント
ローラの安全モニターランプを示す。

以上のように構成したので、運転者が例えばク
ローラクレーンの運転を行なう場合、運転開始の
際に設定器によりジブ有主ブーム吊を設定する
と、作業モード表示画面２に主ブーム６、ジブ８
及び荷７が赤く浮き出し、運転者がどのような作
業モードを設定したかを直ちに知ることができ、
実際の作業モードと設定した作業モードとを常に
対比することができ、誤設定に基づく事故の発生
を未然に防止することができる。

又、設定器にブーム長、ジブ長、ジブ角度、条
数、主フツクの定格荷重等を選択入力しておく
と、荷重検出器１５及び角度検出器１６で検出さ
れた荷重、作業半径、ブーム角度の実際の値が実
際値としてデジタル表示部３にデジタル表示され
ると共に、これらの検出値及び前記入力値とから
演算装置により荷重、作業半径、ブーム角度の各
限界値が演算され、デジタル表示部３にデジタル
表示される。従つて、運転者は限界値に対し実際
値を正確に把握することができ、荷重表示ボタン
１７、作業半径表示ボタン１８、ブーム角度表示
ボタン１９を押すことにより所望のデータを表示
することができる。更に、限界値に対する実際値
の割合がモーメント比表示部４に表示されるの
で、運転者は運転状況を正確に判断することがで
き、過負荷運転を完全に防止することができる。

なお、本考案の建設機械等の作業表示板は上述
の実施例のみに限定されるものではなく、本考案
の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加
え得ることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案の建設機械等の作業表
示板によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏
し得る。

（） 作業表示板に作業モード表示画面を設
け、運転者が設定した、建設機械等の本体部
分、変化部分、作業対象物等の各部分の使用態
様を示す作業モードを、前記各部分を表わす図
形を使用態様に応じて組合せて表示すると共
に、各作業モードに共通の部分及び各作業モー
ドで変化する部分を互いに明瞭に異なる色調で
表示するようにしたので、運転者は設定した作
業モードと実際の作業モードの違いをひと目で
認識し、且つ即座に要注意状態や危険状態とな
つていることを察知することができるため、作
業モードの誤設定に基づく事故を皆無となし得
る。

（） 荷重、作業半径、ブーム角度等の値につ
いて、荷重検出器及び角度検出器により検出し
た実測値及び該実測値に基づいて定格総荷重カ
ーブから演算した限界値を表示するようにした
ので、作業状態を正確に把握することができ、
作業能率が向上する。

（） 荷重、作業半径、ブーム角度等の値につ
いて限界値に対する実測値をモーメント比表示
するようにしたので、作業状態を定量的にしか
も迅速に判断することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はクレーン等の建設機械の定格総荷重カ
ーブを示す図、第２図は本考案の一実施例の説明
図、第３図イ，ロ，ハ，ニ，ホは第２図における
作業モード表示画面の表示態様を示す図であり、
イはクローラクレーン、ロはジブ無主ブーム吊、
ハはジブ有主ブーム吊、ニはジブ吊、ホはタワー
を示す図、第４図イ，ロ，ハ，ニ，ホは第２図に
おける作業モード表示画面の他の表示態様を示す
図であり、イはトラツククレーン、ロはアウトリ
ガージブ無主ブーム吊、ハはアウトリガージブ
吊、ニタイヤ主ブーム吊、ホはタワーを示す図、
第５図イ，ロ，ハは本考案における建設機械への
荷重検出器及び角度検出器の取り付け位置を示す
図であり、イは無主ブーム吊、ロはジブ有主ブー
ム吊及びジブ吊、ハはタワーの場合の取り付け図
である。 １は作業表示板、２は作業モード表示画面、３
はデジタル表示部、４はモーメント表示部、５は
クローラクレーン、６，６′はブーム、７，７′，
７″は荷、８，８′はジブ、１５は荷重検出器、１
６は角度検出器、１７は荷重表示ボタン、１８は
作業半径表示ボタン、１９はブーム角度表示ボタ
ンを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建設機械等に設けた荷重検出器及び角度検出器
   により検出した荷重、作業半径、ブーム角度を表
   示する実際値デジタル表示部と、各実際値と設定
   器に入力した各設定値とから演算装置にて演算さ
   れる限界値を表示する限界値デジタル表示部と、
   限界値に対する前記実際値の割合をモーメント比
   で表わすモーメント比表示部を備えた建設機械等
   の作業表示板において、設定器に設定した、建設
   機械等の本体部分、変化部分、作業対象物等の各
   部分の使用態様を示す作業モードを、前記各部分
   を表わす図形を使用態様に応じて組合せて表示す
   ると共に、各作業モードに共通の部分及び各作業
   モードで変化する部分を互いに明瞭に異なる色調
   で表示する作業モード表示画面を備えたことを特
   徴とする建設機械等の作業表示板。