JPH0248576Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、大型山形屋根下部に設けたスカート
部相互の取付を整然且つ強固にでき、そのスカー
ト部の下側に水切板を極めて水密的で且つ簡単に
取付けることができる大型山形屋根下部の雨仕舞
構造に関する。

従来より、出願人が研究，開発した長大スパン
（長さ略十数ｍ乃至略数十ｍ）で、大型（高さ略
１ｍ乃至略1.5ｍ）の山形屋根材が工場生産され、
これを現場に運搬して、そこの構造物又は基礎上
に大型クレーン等で一つ一つ吊り上げ、その構造
物上部の対向する梁材間又は基礎間上に亘つて載
置固着し、隣接する大型山形屋根材を並列に揃え
て相互に緊結して屋根葺成しており、特に梁等を
全く設けず、その屋根自体を構造体とした簡易な
構成をなしている。屋根部大型山形材をフランジ
を介して略左右対称的に山形に設けたもので、よ
り強固になるような構成にした所謂、マンサード
タイプの大型山形屋根も最近盛んに施工されてい
る。ところが、その屋根部大型山形材の両側の壁
部大型山形材は急傾斜しているため、この下部か
ら室内側に雨水が極めて浸入しやすく、且つ大型
であるがゆえに特に大型山形屋根下部の雨仕舞を
良好で確実にすることが要望されている。

そこで考案者は、前記欠点を解消すべく鋭意，
研究を重ねた結果、本考案を、マンサードタイプ
の大型山形屋根を構成する壁部大型山形材の下端
箇所の両側にスカート部を設け、このような壁部
大型山形材相互を併設して、対向する両スカート
部の先端垂下縁の裏面に断面クランク形の補強杆
を固着し、傾斜部の一側に垂直部を形成し、この
上端より頂部及び垂下縁を設けた水切板の頂部と
垂下縁とに断面逆Ｌ形のシール材を貼着し、この
シール材箇所を前記先端垂下縁と前記補強杆の垂
下片との間に挿入固定することにより、大型山形
屋根下部に設けたスカート部相互の取付を整然且
つ強固にでき、そのスカート部の下側に水切板を
極めて水密的で且つ簡単に取付けることができ前
記の要望点等を解決し、その目的を達成したもの
である。

以下、図面の実施例に基づき本考案を説明す
る。第１図乃至第３図等が本考案の実施例を示
し、Ａは壁部大型山形材であつて、金属製で断面
台形山形状をなし、この両側下端の底部より外方
上側に傾斜縁が形成され、比較的長尺（約数ｍ）
で、その断面全体の高さ約１ｍ乃至1.5ｍで、幅
約２ｍに形成され、その壁部大型山形材Ａの外皮
材１の裏面には長手方向に適宜の間隔をおいて力
骨が複数固着されている。該力骨の両端にＬ形金
具がそれぞれ固着されている。その外皮材１は台
形状の山形部１ａとこの両側下端より外方に底部
１ｂ，１ｂが設けられ、該両底部１ｂ，１ｂの外
端より外方上側を向く傾斜縁１ｃ，１ｃが設けら
れている。その壁部大型山形材Ａは構造物の壁部
又は基礎等の下地部Ｂ上に急傾斜状に据付けら
れ、この下端がピンシユー２にて軸支されてい
る。又、前記壁部大型山形材Ａを構成する外皮材
１の裏面には、断熱材，空調関係等の取付材，化
粧板等が予め工場にて取付けられているが、図面
では省略した。

３は金属板製のスカート部であつて、前記壁部
大型山形材Ａの下端の外皮材１の外面側で山形部
１ａの傾斜辺と底部１ｂと傾斜縁１ｃ間に設けら
れ、第１図において左側にゆくにしたがつて下り
勾配になるように形成されている。さらにそのス
カート部３の外端には、逆Ｌ形の接合部３ａが形
成され、且つスカート部３の下端には、先端垂下
縁３ｂが形成されている。このように形成された
壁部大型山形材Ａ，Ａが併設されて、外皮材１，
１の傾斜縁１ｃ，１ｃ端相互及びスカート部３，
３の接合部３ａ，３ａが当接されて結合される。
４は金属製の適宜の長さの補強杆で、垂直取付片
４ａの下端より水平片４ｂが形成され、この端よ
り垂下片４ｃが一体形成されて全体として断面ク
ランク形をなしている。この補強杆４は対向する
前記スカート部３，３のレベル調節しつつその先
端垂下縁３ｂ，３ｂの裏面にボルト・ナツト等に
て固着されている。

５は長尺な金属製の水切板であつて、傾斜部５
ａの一側（第１図，第３図において右側）に垂直
部５ｂが形成され、この上端より頂部５ｃが前記
傾斜部５ａ側に設けられ、その頂部５ｃ端より垂
下縁５ｄが形成され、前記傾斜部５ａの他側より
垂下状部５ｅが一体形成されている。さらにその
頂部５ｃ垂下縁５ｄには、断面逆Ｌ形のシール材
６が貼着されている。該シール材６は、例えばネ
オプレン系で圧縮率が約50％前後の弾力性を有し
たもので、このシール材６付きの頂部５ｃ垂下縁
５ｄ及び垂直部５ｂが前記スカート部３，３の先
端垂下片３ｂ，３ｂと前記補強杆４の垂下片４ｃ
との間にシール材６が圧縮されるようにして挿入
され、このシール材６の上面が補強杆４の水平片
４ｂ下面に当接されて固定される。又、その水切
板５の傾斜部５ａは、前記構造物の壁部又は基礎
等の下地部Ｂの上部に設けた受金具７にドリルビ
ス，ボルト・ナツト等にて固着されている。該受
金具７は、側面から見て底部の両側より高さの異
なる側部傾斜部が設けられ、各々の上端より上部
傾斜部が形成され、これが２分割され、上下調節
可能に構成されている。

前記補強杆４をスカート部３箇所のみならず、
併設した壁部大型山形材Ａ，Ａ，……の全長に亘
つて設けることもある。

図中８は壁部大型山形材Ａの外皮材１下端を被
覆する面戸、９は前記両接合部３ａ，３ａ及び隣
接する外皮材１，１の傾斜縁１ｃ，１ｃ端相互を
被覆するキヤツプ材である。又、図示しないが、
構造物の対向する壁部又は基礎等の下地部Ｂ，Ｂ
上に設けられた壁部大型山形材Ａ，Ａの上端間に
は、該壁部大型山形材Ａと同断面で長大スパンの
屋根部大型山形材が設けられてマンサードタイプ
の大型山形屋根が施工されている。

次に作用効果について説明する。

本考案においては、マンサードタイプの大型山
形屋根を構成する壁部大型山形材Ａの下端箇所の
両側にスカート部３，３を設け、このような壁部
大型山形材Ａ，Ａ相互を併設して、対向する両ス
カート部３，３の先端垂下縁３ｂ，３ｂの裏面に
断面クランク形の補強杆４を固着し、傾斜部５ａ
の一側に垂直部５ｂを形成し、この上端より頂部
５ｃ及び垂下縁５ｄを設けた水切板５の頂部５ｃ
と垂下縁５ｄとに断面逆Ｌ形のシール材６を貼着
し、このシール材６箇所を前記先端垂下縁３ｂと
前記補強杆４の垂下片４ｃとの間に挿入固定する
ことにより、第１にその両スカート部３，３相互
の取付を整然且つ強固にでき、第２に水切板５を
極めて水密的で且つ簡単に取付けることができる
等の作用効果を奏する。

該作用効果を詳述すると、その水切板５を挿入
固定する補強杆４は、対向するスカート部３，３
相互間に取付けたことで、スカート部３，３相互
を強固にできると共に、対向する左右側のスカー
ト部３，３は、高さレベルが不揃いになつて、同
一平面状に存在しなくなることが屡生じたが、そ
の補強杆４の取付の際に両スカート部３，３を同
一レベルになるように高さを規制しつつ確実に取
付けができ、極めて整然とした取付ができる。

又、水切板５の頂部５ｃと垂下縁５ｄとに断面
逆Ｌ形のシール材６を貼着してあると、前記先端
垂下縁３ｂと前記補強杆４の垂下片４ｃとの間に
挿入するのにそのシール材６が剥がれるようなこ
ともなくなり、確実に挿入できる利点がある。即
ち、水切板５の雨仕舞としては、スカート部３の
先端垂下縁３ｂの裏面に水密的に接合すれば雨水
の吹き込みや雨漏り防止の点では十分であるの
で、例えばシール材を水切板５の垂下縁５ｄにの
み貼着すればよいが、そのシール材はある程度圧
縮するように挿入することが必須のため、直ぐに
シール材は剥がれる欠点がある。ところが、本考
案ではそのシール材６を断面Ｌ形にすることでそ
のような欠点を完全に解消できる。

以上のように大きな特長を発揮しても、極めて
簡単な構成であるし、何等の技術も要さないこと
から、現場等においても極めて取付けやすく、簡
易且つ迅速に取付施工でき、ひいては安価で有用
なる大型山形屋根下部の雨仕舞構造を提供できる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図は本考案の断面図、第２図は本考案の施工
途中の斜視図、第３図は本考案の要部断面図、第
４図は第３図−矢視断面図、第５図は第３図
−矢視断面図である。 Ａ……壁部大型山形材、３……スカート部、３
ｂ……先端垂下縁、４……補強杆、４ｃ……垂下
片、５……水切板、５ａ……傾斜部、５ｂ……垂
直部、５ｃ……頂部、５ｄ……垂下縁、６……シ
ール材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. マンサードタイプの大型山形屋根を構成する壁
   部大型山形材の下端箇所の両側にスカート部を設
   け、このような壁部大型山形材相互を併設して、
   対向する両スカート部の先端垂下縁の裏面に断面
   クランク形の補強杆を固着し、傾斜部の一側に垂
   直部を形成し、この上端より頂部及び垂下縁を設
   けた水切板の頂部と垂下縁とに断面逆Ｌ形のシー
   ル材を貼着し、このシール材箇所を前記先端垂下
   縁と前記補強杆の垂下片との間に挿入固定するこ
   とを特徴とした大型山形屋根下部の雨仕舞構造。