JPH0247820B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、選色電極またはシヤドウマスクが
陰極発光表示面にある関係をもつて懸架された枠
に取付けられた型式のカラー映像管に関し、特に
マスク−枠構体を管に懸架する簡単な支持構体に
関する。

〔発明の背景〕

これらのカラー映像管において、電子ビームが
個々の陰極線発光表示面素子領域に衝突する精度
は、管の動作時におけるシヤドウマスクの開孔と
表示面素子領域との整合度合の精度に大いに依存
している。すなわち、マスクが電子ビームの衝撃
により生じる熱の影響で外側にすなわち放射状に
膨張すると、マスク開孔と表示面素子領域との不
整合が生じ、これが電子ビームの一部に整合のず
れを起こし、すなわちそれらの予定衝撃素子領域
以外の表示面素子領域を衝撃することになる。

最近のカラー映像管は、例えば米国特許第
3803436号に記載されているように、マスクが加
熱されるにつれてマスクを表示面に向けて管軸方
向に移動させて放射状のマスク膨張を補償するマ
スク取付構体を利用している。その特許の第１図
乃至第４図では、フエースプレートパネルに埋込
まれた桿スタツドとマスク電極との間にバイメタ
ル素子が結合されている。このバイメタル素子
は、枠に直接にまたは枠との間に配置された中間
部材に溶接されたばねのようなものである。スタ
ツドはフエースプレートパネルの長・短軸に沿つ
て配置されている。このような構体は幾分安定性
に欠けかつマスク電極の剛性を低下させる。さら
に、その特許には、また３点マウント型の矩形管
における半径方向および横方向の不整合（ミスレ
ジスタ）を補償するための装置が開示されてい
る。その様な構体はその特許の第１４図および第
１５図に示されている。マスク取付構体および温
度補償に関するより完全な説明は、モレル（A.
Morrell）氏、ロー（H.Law）氏、ランバーグ
（E.Ramberg）氏およびヘロルド（E.Herold）氏
の「カラーテレビジヨン映像管」 1974年アカデミツク プレス社（Academic
Press）刊100−102頁および104−107頁を参照さ
れたい。

各ばねが同じ方向を向いた、例えば全てのばね
がマスク−枠構体に対して右回りまたは左回りの
方向に延長しているばねを使用する４ばね形支持
装置においては、ばねおよび枠の熱膨張によつて
マスク−枠構体が管の縦軸を中心として回転す
る。さらに、この回転によつて電子ビームと表示
面素子領域との不整合を生じさせる。回転方向は
フエースプレートの長・短軸に対する支持構体の
位置により決定される。もし、支持構体のばねが
長・短軸の右に配置されていれば、回転は右回り
になり、支持構体のばねがそれら軸の左に配置さ
れていれば、回転は左回りになるであろう。

縦軸方向のマスク−枠構体の熱膨長をさせ
つゝ、一方前記した回転の問題を補正できる構体
は米国特許出願第492636号（米国特許第4528475
号、特開昭59−211940対応）に提案されている。
この出願に示された構体では、端辺同士を結合し
たバイメタルばねが枠に対して傾斜して取付けら
れており、その傾斜面は、ばねおよび枠が加熱さ
れていないときのばねと枠との取付点が、ばねお
よび枠が加熱されたときの同じ取付位置点と整列
するような大きさにされている。マスク−枠構体
を支持するために４個のスタツドを使用する場合
には、これらのスタツドはフエースプレートパネ
ルの長・短軸の近傍に配置されるが、マスク−枠
構体を支持するスタツドを、マスクの安定性を増
すためにフエースプレートパネルの４隅の近傍に
移動させると、フエースプレートの長辺に沿つて
取付けられるばねの角度を、フエースプレートの
短辺に沿つて取付けられるばねの角度と異なるよ
うに設定する必要がある。異なるばね角度を必要
とする理由は、長・短軸から矩形のフエースプレ
ートの各隅までの間隔が異なることによる。

マスク−枠構体の熱膨張を補正するためにマス
ク−枠構体を縦軸方向に変位させながら、前記の
回転の問題を補償する他の支持構体は米国特許出
願第549849号（米国特許第4572983号）に記載さ
れている。この出願のマスク−枠構体は20℃で約
33×10^-6cm／℃の熱膨張率を有する冷間圧延鋼よ
り形成されることが望ましい。そこに記載されて
いる支持構体は複数個のばね構体を有し、それら
の各々はマスク−枠構体の枠と管の外囲器に固定
された複数個の支持スタツドとの間に取付けられ
た少なくとも２個のバイメタル部材を有してい
る。

この発明では、低膨張率のマスク−枠構体が使
用されているので、支持構体には、冷間圧延鋼製
のマスク−枠構体で必要とするものと同じ規模の
熱補正を与える必要はない。すなわち、縦軸方向
および回転の両補償を行なう簡単な支持構体を使
用することができる。

〔発明の概要〕

この発明による改良型カラー映像管は実質的に
矩形の陰極線発光表示面、支持手段によりこの表
示面に合致するように懸架された選色電極、およ
び電子銃を容れた排気された外囲器を具えてい
る。

支持手段は表示面の角部近傍の外囲器に取付け
られた複数個のスタツドと、選色電極をこのスタ
ツドへ結合する複数個のばねとを具備している。
各ばねは相対する面に沿つて結合された２層の異
なる金属を有する積層構造のバイメタル部材であ
る。各ばねは選色電極に一定角度で取付けられた
基端部と、１個のスタツドを支承する孔のある末
端部とを有している。各ばねには段階状の部分が
形成されている。このばねは、選色電極およびば
ねが加熱されたときの選色電極と表示面との整合
を維持するために、縦方向および回転方向の補償
を与えるものである。

〔推奨実施例の詳細説明〕

第１図はフエースプレートパネル２２と管状ネ
ツク部２４とをフアンネル部２６によつて結合し
た排気されたガラス外囲器２０を有する実質的に
矩形のカラー映像管１８を示す。長軸（Ｘ−Ｘ）
および短軸（Ｙ−Ｙ）を有するパネル２２は観察
用のフエースプレート２８と、フリツト材料によ
りフアンネル部２６へ封止される外周縁すなわち
側壁３０とを具備している。実質的に矩形の３色
陰極線発光線表示面３２はフエースプレート２８
の内面に配置されている。表示面３２はパネル２
２の短軸にほぼ平行な螢光体線の配列を有し、表
示面３２の長短軸がパネル部の長短軸に合致する
ようになつている。あるいはまた、この表示面は
技術的に周知の螢光体ドツトの配列でも良く、要
するに線配列またはドツト配列その他のモザイク
パタンで構成されている。表示面３２の一部は光
吸収材料（図示せず）で被覆されていてもよい。
マスク−枠構体３３は、望ましくは20℃で約2.5
×10^-6cm／℃の熱膨張率を有するインバー（36％
Ni、64％Fe）より成る多孔選色電極すなわちシ
ヤドウマスク３４をＬ形断面を有するインバーの
枠３５に取付けて、構成されている。マスク−枠
構体３３は表示面３２に対して所定の間隔をもつ
てパネル２２の内部に着脱自在に取付けられてい
る。このマスク−枠構体３３は、表示面３２を製
造する過程で数回パネル２２から取外されなけれ
ばならない。このマスク−枠構体３３用の新しい
支持構体は、後で詳細に説明する。マスク３４
は、実質的に平行な垂直列に整置された多数の細
隙形開孔と、各列の細隙を分離するウエブ部とを
有している。もし、ドツトスクリーンを使用する
場合には、マスク３４の開孔は円形である。

（略図で示された）インライン型電子銃３６は
ネツク部２４の中に取付けられ、３本のインライ
ン電子ビーム３８Ｂ，３８Ｒおよび３８Ｃを発生
して、これを集中径路に沿つてマスク３４を通し
てスクリーン３２に向けて投射する。管１８の縦
軸（Ｚ−Ｚ）は電子銃３６の中心および表示面３
２の中心を通つている。

管１８は、ネツク部２４とフアンネル部２６と
の結合部近傍でそれらを包囲する外部磁気偏向ヨ
ーク４０と共に使用するように設計されている。
ヨーク４０に適正な電圧が供給されると、３本の
ビーム３８Ｂ，３８Ｒおよび３８Ｇは直交する磁
界の影響を受け、表示面３２上で矩形ラスタ状
に、表示面の長軸および短軸方向に走査する。表
示面３２の長短軸は互いに直交し、管１８の縦軸
（Ｚ−Ｚ）に対しても直交している。第１図では、
簡略化のために、偏向域における偏向ビーム径路
の実際の曲がりは示さず、代りに、ビームは偏向
平面（Ｐ−Ｐ）で急に曲がるように示されてい
る。

マスク３４により部分的に覆われた表示面３２
の１部分が第２図に示されている。表示面３２は
赤、緑および青色光を放射する螢光体素子の交番
線４２を有している。さらに、第２図には、パネ
ル２２の内部にマスク−枠構体３３を支持する４
個の左回りの向きに配設された新しいマスク−枠
支持手段４４（そのうちの１個は第１図に示され
ている）が図示されている。この代りに、第３図
に示すように、４個のマスク−枠支持手段４４′
を右回りの向きに配置することもできる。

枠３５は第１図に示すように、表示面３２の方
へ延びる第１の縁辺４６と、管１８の縦軸（Ｚ−
Ｚ）の方へ内向きに延びる第２の縁辺４８とを具
えたＬ形断面を有している。枠３５は管１８の縦
軸（Ｚ−Ｚ）を横断する平面内にある。枠３５は
ほぼ矩形を成し、相対する２本の長側辺と相対す
る２本の短側辺とを具備している。第２図に示す
ように、枠３５の各長側辺の中心はパネル２２の
短軸（Ｙ−Ｙ）により２分され、枠３５の各短側
辺の中心はパネルの長軸（Ｘ−Ｘ）により２分さ
れる。枠３５は一般的にマスク３４より厚く、後
者を充分に支持することができる。

第４図に示すように、各マスク−枠支持手段４
４は、パネル２２の１つの隅の近傍にある側壁３
０に埋込まれた普通の型の金属スタツド５０と、
新規な可撓性ばね５２とを有している。

各ばね５２は実質的に矩形状をなし、相接する
積層構造のバイメタル部材より成る。ばね５２は
第１の金属層５４および第２の金属層５６を有し
ている。第１の金属層５４は第２の金属層５６よ
りも低い熱膨張係数を有している。ばね５２は末
端部５８および基端部６０を有し、第５図に示す
ように、基端部６０は、低膨張係数の金属層５４
が縁辺４６に接する形で、例えば溶接により、複
数の溶接点６２で枠３５の第１縁辺４６に取付け
られる。ばね５２は表示面に向かう縦方向の運動
成分を生ずるように、枠３５の平面に対して鋭角
αで溶接されている。ばね５２は、第４図に示す
ように、曲げ線６４に沿う縁辺４６に対して鋭角
θで外側に曲げられている。ばね５２の末端部５
８の主面には開孔６６が形成されている。開孔６
６はスタツド５０の上に配置され、その先細端部
に嵌合支承されている。可撓性部分６８がばね５
２の端部５８と６０との間に介在している。ほぼ
一定の幅Ｓの階段状部７０が、ばね５２の末端部
５８に近接して可撓部６８に形成されている。階
段状部７０はばね５２の末端部５８に対して実質
的に直角であることが望ましい。

カラー映像管１８の動作時には、マスク−枠構
体３３は電子の衝撃により発生する熱によりわず
かに膨張する。また、この膨張により４隅で支持
されたマスク−枠構体３３が回転し、構体３３の
長短側辺の中心はもはやパネル２２の長短軸に合
致しなくなる。従つて、この膨張は表示面上の螢
光体線４２とマスク３４の開孔の不整合（重なり
合いのずれ）により、表示面３２の３色画像に色
純度誤差を発生させる。このような不整合を除く
または最小限にするために、マスク−枠構体は、
この構体を外側に膨張させると共に表示面に向つ
て移動させ、また４隅に取付けられたシヤドウマ
スク支持構体により生ずる右回り回転を補正する
方向に移動させるようにした支持手段４４に取付
けられている。

第４図および第５図に示されるように、ばね５
２のバイメタル層５４および５６は、加熱された
ときばね５２が低膨張係数の層５４の方向に曲げ
られるように選ばれているが、マスク−枠構体３
３の外側への膨張はばね５２の可撓部６８を、破
線により示された加熱位置６８′の方へ放射状に
外側に移動させる。階段状部７０も、低膨張係数
の層５４の方向に曲げられるが、開孔６６がスタ
ツド５０に軸支されているので、この曲げによる
壁段７０の変位は加熱位置７０′になる。階段状
部７０は第４図において左回りの方向（すなわち
右）に効果的に変位され、４隅のマスク−枠支持
手段４４の正常な右回り回転を補正する。

溶接点６２および曲線６４は、それぞれ位置６
２′および６４′まで、右の方へ表示面に向かつて
（Ｚ方向）距離Ｄだけ変位させられる。表示面方
向への縦の変位は角度αで支配され、枠３５の長
側辺と短側辺とで異なる必要がある。階段状部７
０の幅Ｓは与えられる回転補正量を決定する。幅
Ｓは、枠の各側辺の中心点が、４隅に近い支持構
体によつて発生する回転を相殺する補正変位を呈
するように、各寸法のマスク−枠構体３３ごとに
調整される。換言すれば、階段状部７０を有する
この新規なばね５２は枠の長短側辺の中心線と表
示面３２の短長軸との間のずれを零にするので、
表示面３２の両軸に対するマスク−枠構体３３の
回転は生じない。

図示の推奨実施例によれば、ばね５２は約0.76
mmの厚さを有し、層５４と５６との厚さは等し
い。ばね５２は階段状部７０から最も近い溶接点
６２までの距離として定義される実長Ｌを有し、
標準的には枠３５の長側辺用のものでは43mmであ
る。階段状部７０は約3.05mmの幅を有し、溶接角
αは約26.60である。30℃の温度変化で、ばね５
２の変位は回転の影響を補正するのに約0.1mmで
あり、縦方向には約0.05mmである。

第３図に示された他の実施例においては、マス
ク−枠支持手段４４′は右回りの向きに配置され
ている。カラー映像管１８の動作時に、マスク−
枠構体３３が電子の衝撃により生成される熱で膨
張するとき長短軸の右側にマスク−枠手段４４′
を配置することにより、マスク−枠構体３３は管
の縦軸（Ｚ−Ｚ）のまわりを右回転する。この右
回転を相殺するために、ばね５２′は、低い熱膨
張係数を有する第１金属層が枠３５の縁辺４６か
ら離れ、高い熱膨張係数を有する第２金属層が縁
辺４６に接するように形成されている。ばね５
２′のバイメタル部材のこの逆配置により、加熱
時ばねの階段状部７０を膨張させ、左回り方向に
変位させ、４隅のマスク−枠支持手段４４′の右
回転を補正する。

【図面の簡単な説明】

第１図は有孔マスク型陰極線管（CRT）の管
軸に沿つた断面図、第２図はフエースプレートの
各隅近傍に左回り向きに取付けたこの発明の特徴
とする支持構造を有する第１図の管のフエースプ
レートおよびマスク−枠構体の背面図、第３図は
フエースプレートの各隅の近傍に右回り向きに取
付けたこの発明の特徴とする支持構造を有する第
１図の管のフエースプレートおよびマスク−枠構
体の背面図、第４図は第２図に示したこの発明の
特徴とする支持構造の改良型バイメタルばねを示
すフエースプレートおよびマスク−枠構体の部分
拡大平面図、第５図は第４図の線５−５に沿つて
裁断した側面図である。 １８……カラー映像管、２０……外囲器、３２
……表示面、３４……選色電極、３６……電子
銃、４４……支持手段、５０……スタツド、５２
……ばね、５４，５６……第１および第２の金属
層、５８……末端部、６０……基端部、６６……
開孔、７０……階段状部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 実質的に矩形の陰極線発光表示面と、この表
   示面に整合するように支持手段により懸架された
   選色電極と、電子銃とを内部に有する排気された
   外囲器を具備する型式のカラー映像管であつて、
   上記支持手段は上記表示面の隅に近接して上記外
   囲器に取付けられた複数個のスタツドと、上記選
   色電極を上記スタツドに結合する複数個のばねと
   を有し、上記の各ばねは、それぞれ面を接して結
   合された２層の異種金属を有する積層構造のバイ
   メタル部材であり、これら各ばねは、それぞれ上
   記選色電極へ或る角度で取付けられた基端部と、
   上記スタツドのうちの１個に軸支される開孔を具
   えた末端部とを有し、またこれら各ばねには、そ
   れぞれ階段状部が形成されており、さらに、これ
   らのばねは、上記選色電極とばねが加熱されたと
   き縦方向および回転方向の補正を行なつて上記選
   色電極と上記表示面との整合状態を維持すること
   を特徴とするカラー映像管。