JPH0246577Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は張込みパネル相互間に揺動吸収機能
をもたせたパネル張込みを、張込み側よりする取
付け施工をもつて、簡易、迅速になし得るように
した張込構造の開示に係わるものである。

而して、従前に於けるこの種の化粧パネル材等
の張込みに於いては予めレベル出しのなされたパ
ネル取付け下地材に対し、順次パネル材をビス等
の手段をもつて止着、張込むようにしたものであ
る。従つて、かゝる手法に於いては一度張込まれ
たパネル材は完全に四周が固定され、パネル材の
納まりが良好でなかつた場合、あるいは地震等に
伴う揺れを生じた場合等に往々にしてパネル面に
歪みを生じ易く、これが外観特性を著しく損ずる
と共に、防水、防錆上に好ましからざる結果をも
たらしたものである。

又、かゝる従前手法に於いては、一枚一枚のパ
ネルを人手をもつて支えながら、そのレベル出し
と、取付け施工とがなされたことよりして、パネ
ルの正確な取付け施工が難しく、又多くの人手を
要したものである。

本考案に係わるパネルの張込構造は、かゝる従
前例に於ける不都合に鑑み特に発案されたもので
あつて、張込みを予定されるパネル縁に相互に係
合が予定される雌雄の金具を取付け用意し、この
金具の係合により張込むべきパネルの支承を暫定
的になすと共に、かゝる係合状態に於いてパネル
のレベル出しをなして順次張込むようにしたこと
により、人手を要せず、しかも充分なレベル出し
のもとに正確な取付けが可能とされたものであ
る。

又、パネル材の少なくとも二辺は、次順位又は
先順位のパネル材に於ける雄金具との係合のみと
し、上下、左右いずれからの揺れ、又は外圧付加
に対しても的確に対応し得るようにしたものであ
り、地震等による揺れ、地盤沈下等に伴う下地材
の歪み出し、パネル材自身の膨張、収縮に伴う歪
み出し等を効果的に吸収し、張込みパネル面に於
ける反り出し、皺よれ等の発生を極力抑止するよ
うにしたものである。又、施工をパネル取付けの
表側のみからとし、施工の簡易さを約束すると共
に既存構築物に対する外装施工をも効果的になし
得たものであり、特にプレス成形のなされた化粧
パネル材の取付けに意味を有したものである。

以下、本考案に係るパネルの張込構造の典型的
な一実施例を、添付の図面について説明するに、
ａは張込みを予定されるパネルであつて、プレス
ベンダーないしはプレス処理をもつて、基版１の
周縁に立上り壁２を一連に折つけ構成すると共
に、この立上り壁２の立上り寸法と、立上り壁２
の上縁より外側方に向けて折つけ延設される鍔３
の延設寸法とを第４図〜第６図のように、限定
し、パネルａ相互の衝き合せを第７図のＡ〜Ｅに
於けるようになし、接合縁に於ける鍔３相互の重
ね合せと、この接合縁にコーキング目地４の構成
をなすようにしたものである。

而して構成される立上り壁２はプレス絞りに於
ける一定の曲面を有するものとし、基版１の一つ
の角を挟む二辺を短寸の立上り壁２ａ，２ａと
し、他の二辺を、この短寸の立上り壁２ａの自由
端に設けられる短寸且つ曲面状の鍔３ａの位置よ
り側方に位置する長寸の立上り壁２ｂ，２ｂと
し、この立上り壁２ｂの上縁より側方に幅広の鍔
３ｂを一体に延設したものである。

かゝるパネル構成に対し、第８図並びに第９図
に於いて示される実施例は、鍔３を二辺に於いて
のみ設け、他の二辺を絞りつけた立上り壁２と
し、この鍔３と、立上り壁２とを順次衝き合せる
ようになしたものであり、又第１０図並びに第１
１図に於いて示される実施例は叙上に於ける鍔３
に相当するものを一切割愛し、基版１の四周に絞
りつけた立上り壁２を稍々アールをもたせた状態
で設け、この立り壁２相互を順次衝き合せるよう
になしたものであつて、そのいずれも以下に述べ
る金具による取付け施工に適合し得たものであ
る。

次いで、叙上パネルａに取付けられる雌雄をな
す金具５，６は、パネルａの一つの角を挟む二辺
に於いて雄金具５〜５が、又他の二辺に於いて雌
金具６〜６が夫々対向してビスその他の取付け手
段をもつて止着されたものであり、典型的には、
先の幅広の鍔３ｂ上に雄金具５が、又短幅の鍔３
ａの内側に雌金具６が取付けられたものである。

而して、パネルａに取付け使用される雄金具５
は、パネルａに於ける長寸の立上り壁２ｂの外面
に沿つて重ね合される固定鈑部５ａと、鍔３ｂに
沿つて重ね合される取付け鈑部５ｂと、この取付
け鈑部５ｂ端より、次順位のパネル取付け部方に
折り曲げられ、且つ鈑部５ｂに平行とされる係合
鈑部５ｃとをもつて構成されたものであり、鈑部
５ａに於いてパネルａに止着７用意されると共に
鈑部５ｂに於いて胴縁８あるいは二次胴縁９等の
下地材にビス、ボルトその他の適宜の手段をもつ
て止着１０されたものである。

尚、パネルａが第１０図並びに第１１図の実施
例に於けるように鍔３ｂを有しない場合於いて
は、鈑部５ｂは鍔３ｂと重ね合せられることな
く、パネルａの基版１と平行をなすように突設さ
れ、直接胴縁８あるいは二次胴縁９等の下地材に
止着１０されたものである。

次いで、この雄金具５に係合を予定される雌金
具６は、前記パネルａに於ける短寸の立上り壁２
ａの内側面に沿つて重ね合せられる固着鈑部６ａ
と、該鈑部６ａ端よりパネル基版１と平行に内側
方に折り曲げられ、且つ、その自由端を再度平行
にパネルａの取付け部方に折辺えし係合鈑部６ｂ
とした構成よりなるものであつて、鈑部６ｂの自
由端６b′を稍々外方に、即ち、パネルａの取付け
部方拡き出して、前記雄金具５に於ける鈑部５ｃ
の容易な係入に供するようにしたものである。か
くして構成された雌金具６は鈑部６ａに於いてビ
ス、ボルトその他の適宜の手段をもつてパネルａ
の立上り壁２ａの内側面に止着１１用意され、パ
ネル相互の組付けに供されたものである。

かゝる構成よりなるパネルａ〜ａの実際的な施
工に於いては、第１９図に於いて示されるように
下地材あるいは躯体１２にホールインアンカー１
３等をもつて固定された取付け金具１４にパネル
ａ下縁に設けた雌金具６を係合し、パネルａのレ
ベル出しをなした上で雄金具５を鍔３ｂ位置に於
いて適宜下地材に止着１０し、更に次順位のパネ
ル材ａに於ける下縁の雌金具を、この雄金具５に
於ける係合鈑部５ｃに係入して仮に支承し、充分
なレベル出しをなした上で順次下地材に止着１０
して、パネルの張込みをなしたものである。

尚、パネルａに於ける側方に向けた張込みも概
ね同様とされたものであり、張込まれるパネルａ
は常に二辺に於いて仮に支承された状態でレベル
出しがなされると共に他の二辺に於いて、この作
出レベルに合せて固定されたものであり、組付け
の容易さと、レベル出しの容易さとが共に約束さ
れたものである。

かゝるパネルａの組付け時に於けるパネルの取
付けレベルを更に効果的に、即ち、簡易且つ確実
になす目的に於いて第１５図に於いて示される調
整金具１５の使用が別途予定されたものである。
しかして、この金具１５は、その下端１５ａをパ
ネルａの立上り壁２ｂの上面に重合、止着１６さ
れると共に、上部自由端を下地材の上端を迂回す
る〓状のフツク部１５ｂとし、且つフツク部１５
ｂに到る立上り鈑部１５ｃのパネル部方に向け
て、該鈑部１５ｃに平行な係合鈑部１５ｄを折曲
げ立設し、パネルａに於ける雌金具６の係合に供
するようにしたものである。かゝる金具の介在に
よつて、パネルａの上端に先ずこの金具１５を取
付け用意した後、先順位のパネルａ−ａをもつて
仮に支承するように取付けたパネルａのレベル出
しを、該金具１５の頂端フツク部１５ｂに螺装し
た調整ボルト１７を下地材頂端に出没自在に当接
することをもつて、簡易、確実になし得たもので
ある。従つて、従前に於けるような人手をもつ
て、パネルの支承をなし、逐一レベル出しをなし
た上で、パネルの取付けをなす不都合を一掃し得
たものである。

尚、図に於いて１８はシーリング部のバツクア
ツプ材を、１９はコーキング材を示したものであ
る。

本考案に係るパネルの張込構造は叙上に於ける
特徴ある構成、就中叙上構成よりなる雌雄金具を
パネル材の一つの角を挟む二辺毎に取付け使用し
たことをもつて前記諸特性の具体的な奏効を期し
たものである。

即ち、パネルの張込み施工に於いては、先順位
の張込みパネルによつて張込まれるパネルは常に
二辺で支承され、逐一人手による支承を不要にな
した状態での張込みのレベル出しが可能とされた
ことより容易且つ正確なパネルの張込みが約束さ
れたものである。

又、前記金具１５の併用をなす場合に於いて
は、これ等のパネル取付け並びにレベル出しは更
に容易且つ正確とされたものである。

次いで、パネルの張込み施工に於いては雌金具
を前順位パネルの雄金具に係合したことによりパ
ネルの取付け面よりする処理のみによる張込みが
可能とされ、施工が極端に簡易なものとされ、又
既存の建物外装表面よりする保守管理と、必要に
応じたパネル取換施工が可能とされたものであ
る。

又、張込まれたパネル相互に於いては、一つの
角を挟む二辺が前順位パネルの雄金具に単純に係
合したまゝの状態であることよりして、壁面に外
力が付加された場合に於いても取付けパネル面に
対する影響は一切無く、地震、地盤沈下に伴う駆
体取付け空間の歪み出しに於いてもパネル面の歪
み出しは確実に防止され、又、パネル取付部分の
破損も効果的に防止されたものである。

更に、かゝる構造的特長よりしてパネル自体の
膨張、収縮等の変形に於いてもパネル面に対する
影響は一切なく、整然とした外観を呈する施工パ
ネル面の継続的な保守を特に約束したものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るパネルの正面図、第２図
は同底面図、第３図は同側面図、第４図Ａ，Ｂ，
Ｃは第１図Ａ部の拡大正面、底面、側面図、第５
図Ａ，Ｂ，Ｃは同Ｂ部の拡大正面、底面、側面
図、第６図Ａ，Ｂ，Ｃは同Ｃ部の拡大正面、底
面、側面図、第７図Ａはパネル衝き合せ縁の正面
図、同Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅは夫々の方向から見た断面
図、第８図並びに第９図は他のパネルの実施例を
示す正面図と同断面図、第１０図並びに第１１図
は更に他のパネルの実施例を示す正面図と同断面
図、第１２図は雌雄金具の斜視図、第１３図は組
付け状態を示す断面図、第１４図は同組付け例を
示す斜視図、第１５図は金具１５の使用状態を示
す断面図、第１６図はパネルの上下方向に向けた
接合部の断面図、第１７図はパネルの左右方向に
向けた接合部の断面図、第１８図はコーナー部分
の接合を示す断面図、第１９図は壁面下部の接合
を示す断面図である。 尚、図中１……基版、２……立上り壁、３……
鍔、４……目地、５……雄金具、６……雌金具、
７……止着、８……銅縁、９……二次銅縁、１
０，１１……止着、１２……躯体、１３……アン
カー、１４……取付け金具、１５……調整金具、
１６……止着、１７……ボルト、１８……バツク
アツプ材、１９……コーキング材を示したもので
ある。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 所定幅寸をなす立上り壁を基版周縁に立設し、
   且つ該立上り壁をパネル取付け部方に向けて順次
   張込むようにしたパネル材に於いて、該パネル材
   の一方周壁の外側面に、該壁面に沿つて重ね合さ
   れる固着鈑部と、この固着鈑部端よりパネル外方
   に突出し、且つ該パネル基版に平行とされる取付
   け鈑部と、該取付け鈑部に平行且つ取付け鈑部よ
   り取付けパネル方向に折曲げられた係合鈑部とよ
   りなる雄金具を又他方周壁の内側面に、該壁面に
   沿つて重ね合される固着鈑部と、この固着鈑部端
   よりパネル内側方に、該パネル基版に平行に突設
   され、且つ該突設端をパネル取付け部方に平行に
   折返えした係合鈑部とよりなる雌金具を、夫々の
   固着鈑部に於いて止着し、先順位パネル材の雄金
   具に次順位パネル材の雌金具を順次係合、連設し
   たことを特徴とするパネルの張込構造。