JPH0245647Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、カークーラー用などに用いられる
積層型蒸発器、特に熱交換媒体通路を形成する複
数枚の板状チユーブエレメントが相互間にコルゲ
ートフインを包含する空気流通間隙を介して上下
に積層された横式の積層型蒸発器に関する。

従来の技術 従来良く知られている積層型の蒸発器は、一般
的に、熱交換媒体通路を形成するようにプレス加
工された金属製の１対の成形プレートと、コルゲ
ートフインとを交互に積層して熱交換部を形成
し、その両端ないしは一端に熱交換媒体を貯溜す
るタンク部を形成したものであり、負荷の変動に
追従し易いこと、容積に対して比較的優れた性能
を有すること等の利点を有している。而して、こ
のような積層型蒸発器は、カークーラー用蒸発器
として使用するような場合には、一般的に上記各
１対の成形プレートによつて構成される熱交換媒
体通路を包含するチユーブエレメントを上下方向
に配した縦型の蒸発器（例えば実公昭56−6847
号）として使用されることが多い。この主な理由
は、チユーブエレメントを垂直方向に配置するこ
とにより、その相互間のフインを含む空気流通間
隙を流通する空気からの結露水として発生する水
滴を上下チユーブエレメントに沿わせて速やかに
下方に排除することができることによる。

ところが、自動車の構造との関係で、たとえば
蒸発器を収納するスペースが上下方向よりも水平
方向に長いような場合、換言すれば横に長いよう
な場合には、上記熱交換器を縦型として用いるよ
りも横型として用いる方が、熱交換のための有効
作用面積を多くとれ、効率の良いものとすること
ができる場合がある。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、チユーブエレメントを水平方向
に配置した横型のもの（たとえば実公昭53−
32375号）として構成するときは、上記結露水が
チユーブエレメントの上面に付着すると共に、熱
交換器内を流通する空気の付勢力によつて風下側
へ押しやられチユーブエレメントの縁部に集中
し、されにこれが流通空気ではね飛ばされて、自
動車室内側に飛来するといういわゆる水飛びの問
題が発生し易いという問題があつた。

この考案は、かかる問題点に鑑みてなされたも
のであつて、チユーブエレメント上面の結露水を
速やかに蒸発器外へ排出できるようにして、水飛
びの問題を解決した特に横式の積層型蒸発器を提
供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 上記目的においてこの考案は、偏平管部の少な
くとも一端に膨出状のタンク部を有する板状チユ
ーブエレメントとコルゲートフインとが交互にか
つ上下方向に複数段積層されて、板状チユーブエ
レメント内を流通する熱交換媒体と各チユーブエ
レメント間を流通する空気との間で熱交換を行う
ようになされた積層型蒸発器において、前記チユ
ーブエレメントの周縁部に結露水集受溝が形成さ
れる一方、前記偏平管部とタンク部との連接縁部
には、該結露水集受溝の立上り側壁が切欠き状と
なされることにより結露水排出口が形成されてい
ることを特徴とする積層型蒸発器を要旨とするも
のである。

実施例 次にこの考案の構成を第１図ないし第４図に示
す実施例に基いて説明する。

これらの図において、Ａは蒸発器のコアであ
り、該コアＡは十数個の偏平なチユーブエレメン
ト１と、これと交互配置に積層された所要数のコ
ルゲートフイン２とで構成されている。

チユーブエレメント１は第１図に示すように、
２枚の成形プレート１ａ，１ａを周縁部で接合し
たものからなつており、両端部に上下両面に膨出
状のタンク部４，４を有するとともに、それらの
間に両タンク部を連通する冷媒蒸発用の狭い通路
すなわち偏平管部３を有している。さらに偏平管
部３はタンク部４よりも幅方向に相対的に大に成
形されており、これによりチユーブエレメントの
両端部側縁の４か所に、周壁５の屈曲部からなる
肩部５ａが形成されている。この肩部は偏平下部
内に配設されるインナーフイン６をその両端部を
該肩部５ａに当接させることによつて位置決めす
るためのものである。

さらに前記チユーブエレメント１の周縁部に
は、成形プレート１ａが樋状に折曲されることに
よつて所定深さの凹状の結露水集受溝７が形成さ
れるとともに、偏平管部３とタンク部４との連接
縁部すなわち肩部５ａの外縁には、前記結露水集
受溝７の立上り側壁８が切欠き状となされること
により、集受した結露水を速やかに蒸発器外へ排
出するための結露水排出口９が形成されている。
なお要すれば結露水集受溝７はその溝幅を空気流
入側よりも空気流出側において相対的に大に設定
しても良い。

上記のような構成のチユーブエレメント１は、
隣接するものどうしが、タンク部４に穿たれた複
数個の連通孔１０を介して相互に連通されてい
る。第１図に示される１１はチユーブエレメント
１相互の連結時の位置決め用環状突縁である。な
お、図示は省略したが、好ましくは上記の各タン
ク部４内には、それぞれ所定枚数のチユーブエレ
メント群ごとに熱交換媒体の流れ方向を代えて該
媒体を蛇行状に流通せしめるべく仕切り板が設け
られ、これにより熱交換媒体回路群が２以上に分
けられ、いわゆる多数のパス方式の蒸発器を構成
するものとなされている。

前記コルゲートフイン２は、一般的にアルミニ
ウム製のもので、かつルーバーを切起こし成形し
たものが用いられる。

一方、蒸発器コアＡの上下両面には、最外側の
コルゲートフイン２を覆う形にサイドプレート１
２，１２が取付けられ、さらに最上段のチユーブ
エレメント１における一端のタンク部４には出口
ヘツダー１３が、最下段のチユーブエレメント１
におけるタンク部４には入口ヘツダー１４がそれ
ぞれ固着されており、かつ入口ヘツダー１４には
熱交換媒体入口管１５が、出口ヘツダー１３には
同出口管１６がそれぞれ接続されている。

図示実施例の蒸発器では、熱交換時に矢印Ｗで
示す流通空気から生じた結露水は、該空気の付勢
力によつてチユーブエレメント１の上面に沿つて
風下側に押しやられ、そのまま結露水集受溝７に
流入するため、従来のようにチユーブエレメント
の縁部にたまることがなくなる。そして結露水集
受溝７に流入した結露水は、偏平管部３とタンク
部４との連接縁部に形成された排出口９から蒸発
器外へと速やかに排出される。

なお図示実止例では、チユーブエレメント１の
偏平管部３の幅をタンク部４よりも大に設定した
ものを示したが、偏平管部３の幅がタンク部４の
幅と同じであるチユーブエレメントであつてもこ
の考案を適用できる。またチユーブエレメント１
として両端にタンク部４を有するものを用いた場
合を示しているが、一端にタンク部を有するよう
なチユーブエレメントであつても良い。またチユ
ーブエレメント１として２枚の成形プレート１
ａ，１ａを重ね合せて形成したものを示したが、
これにかえて他の手段によるもの、例えば２枚の
アルミニウム板を所要のパターンに圧着防止材を
塗布したのち重ね合せて圧着し、非圧着部を流体
圧で膨出せしめて得られるロールボンドパネル等
を用いても良い。

考案の効果 この考案は上述の次第で、チユーブエレメント
の周縁部には結露水集受溝が形成されたものであ
ることにより、流通空気の付勢力によつて空気流
出側へ押しやられた結露水を、水飛びを生ぜしめ
ることなく速やかに該集受溝に収容できる。さら
に、偏平管部とタンク部との連接縁部に結露水集
受溝の立上り側壁が切欠き状となされることによ
り結露水排出口が形成されたものであるから、集
受溝に流出した結露水を該排出口を介して速やか
に蒸発器外へ排出することができる。従つて、除
湿量の多少に拘わらず、常に結露水の確実な排出
を行い得て、水飛び現象の発生を回避しうる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図はチユーブエレメントを構成している１対の成
形プレートとコルゲートフインとを分離して示し
た斜視図、第２図は一部を省略して示す蒸発器の
正面図、第３図はチユーブエレメントの平面図、
第４図は第２図における−線断面図である。 １……チユーブエレメント、２……コルゲート
イン、３……偏平管部、４……タンク部、７……
結露水集受溝、８……立上り側壁、９……結露水
排出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 偏平管部の少なくとも一端に膨出状のタンク部
   を有する板状チユーブエレメントとコルゲートフ
   インとが交互にかつ上下方向に複数段積層され
   て、板状チユーブエレメント内を流通する熱交換
   媒体と各チユーブエレメント間を流通する空気と
   の間で熱交換を行うようになされた積層型蒸発器
   において、前記チユーブエレメントの周縁部に結
   露水集受溝が形成される一方、前記偏平管部とタ
   ンク部との連接縁部には、該結露水集受溝の立上
   り側壁が切欠き状となされることにより結露水排
   出口が形成されていることを特徴とする積層型蒸
   発器。