JPH0435735Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案はカークーラー、オイルクーラー等の
蒸発器等に用いられる熱交換器、特に熱交換媒体
通路を形成する複数枚の板状チユーブエレメント
が相互間にアウターフインを包含する空気流通間
隙を介して積層されてなる積層型熱交換器に関す
る。

従来の技術 従来汎用の積層型熱交換器は、一般的に、プレ
ス加工された金属製の１対の成形プレートをもつ
て、熱交換媒体通路としての偏平管部の両端ない
しは一端に熱交換媒体貯溜用のタンク部を有する
ものに形成された板状チユーブエレメントと、ア
ウターフインとを交互に複数段積層したものであ
り、負荷の変動に追従し易いこと、容積に対して
比較的優れた性能を有すること等の利点を有して
いる。

而して、このような積層型熱交換器における熱
交換効率を高める手段として、前期成形プレート
に多数の凹凸を設けて伝熱面積を増大したり（実
開昭59−116787号広報等）、あるいは偏平管部内
に第９図で示すごときプレス加工等で波形に成形
したプレーン型等のインナーフイン３０を装填し
て伝熱面積を増大することが提案されている。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、上記前者の提案手段のように、
成形プレートに凹凸を設けるだけでは伝熱面積は
さほど大きくできず、充分な熱交換効率は得られ
ない。また後者の提案手段において一般的に使用
されるプレーン型等の単純形状のインナーフイン
では、伝熱面積をかなり大きくできるが、構造上
から熱交換媒体の流れが直線的になる点から熱交
換効率の改善には限界があり、まだ充分とは言え
ない。しかも特にチユーブエレメントを水平に配
した横式の積層型熱交換器にあつては、熱交換媒
体がその沈降現象によりチユーブエレメント内空
間の専ら下部を通過し上部をあまり通過しないこ
ととも相俟つて熱交換効率は低いものであつた。

ところで、後者の提案手段すなわちチユーブエ
レメントの偏平管部にインナーフインを装填する
ことは、熱交換効率の向上のみならず、偏平管部
を圧縮する方向の力に対する補強効果をも生じさ
せるものであるが、偏平管部内にインナーフイン
を配設するのみではチユーブエレメントの強度を
完全なものとすることはできなかつた。即ち、熱
交換媒体が特にガス化するようなものである場合
には熱交換媒体によつてチユーブエレメントを側
方に押し拡げる方向の内部圧力が加わり、該圧力
によつてはなはだしくは接合部において成形プレ
ートが分離し熱交換器の破壊に至るというような
問題があつた。

この考案は、以上のような問題を解決するため
になされたものであつて、熱交換効率を向上する
とともに、熱交換媒体による内部圧力に対しても
充分な強度を有する積層型熱交換器の提供を目的
とするものである。

問題点を解決するための手段 而してこの考案は、周縁に相互接合面１３を有
する１対の成形プレート１１，１１をもつて偏平
管部３の少なくとも一端に膨出状のタンク部４を
有するものに形成された板状チユーブエレメント
１と、アウターフイン２とが交互に複数段積層さ
れた積層型熱交換器において、前記板状チユーブ
エレメント１を構成する成形プレート１１がその
接合面１３相互間に、成形プレートの周縁に沿う
外形を有するインナープレート２０の周端部を介
在した状態で接合されるとともに、該インナープ
レートにはチユーブエレメント１の偏平管部対応
位置に、熱交換媒体をインナープレートの一面側
から他面側へと反転流通させる多数の第１誘導突
壁２２と他面側から一面側へ反転流通させる多数
の第２誘導突壁２３とを有するインナーフイン部
２１が一体に形成されてなり、しかも前記第１誘
導突壁２２は、インナープレート２０の上面側に
突出して熱交換媒体の上流側に向いた開口部２２
１ａを形成するドーム状の上向き第１突壁２２１
と、この上向き第１突壁の後端部に連続して形成
されるとともに、インナープレートの下面側に突
出して熱交換媒体の下流側に向いた開口部２２２
ａを形成するドーム状の下向き第１突壁２２２と
からなり、前期第２誘導突壁２３は、インナープ
レートの下面側に突出して熱交換媒体の上流側に
向いた開口部２３１ａを形成するドムー状の下向
き第２突壁２３１と、この下向き第２突壁の後端
部に連続して形成されるとともに、インナープレ
ートの上面側に突出して熱交換媒体の下流側に向
いた開口部２３２ａを形成するドーム状の上向き
第２突壁２３２とからなり、かつ第１誘導突壁２
２と第２誘導突壁２３とがインナープレート２０
の幅方向に連続交互配置に設けられると共に、イ
ンナープレートの長さ方向に所定間隔で同列配置
に設けられていることを特徴とする積層型熱交換
器を要旨とするものである。

実施例 次のこの考案の構成を図示実施例に基いて具体
的に説明する。

第２図に示す熱交換器において、１は水平状態
でかつ上下方向に配置された複数枚の板状チユー
ブエレメント、２はその隣接するチユーブエレメ
ント１，１間に介在されたアウターフインであ
る。

前記チユーブエレメント１は、中間部に熱交換
媒体通路である偏平管部３を有するとともに、両
端に該偏平管部３に連通し、膨出高さを相対的に
大となされたタンク部４を有し、かつ隣接するチ
ユーブエレメント１のタンク部４どうしがろう接
一体化されている。このチユーブエレメント１
は、第１図に示すように、一面が開口した上下１
対の皿状の成形プレート１１，１１からなるもの
である。

すなわち第１図に示すように、各成形プレート
１１は、中間部にチユーブエレメントの偏平管部
形成用の偏平膨出部１１ａを有するとともに、該
偏平膨出部１１ａの両端にチユーブエレメントの
タンク部４形成用の膨出高さを相対的に大となさ
れた膨隆部１１ｂを有し、かつ膨隆部１１ｂに成
形プレートの幅方向に沿つて複数個の熱交換媒体
流通孔１１ｃを有する。さらに成形プレート１１
の周縁部には所定幅の平坦状の接合面１３が形成
されている。なお１４は偏平膨出部１１ａの両側
縁を接合面１３に連続して樋状に折曲されること
により形成された結露水集受溝、１６は結露水集
受溝の立上り側壁１５に連続して形成された水平
突出縁、１７は膨隆部１１ｂ周縁において接合面
１３に連続して形成された突縁である。このよう
な成形プレート１１の製作は、プレス加工により
行われる。

２０は成形プレート１１，１１間に介在状態で
接合されるインナープレートである。このインナ
ープレートは成形プレート１１の周縁に沿う外形
を有するとともに、幅方向の両側縁２０ａ，２０
ａのみが接合状態において成形プレート１１の接
合面１３端縁から側方に突出するように、その幅
が設定されている。さらにこのインナープレート
２０にはチユーブエレメント１の偏平管部３への
対応位置にインナーフイン部２１が一体に形成さ
れている。即ち、インナープレート２０の周端部
を除く中央部には、第５図〜第８図に示すよう
に、プレートの上面をその長さ方向に流れる熱交
換媒体を、インナープレートの下面側へと反転流
通させる第１誘導突壁２２と、逆にインナープレ
ート２０の下面を流れる熱交換媒体を上面側へと
反転流通させる第２誘導突壁２３とが多数形成さ
れている。第１誘導突壁２２は、インナープレー
ト２０の上面側に突出して熱交換媒体の上流側に
向いた開口部２２１ａを形成するドーム状の上向
き第１突壁２２１と、この上向き第１突壁２２１
の後端部に連続して形成されるとともに、インナ
ープレート２０の下面側に突出して熱交換媒体の
下流側に向いた開口部２２２ａを形成するドーム
状の下向き第１突壁２２２とからなる。また第２
誘導突壁２３は、インナープレート２０の下面側
に突出して熱交換媒体の上流側に向いた開口部２
３１ａを形成するドーム状の下向き第２突壁２３
１と、この下向き第２突壁２３１の後端部に連続
して形成されるとともに、インナープレートの上
面側に突出して熱交換媒体の下流側に向いた開口
部２３２ａを形成するドーム状の上向き第２突壁
２３２とからなる。そして第１、第２各誘導突壁
２２，２３はインナープレート２０の幅方向つま
り矢印Ｈで示す熱交換媒体流通方向と直交する方
向において連続交互配置に設けられると共に、イ
ンナープレート２０の長さ方向においては平坦部
２４を介してそれぞれ同列配置状態に設けられて
いる。これらの第１、第２各誘導突壁２２，２３
はプレス加工により所定の凹凸状に形成されたも
のである。かつ第１、第２誘導突壁２２，２３
は、チユーブエレメント１の完成状態において、
それらの上向き、下向き各突壁２２１，２２２，
２３１，２３２の頂部が第３図、第４図に示すよ
うに、それぞれ上下の成形プレート１１にほぼ当
接するように、その突出高さが設定されている。
またインナープレート２０の長さ方向の両端に
は、成形プレート１１の熱交換媒体流通孔１１ｃ
に対応する位置に、それぞれ複数個の熱交換媒体
流通孔２５が形成されている。而して、前記上下
１対の成形プレート１１，１１は、開口面を向い
合せ状態にしかつインナープレート２０の周端部
を接合面１３，１３相互間に介在された状態でろ
う接一体化され、かつインナーフイン部２１がチ
ユーブエレメント１の偏平管部３内に位置するも
のとなされている。尚第１図に示す５はチユーブ
エレメント１のタンク部４と偏平管部３との連続
縁部に形成された結露水排出口である。

前記アウターフイン２は、チユーブエレメント
１の幅と同程度の幅を有し、その中間部がチユー
ブエレメントの偏平管部３に、また両端部が水平
突出縁１６にろう付されている。かかるアウター
フイン２としては一般的にはアルミニウム製のコ
ルゲートフインが用いられ、望ましくはルーバー
を切り起こしたものが用いられる。

なお第２図において、７，７′は最外側のアウ
ターフイン２の外側に配置された上下のサイドプ
レート、８，８′は熱交換媒体流入用、流出用の
入口ヘツダー部材と出口ヘツダー部材、９，９′
は熱交換媒体入口管と同出口管である。

図示実施例の熱交換器において、入口管９から
供給された熱交換媒体は入口ヘツダー８から最下
段のチユーブエレメントに入り、最上段のチユー
ブエレメントに至るまでの各チユーブエレメント
１を流れる間に、チユーブエレメント間のアウタ
ーフイン２を含む空気流通間隙を矢印Ｗの方向に
流通する空気と熱交換したのち、出口ヘツダー
８′から出口管９′を介して図示しないコンプレツ
サ等に送られる。各チユーブエレメント１内にお
いて、熱交換媒体はインナープレート２０を挟ん
で上下の流通路をインナープレートの長さ方向に
沿つて流れる。而して、例えば上側を流れる熱交
換媒体は、第５図に示すように、インナーフイン
部２１の第１誘導突壁２２における上向き第１突
壁２２１の開口部２２１ａ及び前列の第１誘導突
壁２２における下向き第１突壁２２２の開口部２
２２ａに流れ込み、第５図に破線で示すようにイ
ンナープレート２０の下側流通路へと誘導され
る。下側流通路に誘導された熱交換媒体は、下向
き第１突壁２２２によつて前進を妨げられる結
果、下向き第１突壁２２２の左右両側に分流し、
隣接する上向き第２突壁２３２の開口部２３２ａ
及び次列の下向き第２突壁２３１の開口部２３１
ａに流れ込むインナープレート２０の上面側へと
誘導されたのち、さらに左右に分流した下面側へ
と誘導される。かかる現象が第１、第２誘導突壁
２２，２３のそれぞれにおいて繰り返される結
果、熱交換媒体は第５図〜第８図に矢印ｈで示す
ように、インナープレート２０の上下に細かく反
転しかつ左右に分流と合流を繰り返して、著しく
攪乱されつつ流れることになり、熱交換媒体の分
子レベルでの誘導突壁面との接触機会が飛躍的に
増大して伝熱性が高くなり、交換熱量も大きく増
大する。一方インナープレート２０が装填された
チユーブエレメント１内においては、熱交換媒体
によるタンク部４を側方に拡げる方向の内部圧力
が加わつても、成形プレート１１，１１間にイン
ナープレート２０が介在しているから、該プレー
トが補強材として作用し、成形プレート１１の接
合部が分離する虞れがない。またチユーブエレメ
ント１の偏平管部３に配置されたインナーフイン
部２１の第１、第２誘導突壁２２，２３における
上向き突壁２２１，２３２、下向き突壁２２２，
２３１により偏平管部３に圧縮方向の力が加わつ
ても偏平管部３が変形することもない。

なお以上の実施例においては、インナープレー
ト２０の幅方向の両端が成形プレート１１の接合
面１３から外側に突出しているものとしたが、突
出していなくとも良い。さらにはチユーブエレメ
ントを水平に配したが横式の積層型熱交換器を例
にとつて説明したが、垂直に配した縦式のものに
適用しても良い。

考案の効果 この考案は上述の次第で、チユーブエレメント
の偏平管部に配設されるインナーフイン部を、熱
交換媒体をインナープレートの一面側から他面側
へ反転流通させる多数の第１誘導突壁と他面側か
ら一面側へ反転流通させる多数の第２誘導突壁と
を有するものに形成し、かつ第１誘導突壁は、イ
ンナープレートの上面側に突出して熱交換媒体の
上流側に向いた開口部を形成するドーム状の上向
き第１突壁と、この上向き第１突壁の後端部に連
続して形成されるとともに、インナープレートの
下面側に突出して熱交換媒体の下流側に向いた開
口部を形成するドーム状の下向き第１突壁とから
なり、第２誘導突壁は、インナープレートの下面
側に突出して熱交換媒体の上流側に向いた開口部
を形成するドーム状の下向き第２突壁と、この下
向き第２突壁の後端部に連続して形成されるとと
もに、インナープレートの上面側に突出して熱交
換媒体の下流側に向いた開口部を形成するドーム
状の上向き第２突壁とからなり、かつ第１誘導突
壁と第２誘導突壁とがインナープレートの幅方向
に連続交互配置に設けられると共に、インナープ
レートの長さ方向に所定間隔で同列配置に設けら
れている。従つて、チユーブエレメント内で熱交
換媒体がインナープレートの厚さ方向の両面へ細
かく反転するとともに幅方向にも分流と合流を繰
り返して、著しく攪乱されつつ流れるため、熱交
換媒体の誘導突壁面への接触機会の増大により伝
熱性を向上し得て熱交換効率を向上することがで
きる。しかもこのインナーフイン部をインナープ
レートに一体に設け、このインナープレートをチ
ユーブエレメントを構成する成形プレートの接合
面相互間に介在した状態で接合するものとなされ
ているから、熱交換媒体によるチユーブエレメン
トを側方に拡げる方向の内部圧力に対してインナ
ープレートが補強材となり、成形プレートの接合
面の分離の危険性を回避でき耐圧強度に優れたも
のとなしうる。もとより偏平管部を圧縮する方向
の力が加わつても、偏平管部内に配設されたイン
ナーフイン部の前記誘導突壁が補強材として機能
し、偏平管部が押し潰されたり変形したりする危
険性がない。従つてチユーブエレメント、ひいて
は熱交換器全体としての強度を向上でき、耐久性
に優れしかも熱交換効率にも優れた熱交換器を提
供しうる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第８図はこの考案の一実施例を示す
もので、第１図はチユーブエレメントを構成する
１対の成形プレートとインナープレート及びアウ
ターフインを分離して示す斜視図、第２図は熱交
換器の全体を示す一部省略正面図、第３図は第２
図における−線断面図、第４図はチユーブエ
レメントのタンク部の縦断面図、第５図はインナ
ープレートの一部を示す拡大斜視図、第６図は第
５図における−線断面図、第７図は同じく第
５図における−線断面図、第８図はインナー
プレートの平面図、第９図はチユーブエレメント
の偏平管部に従来装填されていたインナーフイン
の一例を示す斜視図である。 １……チユーブエレメント、２……アウターフ
イン、３……偏平管部、４……タンク部、１１…
…成形プレート、２０……インナープレート、２
１……インナーフイン部、２２……第１誘導突
壁、２２１……上向き第１突壁、２２２……下向
き第１突壁、２３……第２誘導突壁、２３１……
下向き第２突壁、２３２……上向き第２突壁、２
２１ａ，２２２ａ，２３１ａ，２３２ａ……開口
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 周縁に相互接合面１３を有する１対の成形プレ
   ート１１，１１をもつて偏平管部３の少なくとも
   一端に膨出状のタンク部４を有するものに形成さ
   れた板状チユーブエレメント１と、アウターフイ
   ン２とが交互に複数段積層された積層型熱交換器
   において、前記板状チユーブエレメント１を構成
   する成形プレート１１がその接合面１３相互間
   に、成形プレートの周縁に沿う外形を有するイン
   ナープレート２０の周端部を介在した状態で接合
   させるとともに、該インナープレートにはチユー
   ブエレメント１の偏平管部対応位置に、熱交換媒
   体をインナープレートの一面側から他面側へと反
   転流通させる多数の第１誘導突壁２２と他面側か
   ら一面側へ反転流通させる多数の第２誘導突壁２
   ３とを有するインナーフイン部２１が一体に形成
   されてなり、しかも前記第１誘導突壁２２は、イ
   ンナープレート２０の上面側に突出して熱交換媒
   体の上流側に向いた開口部２２１ａを形成するド
   ーム状の上向き第１突壁２２１と、この上向き第
   １突壁の後端部に連続して形成されるとともに、
   インナープレートの下面側に突出して熱交換媒体
   の下流側に向いた開口部２２２ａを形成するドー
   ム状の下向き第１突壁２２２とからなり、前記第
   ２誘導突壁２３は、インナープレートの下面側に
   突出して熱交換媒体の上流側に向いた開口部２３
   １ａを形成するドーム状の下向き第２突壁２３１
   と、この下向き第２突壁の後端部に連続して形成
   されるとともに、インナープレートの上面側に突
   出して熱交換媒体の下流側に向いた開口部２３２
   ａを形成するドーム状の上向き第２突壁２３２と
   からなり、かつ第１誘導突壁２２と第２誘導突壁
   ２３とがインナープレート２０の幅方向に連続交
   互配置に設けられると共に、インナープレートの
   長さ方向に所定間隔で同列配置に設けられている
   ことを特徴とする積層型熱交換器。