JPH0245568B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は床材、壁材、天井材等の建材や各種家
具の表面材、その他の装飾材に適する強化化粧板
の製造方法に関するものである。

従来より、木材薄板に合成樹脂液を注入、硬化
させた合成樹脂注入処理木材板は一般にＷ、Ｐ、
Ｃ（Wood Plastic combination）と称されて、
木材素材の強度、耐摩耗性、寸法安定性、耐汚染
性等の改善し、しかも注入樹脂によつて木材板の
透明度を高めて深みのある木目模様を現出させた
材料として知られており、床板等の建築用材の表
面化粧材として多く用いられているものである。

しかしながら、上記合成樹脂注入処理木材板は
前述の如き長所を有する反面、注入樹脂が硬化し
てしまつた後は全体が硬質化してしまうため、天
然木の木材単板の如くカツター等により切断して
任意形状の化粧ピースを形成しようとすると割れ
や欠けが生じ易く歩止りが悪くなるという欠点が
あり、そのために寄木調あるいは市松調の化粧板
の表面化粧材として用いるのは困難であつた。一
方、このような合成樹脂注入処理木材板を用いて
寄木や市松調の化粧板を形成する方法として、予
め合成樹脂注入処理木材薄板に合成等を裏打ちし
て補強した化粧ピースを形成し、これを基板上に
各化粧ピース側端面を突合せて配列して接着一体
化することが考えられるが、上記化粧材に仕上げ
塗装を行うと合成樹脂注入処理薄板が塗料の吸収
性をほとんど有しないために化粧ピースの継目に
塗料が滞留するようになり、化粧ピースの継目に
おける塗料溜り乾燥硬化時に発泡状態となつて泡
末状に固着し、外観を損うと共に化粧材の色調を
整えるために着色クリアー塗装を行うと上記塗料
溜りが化粧ピースの継目に着色筋となつて現われ
自然感を損うという問題があつた。

本発明はこのような欠点をなくするために、合
成樹脂注入処理木材薄板（以下WPC薄板とする）
を木質材等よりなる塗料の吸収性を有する中間板
に貼着して大版の化粧基材を形成したのち、この
化粧基板を複数の化粧ピースに分割し、この化粧
ピースのWPC薄板片の周端面に面取り加工を施
して傾斜端面に形成したのち基板上に複数枚の化
粧ピースを寄木調或いは市松調に配列、接着して
大版の化粧板を形成し、しかるのち、該大版化粧
板表面全面に仕上げ塗装を施すと共に隣接する化
粧ピースの傾斜端面間で形成されたＶ字状溝内に
滞留する塗料の一部を化粧ピース間に浸透吸収さ
せ、乾燥後に均等な塗料層に形成することを特長
とする強化化粧板の製造方法を提供するものであ
る。

本発明の実施例を図面について説明すると、ス
ライス単板、ロータリー単板等の厚さ２mm程度の
木材薄単板に合成樹脂液を注入固化してWPC薄
板１を得る。

木材薄単板に対する樹脂液注入方法としては、
加圧注入、減圧注入、或いは減圧加圧注入等の方
法を採用する。

注入合成樹脂液としては、縮合型合成樹脂液、
附加重合型合成樹脂液或いは水溶液型、溶剤型合
成樹脂液のいずれであつてもよい。

なお、このような合成樹脂液に適宜の溶剤、可
塑剤、硬化剤、顔料、染料等の着色剤その他の添
加物を混入してもよい。

こうして得られたWPC薄板１を木材単板単独
或いは合板、パーテイクルボード、ハードボード
等の木質板、又は石膏やケイ酸カルシウム板等の
無機質板などのように塗料吸収性を有する厚さ３
mm程度の中間板２上に適宜な接着剤により一体的
に接着して大版の化粧基材３を得る。

ここで用いる中間板２は、塗料の吸水性の良い
ものを用いるもので、上記板状物のうちでも、特
に繊維板や低比重の無機板等が塗料の吸収が遠か
であり好ましい。

次に、この化粧基材３を丸鋸、ギヤングソー、
ギロチン等の適宜な切断具で数分割することによ
り、中間板片２ａ上にWPC薄板片１ａが一体的
に重合してなる複数枚の化粧ピース４を得る。

化粧ピース４の寸法、形状は得ようとする配列
模様、例えば、小市松や大市松、寄せ木模様など
に応じて設定される。

この化粧ピース４は、WPC薄板１を単独でカ
ツトする場合と異なり、中間板２と重合一体化し
た状態でピースカツトして得るため、WPC薄板
に欠けや割れが生じることがなく切断できて歩止
りが向上し、面取り加工を行うに際しても、裏面
の中間板片２ａが表面のWPC薄板片１ａの裂け
を防止し、又、適宜な厚さを与えているので面取
りが容易に且つ美麗に行えるものである。

次に、こうして得られた化粧ピース４のWPC
薄板片１ａの四方端面にカツター等により面取り
を施して傾斜端面５に形成する。

この傾斜端面５は化粧ピース４のWPC薄板片
１ａの厚み範囲内もしくはそれ以上であつてもよ
いが、中間板片２ａの表面に該傾斜端面５の下端
が一致もしくは近接するような範囲で設けるのが
好ましく、中間板片２ａが傾斜端面５に著しく広
い巾で露出しない様にする。

即ち、上記傾斜端面５は、その後に行う塗装の
際、該端面５に沿つて余分な塗料を中間板片２ａ
の側端面に流下吸収させる必要上、その下端が中
間板片２ａの表面に至る様に設けておく方が上記
塗料の吸収が速かであるが、傾斜端面５に中間板
片２ａが大きく露出するまで設けると、各化粧ピ
ース４を配列した際、化粧ピース間に、中間板片
２ａの一部が露出し、自然感を損うようになるた
めである。

次いで、複数枚の化粧ピース４を木質板或いは
無機質板等を適宜な基板６上に、隣接する化粧ピ
ース４，４の中間板片２ａ，２ａの端面同志を突
き合わせ状態に当接させるか或いは端面間に小間
隔を存した状態で所望の模様に組合せ配列し、接
着剤を介して化粧ピース４を基板６に貼着するこ
とにより、隣接する化粧ピース４，４のWPC薄
板片１ａ，１ａに設けた傾斜端面５，５間でＶ字
状溝７を形成した大版の化粧板Ａを得る。

しかるのち、この化粧板ＡのＶ字状溝７を含む
全表面にウレタン樹脂、アミノ樹脂等の樹脂塗料
を塗布して、Ｖ字状溝部の塗料の一部を化粧ピー
ス間に浸透させて常温硬化又は適宜な加熱乾燥機
により高温硬化処理を施して乾燥硬化させる。

この際、化粧板ＡのＶ字状溝７に滞溜しようと
する塗料はＶ字状溝７の底部から中間板片２ａに
吸収され、乾燥硬化時に泡沫状になることなく化
粧ピース表面及びＶ字状溝部表面が共に均等な塗
料層８を得ることができる。

次に本発明の具体的な実施例を示す。

実施例 2.0mm厚のスプルース単板をギロチンにより300
×1500mmの長方形板にカツトしたのち、減圧釜に
入れて10mmHgまで排気を行つて30分間放置した。
次いで、該減圧釜に、不飽和ポリエステル樹脂
100部に重量比で40％のスチレンモノマーと硬化
剤としてBPOを１％添加してなる合成樹脂液を
入れたのち、30分間放置した。

こうして樹脂注入処理されたスプルース単板を
減圧釜から取り出し、3.0mm厚の中比重繊維板に
尿素樹脂接着剤を介して載置して135℃、10Kg／
cm²の条件で10分間熱圧することにより中比重繊維
板上に樹脂注入処理単板を接着した化粧板基板を
得た。

次に、この化粧基板を丸鋸で15×15cmの正方形
状化粧ピースに複数分割し、しかるのち、カツタ
ーによつて各化粧ピースの樹脂注入処理単板片の
四方端面に45度の角度をもつた面取りを施した。

この化粧ピースを複数枚、隣接する端面間に小
隙間を存した状態で15mm厚のラワン合板上に組合
せ配列させ、110℃、10Kg／cm²の条件下で３分間
熱圧することにより化粧ピースの裏面に塗布した
尿素樹脂接着剤を介して一体に貼着したのち、そ
の表面にウレタン樹脂塗料により塗装仕上げを行
い、各化粧ピースの面取り部で形成されるＶ字状
溝部に滞溜する塗料を、合成樹脂注入処理薄板裏
面の繊維板の木口部分に吸収させ、しかるのち加
熱乾燥処理を施した。

こうして得られた化粧板は、面取りを施した化
粧ピース間で形成されるＶ字状溝表面を含む全て
の表面が平滑な塗面で被覆された美麗で豪華な外
観を呈するものであつた。

また、こうして得られた化粧板は、各化粧ピー
スの接合部におけるＶ字状溝下部に塗料が浸透吸
収されて硬化しており、これによつて各化粧ピー
スの木口面が結合されるようになり、温度や湿度
変化によつて、化粧ピースの接合部が開いたりす
ることがなく、化粧ピース同志の接合強度も大な
るもので長期間良好な化粧板を維持できるもので
あつた。

以上のように本発明は、合成樹脂注入処理木材
薄板を木質材等の塗料吸収性を有する中間板の表
面に貼着して大版の化粧基材を形成したのち該化
粧基材を所望寸法毎に切断して数枚の化粧ピース
に分割形成し、これらの化粧ピースの合成樹脂注
入処理木材薄板片の周端面に面取り加工によつて
傾斜端面を形成し、次いで複数枚の化粧ピースを
基板上にその中間板片の端面同志を当接させるか
或いは端面間に小間隔を存するようにして組合せ
配設して接着することにより隣接する化粧ピース
の合成樹脂注入処理木材薄板片の傾斜端面間でＶ
字状溝を形成した大版の化粧板を得、しかるのち
該大版化粧板表面全面に仕上げ塗装を施すことに
より前記Ｖ字状溝内に滞溜する塗料の一部を化粧
ピース間に浸透吸収させて塗料を硬化することを
特徴とする強化化粧板の製造方法に係るものであ
るから、樹脂注入処理木材薄板を中間板に接着し
たのち所定寸法のピースに切断するので、樹脂注
入処理木材薄板に角欠けや割れを生じさせること
なく切断できて歩止りが向上すると共に取扱いが
容易となり、仕組む時に割れたりすることがない
のは勿論これらの化粧ピース表面の合成樹脂注入
処理薄板片の周辺に面取りを行つて基板上に配列
して仕組みその後仕上げ塗装を行うので、各化粧
ピースを突合せ状態で配列しても、その継目部分
に滞溜する塗料は、傾斜端面に沿つて流下して合
成樹脂注入処理薄板片の下部に裏打ちした中間板
に浸透吸収されて、溜りを生じることがなく、各
化粧ピースの傾斜端面によるＶ字状溝部の表面と
化粧ピース表面とを共に均等な厚さの塗料層で被
覆して美麗な塗面に形成できるものであり、化粧
ピースの継目部を自然な感じに仕上げることがで
き、合成樹脂注入処理薄板の持つ化粧性を損うこ
となく、自然感に富んだ寄木調の化粧板が得られ
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図乃
至第３図は化粧ピースの製造工程順を示す斜視
図、第４図は化粧ピースの断面図、第５図は化粧
板の斜視図、第６図はその要部の拡大断面図であ
る。 １……合成樹脂注入処理木材薄板、２……中間
板、３……化粧基材、４……化粧ピース、５……
傾斜端面、６……基板、７……Ｖ字状溝、８……
塗料層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 合成樹脂注入処理木材薄板を木質材等の塗料
   吸収性を有する中間板の表面に貼着して大版の化
   粧基材を形成したのち該化粧基材を所望寸法毎に
   切断して数枚のピースに分割形成し、これらの化
   粧ピースの合成樹脂注入処理木材薄板片の周端面
   に面取り加工によつて傾斜端面を形成し、次いで
   複数枚の化粧ピースを基板上にその中間板片の端
   面同志を当接させるか或いは端面間に小間隔を存
   するようにして組合せ配設して接着することによ
   り隣接する化粧ピースの合成樹脂注入処理木材薄
   板片の傾斜端面間でＶ字状溝を形成した大版の化
   粧板を得、しかるのち、該大版化粧板表面全面に
   仕上げ塗装を施してＶ字状溝部の塗料の一部を化
   粧ピース間に浸透させて該塗料を硬化させること
   を特徴とする強化化粧板の製造方法。