JPH0244740Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ベツド等の上に寝かされたいわゆ
る寝たきり患者等を目的の場所に搬送し、或い
は、再びベツド上に連れ帰るのに使用する患者搬
送装置に関する。

〔技術背景〕

例えば、医療施設に収容された寝たきり患者
は、看護婦を含めた介護者が、ベツド上から抱き
上げて移動寝台や車椅子等に移し、しかる後、移
動寝台等を手押ししてトイレ或いは浴室と云つた
場所に連れていくのが一般的であるが、このよう
な方法は、介護者に対ては肉体的負担を、一方、
患者に対しては精神的な負担を与えることから、
その対策として、第４図に示すような搬送装置が
考案され、本出願人は、これを特願昭59−255794
号（特開昭61−135656号公報）で提案済である。

この装置は、台車１上に、昇降装置２と、その
装置の可動支柱３に支持される基台４と、適当な
駆動装置を含む水平スライド機構を介して基台４
上に巾方向スライド自在に取付けられる患者移床
用の薄いスライド台５を設けたものであつて、ス
ライド台５を基台上から水平に押し出して患者と
ベツドの間に挿入し、その上に患者が移載された
ら、スライド台を台車側に引き戻すようになつて
いる。従つて、この装置によれば、介護者による
患者の抱き上げ作業が不要になる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記の搬送装置には、まだ、改
善すべき点が残されている。

即ち、このような装置を用いてスライド台を円
滑に患者とベツドの間に挿入し、さらに、そのス
ライド台上に確実に患者を載せるには、スライド
台とベツドの高さ調整を正確に行うと共に、作業
開始時の装置位置を、押し出されたスライド台の
先端が患者の身体下を確実に通過するところに定
める必要があるが、従来の患者搬送装置は、この
調整、位置決めを介護者の目測に頼つて行うもの
であつたため、上述の要求に充分に応え得ないと
云う問題があつた。

この考案は、かかる問題点の解消策として考え
られたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案に係る患者搬送装置は、上述した如き
装置において、装置の昇降する基台の側面部に、
患者を寝かせたベツドとの相対的な接近位置及び
高さ位置を検出するセンサを設け、このセンサか
らの検出信号を装置の位置及び高さ調整に利用す
るようにしたところに特徴を有する。

即ち、目測によるベツドと装置の相対的位置、
高さ調整を、位置検出センサを利用した調整に変
えることにより、調整の正確さを期したのがこの
考案である。

〔実施例〕

以下、添付図に基いてこの考案の実施例を説明
する。

第１図は、この考案の第１実施例を示してい
る。この装置は、走行方向を自由に変更できる全
方向性台車１と、その上に設けた昇降装置２、こ
の装置の昇降支柱３上に固定した基台４、この基
台上に設けたスライド台５、及び、基台の側面部
に取付けられたセンサ６から成つている。

台車１は、手押し台車、自走式台車のいずれで
もよい。

昇降装置２は、台車に固定した筒状支柱７に可
動支柱３を挿入し、手動ハンドルやモータによつ
て駆動するボールねじ機構等により可動支柱３を
昇降させる構造であるが、流体圧作動のシリンダ
やパンタグラフ機構等で可動体を昇降させるもの
など、例示の構成以外のものも使用できる。

基台４は、可動支柱３の上端に固定される。こ
の基台４は、図の場合、長手方向に３分割され、
支柱に固定された中央の分割体に両側の分割体の
各々がヒンジ継手８により折畳み可能に取付けら
れている。従つて、この基台上に設けるスライド
台５も基台と同数に分割され、分割スライド台の
各々が図示しない巾方向の水平スライド機構を介
した対応した分割基台の各々に取付けられてい
る。なお、基台４とスライド台５は、勿論非分割
のものであつてもよい。また、水平スライド機構
は、安定性と円滑な滑り性を確保し得るものを採
用するのがよい。このような構造は既に提案され
たものがあるので、その中から適当なものを選択
して使用すればよい。

次に、センサ６は、装置の位置を知るため、例
えば、装置全体がベツド等に充分に近づいている
かどうかを検出するため、図のように、分割基台
の各々に設けるか又は基台の前後端近傍の側面に
各々１個づつ設けるのが望ましいが、高さ検出の
ためには、その数が少なくとも１個あれば足り
る。

このセンサ６は、投・受光部をもち、投光部よ
り投射されてベツド等で反射された光を受光部で
捕える光電近接スイツチを用いると、患者自身の
位置検出も問題なく行える。但し、接触検出方式
のマイクロスイツチ等に置き代えてもこの考案の
目的を達成できる。

以上から成る例示の搬送装置は以下のようにし
て使用する。即ち、第２図イに示すように、基台
部の高さをベツドよりも低くして、センサ６がベ
ツド側面を検出してONになるところ迄装置をベ
ツドＡに近づける｛第２図ロ｝。次に、昇降装置
２により基台部を上昇させ、センサ６がOFF動
作したところで基台部の上昇を停止する。その
後、スライド台５とセンサ６の取付高さが異なる
場合には、第２図ハに示すように、取付高さの差
に相当する分基台部がベツドＡよりも高くなるの
で、既知の値である取付高さの差の分基台部を下
降させ｛第２図ニ｝、一方、第３図に示すように、
センサ６とスライド台５の取付高さを同じにした
場合には、センサ６のOFF動作時が第２図ニの
状態になるので基台部の上昇停止後そのままスラ
イド台５のベツド及び患者間への挿入動作｛第２
図ホ｝に移る。

なお、昇降装置２が電気制御の可能な電動タイ
プのものである場合には、以上の動作を自動的に
行わしめることが可能であり、従つて、センサ６
のON，OFFを介護者に知らせる必要はないが、
手動昇降装置を用いるときには、センサ６の動作
状態を介護者に知らせるランプやブザー等の表示
手段が必要である。

〔効果〕

以上の通り、この考案の患者搬送装置は、昇降
装置により昇降させる基台の側面部に、ベツドと
の相対的な接近位置及び高さ位置をを検出するセ
ンサを設け、そのセンサによる位置検出信号を利
用して、スライド台を患者の寝ているベツド等の
表面上に正確に位置決めし得るようにしたので、
スライド台のベツド等と患者との間への挿入を円
滑に行うことができ、また、スライド台が伸びき
つたときにその上に患者が完全に移載されていな
いと云つた事態も無くすことができる。即ち、ベ
ツドの高さ変化に対応可能となした特願昭59−
255794号（特開昭61−135656号公報）等で提示の
先願装置の利点を生かしながら、装置の使い勝手
を良くし、使用時の信頼性も向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示す斜視図、
第２図は装置の使用時の動作を示す正面図、第３
図はセンサの取付位置を変えた他の実施例の斜視
図、第４図はこの考案の改良対象となる患者搬送
装置の斜視図である。 １……台車、２……昇降装置、３……昇降支
柱、４……基台、５……スライド台、６……セン
サ、７……筒状支柱、８……ヒンジ継手。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 台車上に、昇降装置と、この装置の可動体で支
   持して昇降させる基台と、この基台上に巾方向の
   水平スライド機構を介して取付けられる患者移床
   用の薄いスライド台とを設け、さらに上記基台の
   側面部に、患者を寝かせたベツドとの相対的な接
   近位置及び高さ位置を検出するセンサを設けて成
   る患者搬送装置。