JPH0243912Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はパイルを基布にタフトしたタフテツド
カーペツトに関するものであり、より詳しくは、
パイル面に格子模様を描出したタフテツドカーペ
ツトを提供しようとするものである。

〔従来の技術〕

従来タフテツドカーペツトのパイル面に格子模
様を描出する方法としてはタフテイング法とプリ
ント染色法とがある。

前者は、ゲージ方向の数本おきに異色のパイル
糸を配列し、数ステツチ毎にニードルバーをゲー
ジ方向に移動させ、それによりステツチ列のパイ
ル糸を異色のものと入れ替える所謂ニードルシフ
トによるか、又は、パイル糸が一本おきに異色と
なるステツチ二列を二組にし、それらのパイル糸
のフイード量を選択的に加減し、各組の異色のパ
イルの一方を長く他方を短くし、それにより短い
パイルの先端が長いパイルの先端の下に隠れてパ
イル面に現われないようにし、そのパイル糸のフ
イード量の選択的加減調整により所要の模様の輪
郭を形成する所謂ハイローにより達成される。

後者つまりプリント染色法による方法について
は特に説明を要しないことであろう。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ニードルシフトにおいては１ステツチサイクル
つまり基布から抜け出る瞬間にニードルをゲージ
方向に移動させる最大移動距離には限度があり、
その距離は通常２ゲージまででそれ以上多く移動
させることは出来ず、従つて描出される模様は格
子模様と言うよりは寧ろ細かい市松模様乃至霜降
模様と言うようなものである。

ハイローによる場合には色分け帯幅の広に大柄
の格子模様が描出できるが、そのためには長いパ
イルが短いパイルの先端をカバーする程度にパイ
ル長短差を大きくし且つパイル密度を緻密にしな
ければならず、兎角パイル目付を多くし過剰品質
にならざるを得ず経済的でない。

他方プリント染色法においてはタフテツド原反
が超厚手の布帛であるから蒸熱発色、脱糊水洗、
乾燥工程などでのエネルギーの浪費は不可避で省
資源的でなく、特に基布の透視できる程度にパイ
ル密度の粗いタフテツド原反のパイルと基布を同
時に同色に染色しようとする場合、その基布が非
染色性で低融点のポリプロピレン繊維に成るもの
にあつてはかかる目的が達せられず、又、蒸熱発
色や加熱乾燥工程での基布の熱劣化変形も問題に
なる。

〔考案の目的〕

そこで本考案は、かかる問題を解消し合理的且
つ簡便的に所要の大きさの格子模様をパイル面に
描出したタフテツドカーペツトを提供しようとす
るものである。

〔考案の構成〕

即ち本考案に係るタフテツドカーペツト１１
は、基布１２がポリプロピレンテープヤーンを緯
糸１３とする織布１２で構成され、その緯糸１３
を紡糸工程で着色された異色のものとし、数段毎
にその異色の緯糸１３，１３′を交互に打込んで
緯糸１３，１３′の色彩に成る横縞５が基布１２
に形成されており、経糸１４は透明乃至半透明の
ものであり、パイル密度は基布１２がパイル面の
上方から透視できる程度に粗く、ゲージ方向１７
の数本おきに異色のパイル糸が配列され、そのパ
イル１８，１８′の色彩による縦縞１９がパイル
層１６に形成されており、それら基布の横縞１５
及びパイル層の縦縞１９の各色分け帯幅ＶとＷが
それぞれ１cm以上好ましくは２cm以上且つパイル
長Ｐの３倍以上であり、パイル１８，１８′が合
成繊維に成ることを特徴とするものである。

数段毎に交互に打込む緯糸１３と１３′とは、
その一方１３′は比較的広い５〜30cm幅V1の横縞
を他方の緯糸１３はそれよりも狭い１〜５cm幅
V2の横縞を構成する様にするとよく、これらの
帯幅の比率はV1：V2＝５〜10：１になる様に
し、又、パイル１８，１８′の色彩による縦縞１
９もその一方のパイル１８が比較的広い５〜30cm
幅W1とし他方のパイル１８′はそれよりも狭い１
〜５cm幅W2の縦縞を構成する様にするとよく、
これらの帯幅の比率もW1：W2＝５〜10：１にな
る様にするとよい。

この場合、帯幅の狭い縞、例えば緯糸１３と１
３″とを異色にして横縞や縦縞を多彩色にしても
よい。

本考案において特に肝要なことは、その下に沈
む緯糸部分１３Ａの色彩が基布１２の表面側に現
れる程度に経糸１４を透明乃至半透明なものとす
ることであり、そのためには経糸のテープヤーン
１４が折り畳まれて二重にならない様に基布１２
を織成することである。

そして更に好ましくは、その基布表面に占める
緯糸１３の面積比率Ｘが経糸１４の面積比率Ｙよ
りも多くＸ／Ｙ≧１とすることであり、そのため
には緯糸テープヤーン１３の幅を経糸テープヤー
ン１４の幅よりも広くすることが推奨される。

〔考案の効果〕

本考案に係るタフテツドカーペツト１１は上記
の通り構成され、特に経糸１４はその下に沈む緯
糸部分３Ａの色彩が基布１２の表面側に現れる程
度に透明乃至半透明なので、基布１２に形成され
た横縞１５はパイル面から透視され、他方パイル
層１６に形成された縦縞１９は直接目視され、パ
イル１８も表面光沢のある合成繊維に成るので繊
維表面で基布１２の色彩が反射しながらパイル面
にはつきりと現われ、殊に横縞１５を構成する異
色の帯幅V1とV2及び縦縞１９を構成する異色の
帯幅W1とW2の比率をそれぞれV1：V2＝５〜
10：１とW1：W2＝５〜10：１にするとそれらの
輪郭もはつきりとし、従つて横縞１５の比較的鮮
明な格子模様が描出され、その色分け帯幅ＶとＷ
がパイル長の３倍以上であるから、使用中にパイ
ルが左右に伏倒しても格子模様の輪郭が不鮮明に
ならず、その上、基布１２がポリプロピレン繊維
１３に構成されていてもプリント染色が施されな
いので製造工程で熱劣化変形せず、又、クリーニ
ングによつて基布の横縞が消失してしまうことも
ない。

このように本考案によると、耐久性のある格子
模様のタフテツドカーペツトが経済的に得られ、
そのパイル密度が粗いことからして折り畳み易
く、従つて本考案のタフテツドカーペツト１１は
随時折り畳んで収納し、或は、梱包して簡便的に
搬送し得る所謂“簡易敷物”として頗る好都合で
実利的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るタフテツドカーペツトの
斜視図、第２図は本考案に係るタフテツドカーペ
ツトに使用される基布の縦断面側面図である。 １１……タフテツドカーペツト、１２……基
布、１３……緯糸、１４……経糸、１５……横
縞、１６……パイル層、１７……ゲージ方向、１
８……パイル、１９……縦縞、Ｖ……帯幅、Ｗ…
…帯幅、Ｐ……パイル長。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 タフテツドカーペツト１１において、 (1) 基布１２がポリプロピレンテープヤーンを緯
   糸１３及び経糸１４とする織布１２で構成さ
   れ； (2) その緯糸１３を紡糸工程で着色された異色の
   ものとし、数段毎にその異色の緯糸１３，１
   ３′を交互に打込んで緯糸１３，１３′の色彩に
   成る横縞１５が基布１２に形成されており； (3) 経糸１４は透明乃至半透明のものであり、 (4) パイル密度は基布１２がパイル面の上方から
   透視できる程度に粗く； (5) ゲージ方向１７の数本おきに異色のパイル糸
   が配列され、そのパイル１８，１８′の色彩に
   よる縦縞１９がパイル層１６に形成されてお
   り； (6) それら基布の横縞１５及びパイル層の縦縞１
   ９の各色分け帯幅ＶとＷが、それぞれ１cm以上
   好ましくは２cm以上且つパイル長Ｐの３倍以上
   であり； (7) パイル１８，１８′が合成繊維に成ること； を特徴とするタフテツドカーペツト。