JP3425660B2 - パイル織物 - Google Patents

パイル織物

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JP3425660B2 JP28751693A JP28751693A JP3425660B2 JP 3425660 B2 JP3425660 B2 JP 3425660B2 JP 28751693 A JP28751693 A JP 28751693A JP 28751693 A JP28751693 A JP 28751693A JP 3425660 B2 JP3425660 B2 JP 3425660B2
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猛雄 林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、椅子張地、車両内装
材、カーペット等に使用されるパイル織物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】パイル織物は、その一部を折り曲げて使
用される場合がある。例えば、椅子張地に使用する場合
には椅子本体の角部で折り曲げられ、車両内装材に使用
する場合には縫目において折り返され、階段に敷き込ま
れるカーペットは階段の踏板の角部で折り曲げられる。
その場合、パイルは直交する地経糸や地緯糸の長さ方向
に真っ直ぐに連続して形成されているので、それらの長
さ方向に沿って折り曲げる場合には、その折り目の底に
パイル織物のベース布地が現われることになる。そのよ
うにして折り目の底にベース布地が現れることを「地割
れ」、或いは、歯を食いしばって剥き出しにした状態に
似ているので「グリンニング」と称している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そのように折り目に出
来るグリンニングを防止するため、配列された左右のパ
イル糸が地緯糸1本おきにパイルを形成し、パイルが地
経糸や地緯糸を斜めに横切る方向に並ぶようにする方法
が考えられている。確かに、その方法によると、折り目
を地緯糸の長さ方向に平行に付ける場合はグリンニング
は出来難く、又、左右のパイル糸のパイルが互いに一つ
おきに出来るパイルのないブランク部分へと倒れて地経
糸の長さ方向に交互に現われるので、その一方のパイル
糸に太さや色彩等の外観上の斑があっても、他方のパイ
ル糸のパイルに打ち消されて地経糸の長さ方向に、その
外観上の斑が絣縞や杢状に長く連続した外観上の疵欠点
がパイル面に出来難くなる。然るに、そのようにする
と、パイル織物の折り曲げられない状態では左右のパイ
ル列のパイルが互いに入り混っているものの、パイル織
物の製織過程ではパイル糸と地経糸の配列順が左右入れ
変わることはなく、左右隣合うパイル列は、その間に配
置されて真っ直ぐに連続する地経糸によって仕切られて
織成されるので、地経糸の長さ方向に折り目を付ける場
合、そのパイル列を仕切っている地経糸を境にして左右
のパイル列に左右にハッキリと分かれてグリンニングが
生じる。このため、椅子カバーその他のグリンニングの
ないパイル織物の縫製品を作ろうとする場合には、地経
糸の長さ方向に折り目が出来ないように、地経糸の長さ
方向を考慮にいれてパイル織物にマーキングし裁断する
と言う方法が採られる。しかし、そのようにパイル織物
の地経糸の長さ方向を考慮にいれて縫製品を設計し裁断
縫製すると言うことは煩わしいことであるし裁断ロスが
多くなる等の不利不便は避けられない。
【0004】
【発明の目的】そこで本発明は、地経糸を間において配
列される左右のパイル糸が形成する左右のパイル列のパ
イルが、地経糸の長さ方向に一層効果的に入り混り、パ
イル糸の外観上の斑があっても、それが絣縞や杢状に現
われてパイル面に疵欠点をつくらず、折り目を地経糸の
長さ方向に付ける場合でもグリンニングが生ぜず、地経
糸の長さ方向を考慮せずにマーキングし裁断縫製し得る
パイル織物を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るパイル織物
は、第1には、1本または数本のパイル糸1と1本また
は数本の地経糸2を交互に並べ、それらのパイル糸1と
地経糸2の間に地緯糸3を打ち込んで織成され、1本ま
たは数本の地経糸2を間において隣合う左右のパイル列
41・42の少なくとも何れか一方のパイル列41の他
方のパイル列42に直接隣合う少なくとも一部のパイル
6Aの根元8Aの上を越えて当該根元8Aを係止する地
緯糸3Xが、それらの左右のパイル列41・42の間に
介在する1本または数本の全ての地経糸2X・2Yの上
を、当該パイルの根元8Aに続いて越えていることを特
徴とする(図1)。第2には、1本または数本のパイル
糸1と1本または数本の地経糸2を交互に並べ、それら
のパイル糸1と地経糸2の間に地緯糸3を打ち込んで織
成され、1本または数本の地経糸2を間において隣合う
左右の各パイル列41・42の互いに左右のパイル列4
1・42に直接隣合う少なくとも一部のパイル61・6
2の根元81・82の上を越えて当該根元81・82を
係止する地緯糸3A・3Bが、それらの左右のパイル列
41・42の間に介在し当該根元81・82に隣合う地
経糸2Cの上を、当該根元81・82に続いて越えてい
ることを特徴とする(図2)。第3には、1本または数
本のパイル糸1と数本の地経糸2(2a・2b)を交互
に並べ、それらのパイル糸1と地経糸2の間に地緯糸3
を打ち込んで織成され、数本の地経糸2M・2N(2a
・2b)を間において隣合う左右のパイル列41・42
の中の一方のパイル列41の他方のパイル列42に直接
隣合う少なくとも一部のパイル61の根元81の上を越
えて当該根元81を係止する地緯糸3Mが、それら左右
のパイル列41・42の間に介在する数本の地経糸2M
・2N(2a・2b)の少なくとも根元81に直接隣合
う地経糸2Mの上を当該根元81に続いて越えており、
他方のパイル列42の少なくとも一部のパイル62の根
元82の上を越える地緯糸3Nが、それら左右のパイル
列41・42の間に介在する数本の地経糸2M・2N
(2a・2b)の中の少なくとも前記一方のパイル列4
1のパイル61の根元81を係止する地緯糸3Mが当該
根元81に続いて上に越えた地経糸2Mに至るまで、そ
れら左右のパイル列41・42の間に介在する地経糸2
M・2N(2a・2b)の中の一部の地経糸2Nの上
を、当該根元82に続いて越えていることを特徴とする
(図5)。第4には、前記第1と第2と第3のパイル織
物において、一つのパイル列41のパイル根元8Aと、
それに隣合う地経糸2A・2Bの上を続けて越えた地緯
糸3Xが、当該パイル列41を第1列目とする少なくと
も第2列目のパイル列42から第4列目のパイル列(4
4)に至るまでの各パイル列42と43、43と44の
何れかの間(42・43)に介在する少なくとも1本の
地経糸2Zの下に潜っていることを特徴とする。その場
合、地緯糸3Xは、好ましくは第2列42と第3列43
の間に介在する地経糸2Zの下に潜らせる(図1)。第
5には、前記第1と第2と第3のパイル織物において、
パイル列4の続く方向に順次打ち込まれてパイルの根元
8Aを係止する少なくとも10本の地緯糸31〜40の
中の1本(3X)が、その根元8Aに直接隣合う地経糸
2X・2Yの上を当該根元8Aから続いて越えているこ
とを特徴とする(図1)。その場合、好ましくは、パイ
ルの根元8Aを係止する少なくとも4本の地緯糸3の中
の1本(3X)が、更に好ましくは、パイルの根元8A
を係止する少なくとも2本の地緯糸3の中の1本(3
X)が、その根元8Aに直接隣合う地経糸2X・2Yの
上を当該根元8Aから続いて越えるものとする。第6に
、前記第1と第2と第3のパイル織物において、パイ
ル糸1が異色の2本以上の糸条を合撚したものであるこ
とを特徴とする。第7には、前記第1と第2と第3のパ
イル織物において、異色の数本のパイル糸1と1本また
は数本の地経糸2が交互に配列されていることを特徴と
する。
【0006】左右のパイル糸の間に数本の地経糸を配列
する場合、その中のパイル糸に隣合わせに続けて配列さ
れる1本または数本の地経糸に他の残りの地経糸よりも
強いテンションをかけると共に、その隣合わせとなるパ
イル糸が下に潜る地緯糸に対してはパイル糸と同時に下
に潜らせ、織成後のパイルの根元の裏側がその強いテン
ションをかけた地経糸によって覆われるようにすること
も出来る。このようにパイルの根元の裏側に廻って当該
パイルの根元の裏側を覆う地経糸は覆経糸と称され、パ
イルの根元の裏側に廻らない他の地経糸は締経糸と称さ
れ、そのように両者は区別して呼称されることがある。
覆経糸は地緯糸の上を越えて係止され、その係止する地
緯糸は締経糸の上を越えて係止されてベース布地が形成
される。その覆経糸を係止する地緯糸は、通常パイルの
根元の上を越えてパイルの根元を係止することなく、覆
経糸と共にパイル織物の裏面を形成する。
【0007】数本のパイル糸が地経糸と交互に配列され
る場合の「左右の地経糸の間に介在する数本のパイル
糸」とは、それぞれ別々の綜絖に通された数本のパイル
糸を意味し、「数本の地経糸」と言う場合の各地経糸も
同様に別々の綜絖に通された数本の地経糸を意味する。
それら交互する纏まった数本のパイル糸と数本の地経糸
は、それぞれ別々の綜絖による別々の開口運動をするも
のであり、本発明において、地経糸に隣合うパイル糸と
は、そのように別々の綜絖に通された数本のパイル糸の
中で、地経糸の綜絖に隣合う綜絖に通されたパイル糸を
意味し、また、パイル列に隣合う地経糸とは、パイル糸
の綜絖に隣合う綜絖に通された地経糸を意味する。従っ
て本発明において、左右隣合う一方または他方のパイル
列の少なくとも一部のパイルとは、地経糸の通される綜
絖に隣合う綜絖に通されたパイル糸が地経糸の長さ方向
に順次打ち込まれる数本の地緯糸に係止されて順次形成
する一連の数個のパイルの中の一部のパイルを意味し、
別々の綜絖に通されて地経糸と地緯糸の間に引き出され
た数本のパイル糸1a・1b・1cの中の左右のパイル
糸1aとパイル糸1bの間に挟まれるパイル糸1cの形
成するパイル6cを意味しない(図4)。しかしこのこ
とは、そのパイル糸1aとパイル糸1cの間に挟まれる
パイル糸1cの形成するパイル6cの根元の上を越える
地緯糸(33・35及び36・32)が、地経糸に隣合
うパイル6bの根元の上を越える地緯糸(32・34及
び35・31)のように、パイル列の間に介在する地経
糸の上を越えてはならない(潜らなければならない)と
言うことを意味するものではない(図4)。
【0008】パイル糸は、順次打ち込まれる各地緯糸
(31・32・33・34)の全てに係止されるパイル
6を連続して形成するものであってもよいが(図6と図
7)、好ましくは、地経糸を間に挟んで隣合う一方のパ
イル糸1aがパイル61を形成するときは他方のパイル
糸1bはパイル(62)を形成しない(図2)と言うよ
うに、左右のパイル糸が交互に1本おき或いは数本おき
にパイルを形成するようにする(図1と図2と図5と図
8)。
【0009】パイル織物は、シングルワイヤーモケット
乃至ウイルトン織機、および、ダブルモケット乃至ウイ
ルトン織機によって織成される。図1と図2に図示する
実施例において、前後一対のカットパイル片7・7によ
って構成される前後のカットパイル6・6のカットパイ
ル片7・7の先端を結ぶ点線9はパイル糸1の連続状態
を示すものであるが、その点線で示す部分9は、シング
ルワイヤーモケット乃至ウイルトン織機においてはワイ
ヤーナイフによってカットされ、また、ダブルモケット
乃至ウイルトン織機においては上下同時に向き合って織
成される他方のパイル織物のカットパイルを形成するこ
とになる。
【0010】各地経糸間に数本のパイル糸を配列し、ジ
ャガードその他の柄出装置によって選択してパイルを形
成し、それによってパイル面に図柄を描出する場合に
は、選択されないパイル糸は地緯糸の下に連続して潜る
ことになるが、そのように連続して潜る部分は、本発明
に言う「パイルの根元」に該当しない。何故なら、その
ようにパイル糸が連続して潜る部分では、選択された他
のパイル糸がパイルを形成するものであり、そのパイル
の根元の上を越える地緯糸が隣合う地経糸の上を続けて
越える場合は本発明の目的が達成されるからである。
【0011】パイルは、ルーズパイル即ちパイルの根元
が1本の地緯糸の下に潜ってV字状に係止されるもので
あってもよいし、フアーストパイル即ちパイルの根元が
2本以上の地緯糸の下に潜ってW字状に係止されるもの
であってもよい。尚、フアーストパイルの場合のよう
に、パイルの根元が2本以上の地緯糸の下に潜って係止
される場合には、そのパイル6aの根元8a・8bが下
に潜る全ての地緯糸31・33(34・36)が、その
パイル糸に隣合う地経糸の上を越えるようにする(図
3)。
【0012】本発明において、一つのパイル列41のパ
イル根元8Aと、それに隣合う地経糸2A・2Bの上を
続けて越えた地緯糸3Xを、当該パイル列41を第1列
目とする少なくとも第2列目のパイル列42から第4列
目のパイル列(44)に至るまでの各パイル列42と4
3、43と44の何れかの間(42・43)に介在する
少なくとも1本の地経糸2Zの下に潜らせるのは、パイ
ル6Aの根元8Aを係止する地緯糸3Xが余り長く地経
糸の上を越えると、地緯糸3Xがベース布地10から浮
き上がった恰好になり、パイル6Aをベース布地10に
係止する係止力が弱くなってパイル6Aが抜け易くなる
からである(図1)。パイル織物は、その用途に応じて
裏打用接着剤を裏打塗布してパイルの根元をベース布地
に接着固定し、或いは、二次基布やクッション材等を裏
打して仕上げられる。地経糸や地緯糸の全部または一部
に熱接着性繊維を混用し、製織後加熱処理してベース布
地とパイルの間や地経糸と地緯糸の間を熱接着性繊維を
介して熱融着して仕上げることも出来る。
【0013】
【作用】本発明において、パイル織物を構成する地経糸
を間において隣合う左右のパイル列の少なくとも何れか
一方のパイル列の他方パイル列に直接隣合う少なくとも
一部のパイルの根元の上を越えて当該根元を係止する地
緯糸が、それらの左右のパイル列の間に介在する地経糸
の上を当該パイルの根元に続いて越えている。つまり、
その地緯糸は、左右のパイル列の間に介在する地経糸の
上に浮き上がった状態にあり、その地緯糸に係止される
パイルも同様に浮き上がった状態になるので、その地緯
糸に係止されたパイルは、製織過程では仕切となってい
た地経糸の上を越えて隣合う他方のパイル列の中へと移
動し得るようになる。その結果、それまで一方のパイル
糸によって形成されていたパイル列には他方のパイル糸
のパイルが、単に先端だけが傾斜して混じり合うのでは
なく、根元から混じり合うことになるので、1本のパイ
ル糸によってだけ形成されるべきパイル列が隣合うパイ
ル糸1本との合計2本が混り合ったパイル列となって織
り上がることになる。
【0014】このため、パイル糸に外観上の斑があって
も、その斑がパイル面に一直線に連続して現われること
なく、パイル糸斑によってパイル面に発生する疵欠点が
回避される。それと共に、そのパイル列の間に配置され
ていた地経糸の上は移動したパイルに覆われるので、地
経糸の上で折り曲げられても、その折り目からベース布
地(地経糸)が現われることなく、グリンニングが回避
される。従って本発明に係るパイル織物5は、各パイル
列4とパイル列4の間に配列されており、パイルの根元
8の上を越えて当該根元8を係止する地緯糸3と共に
ース布地10を形成する1本または数本の全ての地経糸
2(2a・2b)・(2L・2M・2N・2P)の上
に、その左右のパイル列4の中の少なくとも一方のパイ
ル列に含まれる何れかのパイル6が重なっている点にお
いて特徴を有すると言うことが出来る。尚、前記の通
り、パイル織物の裏面において覆経糸を係止する地緯糸
は、パイルの根元の上を越えてパイルの根元を係止する
ことはないので、パイル織物の裏面を構成する覆経糸の
上にパイルが重なっているとしても、そのことによって
本発明に係るパイル織物の特徴が左右されることはな
い。そしてグリンニングが回避されるので、地経糸の長
さ方向を考慮せずにパイル織物を折り曲げて使用する必
要がなく、パイル織物が自由に裁断・縫製し得るように
なる。
【0015】このような効果は、パイル列の続く方向に
順次打ち込まれてパイルの根元を係止する少なくとも1
0本、好ましくは4本、更に好ましくは2本の地緯糸の
中の1本が、その根元に直接隣合う地経糸の上を当該根
元から続いて越えるようにする場合、更には、地経糸を
間において隣合う左右の各パイル列のパイルの根元を係
止する地緯糸がそれぞれ相互にパイル列の間に介在する
地経糸の上をそれらの根元に続いて越えるようにする場
合には顕著に現われ、特に、隣合うパイル列のパイルが
交互に形成される場合は、各パイルは他方のパイルに妨
げられずに当該他方のパイル列の中へと自由に移動し得
るので一層顕著に現われる。
【0016】このようなパイルの移動は、製織後のビー
ティング仕上やシャーリング仕上、或いは、染色・洗浄
・樹脂加工等の仕上工程でパイル織物に物理的外力を加
えると生じるが、そのように仕上工程に通さなくてもパ
イル密度を高密にすれば左右のパイルに押し出されるよ
うにして極く自然にパイルが移動するようになる。
【0017】
【実施例】図1に示すパイル織物5は、パイル糸1本
(1)と地経糸2本(2a・2b)を交互に配列して織
成されている。順次打ち込まれる地緯糸3は、1本おき
に交互にパイル列間41・42の2本の地経糸2a・2
bの下に潜り、それに続く隣のパイル列間42・43の
2本の地経糸2a・2bを越え、各パイル列間の2本の
地経糸2a・2bを1組とし、その2組の地経糸と2本
の地緯糸をもって一完全となる平織組織のベース布地1
0を形成している。隣合う左右のパイル糸は順次打ち込
まれる1本おきの地緯糸の下を交互に潜ってルーズパイ
ル6を形成している。各パイル6の根元8の上を越える
地緯糸3は、そのパイルの片側(図1では左側)に介在
する2本の地経糸2a・2bの上を越えており、各パイ
ルはその地経糸の越える片側(図1では左側)に隣合う
パイル列まで移動し得る。図中、太く示す矢印はパイル
の移動方向を示し、一点鎖線で示すパイルは移動前のパ
イルを示す。
【0018】図2に示すパイル織物5は、1本のパイル
糸1と1本の地経糸2を交互に配列して織成されてい
る。順次打ち込まれる地緯糸3は、左右の地経糸2を交
互に上下し、地経糸2本と地緯糸2本をもって一完全と
なる平織組織のベース布地10を形成している。隣合う
左右のパイル糸1a・1bは、その順次打ち込まれる1
本おきの地緯糸の下を交互に潜ってルーズパイル6を形
成している。各パイルの根元8の上を越える地緯糸3
は、そのパイルの左右何れか片側に介在する地経糸の上
を越えており、各パイルはその地緯糸が越えて片側に隣
合うパイル列まで移動し得る。
【0019】図3に示すパイル織物5は、パイル糸2本
1a・1bと地経糸1本2を交互に配列して織成されて
いる。地経糸2と地緯糸3は、図2に示すパイル織物と
同様に、地経糸2本と地緯糸2本をもって一完全となる
平織組織のベース布地10を形成している。地経糸2本
と交互に配列される2本1組のパイル糸1a・1bの中
の片側(図3では右側)のパイル糸1aは、地経糸を間
に挟んで隣合う同じ側(右側)のパイル糸1aと交互
に、順次打ち込まれる3本おきに3本の地緯糸(31・
32・33又は34・35・36)の中間の地緯糸(3
2又は35)の上を越え、それら3本の地緯糸の中の前
後2本の地緯糸(31・33又は34・36)によって
根元8a・8bが係止されるフアーストパイルを形成し
ている。他の片側(図3では左側)のパイル糸1bは、
先のパイル6aの根元8cが越える地緯糸32・35に
後方の根元(8a)が係止され、先のパイル6aの前方
の根元8bを係止する地緯糸33・35の上を越え、そ
れに続く地緯糸34・31の下に潜って前方の根元(8
b)が係止されるフアーストパイル6bを形成してい
る。各パイルの根元(8a・8b)の上を越える地緯糸
3は、各パイル6a・6bに直接隣合う地経糸2a・2
bの上を越えて平織組織を形成しており、又、各パイル
6a・6bの根元の中間部分8cが地緯糸3の上を越え
ているので、各パイル6は、その根元(8a・8b)を
越える地緯糸3に沿って、隣合うパイル列4へと移動し
得る。
【0020】図4に示すパイル織物5は、図3に示す上
記のパイル織物5の各パイル列4の2本1組となる左右
2本のパイル糸1a・1bの間に更に1本のパイル糸1
cを配列して織成されている。その追加されたパイル糸
1cは、前後の根元(8a・8b)が、図3に示す上記
の左右のパイル1a・1bの根元(8a・8b)が潜る
地緯糸(36・32又は33・35)の下に潜って係止
され、その中間部分(8c)が1本の地緯糸(31又は
34)の上を越えるフアーストパイル6cを形成してい
る。そのパイル6cは同じパイル配列の中の左側のパイ
ル6bと同様に片側(左側)の他のパイル列へと移動し
得るようになっている。本発明において「隣合う左右の
パイル列の少なくとも何れか一方のパイル列の他方のパ
イル列に直接隣合う少なくとも一部のパイル」とは、こ
のように各パイル列4が3本のパイル糸1a・1b・1
cよって構成される場合において、各パイル列4に含ま
れる3本のパイル糸1a・1b・1cの配列の中で、左
右のパイル列の間で隣合うパイル糸1aが形成する複数
個のパイル6aの中の何れかのパイル6a、または、パ
イル糸1bが形成する複数個のパイル6bの中の何れか
のパイル6bを意味する。
【0021】図1〜図4に示す上記のパイル織物5の各
パイル列において、パイルの根元と、その根元に隣合う
地経糸を越える地緯糸は、その地緯糸が隣合うパイル列
が次に隣合う地経糸の下に潜っており、パイルが地緯糸
に沿って隣合うパイル列に向けて移動し得るとしても、
その移動したパイルは更に隣のパイル列へと移動するこ
とはない。
【0022】図5に示すパイル織物は、パイル糸1本
(1)と地経糸2本(2a・2b)を交互に並べ、4本
の地緯糸31・32・33・34を繰り返し打ち込んで
織成されている。ベース布地10は、4本の地経糸2L
・2M・2N・2Pと4本の地緯糸31・32・33・
34をもって一完全とする斜文織組織になっている。即
ち、図の右側から第1番目の地経糸2Lは、第1と第2
番目の地緯糸31・32の上を越え、第3と第4番目の
地緯糸33・34の下に潜っている。第2番目の地経糸
2Mは、第1番目の地経糸2Lとは逆に、第1と第2番
目の地緯糸31・32の下に潜り、第3と第4番目の地
緯糸33・34の上を越えている。第3番目の地経糸2
Nは、第1と第4番目の地緯糸31・34の下に潜り、
第2と第3番目の地緯糸32・33の上を越えている。
第4番目の地経糸2Pは、第3番目の地経糸2Nとは逆
に、第1と第4番目の地緯糸31・34の上を越え、第
2と第3番目の地緯糸32・33の下に潜っている。隣
合うパイル糸は、地緯糸1本おきに交互にルーズパイル
6を形成している。第1と第2番目の地経糸2L・2M
の間に配列されたパイル糸が第1番目の地緯糸31に係
止されて形成するパイル6Lは、第3と第4番目の地経
糸2N・2Pの間に配列されたパイル糸のパイル列42
まで左側に移動し得、第3番目の地緯糸33に係止され
て形成するパイル6Mは、第1と第4番目の地経糸2L
・2Pの間へと右側に移動し得るようになっている。
又、第3と第4番目の地経糸2N・2Pの間に配列され
たパイル糸が第2番目の地緯糸32に係止されて形成す
るパイル6Nは、第4と第1番目の地経糸2P・2Lの
間へと左側へと移動し得、第4番目の地緯糸34に係止
されて形成するパイル6Pは、第2と第3番目の地経糸
2M・2Nの間へと右側へと移動し得る。而して、これ
らのパイル6が各地経糸2L・2M・2N・2P上に移
動して重なるので、地経糸2に沿って折り曲げても、そ
の折り目においてグリンニングは生じない。
【0023】図6と図7は、グリンニングを更に効果的
に防止するためパイル密度を高密にした実施例を図示す
るものである。即ち、図6に図示するパイル織物5は、
図2に示すパイル織物の各パイル糸2が、順次打ち込ま
れる全ての地緯糸31・32・33・34・35・36
………に係止される一越パイル組織になっている。又、
図7に図示するパイル織物5は、図5に示すパイル織物
の各パイル糸2が、順次打ち込まれる全ての地緯糸31
・32・33・34に係止される一越パイル組織になっ
ている。
【0024】図8に図示するパイル織物5は、図5に示
すパイル織物の変形例であり、図5における第1番目の
地緯糸31が第2と第3と第4番目の地経糸2M・2N
・2Pの上を越えており、その第1番目の地緯糸31に
係止されるパイル6Lは、第4と第1番目の地経糸2P
・2Lの間まで、隣合うパイル列42を越えて左側に移
動し得るようになっている。
【0025】図9は従来例を図示するものであり、各地
緯糸3が隣合うパイル糸のパイルを交互に係止している
ので、地緯糸3の長さ方向に出来る折り目にはグリンニ
ングは生じない。しかし、各パイル6の根元8を越えて
当該パイル6を係止する地緯糸3Rは、そのパイル列4
の左右の地経糸2a・2bの下を潜っており、本発明に
おけるように、各地経糸2a・2bの上にパイル6の根
元8が重なることがないので、折り目が地経糸2の長さ
方向に出来るときは、その折り目に沿って地経糸2が一
直線状に続けて現われることになる。
【0026】
【発明の効果】本発明よると、地経糸を間において隣合
うパイル糸の形成するパイルは、地経糸の長さ方向にお
いて、ただ先端だけが傾倒して入り混ざるのではなく、
その根元が移動して隣合うパイル列のパイルと混じり合
うので、パイル糸に外観上の斑がある場合でも、それが
長く絣縞状に続くパイル面に外観上の疵欠点をつくるこ
とはない。
【0027】又、その移動するパイルの根元は、左右の
パイル列間に介在する地経糸の上に重なることになるの
で、地経糸の長さ方向に沿ってパイル織物を折り畳む場
合でもグリンニングは生じない。
【0028】このため、地経糸の長さ方向を考慮せずに
パイル織物に折り目を付けて使用し得、座席表面材やヘ
ッドレスト表面材等の車両内装材のマーキングや裁断縫
製作業が合理化され、又、従来パイル織物の端々に出来
ていた切り残しによるロスを少なくすることが出来る。
【0029】又、異色数本の単糸を合撚したパイル糸を
用いたり、異色数本のパイル糸を交互に配列して選択的
にパイルを形成して霜降調無地柄パイル織物をつくる場
合(図4)、一定の色のパイル片の先端が地経糸の長さ
方向に隣合って続くことがなく、それら異色数種のパイ
ル片が混じり合ったクセのない均一な霜降調無地柄パイ
ル織物を得ることが出来る。このため本発明は、座席表
面材やヘッドレスト表面材等の車両内装材を霜降調無地
柄パイル織物によって縫製する場合に頗る好都合であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイル織物の拡大斜視図である。
【図2】本発明に係るパイル織物の拡大斜視図である。
【図3】本発明に係るパイル織物の拡大斜視図である。
【図4】本発明に係るパイル織物の拡大斜視図である。
【図5】本発明に係るパイル織物の拡大斜視図である。
【図6】本発明に係るパイル織物の拡大斜視図である。
【図7】本発明に係るパイル織物の拡大斜視図である。
【図8】本発明に係るパイル織物の拡大斜視図である。
【図9】従来のパイル織物の拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 パイル糸 2 地経糸 3 地緯糸 4 パイル列 5 パイル織物 6 パイル 7 パイル片 8 根元 9 点線 10 ベース布地

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 地経糸と地緯糸がベース布地を形
    成しており、 パイル糸がベース布地の地経糸と地経糸
    の間において多数のパイルを形成しており、地緯糸がそ
    れら多数のパイルそれぞれの根元の上を越えてベース布
    地にパイルを係止しており、パイル糸の形成するそれら
    多数のパイルが地経糸の長さ方向に並んだパイル列を形
    成しており、隣合う左右のパイル列とパイル列の間に介
    在する地経糸が、隣合う左右のパイル列とパイル列の間
    におけるパイルの移動を止めて、隣合う左右のパイル列
    とパイル列の間を仕切っているパイル織物において、(B) パイル列を構成している多数のパイルの中の一
    部のパイルの根元の上を越えて係止している地緯糸が、
    そのパイル列と隣のパイル列の間に介在し、隣合う左右
    のパイル列とパイル列の間を仕切っている全ての地経糸
    の上を越えており、当該一部のパイルが、その隣合うパ
    イル列とパイル列の間の地経糸による仕切りから解放さ
    れていること を特徴とするパイル織物。
  2. 【請求項2】 前掲請求項1に記載のパイル織物におい
    て、一つのパイル列のパイル根元の上と、当該一つのパ
    イル列に隣合うパイル列との間に介在する全ての地経糸
    の上を続けて越えた地緯糸が、当該一つのパイル列を
    第1列目として第2列目、第3列目、第4列目………と
    順次隣合う少なくとも第2列目のパイル列から第4列目
    のパイル列に至るまでの各パイル列の何れかのパイル列
    とパイル列の間に介在する地経糸の下に潜っていること
    を特徴とする前掲請求項1に記載のパイル織物。
  3. 【請求項3】 前掲請求項1に記載のパイル織物におい
    て、順次打ち込まれてパイルの根元の上を越えてパイル
    を係止する少なくとも10本の地緯糸の中の1本の地緯
    が、その越えるパイルの根元に隣合うパイル列との間
    に介在する全ての地経糸の上を、当該パイルの根元から
    続いて越えていることを特徴とする前掲請求項1に記載
    のパイル織物。
  4. 【請求項4】(A) 地経糸と地緯糸がベース布地を形
    成しており、パイル糸がベース布地の地経糸と地経糸の
    間において多数のパイルを形成しており、地緯糸がそれ
    ら多数のパイルそれぞれの根元の上を越えてベース布地
    にパイルを係止しており、パイル糸の形成するそれら多
    数のパイルが地経糸の長さ方向に並ん だパイル列を形成
    しており、隣合う左右のパイル列とパイル列の間に介在
    する地経糸が、隣合う左右のパイル列とパイル列の間に
    おけるパイルの移動を止めて、隣合う左右のパイル列と
    パイル列の間を仕切っているパイル織物において、(C) 全ての地緯糸が、何れかのパイル列においてパ
    イルの根元の上を越えてパイルを係止しており、隣合う
    パイル列とパイル列の間に介在する地経糸の本数が2本
    であり、 (D) 隣合う2つのパイル列の中の何れか一方のパイ
    ル列を構成している多数のパイルの中の一部のパイルの
    根元の上を越えて係止している地緯糸が、その隣合う2
    つのパイル列とパイル列の間に介在する2本の地経糸の
    中の1本の地経糸であり、当該一方のパイル列に直接隣
    合う地経糸の上を越えており、 (E) 当該隣合う2つのパイル列の中の残りの他方の
    パイル列を構成している多数のパイルの中の一部のパイ
    ルの根元の上を越えて係止している地緯糸が、その隣合
    う2つのパイル列とパイル列の間に介在する2本の地経
    糸の中の残りの1本の地経糸であり、当該他方のパイル
    列に直接隣合う地経糸の上を 越えていることを特徴とす
    るパイル織物。
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