JPH0243793B2 - Patejobokaseisoseibutsu - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はパテ状防火性組成物に関する。 近年建築物や船舶等の火災延焼防止、およびこ
れ等にケーブルを施設したときの壁、床等の貫通
部に於ける延焼防止、或いは煙の漏洩防止のため
にパテ状防火組成物が使用されている。この従来
のパテ状組成物は有機質バインダー通常食塩素高
分子物質と無機充填材としての混合物が使用され
ている。しかし乍らこれ等従来の組成物は塩素を
含有しているために難燃性に優れるとはいえいつ
たん火災が発生すると塩素系有毒ガスが発生し公
害上問題があると同時に金属と接触すると金属を
腐食するという欠点がある。また含塩素高分子化
合物としてクロロプレンを使用した場合には無機
質充填材の添加量が制限され、これ以上使用する
と組成物自体の密着性が低下する難点がある。 この塩素に基づく難点を解消するものとして、
末端にOH基を有する液状ポリブタジエンに水酸
化アルミニウムを添加した組成物が開発されてい
るが、塗布時にシール性並びに密着性に劣り、燃
焼時にダレを生じるという難点がある。 本発明者は上記従来の組成物の難点を解消する
ため研究を続けて来た結果、上記難点のない組成
物の開発に成功し、茲に本発明を完成するに至つ
た。即ち本発明は末端にOH基を有する液状ポリ
ブタジエン100重量部に、平均粒子径10〜20μの
水酸化アルミニウム300〜650重量部、平均粒子径
0.5〜2μの水酸化アルミニウム200〜500重量部、
可塑剤30〜80重量部及び無機繊維５〜50重量部を
主成分として成るパテ状防火性組成物に係るもの
である。 本発明者の研究に依れば、たとえ末端にOH基
を有する液状ポリブタジエンを使用しても、水酸
化アルミニウムとして２種類の特定粒度のものを
特定量使用するときは、全くダレを生じることな
く、シール性並びに密着性等に極めて優れた組成
物が得られることが判明した。 本発明に於いて使用される末端にOH基を有す
る液状ポリブタジエンとしては、従来からこの種
組成物に使用されて来た物が使用され、通常末端
にOH基を有する平均分子量が約1500〜5000で常
温で液状のものであり、分子両末端に反応性の優
れたアリル型の第一級水酸基をもつているブタジ
エンホモポリマーであつて、一分子当りの水酸基
数が１〜４のものが好ましく用いられる。これら
の液状ポリブタジエンとしては、例えば平均分子
量2800、一分子当りの水酸基数2.2〜2.4のものを
示すことができる（出光石油化学株式会社製、商
品名Poly bd 液状ゴム） この際平均分子量があまり低くなりすぎると粘
度が低くなる傾向があり、パテ状になり難くなり
逆にあまり高くなりすぎると粘度が高くなる傾向
があり、作業性が悪くなる恐れがある。 水酸化アルミニウムとしては粒径10〜20μのも
のを該ポリブタジエン100重量部に対し300〜650
好ましくは450〜600重量部及び粒径0.5〜2μのも
のを200〜500好ましくは250〜350重量部使用す
る。この際前者の大粒径の水酸化アルミニウムの
配合量がこの範囲より少ない場合には、難燃性が
低下し、また添加量が上記範囲より多い場合に
は、難燃性は向上するがケーブルシースに対する
密着性が低下し、その結果全体としてシール性が
低下する。また後者の配合量が該範囲より少ない
場合にはケーブルシースに対する密着性が低下
し、全体としてシール性が低下し、添加量が上記
範囲より多い場合には、難燃性が低下すると共に
ケーブルシースに対する密着性もそ害される。 また、本発明においては、上記ポリブタジエン
100重量部に対し、平均粒子径10〜20μの水酸化
アルミニウムと平均粒子径0.5〜2μの水酸化アル
ミニウムの添加量の合計量が750〜900重量部の範
囲が好ましい。 本発明に於いては、可塑剤を上記ポリブタジエ
ン100重量部に対し30〜80重量部好ましくは40〜
60重量部配合する。この可塑剤の添加によりケー
ブルシースが含塩素樹脂たとえばポリ塩化ビニル
シースである場合の該シースからの可塑剤の本発
明組成物への移行を防止することが出来る。尚該
可塑剤の移行は含塩素樹脂シースの機械的並びに
電気的特性を低下させる。この際使用される可塑
剤としてはたとえばジメチルフタレート、ジヘプ
チルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソ
デシルフタレート、トリクレジルホスフエート、
トリフエニルホスフエートが使用できるが、トリ
クレジルホスフエートが最適である。 また、本発明の組成物では、無機繊維を添加す
ることによつて、他の特性を損なうことなく火災
時のダレを防止することができる。 これらの無機繊維としては、石綿、ロツクウー
ル、ガラス繊維、セラミツクフアイバーを単独あ
るいは混合で使用することができ、その添加量は
液状ポリブタジエン100重量部に対し、５〜50重
量部、好ましくは10〜40重量部であつて、添加量
がこの範囲より少ない場合にはダレの防止効果が
低下し、多い場合には、ケーブルシースに対する
密着性が低下する。 また、本発明においては、必要に応じて金属石
ケン等の安定剤、着色顔料、体質顔料等の顔料を
添加することができる。 以下に実施例、比較例を示す。なお、部、％と
あるのは、夫々重量部、重量％を示す。 実施例 １ 末端にOH基を有する液状ポリブタジエン（商
品名：Poly bd、グレード Ｒ―45D、出光石
油化学(株)製、一分子当りの水酸基数2.2〜2.4、
平均分子量2800） 100部 水酸化アルミニウム（平均粒子径17μ） 526部 水酸化アルミニウム（平均粒子径1μ） 300部 トリクレジルホスフエート 50部 ステアリン酸アルミニウム ５部 酸化チタン ３部 カーボンブラツク 0.05部 石 綿 24部 を〓和機にて〓和し、パテ状の組成物を得た。得
られた組成物の物性を試験した結果、針入度は
80、酸素指数は100であり、ポリ塩化ビニール樹
脂の重量変化率は1.0％であつた。 尚上記各物性の測定方法は下記の通り。 １） 針入度 JIS Ａ 5754に規定された方法で行い、荷重
を50ｇとして測定した。 ２） 酸素指数 JIS Ｋ 7201によつて測定した。 ３） ポリ塩化ビニール樹脂の重量変化率（％） ケーブルシースと同一材質のポリ塩化ビニー
ル樹脂を試料とし、これを組成物中に包埋し、
100℃で10日間加熱した後の重量変化から次式
で求めた。 重量変化率（％）＝浸漬前の試験片重量−浸漬後
の試験片重量／浸漬前の試験片重量×100 実施例 ２ 石綿に代えてセラミツクフアイバーを使用した
以外は実施例１と同様にして製造し、試験した結
果、実施例１と同様の結果が得られた。 比較例 １ 実施例１と同様の液状ポリブタジエン 100部 水酸化アルミニウム（平均粒子径17μ） 826部 トリクレジルホスフエート 50部 ステアリン酸アルミニウム ５部 酸化チタン ３部 カーボンブラツク 0.05部 石 綿 24部 を実施例１と同様に混練し、組成物を得たが、得
られた組成物はだんご状となり、パテ状にはなら
なかつた。 比較例 ２ 実施例１と同様の液状ポリブタジエン 100部 水酸化アルミニウム（平均粒子径1μ） 826部 トリクレジルホスフエート 50部 ステアリン酸アルミニウム ５部 酸化チタン ３部 カーボンブラツク 0.05部 石 綿 24部 を実施例１と同様に混練し、組成物を得たが、得
られた組成物は粉末状であつて、パテ状にはなら
なかつた。 実施例 ３ ポリ塩化ビニール樹脂シースのグループ・ケー
ブル（電線の束）を床面の貫通孔を通して設置し
たものに実施例および比較例で製造して得た組成
物を充填したものと試験体とし、JIS Ａ 1304に
従つて、加熱等級２時間加熱による耐火試験を行
つた結果を第１表に示す。 なお、第１表中試料No.１〜２は実施例１〜２を
示し、1′〜2′は比較例１〜２を示す。

【表】 以上の結果から明らかなように、本発明のパテ
状防火性組成物は、ケーブルシース及び床面への
密着性が良く、したがつてシール性に優れてお
り、しかも加熱時にダレも生じないので、延焼防
止効果に優れ、良好なパテ状防火性組成物となつ
た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 末端にOH基を有する液状ポリブタジエン
   100重量部に、平均粒子径10〜20μの水酸化アル
   ミニウム300〜650重量部、平均粒子径0.5〜2μの
   水酸化アルミニウム200〜500重量部、可塑剤30〜
   80重量部及び無機繊維５〜50重量部を主成分とし
   て成るパテ状防火性組成物。 ２ 平均粒子径10〜20μの水酸化アルミニウムと
   平均粒子径0.5〜2μの水酸化アルミニウムの合計
   量が上記ポリブタジエン100重量部に対し750重量
   部以上である特許請求の範囲第１項記載の組成
   物。