JPH0243725Y2

JPH0243725Y2 -

Info

Publication number: JPH0243725Y2
Application number: JP12414584U
Authority: JP
Priority date: 1984-08-14
Filing date: 1984-08-14
Publication date: 1990-11-20
Also published as: JPS6140229U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は成形用積層体に関するものである。さ
らに詳しくは、自動車内装材、建材、家具、家庭
品用外装材、玩具等の用途に好適な成形可能な布
帛張り積層体に関するものであり、特に絞り比の
大きな深絞り成形体用として好適な成形用積層体
に関するものである。

（従来の技術）布帛を例えばプラスチツクスシートに貼り合わ
せた複合シートとなし、この複合シートを熱成形
あるいは真空成形により一挙に所望の形状に成形
してしまうことが提案されている。

しかし、このような能率的な成形法を採用する
ために、重要な必須条件は、積層体の接着層が成
形中に、成形温度に耐え、接着強度的にも満足
し、それぞれ繊維層、支持体層とはく離すること
なく成形加工時に十分に伸長できること、更に
は、成形後の形状安定性が十分にあることであ
る。

しかしながら、上記必須条件を満たす接着層は
これまで見い出すことはできながつた。

従来、繊維層と支持体層との貼り合わせには、
接着剤としてエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、
SBR，NBR、天燃ゴム、ポリウレタン等の樹脂
の溶剤系、水系の溶液または分散液が用いられて
おり、それらの蒸着剤による接着層は上記樹脂の
乾式膜より形成されている。従つて、接着層自身
の伸縮性が十分でないことから、成形時に該接着
層に応力が集中し易く、局部的な強い力が作用す
るので、成形時に局部的な破壊によつてはく離
し、成形ができなかつたり、また、得られた成形
品が実用上で耐久性がなく、製品とならない。

すわわち、接着層自身の伸縮性が不十分でない
ことから、特に絞り比の大きい成形品を作ると
き、タテ・ヨコ方向の伸びのバランスが悪くて成
形が難しくなる。また、たとえ伸縮性のみを大き
くしても、絞り比の大きい成形品の場合は、成形
後に繊維層が元の形に戻ろうとする力のためにコ
ーナ部において繊維層が浮き上つてはく離した
り、また成形時の伸びの大きい部位と小さい部位
とで厚さ・密度の変化が生じ、これが外観を悪く
してその商品価値を低下せしめることになるので
ある。

要約すれば、接着層自身に十分な伸縮性と繊維
層及び支持体層の成形時の伸縮に対しての十分な
緩衝性がないため、成形時に接着層が破断し、繊
維層や支持体層との間ではく離を生じて、その剥
離部分が空洞となり、成形品の表面に部分的な凹
凸（エクボ状凹凸）が生じるのである。更に、繊
維層のソフトな触感、柔軟性が乾式膜化された接
着層の介在によつて阻害される。

（発明が解決しようとする問題点）本考案は上述のような従来技術での問題を解消
すべくなされたものであり、接着層を改良するこ
とによつて、成形性を悪くしていた上述の原因を
軽減せしめ、耐久性、触感、柔軟性などが大幅に
向上した成形用積層体を提供することにある。

（問題を解決するための手段）かかる本考案の目的は、繊維層と接着層と支持
体層とからなる成形用積層体であつて、上記接着
層は微小中空体または熱膨張によつて形成された
空隙を有することを特微とする成形用積層体によ
り達成される。

即ち、本考案は従来用いられていたような接着
剤の樹脂液に微小中空体または熱膨張によつて空
隙を生じる物質を混在させ、接着層を多孔化する
ことを特微とするものである。

（実施例）図は本考案を例示する成形用積層体の概略断面
図であり、１は繊維層、２は支持体層、３は微小
中空体または熱膨張によつて形成された空隙が混
在した接着層、４は微小中空体または熱膨張によ
つて形成された空隙５は接着剤の樹脂部である。

本考案で使用する繊維層としては不織布、編織
物、パイル織物などの布帛状物など成形可能なも
のであればいずれも適用可能であるが、好ましく
は有孔繊維層、即ち、穿孔布帛状物がよく、さら
に望ましくは有孔立毛布帛からなるものがよい。
また、布帛状物の組織は成形時のバランスした伸
縮性を与えるため経編地とすることも好ましい。
経編地のフロントを構成する非伸縮性繊維として
は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、
ポリプロピレンなどの合成繊維が好適であり、か
つその経編地の編成性の点から長繊維であること
が望ましい。特に、成形品が自動車用途、とりわ
けインストルーメントパネルなどのような苛酷な
耐光堅牢度を必要とする用途に対してはポリエス
テル繊維の、しかも長繊維が最も好適である。

また、経編地のバツクを構成する伸縮性繊維とし
ては、高伸縮性でかつ耐熱性の低いポリウレタン
弾性糸が好適である。

本考案において接着層に使用できる接着剤とし
てはポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着
剤などが挙げられるが、特に好ましいのは、ウレ
タン系接着剤で、生成分が変性ポリウレタン樹脂
からなるものがよい。

本考案においては、上述のような接着剤の樹脂
液に微小中空体または熱膨張によつて空隙を形成
する例えば液体膨張剤を内包した熱可塑性重合体
粒子を混在させたものを使用することが重要であ
る。

本考案において使用可能な微小中空体として
は、マイクロバルーンと呼ばれるもので、シラス
バルーン・中空ガラスビーズ・発泡パーミキユラ
イト・フライマツシユ等の無機系物質あるいは発
泡プラスチツクビーズなどの有機系物質が適用可
能である。これらはかさ比重が0.01〜0.42のもの
が好ましい。

一方、熱膨張によつて空隙を形成する膨張剤内
包熱可塑性重合体粒子としては、例えば特公昭42
−26524号公報に示されているような熱膨張性粒
子であり、使用する樹脂液は該粒子の熱可塑性重
合体殻を破壊せず、且つ膨張を阻害しないやわら
かさを有する樹脂の溶剤系、水系溶液または分散
液である。更に詳細には、プロパン、ブタン、イ
ソブタン、ペンタン、ヘキサン等の揮発性流体膨
張剤を、塩化ビニリデンーアクリロニトリルージ
ビニルベンゼンコポリマー、メチルメタアクリレ
ートーアクリロニトリルージビニルベンゼンコポ
リマー等の熱可塑性重合体殻中に内包した粒子で
ある。

中空体または熱膨張性粒子は平均直径１〜
200μのものを用いるのがよい。平均直径が1μ未
満の場合には得られる接着層の構造がかなり乾式
膜化したものになり、一方、200μを越えると、
得られる接着層の構造が粗大な空隙を有する多孔
構造になり、接着層の強度を低下させるので好ま
しくない。

なお、熱膨張性粒子は、樹脂液への混入に先立
つて熱膨張させておいてもよいし、混入に際し接
着後塗布前に熱膨張させてもよく、更に接着剤の
乾燥固化を兼ねて加熱膨張させてもよい。

次に、本考案で使用される支持体層としては、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンな
どの発泡体シート、ポリアミド、エチレンー酢酸
ビニル、塩化ビニールなどの単独あるいは共重合
体シートなど積層成形可能な単板あるいは発泡体
シート状物であればいずれも適用可能である。な
お、該支持体層に適当な穿孔を設けることは、柔
軟性及び接着性の助成には有意義である。

（考案の効果）上述したように本考案の成形用積層体は、接着
層が多孔化されているため、低応力で二次元的に
タテ・ヨコがバランスのとれた大きな伸長性を有
するため、深絞りであつても全面に均一に伸長を
行ない得る。しかも多孔化により成形後に繊維層
あるいは支持体層が元の形に戻ろうとする力が吸
収・緩和されるので、成形後にコーナー部での浮
き上りが確実に抑制され、外観の均一な優れた積
層複合体の成形品を得ることが可能となる。

更に、成形時あるいは実用時の接着層への応力
集中が多孔化により軽減され、接着層部の局部破
壊が起り難くなつて剥離発生がなくなり、かつ耐
久性の向上が著しい。また、接着層の多孔化に
より積層されている繊維層本来の触感、柔軟性が
阻害されない。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実例を示す部分を拡大断面図であ
る。１……繊維層、２……支持体層、３……接着
層、４……微小中空体または熱膨張によつて形成
された空隙、５……樹脂部。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

繊維層と接着層と支持体層とからなる成形用積
層体であつて、上記接着層は微小中空体または熱
膨張によつて形成された空隙を有することを特徴
とする成形用積層体。