JPH0243555Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、ダイカスト鋳造法等の射出鋳造機に
利用される射出鋳造用金型に関し、特に固定、可
動両金型の型閉め時に対面する相手側、例えば可
動金型のキヤビテイ部表面に衝合させる固定中子
を組込み備えた金型の型構造に関する。

＜従来の技術＞ 此種、固定中子を組込み備えた金型を用いての
射出鋳造にあつては固定、可動両金型の型閉め時
に、固定中子の合せ面を対面する相手側のキヤビ
テイ部表面に隙間なく密接状に衝合させないと鋳
バリの発生原因になるため、固定中子の合せ面を
隙間なく密接状に衝合させることが、鋳バリのな
い製品を射出成形する上で非常に重要である。

しかし乍ら、固定中子を組込み備えた従来の金
型構造は、型体のキヤビテイ部から型背面側に貫
通状に穿設した段付嵌挿孔の型背面側大径孔部内
に固定中子の後端鍔部を嵌め込み、挿入させて主
型への型体の組合み取付けによつて中子部をキヤ
ビテイ部から所定の突出量でもつて突出させて保
持する型構造であるため、固定中子の製作加工に
手間が掛り、此種の固定中子を組込んで製作構成
する金型にあつてはその製作費用が高騰になつて
いるのが現状である。

然るに、固定、可動両金型の型分割面を密接状
に型合せした状態で固定中子の合せ面を対面する
相手側のキヤビテイ部表面に隙間なく密接状に衝
合させるためには、固定中子の高さ方向の寸法、
即ち中子部突端の合せ面から型体の主型への組込
み取付けにより該主型の型表面に衝合係止させる
鍔部の鍔面までの寸法を極めて高い寸法精度で製
作加工しなければならず、すると極めて高い加工
技術が要求される結果になつて、上述した不具合
が生じるものである。

しかも、固定中子は射出充填された高温の溶湯
からの入熱によつて熱膨張を来たすものであるた
め、上述した寸法精度を出すにあたつて固定中子
の熱膨張率を考慮しなければならず、現状の金型
構造では不可能であつた。

＜考案が解決しようとする問題点＞ 本考案が解決しようとする問題点は、固定中子
を高い寸法精度に製作加工しなくとも、型閉め時
に固定中子の合せ面を相手側のキヤビテイ部表面
に隙間なく密接状に衝合させることを可能ならし
めた金型を提供することにある。

＜問題点を解決するための手段＞ 上記問題を解決するために本考案が講じる技術
的手段は、キヤビテイ部を備え且つそのキヤビテ
イ部表面から型背面側に貫通状に穿設した段付嵌
挿孔に鍔付固定中子を嵌挿備えた型体を、主型と
組合せて構成する金型に於いて、型体を取付ける
主型の型取付面及び型体の型背面を表面仕上げし
て両型を密接状に組合せると共に、段付嵌挿孔の
大径孔部の開孔深さを、固定中子の鍔厚よりも深
く形成したことである。

＜作用＞ 本考案は、固定中子の後端鍔部を嵌め込み挿入
する型体に穿設された段付嵌挿孔の大径孔部の開
孔深さを、該鍔部の鍔厚よりも深く形成すること
で、固定中子を型体の段付嵌挿孔に進退摺接動自
在に嵌挿備える。そして、表面仕上げ加工を施し
た型体の型背面を主型の型取付面に密接状に型合
せ取付けることで、段付嵌挿孔の大径孔部の内部
面と固定中子の鍔部端面及び主型の型取付面とに
よつて構成される空間内に入り込んだエアーが型
外に抜けるのを阻止し、固定中子の後退移動によ
る前記空間容積の減小によつて該空間内に固定中
子を前進方向に押圧するエアークツシヨン層が作
られる様にして、型閉め時に固定中子の合せ面を
対面する相手側のキヤビテイ部表面に隙間なく密
接状に衝合押圧させる。

＜実施例＞ 本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、
金型Ａは射出鋳造機、例えばダイカスト鋳造機の
固定盤b₁に取付セツトする固定金型a₁と、可動盤
b₂に取付セツトする可動金型a₂との組からなり、
前記固定金型a₁を構成する型体１０１に固定中子
１を進退摺接動自在に嵌挿備え、固定、可動両金
型a₁，a₂の型閉め時に固定中子１の合せ面２を可
動金型a₂の対面するキヤビテイ部３表面３ａに隙
間なく密接状に衝合させる。

固定、可動両金型a₁，a₂は、キヤビテイ部３，
４を備えた型体１０１，２０１と、この型体１０
１，２０１を取付る主型１０２，２０２との組合
せによつて構成する周知の組合せ形式の型構造で
ある。

型体１０１，２０１は、周知の大きさで両表面
を平面状に切削加工した盤状に形成すると共に、
その一側型表面にキヤビテイ部３，４を刻設した
周知の入れ子型構造に形成する。

そして、型体１０１の型背面５を表面仕上げ加
工を施して鏡面にすると共に、キヤビテイ部３か
ら型背面５側に貫通状に段付嵌挿孔６を穿設す
る。

段付嵌挿孔６は、固定中子１を進退摺接動自在
に嵌挿備えるためのもので、型体１０１の型背面
５側にその背面５より所望の開孔深さで、即ち後
述する固定中子１の鍔部１ａの鍔厚よりも深く形
成した大径孔部６ａと、この大径孔部６ａと係止
段部６ｂを介して連通させ、型体１０１のキヤビ
テイ部３に向けて形成した小径孔部６ｃとで段付
状に構成する。

固定中子１は、段付嵌挿孔６の大径孔部６ａの
孔径と同径とし、その大径孔部６ａの開孔深さよ
りも薄く加工した鍔部１ａと、段付嵌挿孔６の小
径孔部６ｃの孔径と同径とし、その小径孔部６ｃ
の開孔深さよりも長く加工した中子部１ｂとで同
一体に連設形成し、段付嵌挿孔６に型体１０１の
型背面５側より嵌挿して型体１０１に備える。

主型１０２，２０２は、型体１０１，２０１と
同様に両表面を平面状に切削加工した盤状に形成
してその一側表面を型体１０１，２０１を型合せ
取付ける型取付面７，８とする。

そして、主型１０２の型取付面７を更に表面仕
上げ加工を施して鏡面とし、固定中子１を嵌挿備
えた型体１０１を密接状に型合せ締結固定せしめ
て固定中子１を進退摺接動自在に組込んだ固定金
型a₁を組合せ構成する。

而して、斯る実施例は固定金型a₁を構成する型
体１０１に穿設した段付嵌挿孔６の大径孔部６ａ
の開孔深さ内で固定中子１を進退摺接動自在に嵌
挿備えると共に、鏡面とした型体１０１の型背面
５と主型１０２の型取付面７との密接状の型合せ
によつて、段付嵌挿孔６の大径孔部６ａの内周面
と固定中子１の鍔部１ｂ端面及び前記型取付面７
とにより緊密な空間９を型内に構成備え、そし
て、該空間９内に入り込んだエアー（外気）が型
閉め時における固定中子１の後退移動に伴う空間
９容積の減小によつて固定中子１の前進方向に押
圧するエアークツシヨン層が作られる型構造とし
て（第１図及び第２図）、固定中子１の合せ面２
を可動金型a₂のキヤビテイ部３、表面３ａに隙間
なく密接状に衝合させる様にしたものである（第
１図）。

そして、固定中子１は型開きに伴つてエアーク
ツシヨン層の押圧力と鋳造された製品Ｂの凝固収
縮による把握力によつて鍔部１ｂが係止段部６ｂ
に付き当るまで前進移動し（第３図）、その前進
限において次の鋳造シヨツトまで待機する。

＜考案の効果＞ 本考案の金型は叙上の如く、キヤビテイ部を備
え且つそのキヤビテイ部表面から型背面側に貫通
状に穿設した段付嵌挿孔に鍔付固定中子を嵌挿備
えた型体を、主型と組合せて構成する金型に於い
て、型体を取付ける主型の型取付面及び型体の型
背面を表面仕上げして両型を密接状に組合せると
共に、段付嵌挿孔大径孔部の開孔深さを、固定中
子の鍔厚よりも深く形成した型構造としたので、
固定中子を高い寸法精度に製作加工しなくとも、
型閉め時に固定中子の合せ面を相手側のキヤビテ
イ部表面に隙間なく密接状に衝合させることが出
来る。

よつて、鋳バリの発生を確実に阻止したノーバ
リ金型を安価で提供出来る。

よつて、所期の目的を達成し得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は縦断正
面図、第２図は固定中子の前進限における待機状
態を示す縦断正面図、第３図は型開き時に固定中
子から製品が脱型される状態を示す縦断正面図で
ある。 尚、図中、Ａ：金型、１０１，２０１：型体、
１０２，２０２：主型、１：固定中子、１ｂ：鍔
部、２：合せ面、３，４：キヤビテイ部、５：型
体の型背面、６：段付嵌挿孔、６ａ：大径孔部、
７，８：主型の型取付面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キヤビテイ部を備え且つそのキヤビテイ部表面
   から型背面側に貫通状に穿設した段付嵌挿孔に鍔
   付固定中子を嵌挿備えた型体を、主型と組合せて
   構成する金型に於いて、型体を取付ける主型の型
   取付面及び型体の型背面を表面仕上げして両型を
   密接状に組合せると共に、段付嵌挿孔の大径孔部
   の開孔深さを、固定中子の鍔厚よりも深く形成し
   たことを特徴とする射出鋳造用金型。