JPH0242148B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、変速弁により最高速変速段と他の変
速段との間に変速が可能であり、最高速変速段へ
の変速を適宜、禁示し得る自動変速機の変速制御
装置に関する。

従来の技術 従来の自動変速機の変速制御装置では、車速と
例えば絞り弁開度のようなエンジン負荷とを座標
軸とする座標平面に変速線が定義され、車速とエ
ンジン負荷とにより変速段が決められている。運
転者は強い加速を欲する場合は加速ペダルを高速
で踏込む傾向があるが、このような従来の変速制
御装置では、加速ペダルの踏込み速度と最高速変
速段の解除との間になんら関係がなく、十分な加
速を得ることが困難な場合があつた。

発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、最高速変速段の禁示制御に加
速ペダルの踏込み速度を関連させ、その関連のさ
せ方を車速やエンジン負荷などの走行状態に応じ
て変えることにより加速性を改善することができ
る自動変速機の変速制御装置を提供することであ
る。

問題点を解決するための手段 本発明に係る自動変速機の変速制御装置は、吸
気スロツトル開度等のエンジン負荷に対応するエ
ンジンパラメータを検出するエンジン負荷センサ
と、このエンジン負荷センサの出力信号を例えば
微分処理することによりエンジン負荷の変化速度
を求めるエンジン負荷変化率検出回路と、変速弁
により最高速変速段と他の変速段との間で変速が
可能で、最高速変速段への変速を適宜阻止する最
高速変速段解除手段とを具える。エンジン負荷検
出回路から求められるエンジン負荷増大速度が、
同一のエンジン負荷では車速が高い場合ほど高い
値になるよう設定されかつ同一の車速ではエンジ
ン負荷が低い場合ほど高い値になるよう設定され
る設定値以上である場合、最高速変速段解除手段
は最高速変速段を解除、すなわち最高速変速段以
外の他の変速段へ切換える機能をもつ。

発明の効果 このように運転者がアクセルペダルを高速で踏
込んだ場合のように、エンジン負荷増大速度が設
定値以上となる場合は、最高速変速段が解除され
る。このような最高速変速段の解除の制御は、エ
ンジン負荷が同一あれば高速の場合ほどアクセル
ペダルをよく速く踏むことにより、また車速が同
一であればエンジン負荷が小さい場合ほどアクセ
ルペダルをより速く踏むことにより行なわれ、そ
のため運転者のアクセルペダルの踏み込み速度に
表われる加速要求に応じた加速特性を得ることが
でき、この結果、加速性能を改善することができ
る。

実施例 以下、図面について本発明を説明する。

第１図において自動変速機の変速制御装置は電
磁式変速弁を有し、自動変速機の歯車装置および
油圧制御装置は例えば特願昭53−92528号に記載
されている従来装置と同様な構成である。開度セ
ンサ１は、第２図に示されるように、気化器絞り
弁の開度Ａ１に関係した電圧Ｂ１を発生する。気
化器絞り弁は運転室のアクセルペダルに連動して
おり、開度Ａ１はエンジン負荷に対応する。開度
センサ１の出力は微分器２、比較器３、および保
持回路４を介して加算器５へ送られる。微分器２
の出力は絞り弁の開き速度、したがつてエンジン
負荷の変化速度に対応する。保持回路４は比較器
３の出力を所定時間、例えば２秒間保持する。開
度センサ１の出力はまた、加算器５へ直接送られ
る。加算器５は、絞り弁開度の検出値を絞り弁の
開き速度の検出値により補正した値を出力として
発生する補正手段として機能し、開度センサ１の
出力と保持回路４の出力とを加算する。加算器５
および車速センサ６の出力はコンピユータ７へ送
られ、コンピユータ７は変速段決定手段としてこ
れらの信号に基づいて変速段を決定し、この決定
に従つて直流電源１０から１−２変速弁３および
２−３変速弁９への付勢電流を制御する。１−２
変速弁８および２−３変速弁９は、コンピユータ
７によつて操作される電磁弁であり、第１速用摩
擦係合装置、第２速用摩擦係合装置、および第３
速用摩擦係合装置へのライン圧の供給を制御す
る。この変速制御装置は１−２変速弁８と２−３
変速弁９との２個の変速弁をもつので、最低速変
速段は第１速、最高速変速段は第３速となる。

微分器２は開度センサ１の出力を微分する。し
たがつて絞り弁の開き速度Ａ２と微分器２の出力
Ｂ２との関係は第３図に示されるようになる。比
較器３は、微分器２の出力の符号に関係して微分
器２から保持回路４へ送られる信号を制御する。
すなわち、絞り弁の開き速度（微分器２の出力電
圧Ｂ２）が負であるとき、換言すれば減速時、比
較器３の出力は零になる。他方、絞り弁の開き速
度が正であるとき、換言すれば加速、比較器３は
微分器２の出力をそのまま保持回路４へ送る。保
持回路４により微分器２の出力信号は、この出力
信号に対して変速弁８，９が実際に応答するまで
保持される。加算器５は保持回路４の出力電圧と
開度センサ１の出力電圧とを加算してコンピユー
タ７へ送る。車速センサ６は第４図に示されてい
るように、車速Ａ３に関係した出力電圧Ｂ３を発
生してコンピユータ７へ送る。

第５図において横軸は車速Ａ３を示し、縦軸は
絞り弁の開度Ａ１を示している。第５図の特性線
１５は車速と絞り弁開度との２つのパラメータに
よつて変速を実施する従来装置における２−３変
速特性を示しており、上側は第２速領域であり、
下側は最高速変速段としての第３速領域である。

車両が最初に第５図の個所１６の状態、すなわ
ち車速60Km／ｈおよび絞り弁開度20％で運転され
ていたとする。次に運転者がアクセルペダルを急
激に踏み込んで絞り弁の開度が、開き速度200
％／ｓで開度30％（第５図の個所１７）に変化し
たとする。従来装置では、個所１７はなお最高速
変速段としての第３速領域であるので、ダウンシ
フト、すなわち最高速変速段の解除は実施されな
い。本発明の実施例では絞り弁の200％／ｓの開
き速度のために1Vの電圧が微分器２から比較器
３、および保持回路４を介して加算器５へ送ら
れ、加算器５において30％の絞り弁開度に相当す
る電圧3Vと微分器２からの電圧1Vとが加算され
る。こうして加算器５から4Vの電圧、すなわち
絞り弁開度40％（第５図個所１８）に相当する電
圧がコンピユータ７へ送られるので、コンピユー
タ７は、最高速変速段としての第３速を解除し、
すなわち２−３変速弁９を操作して第２速へのダ
ウンシフトが実施される。したがつてコンピユー
タ７は最高速変速段解除手段として機能する。ア
クセルペダルが踏み込まれてから自動変速機が応
答するまでの時間遅れを考慮して、保持回路４は
微分器２の出力を所定時間保持するが、車速は増
大し、その後保持回路４の出力は零となるので、
自動変速機の状態は個所１７を通る水平線１９上
へ移行する。

第５図から分かるように、最高速変速段を解除
する、すなわち最高速変速段から他の変速段への
ダウンシフトを実施する絞り弁の開き速度、した
がつてエンジン負荷の増大速度は、同一のエンジ
ン負荷、すなわち同一の絞り弁開度では車速が高
い場合程、高い値となり、最高速変速段の解除を
高速時には抑制する。さらに第５図から同様に分
かるように、最高速変速段を解除するエンジン負
荷の増大速度は、同一の車速ではエンジン負荷、
したがつて絞り弁開度が低い場合程、高い値とな
り、最高速変速段の解除を低エンジン負荷時では
抑制する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る実施例の構成図、第２図
は第１図の開度センサの特性を表わす図、第３図
は第１図の微分器の特性を表わす図、第４図は第
１図の車速センサの出力を表わす図、第５図は第
１図の装置の作動を説明するための図である。 １……開度センサ（エンジン負荷センサ）、２
……微分器（エンジン負荷変化率検出回路）、７
……コンピユータ（最高速変速段解除手段）、９
……２−３変速弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 変速弁により最高速変速段と他の変速段との
   間で変速が可能で、最高速変速段への変速を適宜
   阻止する最高速変速段解除手段を備えた自動変速
   機において、エンジン負荷センサと、このエンジ
   ン負荷センサからの信号を処理してエンジン負荷
   の変化速度を求めるエンジン負荷変化率検出回路
   とを備え、該回路からの信号により、エンジン負
   荷増大速度が、同一のエンジン負荷では車速が高
   い場合ほど高い値になるよう設定されかつ同一の
   車速ではエンジン負荷が低い場合ほど高い値にな
   るよう設定される設定値以上の時、前記最高速変
   速段解除手段を作動させて最高速変速段を解除す
   るよう構成したことを特徴とする自動変速機の変
   速制御装置。