JPH0241358Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、自動車内燃機関に使用される電動式
の燃料ポンプに関する。

〈従来の技術〉 従来から、自動車内燃機関において、燃料タン
ク内に電動式の燃料ポンプを設け、この燃料ポン
ブによりタンク内の燃料を機関の燃料供給系統へ
供給することが行われている（実開昭59−110373
号公報参照）。

第３図はその燃料タンク内に設けられる燃料ポ
ンプの従来例を示す。

同図に示す燃料ポンプは、筒状のケーシング１
内の下部にロータリポンプ部２が配設され、上部
に電動モータ部３が配設されている。モータ部３
とポンプ部２とは、ケーシング１内を縦貫するロ
ータリシヤフト４を互いに共通の軸とすることに
より、相互に連結されている。

モータ部３は、アーマチユア（回転子）５、磁
界発生用マグネツト（固定子）６、カーボンブラ
シ７及びコンミテータ８などによつて構成され
る。アーマチユア５は、ロータリシヤフト４の上
部に連結される。また、マグネツト６は、アーマ
チユア５に対向するケーシング１の内側部分に環
状に配設される。

ロータリポンプ部２は、ロータ９とロータハウ
ジング１０によつて構成される。ロータハウジン
グ１０はロータ９を収納する部分であつて、ケー
シング１側に固着される。このロータハウジング
１０は、ポンプヘツド１１、ポンプリング１２及
びポンププレート１３などからなつている。ロー
タ９は、ロータリシヤフト４の下部に偏心状態で
連結される。１３ａはポンプ部２の吐出口を示
す。

また、図示を省略するが、ロータ９の周囲には
適宜数の溝が凹設され、この溝にローラベーンが
進退自在に収納される。ローラベーンは、ロータ
９の回転に伴う遠心力などによつて、ポンプリン
グ１２の内周面に密に押付けられながら施回運動
する。このとき、ローラベーン、ロータ９及びポ
ンプリング１２によつて隔成される部分の容積が
変化することにより、ポンプ作用が行われる。

以上のような構成により、図中に矢印で示すよ
うに、燃料タンク内の燃料は、ケーシング１の下
端側から、ポンプ部２及びモータ部３をそれぞれ
経て、ケーシング１の上端側へ送られ、燃料ダン
パ１４を介して機関の燃料供給系統へ圧送され
る。

さらに、上述した燃料ポンプでは、ポンプの吸
込側つまりケーシング１の下端側が、目の細かい
金属網などからなる外部フイルタ１５で覆われて
いる。これにより、燃料タンク内に浮遊している
かもしれない微少な固形異物が燃料ポンプ内に吸
込まれることを防ぐようにしている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかしながら、この種の燃料ポンプでは、例え
ば上述したように、その吸込側を外部フイルタ１
５で覆うことにより、外部の異物が燃料ポンプ内
に侵入することは一応防ぐことができるものの、
例えばモータ部３のハンダ付け部に残つていたハ
ンダボールなどのように、ケーシング１内に最初
から異物１６が紛れ込んでいると、この内部の異
物１６が落下してポンプ部２の回転部分と固定部
分との間のわずかなクリアランス部分に侵入して
食い込み、このためにロータ９がロツクされて燃
料ポンプの動作が停止してしまうという問題点が
あつた。

また、上述した問題点は、特に、自動車用内燃
機関の燃料タンク内に設けられる燃料ポンプのよ
うに、比較的起動トルクの小さな低圧ポンプに多
く生じ易い。

そこで、本出願人により実願昭60−34117号
（実開昭61−151088号公報参照）において、ケー
シング内のポンプ部とモータとの間に燃料流通用
の孔を有する異物侵入防止用プレートを設け、燃
料流通用の孔をポンプ部の燃料吐出口と位置をず
らすようにしたものを提案しているが、異物が転
がつて燃料吐出口に入り込むことは避けられず、
なお改善の余地があつた。

本考案は、以上のような問題点の鑑みなされた
もので、その目的とするところは、例えばモータ
部のハンダ付け部に残つていたハンダボールなど
の如き異物が燃料ポンプ内に紛れ込んだとして
も、その異物がポンプ部の回転部に入り込むのを
確実に防止できるようにし、これにより例えばポ
ンプ部のロータがロツクされるというような危険
を回避できるようにすることにある。

〈問題点を解決するための手段〉 以上のような問題点を解決するため、本考案
は、筒状ケーシング内の燃料通路を、モータ部と
ポンプ部との間にて、固形異物の通過を選択的に
阻止する内部フイルタで隔離する構成とする。

〈作用〉 上記の構成により、例えばモータ部のハンダ付
け部に残つていたハンダボールなどの如き異物が
燃料ポンプ内に紛れ込んだとしても、その異物は
内部フイルタによつてポンプ部側への移動を阻止
される。これにより、ポンプ部の回転部に異物が
入り込むのを阻止して、例えばポンプ部のロータ
がロツクされるというような危険をなくすことが
できるようになる。

〈実施例〉 以下に本考案の好適な実施例を第１図及び第２
図に基づいて説明する。但し、従来例と同一部分
には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分
についてのみ説明する。

第１図に示す燃料ポンプでは、筒状ケーシング
１内の燃料通路を、モータ部３とポンプ部２との
間にて、ハンダボールなどの微小な固形異物１６
の通過を選択的に阻止する内部フイルタ２０で隔
離している。

ここで、固形異物１６の通過を選択的に阻止す
る内部フイルタ２０としては、第２図にその構成
例を示すように、200メツシユ程度の目の細かい
ステンレス製金網２０ａをケーシング１の断面形
状に合わせて切り抜いたものが使用される。この
金網２０ａは、その外周縁が環状の外側枠部材２
０ｂの内周側に加締めにより止着されている。そ
して、この外側枠部材２０ｂを介してケーシング
１の内周側に固定されている。また、その中心部
に孔が開けられ、この孔の内周縁が環状の内側枠
部材２０ｃの外周側に加締めにより止着されてい
る。この内側枠部材２０ｃの内側には、ロータリ
シヤフト４を回転自在な状態で貫通させる軸受が
形成されている。２０ｄはロータリシヤフト４側
のブツシユ、２０ｅは軸受用ベアリングボールを
示す。

以上のように、モータ部３とポンプ部２との間
に隔離する内部フイルタ２０を設けたことによ
り、モータ部３側に残留していることの多いハン
ダボールなどの微小な固形異物１６は、内部フイ
ルタ２０によつて、ポンプ２側への移動が確実に
遮られるようになる。これにより、ポンプ部２の
回転部に異物１６が入り込むのを効果的に阻止す
ることができ、例えばポンプ部２のロータ９がロ
ツクされるというような危険を大巾に少なくする
ことができる。

〈考案の効果〉 以上説明したように本考案によれば、燃料ポン
プのケーシング内にて、モータ部とポンプ部との
間を隔離する内部フイルタを設けるだけの簡単な
構成でもつて、ポンプ部の回転部が異物が入り込
むのを効果的に阻止することができ、これにより
例えばポンプ部のロータがロツクされるというよ
うな危険をなくすことができるという効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図はポンプ内に設けられる内部フイルタの構成例
を示す断面図、第３図は従来例を示す燃料ポンプ
の断面図である。 １……ケーシング、２……ポンプ部、３……モ
ータ部、４……ロータリシヤフト、１６……異
物、２０……内部フイルタ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシング内の下部にロータリポンプ部を備
   え、上部にポンプ部駆動用の電動モータ部を備え
   る燃料ポンプにおいて、ケーシング内の燃料通路
   を、ポンプ部とモータ部との間にて、固形異物の
   通過を選択的に阻止する内部フイルタで隔離した
   ことを特徴とする燃料ポンプ。