JPH0241289Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、２サイクルエンジンの吸気通路に
配置されたロータリーバルブ装置におけるキヤブ
レタ取着装置に関する。

（従来の技術） ２サイクルエンジンの吸気通路を開閉制御する
円板状のロータリーバルブは、クランクシヤフト
の一端に軸装されるので、吸気通路がクランクシ
ヤフトと平行に導出され、従つてキヤブレタはク
ランクケース側面に接続される形になる。

自動２輪車に搭載されるエンジンは、一般的に
クランクシヤフト横置にレイアウトされるため、
上記のようなロータリーバルブエンジンの場合
は、エンジン巾が大きくなる、という問題があ
る。

このため、公開特許公報昭58−187568号に示さ
れるように、横巾を偏平にしたキヤブレタを用い
たものがある。しかしこのような特製のキヤブレ
タはコスト高になる欠点がある。

一方、ロータリーバルブが摺動する弁座には、
特許公報昭38−26804号、実用新案公報昭54−
45448号に示されるように、熱可塑性耐熱剛性樹
脂体などのバルブシートが添設されるものがあ
る。このバルブシートの剛性が小さい場合は、弁
座面に接着して固定した後に、研削により平面加
工する方法が慣用される。

ところが、キヤブレタを接続するために設けら
れるねじ穴やボルト挿通孔が近接して位置するの
で、干渉を受けやすく、バルブシートの加工精度
が低下してシール性を損なうことがある。

上記の干渉を避けると、エンジン横巾の増大を
招くものであり、例えば、第３図に示すように、
キヤブレタの取着フランジ１５接続用締着ボルト
１６を螺合するねじ穴１３ａの下穴１８先端がバ
ルブシートから離間するように設定され、クラン
クケースからキヤブレタ接続面までの突出量Ha
が大きくなる。

（考案が解決しようとする課題） この考案は、上記のような問題に鑑みてなされ
たもので、バルブシートの精度を損なうことな
く、かつエンジン横巾を縮小できるロータリーバ
ルブ装置におけるキヤブレタ取着装置を提供する
ことを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、この考案のロータ
リーバルブ装置におけるキヤブレタ取着装置は、
クランクケースとその外面に被着したカバーとに
よつて吸気通路を横切る円板状のバルブ室が形成
され、このカバーに開いた吸気通路にキヤブレタ
が接続され、上記バルブ室に収容されたクランク
シヤフトと回転一体のロータリーバルブにより吸
気通路が開閉制御されるロータリーバルブ装置に
おいて、上記カバーに、外面からバルブ室へ貫通
するねじ穴が設けられると共に、バルブ室のカバ
ー内面側に厚めのアウターバルブシートが一体的
に固定されて、ねじ穴先端が閉塞され、かつねじ
穴に螺合したボルトによりキヤブレタがカバー外
面に締着された構成になるものである。

（作用） このようにしたので、ねじ穴に螺合した締着ボ
ルトの先端をぎりぎりにアウターバルブシートに
近付けることができ、アウターバルブシート外面
からキヤブレタ取着フランジの接続座面までの寸
法を、充分な締着力を得るための必要最小限の締
着ボルトの長さと同時に設定でき、従つてエンジ
ン横巾が縮小される。

ねじ穴は固定されたアウターバルブシートによ
り閉塞され、バルブ室のシール性に影響なく、ま
た、ねじ穴は面積が小さく、厚めのバルブシート
を用いているので、シート面を研削する時に、そ
の研削圧力によりバルブシートがねじ穴内に垂れ
込むことがなく、精度高く平面加工され、ロータ
リーバルブとのシール性が確実に保持される。

（実施例） 以下この考案の実施例を示す図に就いて説明す
る。

第１図はロータリーバルブ装置の縦断側面図、
第２図はキヤブレタ取着部の拡大した横断平面図
である。

クランクケース１の外面にクランクシヤフト２
を中心とした円形の凹室３が形成され、吸気通路
４が凹室３内に開口する。

凹室３には、その底面にインナーバルブシート
５が嵌着され、開放面に被着されたアウターバル
ブシート６と一体のカバー７により、円板状のバ
ルブ室８が形成される。アウターバルブシート６
はやや厚めの合成樹脂製で、カバー７には接着で
固定され、固定後にバルブシート面が研削加工さ
れたものである。

上記吸気通路４は、インアーバルブシート５、
アウターバルブシート６、カバー７を貫通して外
部に開口する。そのカバー７に開口する吸気通路
４ａにキヤブレタ９が接続される。

そして、バルブ室８には円板状のロータリーバ
ルブ１０が回転自在に収められ、吸気通路４を遮
断する。このロータリーバルブ１０は、バルブ室
８中心に突出したクランクシヤフト２に回転一体
で軸方向摺動可能に軸支されて、外周部に切欠１
１が形成されている。ロータリーバルブ１０が回
転すると、切欠１１の通過に応じて、吸気通路４
が開閉する。

１２は、バルブ室８を密閉するために、凹室３
とカバー７との間をシールするＯリングである。

次に、第２図に示すように、吸気通路４ａの両
側には、カバー７を外面から内面へ貫通するねじ
穴１３が配置されている。ねじ穴１３は予め加工
され、前記したアウターバルブシート６が一体化
されると、先端がアウターバルブシート６により
閉塞される。同時にカバー７の段部１４に厚めの
アウターバルブシート６が嵌合することで、この
部分のシール性が確保されている。

このねじ穴１３に螺合した締着ボルト１６によ
り取着フランジ１５が締着され、カバー７の吸気
通路４ａにキヤブレタ９が接続される。１７はカ
バー７をクランクケース１に被着する締着ボルト
である。

こうして、ねじ穴１３に螺合した締着ボルト１
６の先端をぎりぎりにアウターバルブシート６に
近付けることができ、アウターバルブシート外面
からキヤブレタ取着フランジ１５の接続座面まで
の寸法を縮小できる。すなわち、充分な締着力を
得るための必要最小限の締着ボルト１６の有効長
さと同程度に設定でき、従つてエンジン横巾が縮
小される。

第２図において、クランクケース１外面から接
続座面までの突出寸法Ｈは、ロータリーバルブ１
０が厚くなつた分を差し引いても、従来型の寸法
Ha（第３図）に比べて縮小される。

ねじ穴１３は固定されたアウターバルブシート
６により閉塞され、バルブ室８のシール性に影響
なく、また、ねじ穴１３は面積が小さいことと、
厚めのアウターバルブシート１３を用いているの
で、シート面を研削する時に、その研削圧力によ
りアウターバルブシート６がねじ穴１３内に湾入
することがなく、高精度に平面加工され、ロータ
リーバルブ１０とのシール性が確実に保持され
る。

ドリルやタツプによる不穴やねじ穴１３の加工
性が向上し、コストダウンになると同時に、接続
座面を形成するボス部が低くなつて、カバー７の
軽量化ができるなどの効果があり、エンジン横巾
の短縮化により、自動２輪車のエンジンとして用
いる場合レイアウトが有利になる。

〔考案の効果〕

上記の通り、この考案に係わるロータリーバル
ブ装置におけるキヤブレタ取着装置は、クランク
ケースとその外面に被着したカバーとによつて吸
気通路を横切るロータリーバルブのバルブ室が形
成され、このカバーの外面に吸気通路に連なるキ
ヤブレタが接続されたロータリーバルブ装置にお
いて、上記カバーに、外面からバルブ室へ貫通す
るねじ穴が設けられると共に、そのねじ穴先端が
閉塞されるようにバルブ室のカバー内面側に厚め
のアウターバルブシートが一体的に固定され、か
つねじ穴に螺合したボルトによりキヤブレタがカ
バー外面に締着されたもので、バルブシートの精
度を損なうことなく、かつエンジン横巾を縮小で
き、ロータリーバルブエンジンを自動２輪車用と
して適合させることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示すロータリーバ
ルブ装置の縦断側面図、第２図は第１図のキヤブ
レタ取着部の拡大した横断平面図、第３図は従来
のキヤブレタ取着部の横断平面図である。 １……クランクケース、２……クランクシヤフ
ト、４，４ａ……吸気通路、５……インナーバル
ブシート、６……アウターバルブシート、７……
カバー、８……バルブ室、９……キヤブレタ、１
０……ロータリーバルブ、１３……ねじ穴、１６
……締着ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクケースとその外面に被着したカバーと
   によつて吸気通路を横切る円板状のバルブ室が形
   成され、このカバーに開いた吸気通路にキヤブレ
   タが接続され、上記バルブ室に収容されたクラン
   クシヤフトと回転一体のロータリーバルブにより
   吸気通路が開閉制御されるロータリーバルブ装置
   において、上記カバーに、外面から内面へ貫通す
   るねじ穴が設けられると共に、バルブ室のカバー
   内面側に厚めのアウターバルブシートが一体的に
   固定されてねじ穴先端が閉塞され、かつねじ穴に
   螺合したボルトによりキヤブレタがカバー外面に
   締着されたことを特徴とするロータリーバルブ装
   置におけるキヤブレタ取着装置。