JPH0241285Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

産業上の利用分野 本考案は、内燃機関の動弁機構部に適用される
軽合金製ポペツト弁軸ガイドに係り、特にその局
部を繊維強化金属で補強した軽合金製ポペツト弁
軸ガイドに関するものである。 従来技術 内燃機関の吸、排気弁を案内する弁軸ガイド
（バルブ・ステム・ガイド）は、耐摩耗性、高温
強度が要求される部品であつて、一般に鋳鉄
（JIS FC20〜25、合金鋳鉄）、焼結合金で形成さ
れるが、製作費を考慮するならば、これを鋳鉄で
形成するのが有利である。 解決しようとする課題 しかしながら、内燃機関の高速化に伴い弁閉塞
時に生ずる着座衝撃が増大して、大きな振動や騒
音を発生するが、鋳鉄や焼結合金は減衰能が低
く、振動や騒音を抑制することが困難である。 また軽量化を図るために、シリンダ・ヘツドや
シリンダ・ブロツクに軽合金を用いた内燃機関に
おいては、熱膨張係数が大きいめ、鋳鉄または焼
結合金製弁軸ガイドを軽合金製内燃機関に適用す
ると、大きな熱歪や熱応力が生じ易く、さらに鋳
鉄や焼結合金の熱伝導率は軽合金に比べて小さい
ため、ポペット弁よりシリンダ・ヘツドへの伝熱
が悪く、ポペツト弁が過熱され易い。 ところが、弁軸ガイドを軽合金にすると、伝熱
性の改善により熱歪や熱応力は減少し、しかもポ
ペツト弁の過熱が防がれるものの、耐摩耗性や耐
熱性が低下する。 そしてポペット弁は弁軸ガイド内を往復摺接す
るものの、動弁カムによる弁軸と直角方向の外力
により、弁軸ガイドの軸線方向の摩耗量の差異を
示した第１図から明らかなように、弁軸ガイドの
両端部内壁がその中央部内壁部に比べて著しく摩
耗する。 課題を解決するための手段および作用 本考案はこのような難点を克服したポペツト弁
軸ガイドの改良に係り、内燃機関の動弁機構部に
適用される軽合金製ポペツト弁軸ガイドにおい
て、弁軸部と摺接する前記弁軸ガイドの両端部の
内周部を、軽合金製マトリツクスに強化繊維を複
合させた繊維強化金属で構成するとともに、シリ
ンダーヘツドのポートに臨む前記弁軸ガイドの端
面部を併せて繊維強化金属にて構成し、前記繊維
強化金属にて構成した複合部のマトリツクスを、
軽合金製マトリツクス単体からなる前記弁軸ガイ
ド本体に継ぎ目なし一体に接合したことを特徴と
するものである。 本考案は、前記したように内燃機関の動弁機構
部に適用される軽合金製ポペツト弁軸ガイドにお
いて、弁軸部と摺接する前記弁軸ガイドの両端部
の内周部を軽合金製マトリツクスに強化繊維を複
合させた繊維強化金属で構成したため、伝熱性の
良好な軽合金製マトリツクス単体からなる前記ポ
ペツト弁軸ガイド本体と繊維強化金属中の軽合金
マトリツクスにより、大きな熱歪や熱応力とポペ
ツト弁の過熱を避けることができるとともに、摩
耗され易いガイドの両端部内壁を、繊維強化金属
にすることによつて強化し、耐摩耗性と耐熱性を
向上させることができ、さらに繊維強化金属にお
ける大きな減衰能により、弁閉塞時に生ずる着座
衝撃による振動や騒音を低減化することができ
る。しかも強度、剛性、耐摩耗性に優れるがコス
トの高い繊維強化金属で弁軸ガイドの両端部のみ
を構成したため、弁軸ガイド全長に亘つて繊維強
化金属で構成したものに比べてて加工性の低下を
阻止して生産能率を向上させ、コストダウンを達
成することができる。 また本考案においては、シリンダーヘツドのポ
ートに臨む前記弁軸ガイドの端面部を併せて繊維
強化金属にて構成したため、熱負荷の大きなシリ
ンダーヘツドのポートに臨む該弁軸ガイドの端面
部の耐熱性を増大させて、耐久性を向上させるこ
とができる。 さらに本考案では、前記繊維強化金属にて構成

【表】

【表】 また吸気弁１４の弁軸部１６と強圧で摺接する
弁軸ガイド１８の両端部に繊維強化金属層２０，
２２を形成することにより、弁軸ガイド１８の摩
耗が低減化され、長期間に亘つて吸気弁４の安定
した動きが保証される。さらに、弁軸ガイド１８
の両端部のみを局部的に繊維強化し、しかも該繊
維強化金属層２０，２２より凹部２４寄りの弁軸
本体内周部１９を機械加工の容易な高Siアルミニ
ウム合金製に構成することにより、材料費の低減
化、工数の削減を計り得るとともに、繊維強化層
の仕上げ機械加工量が減少して、加工が容易にな
り、生産能率が向上し、コストダウンが達成され
る。 さらに凹部２４を形成した場合、軽量化を計り
得るとともに、その部分については、摺動面を形
成するために仕上げ加工を省略することができ、
生産性が向上し、かつ弁軸部１６との摩擦摺接部
分が減少する利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は公知に係る弁軸ガイドおよびその軸線
方向における摩擦量の差異を示すグラフ、第２図
は本考案の一実施例に係る弁軸ガイドを用いたエ
ンジン頭部の要部断面図である。 １０……シリンダー・ヘツド、１２……吸気ポ
ート、１４……吸気弁、１６……弁軸部、１８…
…弁軸ガイド、１９……弁軸ガイド本体内周部、
２０……繊維強化層、２２……繊維強化層、２４
……凹部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内燃機関の動弁機構部に適用される軽合金製
   ポペツト弁軸ガイドにおいて、弁軸部と摺接す
   る前記弁軸ガイドの両端部の内周部を、軽合金
   製マトリツクスに強化繊維を複合させた繊維強
   化金属で構成するとともに、シリンダーヘツド
   のポートに臨む前記弁軸ガイドの端面部を併せ
   て繊維強化金属にて構成し、前記繊維強化金属
   にて構成した複合部のマトリツクスを、軽合金
   製マトリツクス単体からなる前記弁軸ガイド本
   体に継ぎ目なし一体に接合したことを特徴とす
   る複合強化した軽合金製ポペツト弁軸ガイド。 (2) 前記複合強化された前記弁軸ガイド両端部の
   内周部に連続して、前記複合強化部と同一材質
   のマトリツクスからなる前記弁軸部と摺接する
   内周部を形成したことを特徴とする前記実用新
   案登録請求の範囲第１項に記載の複合強化した
   軽合金製ポペツト弁軸ガイド。