JPH0240711Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、扉閉鎖方向への回転付勢手段を内蔵
した自動閉鎖蝶番に関するものである。

扉が自動的に閉鎖する螺番は既に知られている
が、従来の自動閉鎖螺番は一般的に扉を開放位置
に保持できないものであるか、開扉状態を保持で
きても構造が複雑なものであつた。

また、扉の負荷重量に対してバネの付勢力が弱
い場合には扉の閉鎖速度が遅過ぎることになり、
またバネの付勢力が強い場合には扉の閉鎖速度が
速過ぎて不快な衝突音を発生させたり、手や足等
を挟んだりする危険があつた。

更に、従来の自動閉鎖蝶番では、螺番が扉の左
側縁部に取付られる右開き扉に使用する場合と、
螺番が扉の右側縁部に取付られる左開き扉に使用
する場合とでは、部品の組立方や取付位置を変更
する必要があるため、組立及び取付作業が煩雑で
あり、しばしば取違えを生じた。

また、扉の開閉作動時に相摺接する固定側翼体
の傾斜カムや回動側翼体のカム部材の摩耗が激し
く、耐用期間が比較的短いものであつた。

従つて本考案の目的は、扉を開放状態に的確に
保持でき、扉の閉鎖速度を簡単に調節でき、ま
た、傾斜カム部の摩耗が抑制され耐用性に優れて
いると共に、部品の組立方や取付位置の変更を要
せずに、左開き扉と右開き扉のいずれにも直ちに
使用できる、構造簡略な自動閉鎖蝶番を提供する
ことである。

以下、添付図面中の参照符号を用いて説明する
と、本考案の自動閉鎖蝶番は、固定枠体３１に固
着される固定側翼体１と、該固定側翼体１に固着
された上下一対のカム３ａ，３ｂと、扉３２に固
着された回動側翼体５と、該回動側翼体５に設け
た垂直孔６ａ，６ｂに嵌挿され、バネ９ａ，９ｂ
によつて前記カム３ａ，３ｂ方向に付勢された上
下一対の摺動ロツド７ａ，７ｂと、垂直孔６ａ，
６ｂの端部に螺子込まれ、前記バネ９ａ，９ｂを
押圧する上下一対の調節筒２６ａ，２６ｂと、摺
動ロツド７ａ，７ｂの端部に水平枢軸２３ａ，２
３ｂで枢着された上下一対のローラ８ａ，８ｂ
と、固定側翼体１の軸受筒部２ａ，２ｂの垂直孔
２０ａ，２０ｂと回動側翼体５の軸受筒部３４
ａ，３ｂの垂直孔２１ａ，２１ｂ及びカム３ａ，
３ｂの垂直透孔３３ａ，３３ｂに嵌挿された垂直
枢軸４とから成り、前記上下カム３ａ，３ｂの上
下面にカム外周に沿つて傾斜した谷状凹部１０
ａ，１０ｂと該谷状凹部１０ａ，１０ｂの各頂端
部に隣接した一対の溝部２８ａ，２８ｂと２８
ａ，２８ｂを設け、扉３２が閉鎖位置にあるとき
前記上下ローラ８ａ，８ｂを谷状凹部１０ａ，１
０ｂの底端部２９ａ，２９ｂに係合させ、扉３２
が開放位置にあるとき上下ローラ８ａ，８ｂを前
記溝部２８ａ，２８ｂに係合させるものである。

図示の実施例では、固定側翼体３１はビス１１
によつて前後一対の取付板１２，１３に固着さ
れ、これら取付板１２，１３に挟持された固定枠
体３１はスペーサ１４を介してビス１５で締付け
固着されている。回動側翼体５はビス３５によつ
て前後一対の取付板１６，１７に固着され、これ
ら取付板１６，１７に挟持された扉３２はビス３
７で締付け固着されている。

円盤状の上下一対のカム３ａ，３ｂはビス１９
ａ，１９ｂによつて固定側翼体１に固着されてい
る。外周面に雄螺子部を設けた上位調節筒２６ａ
の中空部３６ａ内には、上位摺動ロツド７ａの上
端部が嵌合されている。圧縮コイルバネより成る
上位バネ９ａは、調節筒２６ａの下端と摺動ロツ
ドの下端外周鍔部２５ａとの間に圧入されてい
る。外周面に雄螺子部を設けた下位調節筒２６ｂ
の中空部３６ｂ内には、下位摺動ロツド７ｂの下
端部が嵌合されている。圧縮コイルバネより成る
下位バネ９ｂは、調節筒２６ｂの上端と摺動ロツ
ドの上端外周鍔部２５ｂとの間に圧入されてい
る。

上位ローラ８ａの水平枢軸２３ａの一端は、回
動側翼体５に垂直に形成された誘導溝２４ａに嵌
挿され、上位ローラー８ａの転動方向を特定して
いる。また、下位ローラ８ｂの水平枢軸２３ｂの
一端は、同様に回動側翼体５に形成された誘導溝
２４ｂに嵌挿され、下位ローラ８ｂの転動方向を
特定している。取付板１１，１３と固定枠体３１
の間、取付板１６，１７と扉３２との間には緩衝
材３０が挟み込まれている。そのため、固定枠体
３１や扉３２の材質は金属等に限定されず、ガラ
ス製の扉等にも取付可能である。上下一対のカム
３ａ，３ｂは別個に成型せず、一体に成型しても
よい。

以上のように本考案の自動閉鎖蝶番では、固定
側翼体１に固着した上下カム３ａ，３ｂの上下面
一半部にカム外周に沿つて傾斜した谷状凹部１０
ａ，１０ｂを設け、回動側翼体５の垂直孔６ａ，
６ｂに嵌挿してバネ９ａ，９ｂで上下方向に付勢
した上下摺動ロツド７ａ，７ｂの端部に水平枢軸
２３ａ，２３ｂで上下ローラ８ａ，８ｂを枢着
し、この上下ローラ８ａ，８ｂを前記谷状凹部１
０ａ，１０ｂに当接させたので、回動側翼体５に
固着した扉３２を開放操作したとき、前記ローラ
８ａ，８ｂが谷状凹部１０ａ，１０ｂの底端部２
９ａ，２９ｂからその傾斜面に沿つて転動するに
つれて回動側翼体５が上昇する。

そして、開放動作の終端において上下ローラ１
３が谷状凹部１０ａ，１０ｂから脱出し、谷状凹
部１０ａ，１０ｂの各頂端部に隣接した溝部２８
ａ，２８ｂに落込むことによつて、回動側翼板５
の移動が抑止される。この上下ローラ８ａ，８ｂ
と溝部２８ａ，２８ｂとの係合が、扉３２の重量
と前記上下一対のバネ９ａ，９ｂの上下方向への
付勢力によつて的確に維持されるため、本考案の
自動閉鎖蝶番では扉３２を開放位置に的確に保持
できるのである。

一方、扉３２に閉鎖方向への回転端緒を与える
と、上下ローラ８ａ，８ｂが前記溝部２８ａ，２
８ｂから脱出し、谷状凹部１０ａ，１０ｂの頂端
部へと転動するため、回動側翼板５は扉３２の重
量と前記バネ９ａ，９ｂの付勢力によつて扉閉鎖
方向に回転駆動される。このバネ９ａ，９ｂの前
記付勢力は、上下垂直孔６ａ，６ｂへ螺子込んだ
上下一対の調整筒２６ａ，２６ｂを上下動させる
ことによつて、簡単に変更できるので、本考案の
自動閉鎖蝶番では扉３２の閉鎖速度を任意に微調
整できる。

また、本考案の自動閉鎖蝶番では、扉３２の開
閉作動に際して回動側翼板５のローラ８ａ，８ｂ
が固定側翼板１のカム３ａ，３ｂの上下面に転動
しながら当接するため、従来蝶番に比較してカム
部材の摩耗が大幅に減少し、蝶番の耐用性が著し
く向上すると共に、不快な摩擦音を発生させるこ
とがないのである。

更に、ローラ８ａ，８ｂとカム３ａ，３ｂが上
下一対に設けられ、これらローラ８ａ，８ｂが摺
接する凹部１０ａ，１０ｂはカム３ａ，３ｂの外
周に沿つて傾斜形成された谷状のものであり、該
谷状凹部１０ａ，１０ｂの頂端部の両側に一対の
溝部２８ａ，２８ａと２８ｂ，２８ｂを設けてあ
るから、本考案の自動閉鎖蝶番は部品の組立方や
取付位置の変更を要せずに、左開き扉と右開き扉
のいずれにも直ちに適用できるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は自動
閉鎖蝶番の扉閉鎖状態の正面図である。第２図は
自動閉鎖蝶番の扉開放状態の右側面図である。第
３図は第１図のＡ−A′線断面図、第４図は第１
図のＢ−B′線断面図である。第５図は第３図の
Ｃ−C′線断面図である。 １……固定側翼体、２……軸受筒部、３ａ，３
ｂ……カム、４……垂直枢軸、５……回動側翼
体、７ａ，７ｂ……摺動ロツド、８ａ，８ｂ……
ローラ、９ａ，９ｂ……バネ、１０ａ，１０ｂ…
…谷状凹部、２３ａ，２３ｂ……水平枢軸、２６
ａ，２６ｂ……調節筒、２８ａ，２８ｂ……溝
部、３１……固定枠体、３２……扉。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定枠体３１に固着され、上下一対の軸受筒部
   ２ａ，２ｂを突設した固定側翼体１と、該固定側
   翼体１に固着され、中央部に透孔３３ａ，３３ｂ
   を垂直に設けた上下一対のカム３ａ，３ｂと、扉
   ３２に固着され、上下一対の軸受筒部３４ａ，３
   ４ｂを突設した回動側翼体５と、該回動側翼体５
   に設けた上下一対の垂直孔６ａ，６ｂに嵌挿さ
   れ、バネ９ａ，９ｂによつて前記カム３ａ，３ｂ
   方向に付勢された上下一対の摺動ロツド７ａ，７
   ｂと、垂直孔６ａ，６ｂの上下端部に螺子込ま
   れ、前記バネ９ａ，９ｂを押圧する上下一対の調
   節筒２６ａ，２６ｂと、摺動ロツド７ｂ，７ａの
   上下端部に水平枢軸２３ａ，２３ｂで枢着された
   上下一対のローラ８ａ，８ｂと、固定側翼体１の
   前記軸受筒部２ａ，２ｂの垂直孔２０ａ，２０ｂ
   と回動側翼体５の前記軸受筒部３４ａ，３ｂの垂
   直孔２１ａ，２１ｂ及びカム３ａ，３ｂの前記透
   孔３３ａ，３３ｂに嵌挿された垂直枢軸４とから
   成り、前記上位カム３ａの上面一半部にカム３ａ
   外周に沿つて傾斜した谷状凹部１０ａと該谷状凹
   部１０ａの各頂端部に隣接した一対の溝部２８
   ａ，２８ａを設け、前記下位カム３ｂの下面一半
   部にカム３ｂ外周に沿つて傾斜した谷状凹部１０
   ｂと該谷状凹部１０ｂの各頂端部に隣接した一対
   の溝部２８ｂ，２８ｂを設け、扉３２が閉鎖位置
   にあるとき前記上位ローラ８ａを谷状凹部１０ａ
   の底端部２９ａに係合させる一方、前記下位ロー
   ラ８ｂを谷状凹部１０ｂの底端部２９ｂに係合さ
   せ、扉３２が開放位置にあるとき上位ローラ８ａ
   を前記溝部２８ａに係合させる一方、下位ローラ
   ８ｂを前記溝部２８ｂに係合させる自動閉鎖蝶
   番。