JPH0240625B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、取鍋、タンデイツシユ、転炉等の溶
融金属容器に装着するスライデイングノズル（以
下「SN」とする）装置のプレートレンガの補修
材に関するものである。 SN用プレートレンガは、固定プレートと摺動
プレートとの摺動位置を変えることによつて行な
われるノズル孔の開閉により、溶融金属流量を制
御する点において、機械部品に類似する機能を発
揮するものであり、通常の耐火物とは使用状況及
び機能を著るしく異にする。この様なSN用プレ
ートレンガにおいては、ノズル孔近傍から損傷が
発生し、この損傷が次第に拡大進行するに従つて
摺動面の面荒れが促進され、溶融金属流量の制御
が次第に困難となり、やがて使用不能となつて廃
棄される。 プレートレンガの寿命向上のためには、レンガ
の材質を耐損傷性に優れたものにしなければなら
ず、その材質は高純度且つ高品質のものとなり、
従つて高価なものである。そのため補修材を用い
てプレートレンガを補修し、プレートレンガの寿
命向上を図ることが重要となる。 SN用プレートレンガの補修に対する試みは例
えば特開昭56−63879号公報、特開昭57−7874号
公報等に見られるが、満足な効果が得られていな
い。その主な欠点は (1) 有機バインダー（タール、粉末ピツチ等）を
用いると、揮発による着火、発煙、臭気等があ
り、使用上、作業環境が著しく悪い (2) 熱間では補修材の粘性が急激に低下するため
面荒れ部への接着が困難である (3) 補修材のほとんどが補修部から流れ落ちるた
め流れ防止沿具（囲い）を必要とし鏝などを使
用して押し上げ動作を繰り返さねばならず作業
時間、補修材のロスが大きい (4) 修復後の使用で酸化、脱炭が早くかつ接着強
度も低いことから寿命向上効果も少ない 等が挙げられる。 本発明者は、これらの欠点を克復するために
種々研究した結果、バインダーとバインダー補助
材の最適組み合わせを見いだし、これにより補修
時、特に熱間での作業性及び接着性に優れ、顕著
な補修効果を発揮する補修材を得ることに成功し
たものである。 即ち、本発明は、(i)粒度100メツシユ以下のア
ルミナ質、アルミナ−シリカ質、シリカ質、黒
鉛、炭素、炭化珪素、窒化珪素及び窒化ホウ素か
らなる群から選ばれた少なくとも１種100重量部、
(ii)リン酸バインダー10〜180重量部、及び(iii)シヨ
糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ハチ蜜、水
アメ、粉アメ及びデンプン糖からなる群から選ば
れた少なくとも１種0.5〜40重量部からなるスラ
イデイングノズル用プレートレンガの補修材に係
る。 SN用補修材は、一般の不定形耐火物とは、そ
の使用態様、使用条件が全く異なるものである。
即ち、SN用補修材はSNプレートレンガの摺動面
に強固に接着した後、0.03mm以下の面精度を確保
し、摺動使用される。またノズル孔周辺部では溶
鋼による激しい損傷、摩耗を受けるものである。 従つて、SN用プレートレンガの補修材に要求
される性質としては、 (1) 冷間および熱間において面荒れ部に容易に接
着すること (2) 接着時に着火、発煙、臭気がなく作業環境が
良好であること (3) 接着直後摺動面の精度（平滑度0.03mm）と同
程度に引き延ばし加工ができる作業性を有する
こと (4) 修復後、SNプレートレンガの摺動時に脱落
しない接着強度を有すること (5) 補修材がレンガ本体と同程度の耐食性、耐摩
耗性を有すること などが挙げられる。本発明の補修材は上記(1)〜(5)
のいずれをも満足するものである。 本発明における耐火材料としては、例えば電融
アルミナ、焼結アルミナ、仮焼アルミナ等のアル
ミナ質、ムライト、シリマナイト、シヤモツト、
粘土等のアルミナ−シリカ質、電融シリカ、ホワ
イトカーボン等のシリカ質、黒鉛、炭素、炭化珪
素、窒化珪素、窒化ホウ素等の非酸化物系耐火物
等を挙げることができ、これ等の少なくとも１種
を用いる。 用いる耐火材料はSNプレートレンガと同材質
のものが望ましい。耐火材料の粒度は、摺動面の
面精度や補修時の作業性を良くするため、できる
限り小さな粒径即ち100メツシユ以下であること
が望ましい。より好ましくは200メツシユ以下で
ある。 本発明において、リン酸バインダーとしては例
えばオルソリン酸ナトリウム、酸性リン酸ナトリ
ウム、第１リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリ
ウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリ
ウム、ウルトラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメ
タリン酸ナトリウム、オルソリン酸アルミニウ
ム、第１リン酸アルミニウム、第２リン酸アルミ
ニウム、セスキリン酸アルミニウム、ピロリン酸
アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、メ
タリン酸アルミニウムなどが挙げら、これらの少
なくとも１種を用いる。斯かるリン酸バインダー
は耐火材料100重量部（以下単に「部」と記す）
当り、通常10〜180部程度、より好ましくは20〜
100部程度添加される。10部以下では接着強度が
不足し、180部以上では耐食性、作業性が低下し、
また急激硬化する。リン酸バインダーは溶液状の
ものを用いる場合には30〜180部、粉末状のもの
を用いる場合には20〜80部が好適である。 本発明では、補修材の接着性、分散性、接着強
度を向上させ、経時変化を防止するためシヨ糖、
ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ハチ蜜、水ア
メ、粉アメ、デンプン糖からなる群より選ばれた
少なくとも１種の糖類を0.5〜40部、より好まし
くは２〜20部添加する。0.5部以下では接着強度
の向上、経時変化防止の効果がなく、40部以上で
は硬化に要する時間が長く、作業性も低下する。
さらに補修材の粘性を調整するために、必要に応
じて水を30〜180重量部添加することができる。
これらの使用量は補修方法によつて上記範囲内で
変動させることができる。補修方法は、刷毛塗
り、鏝塗り、吹き付け、流し込み等が採用され使
い分けられる。 本発明の補修材は糖類による流動分散性の向上
効果によりSN用プレートレンガの面荒れ部の微
細なマトリツクス部にまで浸透し、リン酸バイン
ダーの重合反応により固化し強固に接着する。ま
た冷間、熱間のいずれにおいてもSN用プレート
レンガの面荒れ部に容易に接着し、補修時の作業
性も優れている。 本発明のSN用プレートレンガの補修材は、半
練り状と液状のものを水分調整によつて容易に作
ることが可能であり、プレートレンガの損傷状況
によつて、刷毛塗り、鏝塗り、吹き付け、流し込
み等の補修方法を使い分けることができ、作業性
も良い。またリン酸バインダーを使用しているの
で着火、発煙、異臭が全くなく、作業環境が良好
である。またバインダー補助材として糖類を使用
することにより接着強度が向上し、接着性、分散
性が向上する。また経時変化を防止することがで
きる。さらに冷間および熱間のいずれの場合にお
いても容易に補修することができ、しかも強固に
接着してプレートレンガの摺動時にも剥離、脱落
することがない。SN用プレートレンガの寿命が
補修しない場合に比べて２〜３チヤージ延長され
る。 尚、本発明補修材は、SN用プレートレンガの
補修だけでなく、SN用中間ノズル、下部ノズル、
連続鋳造用ノズル、取鍋あるいはタンデイツシユ
等の溶鋼容器の損傷部分の補修材としても使用可
能である。 実験及び実施例によつて本発明を具体的に説明
する。 代表的な耐火材料を用いた場合のバインダー、
バインダー補助材の種類及びその使用量について
実験した結果を第１表に示す。また、実施例とし
て第２表に示す補修材を用いてSN用プレートレ
ンガの補修を行なつた場合の結果を第２表に併記
する。

【表】

【表】

【表】 比較例 １ リン酸バインダーと糖類以外の成分からなるバ
インダー補助材とを併用する補修材を使用して、
前記実験例と同様の実験を行なつた。結果は第３
表に示す通りである。

【表】

【表】 これ等の補修材には、乾燥後に多くの亀裂が発
生した。特に、フエノール樹脂をバインダー補助
材とする場合には、収縮が大きく、亀裂も大きか
つた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (i) 粒度100メツシユ以下のアルミナ質、ア
   ルミナ−シリカ質、シリカ質、黒鉛、炭素、炭
   化珪素、窒化珪素及び窒化ホウ素からなる群か
   ら選ばれた少なくとも１種100重量部、 (ii) リン酸バインダー10〜180重量部、及び (iii) シヨ糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ハ
   チ蜜、水アメ、粉アメ及びデンプン糖からなる
   群から選ばれた少なくとも１種0.5〜40重量部 からなるスライデイングノズル用プレートレンガ
   の補修材。