JPH0240271B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は黒鉛を含む焼付ラツカー塗膜に関すも
のである。

本発明者らは、着色焼付ラツカーの製造の際、
黒鉛を添加すると、高純度の非常にすばらしい金
属効果を生じることを発見した。このことはよく
知られているように、通常黒鉛を使用して得るこ
とができるのは不鮮明な外観を有する無光沢の着
色であるから、非常驚くべきことである。黒鉛の
被覆力が優れているため、非常に薄いラツカー被
膜を生成できる。黒鉛は特別な努力無しに高度に
微細なものとして得られ、ラツカー塗膜中で沈降
することはないから、ラツカー塗装された被塗物
は良好な貯蔵性を有する。黒鉛の添加は非常に経
済的で、毒性学上安全で及びラツカーの貯蔵安定
性または熱、光及び天候に対する堅牢さを減ずる
ことがない。黒鉛はラツカー中に非常にたやすく
分散でき及びラツカーに決して分解作用を持たな
い。

従つて本発明は、 (a) アクリル樹脂、アルキツド樹脂、エポキシ樹
脂、フエノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹
脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグワナミン樹
脂、セルロース エステル樹脂、またはそれら
の混合物 (b) 乾燥ラツカー塗膜を基準にして、0.001乃至
30重量％の１種またはそれ以上の有機顔料また
はポリマー可溶性染料及び (c) 乾燥ラツカー塗膜を基準にして、0.001乃至
30重量％の100μm以下の粒子径を有する黒鉛。

を含む塗膜であることを特徴とする金属粒子を含
むことなしでメタリツク効果を有する焼付ラツカ
ー効果を有する塗膜に関する。自動車産業におい
て通常使用される焼付ラツカーが好ましく、特に
アクリルメラミン樹脂、アルキドメラミン樹脂ま
たは熱可塑性アクリル樹脂のようなものが好まし
い。

焼付ラツカー効果を有する本発明の塗膜は好ま
しくは厚さ３乃至60μm、特に７乃至25μmであ
り、及び一般に単層である。

生じた塗膜は１層またはそれ以上のクリアラツ
カーの塗層を被膜することができる。クリアラツ
カーのために好ましく使用される結合剤は自動車
のラツカー仕上げ分野で知られているよう熱硬化
性アクリルメラミン樹脂の組合せである。クリア
ラツカー被膜は好ましくは厚さ30乃至60μmであ
る。

本発明の焼付ラツカーに適する黒鉛は天然及び
合成のいづれの黒鉛でもよい。天然の黒鉛の場
合、炭素含有％に大きな巾がある。しかし好まし
い天然の炭素含有量が少なくとも70％のものであ
る。珪酸、アルミナまたは鉄酸化物のような天然
の黒鉛中に存在する不純物はそれらが着色される
被塗物の安定性または存在する他の顔料または染
料の堅牢性に好ましくない影響を与えない範囲内
に限り許容できる。

好ましい黒鉛は一般に高度の炭素含量を有する
ものであり、特に少なくとも炭素含有量99％を有
するものである。それゆえ合成黒鉛の方が一般に
は好ましい。

黒鉛の粒子の性質については、特に粒径が
100μmより小さい結晶黒鉛が好ましい。直径
20μmまで及び厚さ4μmまでのフレーク型または
ラメラ型の黒鉛が特に好ましく使用できる。

最適の光学効果は与えられた範囲内で黒鉛の量
を変動させてみることにより決定することができ
る。乾燥時のラツカー塗膜を基準にして黒鉛1.0
乃至15.0重量％が好ましく使用される。

適する有機顔料は不透明及び透明顔料のどちら
でもよい。有機顔料の例はアゾ、アゾメチン、メ
チン、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノ
ン、ペリレン、ジオキサジン、チオインジゴ、イ
ミノイソインドリン、イミノイソインドリノン、
キナクリドン、フラバントロン、インダントロ
ン、アントラピリミジンまたはキノフタロン顔
料；ならびに例えばアゾ、アゾメチンまたはメチ
ン染料のような金属錯体である。これらの顔料は
自動車用ラツカーを製造するために特に適してい
る。

適する染料は特にフタロシアニン染料またはア
ゾ染料の金属錯体であり、とり分けモノアゾ染料
の１：２クロム錯体または１：２コバルト錯体で
あり、例えばクマリン、ナフタルイミド、ピラゾ
リン、アクリジン、キサンテン、チオキサンテ
ン、オキサジン、チアジンまたはベンゾチアゾー
ル系列の螢光染料も適する。しかし、アゾ染料の
金属錯体が好ましい。

本発明の焼付ラツカーは黒鉛のほかに好ましく
はただ１種の有機顔料またはただ１種の染料を含
み、特に有機顔料、とりわけ透明の有機顔料が好
ましい。

本発明の焼付ラツカー中には、有機顔料または
染料は好ましくは乾燥ラツカー塗膜を基準として
1.0乃至15.0重量％の量で存在する。

粒子の状態に関して好ましい黒鉛は公知の方法
によつて、粗い結晶の黒鉛を出発物質として、例
えばエアジエツト、サンドミルまたはボールミル
中で磨砕することによつて得られる。しかし好ま
しくは黒鉛の異方性が層の劈開性に対して作用す
るような条件下で粉砕される。

したがつて例えば粉砕手段として、金属、ガラ
スまたは磁器のボール、プラスチツクの粒状物ま
たは砂粒子の入つた粉砕装置で粗結晶黒鉛を湿式
磨砕することによつて、前述の平たいラメラ型ま
たはフレーク型の黒鉛粒子を得ることができる。
これらの粉砕手段は例えば容器の回転によつて、
振動発生機によつてまたは撹拌機によつて運動す
る。

顔料、染料及び／または黒鉛は、本発明のラツ
カー塗膜に使用する前にきめ保存剤で処理するこ
とが有利である。例えば粉砕の前、中、後にきめ
保存剤で処理した黒鉛が好ましい。使用される黒
鉛の量に対してきめ保存剤の量は好ましくは0.02
乃至25重量％使用する。

適するきめ保存剤の例は、少なくとも炭素原子
数１２を有する脂肪酸：例えばステアリン酸また
はベヘン酸またはそれらのアミド、塩またはエス
テル：例えばステアリン酸マグネシウム、ステア
リン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムまたはベ
ヘン酸マグネシウム、および第四アンモニウム化
合物：例えばトリ−（炭素原子数１乃至４）−アル
キルベンジルアンモニウム塩、さらにまた可塑
剤：例えばエポキシ化大豆油、ワツクス：例えば
ポリエチレンワツクス、樹脂酸：例えばアビエチ
ン酸、ロジン石鹸、水素化または二量化ロジン、
炭素原子数12乃至18のパラフインジスルホン酸、
少なくとも炭素原子数８個を有するアルキルフエ
ノール、アルコール、ジオールまたはポリオール
のようなものである。

本発明の焼付ラツカーは好ましくはステアリン
酸、ステアリルアミン、水素化アビエチン酸、エ
ポキシ化大豆油または１，２−ジオール、特に
１，２−オクタンジオールまたは１，２−ドデカ
ンジオールで処理した黒鉛を含んでいる。

焼付ラツカー効果を有する塗膜の製造のために
は、黒鉛及び有機顔料または染料は結合剤中に
個々に分散させるかまたは公知の方法で予備混合
して分散できる。さらに不揮発性の成分、例えば
可塑剤、助剤、充填剤、光安定剤、熱安定剤、酸
化防止剤及び無機顔料などを加えることができ
る。均質化ラツカーは被塗物に例えばはけ塗、ロ
ール塗、吹付、浸漬塗またはコイル塗布によつて
塗布して、それから焼付けることができる。

クリアラツカー塗膜も同様に公知の方法によつ
て製造され、さらに光安定剤及び酸化防止剤のよ
うな添加剤を含有することができる。

美しい均一な微光沢を有する金属効果は本発明
の焼付ラツカー塗膜中に細かい結晶質のフレーク
型またはラメラ型の黒鉛粒子を使用して得られ
る。金属効果は本発明のラツカー塗膜が人工光源
または日光からの直射光により照らされたとき、
特に明瞭である。光は一部分ラツカー中の黒鉛粒
子に反射され（その果ははつきり認識できる輝き
として現われる）、顕著な光の散乱効果をもたら
す。この特別な光沢効果は例えば測角光度計で測
定できる。

本発明の焼付ラツカー塗膜のための黒鉛の使用
は経済的である、熱、光及び天候に対する黒鉛自
身及び同様に本発明の焼付ラツカー塗膜の耐性は
非常にすばらしく、さらに黒鉛は担体成分中にた
やすく混合でき、装置の摩損をほとんどおこさ
ず、ブレーキ効果も極めて小さい。黒鉛の密度が
理想的であるため、黒鉛は長期間の貯蔵の後でさ
え沈降せず、とりわけ均一な着色が得られる。

本発明の金属効果を有する焼付ラツカー塗膜
は、主に金属表面の着色のため、特に自動車産業
において（自動車の仕上げ塗装として）使用され
る。

以下、実施例に基づいて本発明をさらに説明す
るが、特に記載しなければ、「部」の語は「重量
部」を示す。

実施例 １： ロンザ（LONZA）黒鉛KS25 ３部及び銅
−フタロシアニン顔料であるシー．アイ．（C.I）
顔料ブラウ（Blau）15：３（青）３部を次の組成
よりなる溶媒20部中に撹拌しながら混入する：ソ
ルベツソ 〔Solvesso ；芳香族炭化水素の混合
物、エツト（ESSO）社〕50部、酢酸ブチル15
部、エクスキン （Exkin ；ケトキシムを基
剤とする均染剤）５部、メチルイソブチルケトン
２５部、シリコーン油〔ソルベツソ（Solvesso）
150 溶媒中に１％〕５部。完全に細かい分散が
得られたら、バイクリルＬ（Baycryl）530 （ア
クリル樹脂、キシレン／ブタノールの３：１溶液
中に51％）48.3部及びマプレナル（Maprenal）
TTX （メラミン樹脂；ブタノール中に55％）
23.7部を加える。短時間均質化を行なつたのち、
このラツカーを吹き付けで塗布し、130℃で30分
間焼付けした。得られたラツカー塗膜は非常に優
れた耐久性を有する金属光沢の青い着色を示し、
優れた流動性及びことのほか顔料の分散性の良さ
に特徴がある。

実施例 ２： ａ 容量500部のガラスボールミル中で、平均粒
径が44μmより小さい合成ロンザ（LONZA）
黒鉛Ｔ−44 〔ロンザ社（LONZA AG）〕
13.5部およびきめ保存剤としてレオプラスト
（REOPLAST）39 〔チバ−ガイギー社
（CIBA−GEIGY AG）〕１部を水125部中にて
撹拌する。その後該懸濁液に粒子の直径3.5乃
至4.0mmのガラスボール400容量部を加え、さら
に混合物を外部冷却をしないで、毎分320回転
の撹拌速度で９時間粉砕する。黒鉛の懸濁液を
ガラスボールから分離し（ガラスボールを水で
軽く洗う。）、引き続き別する。プレスケーキ
は水で洗い真空室で70乃至80℃で乾燥する。収
量はきめ保存剤約７重量％を含む灰色の黒鉛
13.0部であり、これは粉砕後に十分満足すべき
分散性をもつてラツカー中に混入できる。前記
方法において処理した黒鉛のラスター電子顕微
鏡による写真は顕著なフレーク型乃至ラメラ型
を有する粒子を現わす。

ｂ ダイナポール（Dynapol）H700 〔ソルベ
ツソ（Solvesso）150 溶媒中に60％；ダイナ
マイトノーベル（Dynamit Nobel）社〕25.2
部、 マプレナール（Maprenal）MF650 〔プタ
ノール溶媒中に55％；ヘキスト社（Hoechst
AG）〕2.7部、 アセト酪酸セルロース531.1 〔キシレン／
ブチルアセテートの１：２の溶媒中に25％；イ
ーストマンケミカルインターナシヨナル
（Eastman Chemical International）社〕15.5
部、 イルガノール（Irganol）TZ6 〔チバ−ガ
イギー（Ciba−Geigy）社〕1.1部 ブチルアセテート23.3部 キシレン11.6部 ソルベツソ（Solvesso）150 〔エツソ
（ESSO）社11.6部 シー．アイ．顔料ロツト177〔（C.I.Pig−ment
Rot177），赤〕4.5部及び 実施例2aに記載の処理をしたロンザ
（LONZA）黒鉛4.5部を、 96時間ボールミル中にてよく混合した。その間
に顔料及び黒鉛はラツカー溶媒中に細かく分散し
た。ラツカーはその後上記ブチルアセテート／キ
シレン／ソルベツソ混合溶媒でDIN4による流出
粘度約18秒（20℃）に希釈し、金属シート上に施
用する。短時間風乾（約40℃で２分間）した後、
この着色した第一のラツカー塗膜を、次の成分： ビアクリル（Viacryl）VC373 〔キシレン溶
媒中に60％、ビアノラ（Vianora）社〕58.3部、 マプレナル（Maprenal）MF590 〔ブタノー
ル溶媒中に55％、ヘキスト（Hoechst）社〕27.3
部 シリコーン油Ａ 〔キシレン溶媒中に１％、バ
イエル（Bayer）社〕1.0部、 チヌビン（Tinuvin）900 〔チバ−ガイギー
（Ciba−Geigy）社〕1.0部、 キシレン5.4部、 ソルベツソ（Solvesso）150 〔エツソ
（ESSO）社〕4.0部及び、 エチレングリコールアセテート3.0部からなる
第二番目の無着色ラツカー被膜で覆う。引き続い
て40℃で30分間風乾して、その後135℃で30分間
焼付ける。

金属光沢の非常にすばらしい耐久性を有する赤
いラツカーが得られる。このラツカーは顔料にす
ぐれた分散性並びにすぐれた光沢及び非常にすぐ
れた流動性を発揮する。人工の光源の光及び日光
でラツカー塗膜を照らした時、ラツカー中に存在
する黒鉛粒子によつて生じる明瞭な光沢を観察で
きる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (a) アクリル樹脂、アルキツド樹脂、エポキ
   シ樹脂、フエノール樹脂、メラミン樹脂、尿素
   樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグワナミン樹
   脂、セルロース エステル樹脂、またはそれら
   の混合物 (b) 乾燥ラツカー塗膜を基準にして、0.001乃至
   30重量％の１種またはそれ以上の有機顔料また
   はポリマー可溶性染料及び (c) 乾燥ラツカー塗膜を基準にして、0.001乃至
   30重量％の100μm以下の粒子径を有する黒鉛 を含む塗膜であることを特徴とする金属粒子を含
   むことなしでメタリツク効果を有する焼付ラツカ
   ー効果を有する塗膜。 ２ 黒鉛が少なくとも99％の炭素含有量を有する
   特許請求の範囲第１項記載の塗膜。 ３ 黒鉛が直径20μmまで及び厚さ4μmまでのフ
   レーク型、またはラメラ型である特許請求の範囲
   第１項記載の塗膜。 ４ 黒鉛の量が乾燥ラツカー塗膜を基準にして
   1.0乃至15.0重量％である特許請求の範囲第１項
   記載の塗膜。 ５ 有機顔料が透明な顔料である特許請求の範囲
   第１項記載の塗膜。 ６ 有機顔料または染料が乾燥ラツカー塗膜を基
   準として0.1乃至15.0重量％の量で存在する特許
   請求の範囲第１項記載の塗膜。 ７ 有機顔料が自動車用のラツカーの製造に適す
   る顔料である特許請求の範囲第１項記載の塗膜。 ８ ポリマーに可溶性の染料がモノアゾ染料の
   １：２−クロム錯体または１：２−コバルト錯体
   である特許請求の範囲第１項記載の塗膜。 ９ ステアリン酸、ステアリルアミン、水素化ア
   ビエチン酸、エポキシ化大豆油または１，２−ジ
   オールで処理された黒鉛を有する特許請求の範囲
   第１項記載の塗膜。 １０ ラツカーがアクリルメラミンまたはアルキ
   ドメラミンまたは熱可塑性アクリル樹脂である特
   許請求の範囲第１項記載の塗膜。 １１ クリアラツカー皮膜で覆われている特許請
   求の範囲第１項記載の塗膜。