JPH0240133B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は動力伝達ベルト、特にＶブロツクベル
トに関する。

従来の技術 Ｖブロツクベルトは可変速動力伝達ベルトとし
て広く使用され、この理由は構造上厚さと巾の比
を小さくでき、可変速駆動装置の所要の速度比変
化に適合可能なためである。この種ベルトは通常
は平らなバンド型負荷支持部材を有し、この負荷
支持部材の形成する赤道面を中心として曲げを生
ずる。Ｖブロツクは長手方向に離間して負荷支持
部材に取付ける。このベルトは次の２種の形式が
ある。第１の形式ではＶブロツクは金属の平らな
バンド部材上を囲み滑動する。Ｖブロツクは高弾
性率材料製とし、ポリマーの摩擦摩耗面を使用せ
ずに直接プーリの円錐側面に接触する。このベル
トでは次々のブロツクが互に押圧されて動力を伝
達する。この種のベルトの例は米国特許4457742
号に記載されている。

第２の形式のベルトでは、Ｖブロツクは直接平
らなバンド型負荷支持部材に取付けられる。この
ベルトはＶブロツクが負荷支持部材を引張り張力
を作用して動力を伝達する。この形式のベルトの
第１のタイプではＶブロツクは負荷支持部材にク
ランプされる。ブロツクは例えば革製とし、負荷
支持部材の横方向に延長し、摩擦摩耗面を形成す
る。このベルトの例はフランス特許573783号に記
載される。このタイプの別の例では、ブロツクの
摩擦摩耗面と横部分とは低弾性率材料例えば革又
はゴム製としスイス特許256918号に記されてい
る。このタイプのベルトは摩耗面と横部材とが革
等の低弾性率材料製であるため動力伝達値は低
い。

第２の形式の別のタイプのベルトのＶブロツク
は夫々金属又は合成樹脂の高弾性率の補強部材を
有し、負荷支持部材を囲み支持する。ポリマー材
料製の摩耗パツドを反対向きのＶ側で補強部材に
取付ける。この形式のベルトは前述の各ベルトよ
りも大きな動力を伝達できる。高弾性率補強部材
を有するＶブロツクベルトの例は米国特許
4177687号に記される。本発明のベルトはこの形
式のベルトである。

発明の解決すべき問題点 上述の部門のベルトのＶブロツクの中には横方
向の面部分が互に接触するものがある。

すべての既知のＶベルト駆動装置では動力は駆
動プーリと被動プーリとの間にベルト張力によつ
て伝達される。T₁を緊張側ベルト張力とし、T₂
を緩み側ベルト張力としたとき、T₁とT₂との差
（T₁−T₂）がプーリ半径変化において駆動被動プ
ーリにトルクを伝達するに作用する力を代表す
る。第５，６図はＶベルト駆動装置を示し、駆動
プーリ６、被動プーリ８を囲むベルト張力の半径
方向のプロツトであり、第５図は速度低下条件、
第６図は速度上昇条件を示す。両プーリは同じ緊
張側張力T₁、緩み側張力T₂が作用するが駆動被
動プーリ間でベルト張力の分布は著しく異なる。
駆動プーリでのベルト張力は、ベルトがプーリに
入る点からベルトがプーリを出て緩み側張力とな
る点までのベルト接触の全弧について張力は著し
く高い。これに対して、被動プーリでのベルト張
力は緩み側での張力は低く、ベルトが離れる緊張
側の高い張力まで急激に増加する。これは速度低
下上昇共に同様である。ベルトとプーリとの間の
最大張力剪断負荷はベルトが被動プーリを出る直
前に生ずる。

Ｖブロツクベルトも緩み側張力と緊張側張力と
の間に同様な張力変化を生ずるが、各Ｖブロツク
は被動プーリでは増加張力の増加部分を支持する
必要がある。被動プーリを出る直前のＶブロツク
は両プーリに係合する他のＶブロツクに比較して
高い剪断力を受ける。第７図は通常の連続ベルト
に比較して順次のブロツクの受ける増加剪断力を
示す。各Ｖブロツク間の剪断力の大きな差は低馬
力のベルト即ち10馬力以下の伝達には大きな問題
とならない。しかし、高馬力即ち20馬力以上のベ
ルトについては、各Ｖブロツク間の剪断負荷及び
張力負荷の大きな差はＶブロツクとプーリとの間
の負荷の問題、Ｖブロツクと負荷支持部材との間
の負荷伝達の問題を生ずる。

本発明はＶブロツクベルトとプーリとの間の動
力伝達を改良する。

本発明はＶブロツクベルトを提供し、プーリと
ベルトとの間、Ｖブロツクのほゞ平らなベルト型
負荷支持部材との間の負荷配分を改良してベルト
の性能を良くする。

問題点を解決するための手段 Ｖブロツクはほゞ平らなバンド型負荷支持部材
に公称ピツチ間隔で取付けられ、各ブロツクは高
弾性率の補強部材を有し、補強部材に２個のポリ
マー部を取付け、ポリマー部の反対向きのＶ側が
摩擦駆動面として形成される。本発明によれば、
各ポリマー部はベルト赤道面附近に反対向きの互
に離れた２個の反作用面を有し、反作用面は平な
ベルト型負荷支持部材に対して横方向である。順
次のポリマー部間の各反作用面は互に一部変形
し、互に圧力接触する。

作 用 本発明はＶブロツク間の反作用面部の圧力接触
によつてＶブロツク相互間に負荷配分を行ない、
Ｖブロツクの性能は向上する。

実施例 第１〜４図は本発明によるＶブロツク可変速型
の動力伝達ベルト１０を示す。ほゞ平らなベルト
型負荷支持部材１８に複数の互に離間したＶブロ
ツク１２を取付け、Ｖブロツクの側部に対向した
摩擦駆動面１４，１６が形成される。負荷支持部
材は既知の構造とし、らせん状に巻いたコード２
０等の高張力の補強素子を主としてポリマーの層
２２，２４間に挾む。ポリマー層２２，２４に溝
２６又はリブ２８を設けてＶブロツクの取付を容
易にすることもできる。

各ＶブロツクはほぼＵ形部材の形状とした補強
素子を有し、その下部ビーム部材３０は２個の互
に離れた上拡がりの斜の側部部材３２，３４を一
体に連結する。各側部部材は上部ビーム部材３８
の端部を抑止する装置３６を有する。上部ビーム
部材の端部４０，４２は側部部材の片持部に溶
接、接着、かしめ等によつて固着する。補強素子
は所要の材料、例えばアルミニウム、鋼又は合成
樹脂製とする。

摩擦駆動面を形成するポリマー部４４が各斜の
側部部材に一体成形又は個々に接着して取付けら
れる。ポリマー部は所要の部材、例えば天然ゴ
ム、合成ゴム、この混合物、ポリウレタン等で製
造し、織物又は不連続の繊維等の繊維状補強材料
を組合せることもできる。

各ポリマー部には２個の反対向きの互に離れた
反作用面部４６，４８をベルトの曲げの赤道面５
０の附近に設ける。反作用面部は負荷支持部材に
対して横方向であり、摩擦駆動面に対してほぼ直
角である。反作用面部の部分５２は負荷支持部材
の定める曲げ赤道面より上方に延長し、互にほぼ
平行としてベルトが反対方向に曲がるのを防ぐ。
反作用面部の曲げ赤道面より下に延長する部分５
４は互に先細となり、ベルトがプーリのまわりで
曲がるのを容易にする。曲げ赤道面附近の反作用
面部の部分５２，５４の寸法形状は、連続したポ
リマー部にまたがる反作用面部５６がベルト組立
の時に一部変形して圧力接触するように定める。

第１図において、Ｖブロツクを負荷支持部材１
８上の所定位置とする。下部ビーム部材はスロツ
ト５８を有し、負荷支持部材の横方向のリブ２８
に係合し、上部ビーム部材３８の寸法は負荷支持
部材のスロツト２６内に係合するように定める。
上部ビーム部材を補強部材の斜方向の側部に取付
装置３６のかしめ等によつて固着する。Ｖブロツ
ク自体は所要の形状とすることができ、負荷支持
部材に対して所要の取付とすることができる。例
えば米国特許4177687号記載の構成とすることが
できる。

図示の例では各ポリマー部の変形しない時の反
作用面部間の間隔（幅）Ｓは、Ｖブロツクを取付
ける負荷支持部材のスロツト又はリブのピツチ間
隔Ｐよりも大きい。各ポリマー部間の反作用面部
は組立中に部分的に変形し、圧力接触部５６を形
成する。反作用面部の形状は、変形と圧力接触が
生ずるように定める。

第３，４図において、反作用面部の部分６０，
６２の変形しない形は互に重なり、変形して圧力
接触した状態は点線５６として示す。第３図に示
す通り、変形は曲げ赤道面５０附近に主として生
ずる。第４図に示す例では変形部分は曲げ赤道面
の下方に主として生ずる。ベルトが第１図に示す
直線状態の時は反作用面部の変形圧力接触部６４
は赤道面より上方となる。赤道面より上方の長い
接触面部によつて、ベルトの反対方向の曲がりを
防ぐ装置を形成する。各反作用面部の変形は、反
作用面間の間隔が約12.2mmのＶブロツクについ
て、曲げ赤道面附近で約0.015〜0.55mm程度とす
るのが好適である。各反作用面部の変形は変形し
ない時の間隔の約0.1〜4.3％となる。ピツチ間隔
に比較して、変形しないポリマー面部の間隔は約
0.2〜8.7％大とする。反作用面部が互に圧力接触
する時は負荷支持部材は僅に伸長する。

本発明の利点を既知のＶブロツク間に圧力接触
のないベルトに比較して示す。

例 １ 順次のＶブロツク間に圧力接触のないベルトを
次の特性として製造した。

頂部巾：52.3mm 厚さ：20.8mm 負荷支持張力部材：ゴム、らせん状に巻いたアラ
ミドのコードで張力補強 摩擦駆動面ポリマー：フアイバー混入ゴム 拡がり側部間の角度：30゜ 長さ：1133mm ブロツク数：97 ブロツク補強素子：アルミニウム 例１のベルトは次の試験条件で20.7時間作動し
た。

プーリのピツチ直径：142mm 速度：1750rpm 馬力：37 例 ２ 本発明による一部変形して互に圧力接触するブ
ロツクを有するベルトの有効性を示す例として次
の特性のベルトを製造した。

頂部巾：52.3mm 厚さ：20.8mm 負荷支持張力部材：ゴム、らせん状に巻いたアラ
ミドのコードで張力補強 摩擦駆動面ポリマー：フアイバー混入ゴム 拡がり側部間の角度：30゜ 長さ：1133mm ブロツク数：97 ブロツク補強素子：アルミニウム 反作用面部の変形：0.18mm 例２のベルトを次の試験条件で500時間作動し
た。

プーリのピツチ直径：142mm 速度：1750rpm 馬力：38 発明の効果 例２のベルトは例１のベルトに比較して、同じ
速度でほゞ13％大きな馬力を伝達して24倍長い時
間作動した。この性能向上は、本発明によるブロ
ツクのアライメントの改良と、ブロツクの負荷分
布の改良と、ブロツクの揺動の減少と、これらの
組合せによるものである。

負荷分布が良くなることを第７図によつて説明
する。第７図は被動プーリに接触するＶブロツク
のない通常のベルトの張力上昇線６６とＶブロツ
クベルトの局部張力線６８，７０，７２とを示
す。本発明のＶブロツクは被動プーリを出る２〜
３個の順次のブロツク間に負荷分布が行なわれ、
低い局部張力７４，７６，７８となるものと信じ
られる。既知の文献にはＶブロツクの接触につい
ては記載があるが、ポリマー部の一部が変形して
次々のブロツクが互に圧力接触することの記載は
ない。

上述の説明は例示であつて発明を限定するもの
ではない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるＶブロツクベルトの一部
の部分展開斜視図、第２図は第１図のベルトの一
部の曲がりを示す側面図、第３図は第２図の３−
３線に沿い反作用面部の部分的変形を示す拡大側
面図、第４図は第３図と同様であるが反作用面部
の異なる変形を示す側面図、第５図はＶブロツク
のない通常のＶベルトの駆動被動プーリの減速中
の各部ベルト張力を示す図、第６図は第５図のプ
ーリの増速中の各部ベルト張力を示す図、第７図
は第５図のプーリとＶブロツクベルトとの被動プ
ーリの各部ベルト張力を示す図である。 １０……動力伝達ベルト、１２……Ｖブロツ
ク、１４，１６……摩擦駆動面、１８……負荷支
持部材、２６……溝、２８……リブ、３０……下
部ビーム部材、３２，３４……側部部材、３８…
…上部ビーム部材、４４……ポリマー部、４６，
４８……反作用面、５０……曲げ赤道面、５６，
６４……圧力接触部、６０，６２……変形以前の
形状。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数のＶブロツクを公称ピツチ間隔でほゞ平
   らなベルト型負荷支持部材に取付け、上記各Ｖブ
   ロツクは高弾性率の補強素子と２個のポリマー部
   とを有し、これらポリマー部が上記負荷支持部材
   の曲げ赤道面の上下にまたがり摩擦駆動面を有す
   る反対向きのＶ型側部を形成し、ベルトが曲がる
   と連続したＶブロツクどうしが互いに傾斜する形
   式の動力伝達ベルトにおいて、上記各ポリマー部
   は上記負荷支持部材に対して横方向で上記曲げ赤
   道面附近に反対向きの互に離れた２つの反作用面
   部を有し、それぞれの連続した上記ポリマー部間
   の反作用面部は上記ベルトが曲がると互いに部分
   的に撓み圧力接触することにより上記ポリマー部
   が上記曲げ赤道面を中心としてその上下に圧力接
   触面を拡大して上記Ｖブロツクによる動力伝達を
   増進せしめる如く構成したことを特徴とする動力
   伝達ベルト。 ２ 上記各反作用面部が上記曲げ赤道面よりも上
   方に延長してベルトの反対側への曲がりを防ぐ装
   置を形成してなることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の動力伝達ベルト。 ３ 上記反作用面部間の圧力接触はベルトが曲つ
   た時に上記曲げ赤道面より下方で最大ならしめて
   なることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   の動力伝達ベルト。 ４ 上記各ポリマー部の変形しない反作用面部間
   の間隔が公称ピツチ間隔より大ならしめたことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の動力伝達
   ベルト。 ５ 上記反作用面部間の間隔をピツチ間隔より約
   0.2〜8.7％大とすることを特徴とする特許請求の
   範囲第４項記載の動力伝達ベルト。 ６ 上記負荷支持部材は上記反作用面部が互に圧
   力接触する間は張力下にある如くしてなることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の動力伝達
   ベルト。