JPH0237193Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はテープカセツトに係り、特に、例えば
一般家庭用の標準型テープカセツトが適用される
磁気テープカセツト記録再生装置に、標準型テー
プカセツト以外のテープカセツト（特殊テープカ
セツト）が誤つて装着されても、この装置が動作
しないようにしたテープカセツトの誤装着防止手
段に関する。

（従来の技術） 一般にビデオテープレコーダ（以下、VTRと
称する）は一般家庭用のVTRと業務用のVTRと
の２種類があり、特に業務用のVTRは家庭用の
VTRに比較して高画質・高品位の条件がより強
く要求されているだけに、その記録方式も家庭用
のものとは自ずから異なつている。

例えば、この種業務用のVTRの記録方式はβ
カム（登録商標）方式あるいはＭフオーマツト方
式と称されている２方式などがあり、例えば前者
における方式の標準タイプのテープカセツトを使
用した信号記録時には、輝度信号とカラー信号と
を所定のアジマス角を有する磁気ヘツドを用いて
１トラツク毎に交互にガードバンドを介して記録
するものである。

また、後者のＭフオーマツト方式と称される方
式では、VHS（登録商標）方式の標準タイプのテ
ープカセツトを使用して記録時、輝度信号とカラ
ー信号とをガードバンドを介して交互に記録する
ものである。これら両方式は一般家庭用のVTR
のように、１トラツク毎に輝度信号とカラー信号
とが重畳され、所定のアジマス角を有する磁気ヘ
ツドでガードバンドレス記録する方式とはともに
異なつている。

従つて、例えば上記両者の業務用の記録フオー
マツトによつて信号が記録されたテープカセツト
は、その外形形状が同一なため、一般家庭用の
VTR（以下、標準型VTRと言うこともある）に
使用されるテープカセツトと誤認されやすく、こ
れが標準型VTRに装着された際には、上記した
如く記録フオーマツト及び信号の再生処理系が異
なつているため、当然、既記録信号の再生が不可
能となつて、使用者には装置（VTR）が故障し
たと思わせて不信感をいだかせるなど、色々と不
都合な事態が生じることになる。

また、このように高画質・高品位化に伴つて磁
気テープの素材は、Fe₂O₃、CrO₂を主成分とする
ものからメタル材を使用するテープが現われきい
ており、前者の素材を使用する磁気テープの記録
再生用ヘツドには、フエライトヘツドが一般的に
使用され、後者の素材を使用するテープの記録再
生用ヘツドとしては、メタル材の特性を十分に引
き出すために、例えばセンダスト及び、近年脚光
を浴びているアモルフアスヘツドが使用されてい
る。従つて、メタルテープが使用されているテー
プカセツトをフエライトヘツドを使用している標
準型VTRに装着して記録した場合、フエライト
ヘツドの組成上から飽和磁束密度が不足して、信
号が十分に記録できないという問題点が生じるも
のである。

一般に、この種テープカセツトは上下に２分割
される上ハーフと下ハーフとよりなつており、こ
れらは蓋合せ状態でネジなどで結合されて一体構
成されており、その内部に磁気テープが巻回され
る供給リール及び巻取リールがそれぞれ所定の間
隔を保つてカセツト本体の所定位置にて回転自在
に収納されている。そして、記録・再生時には、
ケース本体の一側面に設けられた開閉蓋がVTR
の開蓋機構によつて開かれ、磁気テープ引き出し
手段によつて磁気テープをカセツト本体より外部
に引き出し、磁気ヘツドに当接せしめるようにな
つている。

ここで、従来の標準型VTRに用いられる標準
型テープカセツトについて説明する。第４図は従
来の標準型テープカセツトの標準型VTRへの装
着状態を示す断面図である。

同図において、テープカセツト１は上ハーフ２
及び下ハーフ３よりなるカセツト筐体内に巻取側
及び供給側のテープリール４，４を回転自在に収
納（内蔵）し、このテープリール４，４には（少
なくともその一方に）磁気テープ５が巻回されて
いる。

また、テープカセツト１の下ハーフ３には２つ
の開口部６，６が設けられ、この開口部６，６を
通じてVTRの巻取側及び供給側のリール駆動軸
７，７が夫々のテープリール４，４と係合するよ
うになつている。更に、テープカセツト１の上ハ
ーフ４の内面には板ばね８が設けられており、そ
の左右の先端部が夫々のテープリール４，４（の
中心の頂部の突起）を図の矢印Ａ方向に付勢して
いる。

第５図ａはテープリール４の断面図を示し、第
５図ｂはテープリール４の下面図を示す。

テープリール４は上フランジ９と下フランジ１
０よりなり、下フランジ１０にはリールハブ１１
が一体に形成されている。また、このリールハブ
１１はその中心部にリール軸挿通孔１２を有し、
その内壁には合計９本の突条１３が形成されてい
る。更に、この他にテープリール４の中心の頂部
にはリールハブ１１と一体に形成された突起１４
が突出しており、テープカセツト１の組立て後
に、上ハーフ２に設けた前記の板バネ８の左右の
先端部と接触する。

第６図ａはリール駆動軸の側面図を示し、第６
図ｂはそのリール駆動軸の上面図を示す。

リール駆動軸７は、VTR基台（図示せず）に
植立した固定軸１５（第４図示）に対して回転可
能なリールデイスク１６と、このデイスク１６と
一体に形成されたリール軸１７とを有する。ま
た、リール軸１７には、このリール軸１７と一体
に嵌合して回転する一方、上下にも昇降自在なリ
ールフエザ１８を備えている。そして、このリー
ルフエザ１８は外周に３枚のリブ１９を有し、圧
縮コイルばね２０によつて上方に付勢され、リー
ル軸１７の頭部２１の下面に当接して上動位置を
規制されている。

以上のように、標準型VTR用の標準型テープ
カセツト１においては、テープリール４に設けた
突条１３は９本であり、一方、リールフエザ１８
に設けたリブ１９は３枚であるので、このリブ１
９の枚数(3)に対して突条13本の本数(9)は整数倍な
ので、これら双方の噛み合いが可能である。

従つて、標準型VTRに、この標準型のテープ
カセツト１を装着しようとして、標準型VTR側
の一対のリール駆動軸７，７に夫々のテープリー
ル４，４を対向させてテープカセツト１を押し下
げると、第４図に示した状態になつてテープカセ
ツト１が、このVTRに正常に装着される。すな
わち、この状態では、リール軸１７の頭部２１が
リールハブ１１の挿通孔１２に挿通され、かつ、
リール軸１７のリブ１９と挿通孔１２の内壁の突
条１３とが噛み合つている。

また、リールハブ１１の下面がリールデイスク
１６の上面に当接するので、テープリール４は板
ばね８の押圧力に抗して図の矢印Ｂ方向に浮上し
ており、双方のテープリール４，４は上ハーフ２
と下ハーフ３のいずれにも接触しない上下方向の
中央位置に保持されている。

更に、第４図示の状態では、VTR基台（図示
せず）に設けたスイツチ２２のアクチエータ２３
をテープカセツト１の下面（下ハーフ面）が押す
ので、このスイツチ２２が作動し、そして、この
スイツチ２２よりのカセツト装着完了信号により
制御回路を介してテープローデイングやテープ走
行駆動等の動作に移るための待機状態となる。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、前記したように、最近では一般家庭
用の標準型VTRの外に、特殊用途のVTRが出現
している。

すなわち、例えば、報道用等の業務用に用いら
るβカム（登録商標）方式あるいはＭフオーマツ
ト方式と称する特殊VTRは、標準型VTR用のテ
ープカセツトを用いながら記録方式が異なり、更
にテープ走行速度も異なるので（規格が異なるの
で）、標準型のVTRとは全く互換性がない。

また、この他に磁気テープの素材の点からも、
高密度記録のためにメタルテープや蒸着テープ等
を用いた場合には、記録電流や消去電流が異なる
ので、やはり互換性がない。

従つて、このような特殊用途のVTRで記録さ
れたテープカセツトが一般の標準型VTRに装着
されるのを防止する手段を、テープカセツトの側
に設けることが強く望まれていた。

なお、このような特殊VTRのテープカセツト
もカセツト筐体やテープ保護用の蓋体等には標準
カセツト用のものが使用されるので、特殊カセツ
トでありながら外観寸法、形状等は殆んど標準型
のものと同一で、これらを単なる表示等で区別し
たのでは使用時における混乱を招き、使用者の不
信感を買う恐れもあつた。

そこで、本考案は上記の標準型テープカセツト
以外のテープカセツト（特殊テープカセツト）を
誤つて標準型VTRのカセツト挿入口に装着（挿
入）しても、正常な装着状態にはならず、詳しく
はVTR側のリール駆動軸がカセツトリールの挿
通孔の所定位置まで挿通されず、従つて、テープ
カセツトがVTRに対する装着途中の位置で移動
を阻止され、その後のテープローデイングやテー
プ走行駆動等の動作を行なえないようにしたテー
プカセツトを提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記の目的を達成するために、カセツ
ト筐体２，３内に磁気テープ５を巻回したテープ
リール２６を回転自在に収納し、このテープリー
ル２６のリール軸挿通孔２９に磁気テープカセツ
ト記録再生装置のリール駆動軸３３を係合せしめ
て、前記テープリール２６を回転駆動せしめるよ
う構成したテープカセツト２５において、前記テ
ープリール２６の前記リール軸挿通孔２９の深さ
を、標準型テープカセツトのテープリールのリー
ル軸挿通孔の深さと異なる深さに設定したことを
特徴とするテープカセツトを提供するものであ
る。

（作用） 上記のテープカセツトにおいては、このテープ
カセツトの前記テープリール２６の前記リール軸
挿通孔２９の深さに対応する高さのリール駆動軸
が設けられたVTRに装着された時にのみ、この
VTRの動作が可能となる。

これにより、一のVTRの信号記録方式に基づ
く記録態様と、このVTRに装着されるテープカ
セツト内に収納された磁気テープへの信号記録態
様とは常に一致する。

（実施例） 本考案になるテープカセツトの一実施例につい
て、以下に図面と共に説明する。

第１図は本考案になるテープカセツトの一実施
例である標準型テープカセツト以外のテープカセ
ツト（特殊テープカセツト）の、標準型VTRに
対する不完全装着状態を示す断面図である。な
お、以下、特記するもの以外は標準型テープカセ
ツト（第４図示）と同様とする。

同図において、テープカセツト２５は上ハーフ
２と下ハーフ３よりなるカセツト筐体に巻取側及
び供給側のテープリール２６，２６を回転自在に
収納（内蔵）し、このテープリール２６，２６に
は（少なくともその一方に）磁気テープ５が巻回
されている。

また、テープカセツト１の下ハーフ３には２つ
の開口部６，６が設けられ、この開口部６，６を
通じてVTRの巻取側及び供給側のリール駆動軸
が夫々のテープリール２６，２６と係合するよう
になつている。

更に、テープカセツト１の上ハーフ２の内面に
設けた板ばね８によつてテープリール２６，２６
が図の矢印Ａ方向に付勢されている。

第２図ａはテープリール２６の断面図を示し、
第２図ｂはテープリール２６の下面図を示す。

テープリール２６は上フランジ９と下フランジ
２７とよりなり、下フランジ２７にはリールハブ
２８が一体に形成されている。また、このリール
ハブ２８はその中心部にリール軸挿通孔２９を有
し、このリール軸挿通孔２９の内壁には合計９本
の突条３０が形成されている。

但し、このリール軸挿通孔２９は標準型テープ
カセツトのもの｛第５図はａに示す｝に比べて深
さが浅く、挿通孔２９の頂部によつて後述するよ
うに異種のVTR（例えば、標準型VTR）に対す
るテープカセツト２５の下動位置の規制をする。

また、この他にテープリール２６の中心の頂部
には標準型テープカセツトと同様に突起３２を有
し、この突起３２にテープカセツト２５の上ハー
フ２の内面に設けた板ばね８の左右の先端部が当
接してテープリール２６を図の矢印Ａ方向に付勢
している。

第３図ａは上記の特殊テープカセツト（本考案
のテープカセツト）用のリール駆動軸の側面図を
示し、第３図ｂはそのリール駆動軸の上面図を示
す。

本考案になる特殊テープカセツト用のリール駆
動軸３３は、VTR基台（図示せず）に植立した
固定軸に対して回転可能なリールデイスク３４
と、このリールデイスク３４と一体に形成された
リール軸３５とを有する。また、リール軸３５に
は、このリール軸３５と一体に嵌合して回転する
一方、上下にも昇降自在なリールフエザ３６を備
えている。そして、このリールフエザ３６の外周
には３枚のリブ３７が形成されている。

また、リールフエザ３６は圧縮コイルばね３８
によつて上方に付勢され、リール軸３５の頭部３
９によつて上動を規制されている。

以上のように、本考案になる特殊VTR用の特
殊テープカセツト２５においては、テープリール
２６に設けた突条３０は９本であり、一方、特殊
VTR用のリール駆動軸３３のリールフエザ３６
のリブ３７は３枚であるので、このリブ３７の枚
数(3)に対して突条３０の本数(9)は整数倍なので、
これら双方の噛み合いが可能である。

更に、テープリール２６のリール軸挿通孔２９
の深さを浅くした分だけ、リール軸３５の高さを
低くしているので、テープカセツト２５を第４図
に示す状態と同じく、リールハブ２８の下面がリ
ールデイスク３４の上面に当接する位置に装着す
ることができる。

ところが、上記の特殊テープカセツトであるテ
ープカセツト２５を標準型VTRに装着しようと
すると、第１図に示すように、標準型VTRのリ
ール駆動軸７は高さが高いために、この標準型
VTRのリール駆動軸７の頭部２１が、特殊テー
プカセツトであるテープカセツト２５のリール軸
挿通孔２９の頂面３１に当接する。

従つて、テープカセツト２５を、第１図に示す
ように、矢印Ａ方向に押し下げようとしても、ま
ず、テープリール２６の下動位置が規制され、次
いでテープリール２６の中心の突起３２が板ばね
８を介してテープカセツト２５の上ハーフ２の裏
面に当接して、テープカセツト２５の下動位置が
規制される。すなわち、この状態では、テープカ
セツト２５の下面は、VTR側に設けたスイツチ
２２のアクチエータ２３に当接しないので、スイ
ツチ２２は動作しない。

この結果、スイツチ２２からのカセツト装着完
了信号が発生しないので、VTRのテープローデ
イングやテープ走行駆動等が行なわれない。また
更に、この時、制御回路にイジエクト信号を発生
させて、VTRに途中まで装着（挿入）されたテ
ープカセツト２５をVTRの外（機外）に自動的
に排出させるよう構成することも可能である。

以上のように、本考案の一実施例のテープカセ
ツト、すなわち、標準型テープカセツトと外形形
状が同一で、しかも標準型テープカセツトとは異
なる記録方式の、例えば、業務用等の特殊VTR
に使用されるテープカセツトは、このテープカセ
ツトの装着を阻止すべき異種のVTR（例えば、標
準型VTR）に適用されるテープカセツトのリー
ル軸挿通孔の深さよりも浅くすることによつて、
このテープカセツトの装着を阻止すべき上記の異
種のVTRへの正常の装着位置への装着を不可能
にすることができ、このテープカセツトを誤つ
て、標準型VTR等の異種のVTRに使用してしま
うというような誤動作を未然に確実に防止でき、
従つて、使用者に不信感を抱かせるようなことが
なくなる。また更に、本考案の一実施例のテープ
カセツトは、テープリールだけが標準型テープカ
セツトと異なるだけで、その他のカセツト筐体部
品やテープ保護用の蓋体等は標準型テープカセツ
トのものと共用できるので、このテープカセツト
の製作に要する金型代等は僅少であり、製造コス
トが低くできる。

（考案の効用） 以上の如く、本考案のテープカセツトは、テー
プリールのリール軸挿通孔の深さを、標準型テー
プカセツトのテープリールのリール軸挿通孔の深
さと異なる深さに設定することにより、磁気テー
プカセツト記録再生装置の実行（再生動作等）す
る信号記録方式に基づく記録態様とは異なる態様
で信号が記録された磁気テープを収納するテープ
カセツトを上記記録再生装置に誤装着（誤挿入）
することを未然に防止できる等の特長を有する。

また、本考案によれば、従来からあるテープカ
セツトの外形寸法と略等しい外形寸法のテープカ
セツトにて上記の効果を実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案になるテープカセツトの一実施
例である標準型テープカセツト以外のテープカセ
ツトの、標準型VTRに対する不完全装着状態を
示す断面図、第２図ａ及び同図ｂは本考案になる
テープカセツトの一実施例を構成するテープリー
ルを示す側面図及び下面図、第３図ａ及び同図ｂ
は本考案になるテープカセツトの一実施例を用い
る特殊VTRのリール駆動軸を示す側面図及び上
面図、第４図は従来のテープカセツトを標準型
VTRに装着した状態を示す断面図、第５図ａ及
び同図ｂは従来のテープカセツトを構成するテー
プリールを示す側面図及び下面図、第６図ａ及び
同図ｂは標準型VTRのリール駆動軸を示す側面
図及び上面図である。 ２……上ハーフ、３……下ハーフ、５……磁気
テープ、２５……テープカセツト、２６……テー
プリール、２９……リール軸挿通孔、３３……リ
ール駆動軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カセツト筐体内に磁気テープを巻回したテープ
   リールを回転自在に収納し、このテープリールの
   リール軸挿通孔に磁気テープカセツト記録再生装
   置のリール駆動軸を係合せしめて、前記テープリ
   ールを回転駆動せしめるよう構成したテープカセ
   ツトにおいて、前記テープリールの前記リール軸
   挿通孔の深さを、標準型テープカセツトのテープ
   リールのリール軸挿通孔の深さと異なる深さに設
   定したことを特徴とするテープカセツト。