JPH0236522Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は人体の経穴「ツボ」治療に好適な磁気
治療衣に関する。

〔従来の技術〕

磁気エネルギーに治療効果があることが知られ
ており、従来より磁力を人体に作用させる器具と
して磁気バンド、磁気腹巻きなどのほかに絆創膏
を用いて小磁石を人体のツボの個所に定着させる
ようにしたものがある。

〔考案が解決しようとする課題〕

人体のツボの個所に磁力を集中して作用させる
ことは、古来からツボ療法の鍼、灸にみられると
おり、有効な方法ではあるが、問題はその定着の
手段である。絆創膏は磁石を定位置に固定できる
点で有利ではあるが、皮膚にかぶれを生じ、ま
た、発汗や入浴時に脱落するという欠点がある。
この問題を解消するために、人体の「ツボ」の位
置に対応して衣類の内側面に磁石を取付けるとい
う着想がある。実開昭53−62090号はその例の一
つである。これは衣類をはさんでホツク方式によ
り磁石を取付けようとする試みである。

ところが、この方式によるときには衣類の一部
に噛み込ませてホツクの結合を行うため、生地が
釣り込まれ、１〜２個のときには問題がないとし
ても、或る程度数が増えると衣類に型崩れが生ず
るものと思われる。また、一般的にいつても、磁
石の取付部分が大きく突出し、上衣を通してその
突出形状が外部に現われるのは好ましくない。

本考案は上記問題点を解消し、人体に対する磁
石の定着性に優れ、しかも磁石の取付部分が大き
く突出することがない磁気治療衣を提供すること
を目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するため、本考案による磁気治
療衣においては、衣類と、磁石片と、抑え部材と
を有する磁気治療衣であつて、 衣類は、伸縮性を有する網目組織を有する生地
をもつて縫成されたものであり、 磁石片は、衣類の網目組織を利用してその内面
側に取付けるものであり、 抑え部材は、衣類の外面側から磁石片に着脱可
能に結合させて衣類からの磁石片の脱落を防止す
るものであり、 磁石片と抑え部材との少なくとも一方には、
各々端部に開放された十字状の溝を有し、 該十字状の溝は、衣類の網目組織のたて糸とよ
こ糸との交叉部分を、自由度をもつて嵌合させる
ものである。

〔作用〕

本考案の治療衣を着用すると、網目組織の伸長
により生地が人体にフイツトし、人体の「ツボ」
の位置に対応して網目を形成する糸の交叉部分に
挿通保持された磁石片が肌に定着してその磁力が
「ツボ」に作用する。

〔実施例〕

以下に本考案の実施例を説明する。本考案の治
療衣に適用する衣類としては肌に直接触れるもの
であれば、特に限定されるものではない。全身又
は一部を覆うタイツ、シヤツ、ズボン下、ブリー
フ、ボデイスーツ、くつ下、帽子、マスクなどに
適用できるが、少なくとも人体の形状を象つて縫
成又は賦形されていることが必要である。

治療衣に用いる素材の選定は重要である。本考
案では、伸縮性を有する網目組織の生地を用い
る。一般にはストレツチ糸などを用いて網目組織
に加工されるが、要するに網目組織に加工された
生地が伸縮性を有すればよい。網目組織は、平
編、ゴム編、パール編などのよこメリヤス編、ト
リコツト編などのたてメリヤス編組織によつても
得られるが、布レースの基布のような方形の網目
組織、いわゆるネツトを用いるのが好適である。
第１図は本考案の磁気治療衣をシヤツに適用した
例を示している。このシヤツ１は網目構造の伸縮
性を有する生地によつて縫成されたものであるこ
とはいうまでもない。２はこのシヤツ１の要所に
取付けた磁石片である。いずれも人体の「ツボ」
の位置に対応して生地に取付けたものである。

例えば、慢性胃炎の治療の場合には人体腹部の
「巨けつ」「中腔」「天枢」、背部、腰部の「膈兪」
「脾兪」「胃兪」などが治療上重要な「ツボ」とさ
れており、これらの「ツボ」はいずれも上半身に
あり、磁石片２はこれらの位置を指定するように
位置を選定して取付ける。

磁石片には希土類コバルト磁石、例えばサマリ
ウムコバルト、アルニコ磁石などの磁束密度が大
きい（1000〜2000ガウス）永久磁石の小片（３〜
５ｍ／ｍ）を用いる。この磁石片２を第２図に示
すように、網目を形成するたて糸３とよこ糸４と
の交叉部分５に、各糸３，４の自由度が損なわれ
ないように各糸３，４に挿通保持させ、その一面
をシヤツの内側に向けて生地５に取付ける。第３
図、第４図に磁石片２の取付例を示す。

第３図ａ，ｂは抑え部材としての溝付端板と磁
石片との組合せを用いる例である。同図ａのよう
に端板６にはその下面に各々両端縁に開放された
十字状の溝７を備えており、この溝７内に網目組
織の交叉部５を形成するたて糸３と、よこ糸４と
を嵌合させたのち、ポリウレタン系接着剤を用い
て端板６の板面を同図ｂのように磁石片２の一面
に接着する。たて糸３、よこ糸４は固定されず溝
７内で自由度が保たれる。この点は以下の例につ
いても同じである。第４図ａ，ｂは磁石片２の一
面に十字状の溝８を設け、この溝８内に網目組織
の交叉部のたて糸３、よこ糸４を嵌合させ平板状
の端板９をその上面に接着して磁石片２の取付け
を行つた例である。第５図及び第６図は磁石片を
着脱可能とした例である。

第５図は磁石片２とキヤツプ１４との組合せ、
第６図に磁石片２とリング１７との組合せを用い
た例を示す。第５図ａにおいて、磁石片２の上面
に網目組織の交叉部を嵌合させる十字状の溝１２
を形成するとともに該溝１２の深さの範囲内でそ
の上周面にキヤツプの係止溝１３を設け、第５図
ｂのように十字状の溝１２内に交叉部のたて糸３
及びよこ糸４を嵌合させ、その上面にキヤツプ１
４で被覆し、該キヤツプ１４の爪を係止溝１３に
係合させて両者を結合し、たて糸３、よこ糸４の
交叉部に保持させたものである。

第６図では、第６図ａのように磁石片２の上面
に、前実施例と同様に十字状の溝１５を、周面に
係止溝１６を形成し、第６図ｂのように十字状の
溝１５内にたて糸３、よこ糸４の交叉部を嵌合さ
せたのち、係止溝１６内にリング１７を係合させ
て糸の脱落を防止している。以上いずれの実施例
においてもキヤツプ１４又はリング１７を磁石片
２より取外すことにより磁石片２を脱着でき、
又、磁石片２の取付位置を自由に選定できる。磁
石片２の取付けは必ずしも上例に限られるもので
はないが、網目組織の糸の交叉部分に取付けるこ
と、そその取付けに際して糸の自由度はできるだ
け損なわれないような取付構造を選定することが
望ましい。

実施例において、第１図に示すように、要所に
磁石片２を取付けたシヤツ１を着用すると、生地
の網目構造の変形、糸の伸縮によつてシヤツは着
用者の体型になじゅみ磁石片２の一面が肌の表面
に定着する。人体の「ツボ」の位置は身長、体型
によつて違いはあるが、シヤツの伸縮性によつて
これが人体にフイツトする限り、磁石片２の取付
位置と人体の「ツボ」の位置とに大幅なずれは生
じない。勿論着用者の体型にあわせて磁石片２の
取付位置を予め選定し、着用者に専用の磁気治療
用シヤツとしてもよい。他の衣類を用いるときも
全く同様である。身長の少なくとも一部に沿う形
態に賦形されている衣類には全く同様に適用でき
る。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように衣類に用いた伸縮性を有
する網目組織の交叉部分を利用して自由な位置に
磁石片を取付けることができ、したがつて、使用
者の体型によらず、着用時の生地の伸び、変形に
より身体に完全にフイツトさせて磁石片を肌に定
着させることができ、又、磁石片は網目組織に自
由度をもつて挿通保持させているため生地の伸縮
性は殆ど損なわれず、又、衣類の型崩れや磁石片
の取付部に無理が生ずることもない。本考案は
又、磁石片の取付手段として磁石片を直接糸に挿
通保持させるか、あるいは実質上脱落を防止でき
る程度の厚味の端板で抑えるのみであるため、そ
の突出量は問題にならず、バルキーな糸を用いた
ときにはその厚みの範囲内に間前に納めることも
可能であり、磁石片取付部の膨らみが上衣を通し
て表われることも殆どない。以上のように本考案
によるときには、網目組織の生地の特徴を生かし
て通気性に優れた着心地のよい治療衣を提供でき
る効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す治療衣の斜視
図、第２図は磁石片を取付けた生地の一部を示す
斜視図、第３図ａ，ｂ〜第６図ａ，ｂはそれぞれ
磁石片の取付構造例を示す説明図である。 １……シヤツ、２……磁石片、３……たて糸、
４……よこ糸、５……交叉部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 衣類と、磁石片と、抑え部材とを有する磁気治
   療衣であつて、 衣類は、伸縮性を有する網目組織を有する生地
   をもつて縫成されたものであり、 磁石片は、衣類の網目組織を利用してその内面
   側に取付けるものであり、 抑え部材は、衣類の外面側から磁石片に着脱可
   能に結合させて衣類からの磁石片の脱落を防止す
   るものであり、 磁石片と抑え部材との少なくとも一方には、
   各々端部に開放された十字状の溝を有し、 該十字状の溝は、衣類の網目組織のたて糸とよ
   こ糸との交叉部分を、自由度をもつて嵌合させる
   ものであることを特徴とする磁気治療衣。