JPH0236211Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、外装ケースに取付けられているソ
ケツトに豆電球を装着するだけで道路標識灯など
として使用できる標識灯用乾電池に関する。

《従来の技術》 この種の標識灯用乾電池は、道路工事現場など
で標識灯として使用され、電池容量が尽きたとき
には使い捨てにすることを前提として作られてい
るもので、通常の携帯電灯とは本質的に異なる。
つまり、紙またはプラスチツク製の外装筒体の内
部に外装仕上を施していない素電池が複数本収納
され、また外装筒体の一端部に内部の素電池と結
線された豆電球用ソケツトが取付けられたもの
で、スイツチは設けられておらず、単に電池の出
力端子として豆電球用のソケツトが設けられたも
のといえる。そして使い捨ての標識灯というこれ
の主目的から明らかなように、この種の標識灯用
乾電池では、必要最小限の機能を損わず、いかに
安価にこれを製造するかが生産者側の重要な課題
である。

第３図は従来の標識灯用乾電池の代表的な構造
を示している。このものは、有底円筒形の外装筒
体１と、この外装筒体１内に直列状態で収納され
た複数個の円筒形素電池２と、外装筒体１の開口
部内周にここを塞ぐように装着された短い有天円
筒形のソケツト装着台３と、このソケツト装着台
３の天面部３ａの中央の取付孔に固着された豆電
球用のソケツト４と、このソケツト４と素電池２
を接続するリード線７ａ，７ｂ，７ｃと、外装筒
体１の開口端縁部に形成されて上記ソケツト装着
台３の抜け止めとなるカール係止部１ａとを備え
る。

上記外装筒体１およびソケツト装着台３はそれ
ぞれプラスチツクの一体成形（ブロー成形など）
によつて構成されている。ソケツト装着台３の筒
部３ｂの外径は外装筒体１の内径にほぼ等しい。
外装筒体１の開口端縁部のカール係止部１ａは、
その内部に素電池２を収納するとともに、ソケツ
ト装着台３を嵌合した後に、例えば熱カシメによ
つて形成される。これにより、ソケツト装着台３
の抜け止めがなされ、また筒部３ｂの下端が最上
部の素電池の上端面に当接し、全体を位置決めす
ることになる。

《考案が解決しようとする問題点》 前述した従来の標識灯用乾電池では、次のよう
な問題点があつた。外装筒体１の材料であるプラ
スチツクは高温の環境に弱く、また振動や衝撃お
よび荷重にも弱い。そのため輸送および保管中あ
るいは使用中に外装筒体１の変形が生じやすい。

外装筒体１の上端部分に変形が生じると、ソケ
ツト装着台３の固定力が緩むことが多い。ソケツ
ト装着台３の固定が緩んだ状態では、豆電球をソ
ケツト４に装着する際に豆電球を回転させるに伴
つて、ソケツト装着台３自体が回転してしまう。
そうすると、豆電球の装着がうまく行えないだけ
でなく、内部のリード線７ｂや７ｃの結線が切れ
ることがある。また、ソケツト装着台３の固定が
緩んだ状態では、内部の素電池２の固定も緩むこ
ととなり、その状態で振動や衝撃が加わると素電
池２が内部で回動、振動し、リード線７ａ，７
ｂ，７ｃの断線を起こすことがある。

また、最下部の素電池２の下端面とソケツト４
とを接続するリード線７ｃが外装筒体１の内面に
配線されるが、素電池２と外装筒体１の隙間は非
常に小さいので、リード線７ｃの配線部分で外装
筒体１が外側に脹らみ、外観を低下させるという
問題もあつた。外装筒体１と素電池２の隙間を大
きくすると、前述したように素電池２が振動しや
すくなり好ましくない。

この考案は上述した従来の問題点に鑑みなされ
たもので、その目的は、殆どコスト上昇をきたす
ことがない改良手段でもつて、上記ソケツト装着
台の固定の緩みが生じにくいようにするととも
に、内部のリード線による外観低下を起こさない
ようにした標識灯用乾電池を提供することにあ
る。

《問題点を解決するための手段》 この考案に係る標識灯用乾電池では、上記外装
筒体の内周側にこれの軸方向に沿つた複数本の凹
溝を形成するとともに、上記ソケツト装着台の筒
部の外周側に上記凹溝に対応する複数本の凸条を
形成し、この凸条を上記凹溝に嵌合するととも
に、上記リード線を上記凹溝内に配線したことを
特徴とする。

《作用》 この考案の構成においては、ソケツト装着台の
上記凸条が外装筒体の上記凹溝に嵌合しているの
で、外装筒体によるソケツト装着台の周囲り方向
の保持力は極めて強くなり、ソケツトに豆電球を
装着する際の力程度ではソケツト装着台は回転し
なくなる。また、リード線が上記凹溝内に収納さ
れているため、リード線による脹らみが外装筒体
の外面に現れることはなく、外観が向上する。

《実施例》 第１図はこの考案による標識灯用乾電池を示
し、第２図は第１図におけるＡ−Ａ線断面図であ
る。

この標識灯用乾電池の基本的な構造は第３図の
従来のものと同じで、有底円筒形の外装筒体１内
に２個の円筒形素電池２が直列状態で収納され、
また外装筒体１の開口部内周にここを塞ぐように
短い有天円筒形のソケツト装着台３が嵌合装着さ
れている。ソケツト装着台３の天面部３ａの中央
の取付孔には豆電球用のソケツト４が固着されて
いる。２つの電池２の相対向する電極部はリード
線７ａでハンダ付けされている。また、ソケツト
４の周辺端子部と下部素電池２の負極部とがリー
ド線７ｃで、またソケツト４の先端端子部と上部
素電池２の正極部とがリード線７ｂで、それぞれ
ハンダ付けによつて接続されている。

この考案に係る標識灯用乾電池の特徴とすると
ころは、外装筒体１の内周側にこれの軸方向に沿
つた複数本の凹溝１０が形成され、ソケツト装着
台３の筒部３ｂの外周側に上記凹溝１０に対応す
る複数本の凸条３０が形成され、この凸条３０が
上記凹溝１０に嵌合しているとともに、リード線
７ｃがある１つの凹溝１０内に配線されている点
である。

上記凹溝１０および凸条３０は、外装筒体１お
よびソケツト装着台３を合成樹脂で一体形成する
際に容易に形成することができる。ソケツト装着
台３の筒部３ｂの外径寸法と、外装筒体１の内径
寸法をほぼ一致させておき、また凹溝１０と凸条
３０の大きさおよび間隔を対応させておく。そし
て第２図に示すように両者を嵌合させれば、外装
筒体１のカール係止部１ａの近傍が熱などである
程度変形したとしても、凹溝１０と凸条３０との
嵌合によりソケツト装着台３は外装筒体１に対し
て周囲り方向に強固に保持された状態に保たれ
る。従つて、ソケツト４に電球を装着する際の回
転力程度ではソケツト装着台３は回転しない。ま
た、素電池２と外装筒体１の間の隙間を充分に小
さくしても、リード線７ｃは凹溝１０内に配線さ
れるので、リード線７ｃの配線部分が外側へ不規
則に脹らんで外観を低下させる、という従来の問
題点を完全に解消できる。

なお、この考案はネジ式のソケツトだけでなく
て、スワン球用のソケツトの場合でも有効なのは
勿論である。

《考案の効果》 以上詳細に説明したように、この考案によれ
ば、ソケツト装着台の回転方向の保持力が極めて
強固になり、ソケツトに豆電球を装着する際の力
程度ではソケツト装着台は回転しなくなり、内部
のリード線の断線故障を起こすことがなくなる。
また、リード線配線部の不規則な脹らみなどで外
観が低下することもない。しかも外装筒体とソケ
ツト装着台の一体成形時にそれぞれ凹溝、凸条を
形成し、こられを嵌合して組立てるだけなので、
材料コストおよび加工、組立コストも殆ど増加せ
ず、製品コストに与える影響は非常に少い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による標識灯用乾電
池の正面図、第２図は第１図におけるＡ−Ａ線断
面図、第３図は従来の標識灯用乾電池の全体構成
を示す断面図である。 １……外装筒体、１ａ……カール係止部、２…
…素電池、３……ソケツト装着台、３ａ……天面
部、３ｂ……筒部、４……ソケツト、７ａ，７
ｂ，７ｃ……リード線、１０……凹溝、３０……
凸条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 有底円筒形の外装筒体と、この外装筒体内に直
   列状態で収納された複数個の円筒形素電池と、上
   記外装筒体の開口部内周にここを塞ぐように装着
   された短い有天円筒形のソケツト装着台と、この
   ソケツト装着台の天面中央の取付孔に固着された
   豆電球用のソケツトと、このソケツトと上記素電
   池を接続するリード線と、上記外装筒体の開口端
   縁部に形成されて上記ソケツト装着台の抜け止め
   となるカール係止部とを有するものにおいて、上
   記外装筒体の内周側にこれの軸方向に沿つた複数
   本の凹溝が形成され、上記ソケツト装着台の筒部
   の外周側に上記凹溝に対応する複数本の凸条が形
   成され、この凸条が上記凹溝に嵌合しているとと
   もに、上記リード線が上記凹溝内に配線されてい
   ることを特徴とする標識灯用乾電池。