JPH0236210Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、外装ケースに取付けられているソ
ケツトに豆電球を装着するだけで道路標識灯など
として使用できる標識灯用乾電池に関する。

《従来の技術》 この種の標識灯用乾電池は、道路工事現場など
で標識灯として使用され、電池容量が尽きたとき
には使い捨てにすることを前提として作られてい
るもので、通常の携帯電灯とは本質的に異なる。
つまり、紙またはプラスチツク製の外装筒体の内
部に外装仕上げを施していない素電池が複数本収
納され、また外装筒体の一端部に内部の素電池と
結線された豆電球用ソケツトが取付けられたもの
で、スイツチは設けられておらず、単に電池の出
力端子として豆電球用のソケツトが設けられたも
のといえる。そして、使い捨ての標識灯というこ
れの主目的から明らかなように、この種の標識灯
用乾電池では必要最小限の機能を損わず、いかに
安価にこれを製造するかが生産者側の重要な課題
である。

第５図は従来の標識灯用乾電池の代表的な構造
を示している。同図に示すように、外装筒体１の
上下の端縁にはそれぞれロール加工によつて内側
に折曲されたロール係止部１ａ，１ｂが形成さ
れ、これら係止部１ａ，１ｂの内部側にそれぞれ
底板２とソケツト板３が係止固定されている。

外装筒体１の内部には２個の素電池４ａ，４ｂ
が中間絶縁紙５を介在させて収納され、素電池４
ａ，４ｂはリード線６ａでもつてハンダ付けされ
て直列接続されている。また、上部の素電池４ａ
の上面とソケツト板３の下面との間に、スペーサ
としてソケツト板３を安定させる補助筒体７が設
けられている。そして、ソケツト板３の中央部に
は豆電球装着用のネジ式ソケツト８が取付けられ
ている。ネジ式ソケツト８はソケツト板３の中央
の取付孔に貫通され、その上端のフランジ部で位
置決めがなされ、例えば接着剤でもつてソケツト
板３に固着されている。さらに、ソケツト８の周
辺端子部と下部素電池４ｂの負極とがリード線６
ｂで、また、その先端端子部と上部素電池４ａの
正極とがリード線６ｃで、それぞれハンダ付けに
よつて接続されている。

《考案が解決しようとする問題点》 前述した従来の標識灯用乾電池では、次のよう
な問題があつた。外装筒体１の材料である紙やプ
ラスチツクは、高温、高湿の環境に弱く、また振
動や衝撃および荷重にも弱い。そのため、輸送お
よび保管中あるいは使用中に外装筒体１の変形が
生じやすい。

外装筒体１の上端部分に変形が生じると、ソケ
ツト板３の固定力が緩むことが多い。ソケツト板
３の固定が緩んだ状態では、豆電球をソケツト８
に装着する際に豆電球を回転させるのにともなつ
てソケツト板３自体が回転してしまう。そうする
と、豆電球の装着がうまく行えないだけでなく、
内部のリード線６ｂや６ｃの結線が切れたり、紙
製のソケツト板３を破損してしまうことがある。
また、ソケツト板３の固定が緩んだ状態では内部
の素電池４ａ，４ｂの固定も緩むこととなり、そ
の状態で振動や衝撃が加わると素電池４ａ，４ｂ
が内部で回動、振動し、リード線６ａ，６ｂ，６
ｃの断線を起すことがある。

この考案は上述した従来の問題点に鑑みなされ
たもので、その目的は、殆どコスト上昇を来たす
ことがない改良手段でもつて、上記ソケツト板の
固定の緩みが生じにくいようにした標識灯用乾電
池を提供することにある。

《問題点を解決するための手段》 この考案に係る標識灯用乾電池では、上記ソケ
ツト板の外周部に複数片の長い帯状突片を放射状
に形成しておき、この帯状突片を上記外装筒体の
上面内周面に沿うように上方へ折曲するととも
に、その外装筒体の上端縁部と一体的に内方へロ
ール加工し、この上端のロール係止部で帯状突片
をほぼ円筒状に巻回するように構成したことを特
徴とする。

《作用》 この考案の構成においては、上記帯状突片が外
装筒体と一体的にロール加工されて円筒状に巻回
されているので、このロール係止部による上記ソ
ケツト板の保持力は非常に強くなり、ソケツトに
豆電球を装着する際の力程度ではソケツト板は回
転しなくなる。

《実施例》 第１図はこの考案による標識灯用乾電池を示
し、第２図はその要部拡大図である。この標識灯
用乾電池は、上下両端にロール係止部１ａ，１ｂ
を有する外装筒体１と底板２とソケツト板３によ
つて本体ケースが構成されている点、ソケツト板
３の下面側にスペーサとなる補助筒体７が設けら
れている点、２個の素電池４ａ，４ｂが中間絶縁
紙５を介するとともにリード線６ａで直列接続さ
れてケース内に収納されている点、ソケツト板３
にネジ式ソケツト８が固着されていて、これと素
電池４ａ，４ｂがリード線６ｂ，６ｃで接続され
ている点、など基本的な構成は第５図に示した従
来のものと同じである。

この考案に係る標識灯用乾電池の特徴とする点
は、ソケツト板３の外周部に複数の長い帯状突片
９が放射状に形成され、この帯状突片９が外装筒
体１の上端内周面に沿うように上方へ折曲される
とともに、この外装筒体１の上端縁部と一体的に
内方へカール加工され、この上端のロール係止部
１ｂで帯状突片９がほぼ円筒状に巻回されている
点である。

第３図は本実施例におけるソケツト板３（ソケ
ツト８を固着している）の組立前の形状を示して
いる。この実施例ではソケツト板３の周辺に４つ
の帯状突片９が90度ずつの間隔をおいて形成され
ており、この帯状突片９は第３図のようにまず上
方へ折曲される。そして、第４図に示すようにロ
ール加工する前の外装筒体１の上端にソケツト板
３を嵌入し、帯状突片９を外装筒体１の上端内周
面に沿わせる。その状態で、外装筒体１の上端部
分を内方へロール加工する。そのとき内周面に沿
つている帯状突片９も一体的に内方へロール加工
される。その結果第２図に示すように、上端のロ
ール係止部１ｂには、外装筒体１の縁部に包まれ
るように、各帯状突片９は円筒状に巻回される。

このようにソケツト板３の帯状突片９がロール
係止部１ｂで円筒状に巻回され、外装筒体１と一
体化されているので、外装筒体１によるソケツト
板３の保持強度が非常に大きくなる。従つて、ソ
ケツト板３が緩みにくくなり、ソケツト板３が簡
単には回動しなくなる。

なお、この考案はネジ式のソケツト８だけでな
くて、スワン球用のソケツトの場合でも有効なの
は勿論である。

《考案の効果》 以上詳細に説明したように、この考案に係る標
識灯用乾電池は、ソケツト板の固定に緩みを生じ
にくくなり、ソケツトに豆電球を装着する際の力
程度ではソケツト板は回転しなくなり、内部のリ
ード線の断線故障を起こすことがなくなる。しか
も、ソケツト板の外周に帯状突片を形成し、これ
を外装筒体と一体にロール加工するだけなので、
材料コストおよび加工、組立コストも殆ど増加せ
ず、製品コストに与える影響は非常に少い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による標識灯用乾電
池の全体構成を示す断面図、第２図は第１図の要
部拡大図、第３図は同上実施例におけるソケツト
板の斜視図、第４図は同上実施例におけるロール
加工前の帯状突片を備えたソケツト板と外装筒体
の組立状態を示す斜視図、第５図は従来の標識灯
用乾電池の全体構成を示す断面図である。 １……外装筒体、１ａ，１ｂ……ロール係止
部、２……底板、３……ソケツト板、４ａ，４ｂ
……素電池、７……補助筒体、８……ソケツト、
９……帯状突片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外装筒体と、この外装筒体の下端のロール係止
   部の内側に配設された底板と、上記外装筒体の内
   部に収納された複数の素電池と、上記外装筒体の
   上端のロール係止部の内側に配設されたソケツト
   板と、このソケツト板の下面と上記素電池との間
   に介在する補助筒体と、上記ソケツト板の中央の
   取付孔に固着された豆電球用のソケツトと、この
   ソケツトと上記素電池を接続するリード線とを有
   する標識灯用乾電池において、上記ソケツト板の
   外周部に複数片の長い帯状突片が放射状に形成さ
   れ、この帯状突片が上記外装筒体の上端内周面に
   沿うように上方へ折曲されるとともに、この外装
   筒体の上端縁部と一体的に内方へロール加工さ
   れ、この上端のロール係止部で上記帯状突片がほ
   ぼ円筒状に巻回されていることを特徴とする標識
   灯用乾電池。