JPH0235112Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は生産ライン上の冷却器等が有するフレ
アパイプと接続する耐圧試験機、真空試験機等に
取付ける管継手として利用できるフレア加工パイ
プ接続用継手に関するものである。

（従来の技術） 開口端部をフレア加工したパイプを接続する継
手としては、従来からフレア部の外周面に複数の
ボールを当接させる形式のものが知られている
が、この形式はフレア加工パイプを装着した際
個々のボールが云わば点接触の状態でフレア加工
部の外周面部に接触するものであつた。また着脱
に際してはスリーブを操作することによつて、ボ
ールを一時的に解放する必要があつた。

（考案が解決しようとする問題点） フレア加工によつてパイプ開口端部に形成され
るフレアの形状は数種類にも及び、同じ形状であ
つても多少の寸法誤差を有しているところから、
従来のボールロツク方式の管継手では、ボールで
フレア加工パイプの位置決めを行つているため、
締付けてもガタが出ると共に、ボールでは半径方
向への移動が余り大きくとれないため、フレア加
工パイプ外径とフレア部外径との寸法差の大きな
もの、又はこれと逆に寸法差の非常に小さなもの
に適用することができないなどの問題があつた。

（問題点を解決するための手段） このため本考案は、主筒体に対してその外周部
には前端部及び前部の内周面部に内向きのテーパ
面を夫々個別に設けた外筒体の基部を固定すると
共に、その内周部には、コイルスプリングで前方
向に付勢され、前端面部にシール面を備えた内筒
体を摺動自在に嵌合し、かつ該内筒体の前方に
は、前記外筒体の前部のテーパ面に対向する外向
きテーパ面、内面にはフレアパイプの外周面部に
当接する凸部と該フレアパイプのフレア部を収容
する凹部、及び前端部外周には内向きのテーパ面
を有する複数の係止爪からなる割りリングを、該
内筒体前端に接触させて設けると共に、前記内外
筒体間に設けたスプリングで前記割りリングを前
方に向けて付勢し、更に該割りリングの前方に
は、前記外筒体の前端部に設けたテーパ面によつ
て中心方向に押圧され、該外筒体の両テーパ面部
に設けた空間で遠心方向への移動を可能とした旋
錠子を有するパイプ挿入筒を軸方向に摺動可能に
設け、該挿入筒の後端外周面部に設けた外向きテ
ーパ面部を、前記割りリング係止爪の前端部外周
の内向きテーパ面部に対向させると共に、スプリ
ングで前方に付勢され前記外筒体の外周部に摺動
自在に嵌合したスリーブを前記パイプ挿入筒に一
体に結合してなる構成を有し、これを問題点解決
のための手段とするものである。

（作用） フレア加工パイプを接続するには、フレア加工
パイプを強く押し込むか、スリーブを主筒体方向
に移動させた後フレア加工パイプを押し込むこと
により接続する。先ずフレア加工パイプを強く押
し込む場合、フレア部が旋錠子部を通過する際、
旋錠子は半径方向外方に移動してフレア部の通過
を許し、フレア部通過後は該旋錠子は半径方向内
方へ移動してフレア加工パイプの外周面に当接す
る。またフレア部が割りリング部に至ると、係止
爪はフレア部に押され、スプリングの付勢力に抗
して外筒体前部の内向きテーパ面に外向きテーパ
面がガイドされることにより半径方向外方に移動
してフレア部の通過を許し、該フレア部が通過し
終ると、割りリングの係止爪は再びスプリングの
付勢力により外筒体前部の内向きパーテ面に沿つ
て内方に移動し、フレア加工パイプのフレア部の
外側面から該パイプの外周面に至る面に凸部が当
接し、フレア加工パイプの抜け出しを防止する。

またスリーブを主筒体方向に手で移動させた後
フレア加工パイプを差し込む場合には、スリーブ
の移動により同方向に同時に移動するパイプ挿入
筒の後端外周面部に設けた外向きテーパ面部で、
係止爪の内向きのテーパ面を押し上げて係止爪を
外方へスプリングの付勢力に抗して移動させるこ
とにより、フレア加工パイプのフレア部は係止爪
部を容易に通過できる。フレア部通過後スリーブ
から手を離すと、スプリングの付勢力によりスリ
ーブは前進し、パイプ挿入筒も前進して元に戻る
ため、割りリングの係止爪はスプリングの付勢力
により復帰して、フレア加工パイプの抜け出しを
防止する。

次にフレア加工パイプを抜き出すには、スリー
ブを主筒体方向に手で移動させると、パイプ挿入
筒により係止爪は押され、スプリングの付勢力に
抗して半径方向外方に移動するため、フレア加工
パイプのフレア部は該係止爪部を何らの抵抗もな
く通過してフレア加工パイプを抜き出すことがで
きる。

（実施例） 以下本考案を図面の実施例について説明する。

第１図及び第２図は本考案の実施例を示し、第
１図は１部断面側面図、第２図は係止爪の配列状
態を示す割りリングの正面図、第３図〜第５図
は、フレア部外径Ａの寸法は夫々同一であるが、
フレア加工パイプ外径寸法がB₁，B₂，B₃と異な
る場合の、本考案のフレア加工パイプ接続用継手
に適用できるフレア加工パイプの１部断面側面図
である。

図において１は外筒体で、主筒体９がねじ込ま
れており、該主筒体９にはエルボ１７がねじ込ま
れて固定され、該エルボ１７にはニツプル１８が
ねじ込まれている。また主筒体９の内周部には、
コイルスプリング８を介して内筒体３が摺動可能
に挿入されている。４は内筒体３の外周溝に挿入
され、主筒体９との摺動面のシールを行なうＹ型
パツキン、５は内筒体３の主筒体９と反対側の前
端面部に取付けられたリング状のパツキンで、挿
入されたフレア加工パイプ１９のフレア部２０の
外面にコイルスプリング８の付勢力により押付け
られてシールを保つようになつている。

１２は外筒体１の外周部に摺動自在に嵌合され
たスリーブで、外筒体１と一体で内向きのテーパ
面１５ａを有するガイド１５を介して挿入された
スプリング１４により抜け出し方向に付勢されて
いる。１６はストツプリングで、スリーブ１２の
開口部内周面に固定されており、図面の位置では
外筒体１の外周面の溝に入つて、スリーブ１２の
抜け出しを防止している。１１はストツプリング
１３を介してスリーブ１２に固定されたパイプ挿
入筒で、ボール（旋錠子）１０が判径方向に移動
できる複数個の穴１１ａが設けられている。穴１
１ａは外方に拡がるテーパ穴となつており、フレ
ア加工パイプ１９のフレア部２０が通過する際に
は、ボール１０は外方へ移動し、フレア部２０が
通過した後は内向きテーパ面１５ａに押されて内
方に移動し、フレア加工パイプ１９の外周面に当
接してフレア加工パイプ１９の振れ止めとなる。

またパイプ挿入筒１１の後端外周面部に設けた
外向きテーパ面１１ｂには、外筒体１の前部の内
周面部に設けた内向きのテーパ面１ａに沿つて半
径方向及び主筒体９方向並にその逆方向に移動可
能に挿入された係止爪２の前端部外周に設けられ
た内向きのテーパ面２ａが当接している。係止爪
２は管継手に挿入されたフレア加工パイプ１９の
外面に当接する凸部２ｂと、該パイプ１９のフレ
ア部２０を収容する凹部２ｃを内面に有し、カラ
ー６を介して主筒体９との間に介設されたスプリ
ング７により前方に付勢され、外筒体１前部の内
周面部の内向きテーパ面１ａに外向きテーパ面２
ｄが当接して半径方向内方に突出するようになつ
ている。この係止爪２は第２図の如く複数個（図
面は４個）がスリツト２１を隔てて円周方向に配
設されて割りリングを構成しており、このスリツ
ト２１の幅を拡げたり狭めたりして、内周径Ｃを
拡縮できるようになつている。また係止爪２は内
筒体３の前端に当接している。

次に作用を説明する。

先ずフレア加工パイプ１９を接続するには、フ
レア加工パイプ１９を管継手内に強く押し込む
か、スリーブ１２を手で持つて矢印Ｘ方向に移動
させたのち、フレア加工パイプ１９を差し込むこ
とにより行なう。

先ずフレア加工パイプ１９を強く押し込む場合
について説明すると、フレア部２０がボール１０
位置を通過する時、ボール１０は半径方向外方に
移動してフレア部２０の通過を許し、フレア部２
０の通過後は該ボール１０は半径方向内方へ移動
し、フレア加工パイプ１９の外周面に当接して該
パイプ１９のガタ防止となる。またフレア部２０
が割りリングの係止爪２部分に至ると、係止爪２
はフレア部２０に押され、スプリング７の付勢力
に抗して外筒体１の前部の内向きのテーパ面１ａ
に沿つて主筒体９方向に移動すると同時に、半径
方向外方に移動してフレア部２０の通過を許し、
該フレア部２０が通過し終ると、再びスプリング
７の付勢力により内方の元の位置に復帰し、フレ
ア加工パイプ１９のフレア部２０の外側面から該
パイプ１９の外周面に至る面に当接してフレア加
工パイプ１９の抜け出しを防止する。

またスリーブ１２を主筒体９方向（矢印Ｘ方
向）に手で移動させた後フレア加工パイプ１９を
差し込む場合には、スリーブ１２の移動により同
方向に同時に移動するパイプ挿入筒１１の後端外
周面部に設けた外向きテーパ面１１ｂで、係止爪
２の前端部外周の内向きのテーパ面２ａを押し上
げることになり、この場合の係止爪２は外筒体１
の前部の内向きのテーパ面１ａに沿つて半径方向
外方に移動すると共に、スプリング７の付勢力に
抗して後退し、フレア加工パイプ１９のフレア部
２０が楽に通過できる程度に、複数個の係止爪２
の割りリングの内周径がスリツト２１の幅を狭め
て拡大される。フレア部２０が係止爪２部を通過
後スリーブ１２から手を離すと、スリーブ１２は
スプリング１４の付勢力により矢印Ｘと反対方向
に前進し、パイプ挿入筒１１も前進するため、係
止爪２はスプリング７の付勢力により図面の位置
に復帰する。

次に接続されているフレア加工パイプ１９を抜
き出すには、スリーブ１２を矢印Ｘ方向に手でス
プリング１４の付勢力に抗して移動させると、パ
イプ挿入筒１１により前述の如く係止爪２は押さ
れ、スプリング７の付勢力に抗して半径方向外方
に移動すると同時に前進して、割りリングの複数
個の係止爪２の内周径Ｃが拡大されるで、フレア
加工パイプ１９のフレア部２０は、何らの抵抗も
なく係止爪２部分を通過し、更にボール１０も押
し上げて通過し、フレア加工パイプ１９を抜き出
すことができる。

第３図、第４図及び第５図はフレア部２０の外
径Ａの寸法は全て同一であるが、フレア加工パイ
プ１９の外径はB₁，B₂，B₃の如く寸法に差のあ
る場合の例示である。このようにパイプ外径B₁，
B₂，B₃に寸法差があつても、ボール１０と係止
爪２の半径方向の移動寸法には余裕があるため、
１つの継手で十分に対応できる。

（考案の効果） フレア加工パイプを用いた各種機器では、機器
の種類によつてフレア加工パイプの外径は相当シ
ビヤな精度が要求されるので、色々の外径のパイ
プが用いられており、従来のボールでフレア部の
抜け出し防止を図る管継手では、１個だけではこ
れらに対応できなかつたが、本考案のフレア加工
パイプ接続用継手は、パイプ挿入筒の外向きテー
パ面部に当接する内向きのテーパ面を前端部外周
に有し、スプリングにより半径方向内方に突出す
るように付勢され、かち内面に、挿入されたフレ
ア加工パイプの外周面に当接する凸部と、該パイ
プのフレア部を収容する凹部を有する係止爪を、
スリツトを隔てて複数個円周方向に配設して割り
リングを構成したものであり、該係止爪の半径方
向への移動は、スリツト２１の幅の拡縮によるた
め余裕があり、フレア加工パイプの外径寸法にバ
ラツキがあつても、フレア部外径寸法が一定であ
れば、１個のフレア加工パイプ接続用継手で相当
幅広い外径寸法差のあるフレア加工パイプでも接
続可能である。従つて本考案は、フレア加工パイ
プの外径とフレア部径の寸法差が１mm位あつても
十分使用できるため、１個の接続用継手で多機種
の機器が有するフレア加工パイプの接続に利用す
ることができ、該機器の生産ラインにおける作業
能率の向上、コスト低減等に貢献できるなど、そ
の効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はフレア
加工パイプ接続用継手全体の１部断面側面図、第
２図は複数の係止爪の配列状態を示す割りリング
の正面図、第３図、第４図及び第５図は夫々各種
外径寸法のフレア加工パイプの例を示す１部断面
側面図である。 図の主要部分の説明、１……外筒体、１ａ……
内向きテーパ面、２……係止爪、２ａ……内向き
のテーパ面、２ｂ……凸部、２ｃ……凹部、２ｄ
……外向きテーパ面、３……パツキンホルダ、５
……パツキン、６……カラー、７……スプリン
グ、８……コイルスプリング、９……主筒体、１
０……旋錠子、１１……パイプ挿入筒、１１ａ…
…穴、１１ｂ……外向きテーパ面、１２……スリ
ーブ、１３……ストツプリング、１４……スプリ
ング、１５……ガイド、１５ａ……内向きテーパ
面、１６……ストツプリング、１９……フレア加
工パイプ、２０……フレア部、２１……スリツ
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主筒体に対してその外周部には前端部及び前部
   の内周面部に内向きのテーパ面を夫々個別に設け
   た外筒体の基部を固定すると共に、その内周部に
   は、コイルスプリングで前方向に付勢され、前端
   面部にシール面を備えた内筒体を摺動自在に嵌合
   し、かつ該内筒体の前方には、前記外筒体の前部
   のテーパ面に対向する外向きテーパ面、内面には
   フレアパイプの外周面部に当接する凸部と該フレ
   アパイプのフレア部を収容する凹部、及び前端部
   外周には内向きのテーパ面を有する複数の係止爪
   からなる割りリングを、該内筒体前端に接触させ
   て設けると共に、前記内外筒体間に設けたスプリ
   ングで前記割りリングを前方に向けて付勢し、更
   に該割りリングの前方には、前記外筒体の前端部
   に設けたテーパ面によつて中心方向に押圧され、
   該外筒体の両テーパ面部に設けた空間で遠心方向
   への移動を可能とした旋錠子を有するパイプ挿入
   筒を軸方向に摺動可能に設け、該挿入筒の後端外
   周面部に設けた外向きテーパ面部を、前記割りリ
   ング係止爪の前端部外周の内向きテーパ面部に対
   向させると共に、スプリングで前方に付勢され前
   記外筒体の外周部に摺動自在に嵌合したスリーブ
   を前記パイプ挿入筒に一体に結合したことを特徴
   とするフレア加工パイプ接続用継手。