JPH0233774B2 - - Google Patents
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- JPH0233774B2 JPH0233774B2 JP59209025A JP20902584A JPH0233774B2 JP H0233774 B2 JPH0233774 B2 JP H0233774B2 JP 59209025 A JP59209025 A JP 59209025A JP 20902584 A JP20902584 A JP 20902584A JP H0233774 B2 JPH0233774 B2 JP H0233774B2
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、微細結晶組織を有して高温における
耐食性に優れかつ高温クリープ強度の高いオース
テナイト系ステンレス鋼管用素材の製造方法に関
するものである。 〔従来の技術〕 SUS321H及びSUS347H等のいわゆる安定化型
オーステナイトステンレス鋼は、一般に優れた高
温特性を有するため、火力発電用ボイラチユーブ
等の腐食環境で長時間使用する高温強度部材とし
て多用されている。これらの鋼の必要性は、加工
性、溶接性等もさることながら、特に高温クリー
プ強さ及び高温での耐食性の2点に集約される。
ところが、一般に、この両特性を向上させる手段
は相反する場合が多い。 例えば、耐水蒸気酸化性は結晶粒径が小さいほ
ど向上するが、結晶粒径を小さくするとクリープ
強度は低下する、ボイラチユーブでは内面の耐水
蒸気酸化性が不充分で内面スケールが剥離しやす
いと、管が閉塞されその部分が高温となるため、
実質的な強度低下が生ずるのに加え、外面の高温
腐食による肉減りも助長されて、管の噴破等のト
ラブルが発生しやすくなる。耐水蒸気酸化性は、
ASTM結晶粒度番号7以上の細粒であれば問題
ないが、この程度の結晶粒径のものは高温強度が
設計基準に達しないことがある。 またCrの添加は高温での耐食性向上に有効で
はあるが、組織安定性を劣化させσ相などのクリ
ープ強度に対して有害な相形成を助長する。 さらに、こうした合金元素の調整あるいは特殊
成分の添加は、コストアツプに加え、加工性、溶
接性等他の性質に及ぼす影響を検討する必要があ
り、使用実績が重視されるボイラチユーブ材にと
つては有利な解決法とは言い難い。 そこで従来の成分範囲でこの問題の解決を計る
必要があり、その1つの手法としてボイラチユー
ブでは内表面にシヨツトピーニングなどによつて
冷間加工を加え表層部のみを細粒にする手法が例
えば特開昭58−39733号公報により提案されてい
る。しかし、この手法も、ボイラ組立時の溶接施
工後に行う焼鈍によつて粒成長を引き起し効果を
消失する可能性がある。 このように、高温強度と高温での耐食性を同時
に満足するオーステナイト系ステンレス鋼を得る
ことは技術的にかなり困難な要求である。しか
し、今後ボイラ等の熱機関の稼動条件は、高効率
化を目指して、高温高圧化する傾向にあり、材料
の使用環境はさらに厳しくなると考えられる。 微細粒結晶組織でなおかつ高温強度の優れたス
テンレス鋼ボイラ管の製造方法としては、たとえ
ば特開昭58−87224号公報記載の方法が提案され
ている。この方法はC:0.06〜0.09%、Si:0.30
〜0.90%、Mn:0.5〜2.0%、Ni:9.00〜13.00%、
Cr:17.00〜20.00%、Nb:8×C%+0.03%〜
1.0%を含有し、必要に応じてN:0.040〜0.080%
を含むオーステナイトステンレス鋼ビレツトを
1100〜1300℃で熱押後、10%以上の冷間加工を行
ない、しかるのち1120〜1250℃で加熱−急冷して
ボイラ管を製造するものである。 しかしこの方法は冷却速度が何ら規定されてい
ないため、場合によつては析出物が粗大化し、結
晶粒成長を抑制する効果が不十分な可能性もあ
る。さらに、最終溶体化温度が前工程の温度より
も高くなる場合には、析出物の再固溶が起り、結
晶粒は著しく成長しやすくなる。 さらに、特開昭58−167726号公報記載の方法も
提案されている。この方法は、Ti:0.15〜0.5wt
%、Nb:0.3〜1.5wt%の1種又は2種を含んだ
オーステナイト系ステンレス鋼の冷間加工工程に
おいて、最終軟化温度を1100〜1350℃に設定して
加熱し冷却した後、20%以上の冷間加工を加え、
さらにこれについで1070〜1300℃でかつ最終軟化
温度より30℃以上低い温度に加熱し空冷以上の冷
却温度で冷却する最終熱処理を施すことによりボ
イラー管を製造するものである。この方式では、
最低3回の冷間加工が必要であるため、工程は複
雑となり非常にコストの高い製造方法となる。 〔発明が解決しようとする問題点〕 オーステナイト系ステンレス鋼の耐水蒸気酸化
性は、結晶粒径が小さい程向上するため、微粒鋼
を得るためには、最終溶体化温度が再結晶温度以
上で低い程良い。一方、高温クリープ強度を向上
するためには、Nb、Ti等のMC型炭化物形成元
素を出来るだけ多く素地に固溶した方が良いた
め、最終溶体化温度は高い程良い。 このように、耐水蒸気酸化性を満足させるため
の手段と高温クリープ強度を満足させるための手
段とは相反する。 本発明は、高温溶体化処理により、高温クリー
プ強度を十分確保し、尚且つ、細粒鋼で耐水蒸気
酸化性をも具備しうる高温用オーステナイト系ス
テンレス鋼管用素材の製造方法を提供しようとす
るものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、重量%にてCを0.04〜0.10%含有
し、NbとTiの1種または2種を(Nb+Ti)で
C含有量の2倍以上1.0%以下含むオーステナイ
ト系ステンレス鋼の連続鋳造鋳片を加熱して炭化
物を固溶させ、その後、500℃までの平均冷却速
度を0.3℃/sec.以上とする冷却を行つて炭化物を
析出させないか、または析出しても微細な炭化物
となし、ついで1100℃以上かつ前記鋳片の加熱温
度よりも低い温度で、熱間押出加工し、炭化物が
析出しないかまたは析出しても微細な炭化物とな
る条件で冷却することを特徴とするオーステナイ
ト系ステンレス鋼管用素材の製造方法を要旨とす
る。 本発明にいうオーステナイト系ステンレス鋼と
は、前述のごとくいわゆる安定化型のオーステナ
イトステンレス鋼を指し、SUS321H、SUS347H
等のJISに規定された成分範囲に準じたものであ
ればいずれも本発明の対象となりうる。 対象とするオーステナイト系ステンレス鋼の鋳
片は、前記固溶化熱処理を行つた後は、分塊圧延
などの加工を行わずに加熱して熱間押出加工を行
うので、連続鋳造により製造した比較的小断面の
鋳片である。 熱間押出加工後の冷却は、500℃までの平均冷
却速度を0.2℃/sec.以上として行うことが好まし
い。 熱間押出加工され冷却された本発明による素材
は、公知の手段により脱スケール処理を行い、冷
間加工を行い、固溶化熱処理を行つて製品とす
る。冷間加工は、最終製品サイズまで中間熱処理
をなしに行うこともでき、また中間熱処理を行う
こともできる。冷間加工後の最終の固溶化熱処理
は1200℃以上で行い、炭化物が析出しない急速冷
却を行うのが望ましい。 〔作用〕 まず本発明においてCならびにNb及びTiにつ
いて成分範囲を限定したのは製造工程中ならびに
最終成品でNbC及びTiCの少くとも1種を析出し
うるものとするためであり、Nb、Tiの複合添加
の場合は原子比でNb/Ti=1が望ましい。 この場合Cは高温強度を確保するためになくて
はならない元素であり少くとも0.04%以上必要で
あるが、一方添加量が多いとCr炭化物を形成す
ることによりCrを消費して耐食性を低下させる
ので上限を0.10%とした。 Nb及びTiは高温強化元素であり、高温強度確
保のためには少くとも2×C%以上添加する必要
があるが多量の添加は溶接性、加工性を劣化させ
るおそれがある上コストをも上昇させるため上限
1.0%とした。 鋳片の加熱は、鋳造時に生成した網目状の巨大
炭窒化物を素地に固溶させるものであり、この処
理により、高温強度に関与するNb、Ti、C量を
増加させ製品のクリープ強度を向上させる。 本発明においては、鋳片の前記加熱後、Nb、
Tiの炭化物が析出しないかまたは析出しても微
細な炭化物となる条件として、可能な限り速い冷
却速度で冷却することが望ましいが、強制冷却で
可能な範囲を考慮して、500℃までの平均冷却速
度を0.3℃/sec.以上とした。冷却速度を規定した
温度範囲の下限値を500℃としたのは、製造工程
においては、それ未満の温度では事実上炭化物の
析出は起こらないと考えられるためである。この
ようにして得られた材料は、Nb、Ti、Cの過飽
和度が大きく、Nb、Tiの炭化物が析出していな
いかまたは析出していても微細な炭化物となつて
いるので、引き続き行う、熱間押出加工の温度
は、熱間押出が可能な1100℃以上であればよく、
とくに高温(たとえば1230℃以上)にして炭化物
を再固溶させる必要はない。熱間押出加工後の冷
却は、炭化物が析出しないかまたは析出しても微
細な炭化物となる条件で行うが、このときの好ま
しい条件は、材料が前記鋳片の場合よりも小断面
となるため、500℃までの平均冷却速度を0.2C/
sec.以上とした。このようにして得られた熱間押
出加工後の鋼管素材を冷間加工し、しかるのち固
溶化熱処理を施すと、熱間押出加工後の冷却時に
Nb、Tiの炭化物が殆んど析出しなかつた場合
は、冷間加工後の固溶化熱処理の昇温時にNb、
Tiの微細な炭化物が均一に析出するので再結晶
が遅延し、高温の固溶化熱処理を行つても微細な
再結晶粒が得られる。また、熱間押出加工後の冷
却時にNb、Tiの微細な炭化物が析出した場合
は、冷間加工後の固溶化熱処理の際、この微細な
炭化物の作用によつて同様に微細な再結晶粒が得
られる。 冷間加工後の固溶化熱処理において、冷間加工
を中間熱処理なしに1回の工程で行う場合、ある
いは中間熱処理をはさんで複数回の工程で行う場
合のいずれについても、最終の固溶化熱処理の温
度が高い程Nb、Ti、Cの固溶量が増加し、その
後炭化物が析出しない急速冷却を行うことによつ
て高温クリープ強度の高い製品が得られる。 本発明によつて得られた素材の場合には前述の
ように、冷間加工後の固溶化熱処理の昇温の際に
析出するか、あるいは該熱処理前に存在する均一
に分散した微細な炭化物の作用によつて、再結晶
が遅延するため、Nb、Ti、Cの固溶量を増加さ
せるような高温で最終の固溶化熱処理を行つて
も、従来法のような結晶粒の粗大化が起らず、微
細な再結晶粒が得られる。したがつて、本発明に
よつて得られた素材によれば高温クリープ強度が
高く、かつ結晶粒が微細で耐水蒸気酸化性もすぐ
れたオーステナイト系ステンレス鋼管が得られ
る。 〔実施例〕 供試材は第1表に示す化学成分のS、T、Uの
3鋼種でいずれも本発明の対象鋼である。S、T
はそれぞれJIS規格内の成分を有するSUS347H、
SUS321H、UはNbとTi複合添加鋼である。こ
れらの3鋼種について、第1図に示す製造工程に
より、外径50mmφ、肉厚8mmの鋼管を製造した。 第1図のaは従来例、b,cが本発明例であ
る。連続鋳造した鋳片を1300℃に加熱し、網目状
の巨大炭窒化物を固溶させたのち、aは炉冷
(500℃までの平均冷却速度0.08℃/sec.)し、b,
cは空冷(500℃までの平均冷却速度0.6℃/sec.)
した。ついで、加熱し、図示各温度で熱間押出加
工し、空冷(500℃までの平均冷却速度2℃/
sec.)し、脱スケールし、30%冷間引抜を行い、
1200℃で固溶化熱処理し水冷(500℃までの平均
冷却速度100℃/sec.)した。但しcは冷却引抜
工程を中間熱処理を入れて2回行つた。 最終固溶化熱処理後の各供給試材S1〜S6,
T1〜T4,U2〜U3から切出し、製作した試
験片を用い、650℃および750℃にてクリープ破断
試験を行い、その結果の平均値より外挿して求め
た105hrクリープ破断強度を、結晶粒度ととも第
2表に示す。第2表中SOおよびTOは、ASME
の許容応力値から換算したTp347Hおよび
Tp321H鋼における基準値である。 本発明により得られた素材より製造した鋼管
は、いずれも結晶粒度No.が7以上の微細粒組織を
有し、耐水蒸気酸化性が良好である。従来法によ
り製造したS1およびT1は、クリープ強度は
ASMEの基準値を満足するが、冷間引抜後の固
溶化熱処理時に結晶粒が粗大化し、耐水蒸気酸化
性が不良である。本発明により得られた素材より
製造した鋼管はいずれも結晶粒度No.7以上の細粒
にもかかわらず、S鋼(SUS347H)では、従来
法による結晶粒度No.4.7と同等またはそれ以上、
T鋼(SUS321H)は従来法による結晶粒度No.3.5
と同等またはそれ以上のクリープ破断強度を示
し、ASMEの許容引張応力値から換算した105hr.
破断強さをもはるかに凌いでいる。更に本発明を
適用したU鋼から製造した鋼管も結晶粒度No.7.2
〜7.3の微細結晶粒組織であるにもかかわらず、
従来法による結晶粒度No.4.7のSUS347Hと同等以
上のクリープ破断強度を有し、ASMEの許容引
張応力の換算値を上回つている。 なお、第1図b,cについて、熱間押出後水冷
した場合、および鋳片熱処理時に水冷した場合
も、前記空冷の場合とほぼ同様の結果が得られ
た。
耐食性に優れかつ高温クリープ強度の高いオース
テナイト系ステンレス鋼管用素材の製造方法に関
するものである。 〔従来の技術〕 SUS321H及びSUS347H等のいわゆる安定化型
オーステナイトステンレス鋼は、一般に優れた高
温特性を有するため、火力発電用ボイラチユーブ
等の腐食環境で長時間使用する高温強度部材とし
て多用されている。これらの鋼の必要性は、加工
性、溶接性等もさることながら、特に高温クリー
プ強さ及び高温での耐食性の2点に集約される。
ところが、一般に、この両特性を向上させる手段
は相反する場合が多い。 例えば、耐水蒸気酸化性は結晶粒径が小さいほ
ど向上するが、結晶粒径を小さくするとクリープ
強度は低下する、ボイラチユーブでは内面の耐水
蒸気酸化性が不充分で内面スケールが剥離しやす
いと、管が閉塞されその部分が高温となるため、
実質的な強度低下が生ずるのに加え、外面の高温
腐食による肉減りも助長されて、管の噴破等のト
ラブルが発生しやすくなる。耐水蒸気酸化性は、
ASTM結晶粒度番号7以上の細粒であれば問題
ないが、この程度の結晶粒径のものは高温強度が
設計基準に達しないことがある。 またCrの添加は高温での耐食性向上に有効で
はあるが、組織安定性を劣化させσ相などのクリ
ープ強度に対して有害な相形成を助長する。 さらに、こうした合金元素の調整あるいは特殊
成分の添加は、コストアツプに加え、加工性、溶
接性等他の性質に及ぼす影響を検討する必要があ
り、使用実績が重視されるボイラチユーブ材にと
つては有利な解決法とは言い難い。 そこで従来の成分範囲でこの問題の解決を計る
必要があり、その1つの手法としてボイラチユー
ブでは内表面にシヨツトピーニングなどによつて
冷間加工を加え表層部のみを細粒にする手法が例
えば特開昭58−39733号公報により提案されてい
る。しかし、この手法も、ボイラ組立時の溶接施
工後に行う焼鈍によつて粒成長を引き起し効果を
消失する可能性がある。 このように、高温強度と高温での耐食性を同時
に満足するオーステナイト系ステンレス鋼を得る
ことは技術的にかなり困難な要求である。しか
し、今後ボイラ等の熱機関の稼動条件は、高効率
化を目指して、高温高圧化する傾向にあり、材料
の使用環境はさらに厳しくなると考えられる。 微細粒結晶組織でなおかつ高温強度の優れたス
テンレス鋼ボイラ管の製造方法としては、たとえ
ば特開昭58−87224号公報記載の方法が提案され
ている。この方法はC:0.06〜0.09%、Si:0.30
〜0.90%、Mn:0.5〜2.0%、Ni:9.00〜13.00%、
Cr:17.00〜20.00%、Nb:8×C%+0.03%〜
1.0%を含有し、必要に応じてN:0.040〜0.080%
を含むオーステナイトステンレス鋼ビレツトを
1100〜1300℃で熱押後、10%以上の冷間加工を行
ない、しかるのち1120〜1250℃で加熱−急冷して
ボイラ管を製造するものである。 しかしこの方法は冷却速度が何ら規定されてい
ないため、場合によつては析出物が粗大化し、結
晶粒成長を抑制する効果が不十分な可能性もあ
る。さらに、最終溶体化温度が前工程の温度より
も高くなる場合には、析出物の再固溶が起り、結
晶粒は著しく成長しやすくなる。 さらに、特開昭58−167726号公報記載の方法も
提案されている。この方法は、Ti:0.15〜0.5wt
%、Nb:0.3〜1.5wt%の1種又は2種を含んだ
オーステナイト系ステンレス鋼の冷間加工工程に
おいて、最終軟化温度を1100〜1350℃に設定して
加熱し冷却した後、20%以上の冷間加工を加え、
さらにこれについで1070〜1300℃でかつ最終軟化
温度より30℃以上低い温度に加熱し空冷以上の冷
却温度で冷却する最終熱処理を施すことによりボ
イラー管を製造するものである。この方式では、
最低3回の冷間加工が必要であるため、工程は複
雑となり非常にコストの高い製造方法となる。 〔発明が解決しようとする問題点〕 オーステナイト系ステンレス鋼の耐水蒸気酸化
性は、結晶粒径が小さい程向上するため、微粒鋼
を得るためには、最終溶体化温度が再結晶温度以
上で低い程良い。一方、高温クリープ強度を向上
するためには、Nb、Ti等のMC型炭化物形成元
素を出来るだけ多く素地に固溶した方が良いた
め、最終溶体化温度は高い程良い。 このように、耐水蒸気酸化性を満足させるため
の手段と高温クリープ強度を満足させるための手
段とは相反する。 本発明は、高温溶体化処理により、高温クリー
プ強度を十分確保し、尚且つ、細粒鋼で耐水蒸気
酸化性をも具備しうる高温用オーステナイト系ス
テンレス鋼管用素材の製造方法を提供しようとす
るものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、重量%にてCを0.04〜0.10%含有
し、NbとTiの1種または2種を(Nb+Ti)で
C含有量の2倍以上1.0%以下含むオーステナイ
ト系ステンレス鋼の連続鋳造鋳片を加熱して炭化
物を固溶させ、その後、500℃までの平均冷却速
度を0.3℃/sec.以上とする冷却を行つて炭化物を
析出させないか、または析出しても微細な炭化物
となし、ついで1100℃以上かつ前記鋳片の加熱温
度よりも低い温度で、熱間押出加工し、炭化物が
析出しないかまたは析出しても微細な炭化物とな
る条件で冷却することを特徴とするオーステナイ
ト系ステンレス鋼管用素材の製造方法を要旨とす
る。 本発明にいうオーステナイト系ステンレス鋼と
は、前述のごとくいわゆる安定化型のオーステナ
イトステンレス鋼を指し、SUS321H、SUS347H
等のJISに規定された成分範囲に準じたものであ
ればいずれも本発明の対象となりうる。 対象とするオーステナイト系ステンレス鋼の鋳
片は、前記固溶化熱処理を行つた後は、分塊圧延
などの加工を行わずに加熱して熱間押出加工を行
うので、連続鋳造により製造した比較的小断面の
鋳片である。 熱間押出加工後の冷却は、500℃までの平均冷
却速度を0.2℃/sec.以上として行うことが好まし
い。 熱間押出加工され冷却された本発明による素材
は、公知の手段により脱スケール処理を行い、冷
間加工を行い、固溶化熱処理を行つて製品とす
る。冷間加工は、最終製品サイズまで中間熱処理
をなしに行うこともでき、また中間熱処理を行う
こともできる。冷間加工後の最終の固溶化熱処理
は1200℃以上で行い、炭化物が析出しない急速冷
却を行うのが望ましい。 〔作用〕 まず本発明においてCならびにNb及びTiにつ
いて成分範囲を限定したのは製造工程中ならびに
最終成品でNbC及びTiCの少くとも1種を析出し
うるものとするためであり、Nb、Tiの複合添加
の場合は原子比でNb/Ti=1が望ましい。 この場合Cは高温強度を確保するためになくて
はならない元素であり少くとも0.04%以上必要で
あるが、一方添加量が多いとCr炭化物を形成す
ることによりCrを消費して耐食性を低下させる
ので上限を0.10%とした。 Nb及びTiは高温強化元素であり、高温強度確
保のためには少くとも2×C%以上添加する必要
があるが多量の添加は溶接性、加工性を劣化させ
るおそれがある上コストをも上昇させるため上限
1.0%とした。 鋳片の加熱は、鋳造時に生成した網目状の巨大
炭窒化物を素地に固溶させるものであり、この処
理により、高温強度に関与するNb、Ti、C量を
増加させ製品のクリープ強度を向上させる。 本発明においては、鋳片の前記加熱後、Nb、
Tiの炭化物が析出しないかまたは析出しても微
細な炭化物となる条件として、可能な限り速い冷
却速度で冷却することが望ましいが、強制冷却で
可能な範囲を考慮して、500℃までの平均冷却速
度を0.3℃/sec.以上とした。冷却速度を規定した
温度範囲の下限値を500℃としたのは、製造工程
においては、それ未満の温度では事実上炭化物の
析出は起こらないと考えられるためである。この
ようにして得られた材料は、Nb、Ti、Cの過飽
和度が大きく、Nb、Tiの炭化物が析出していな
いかまたは析出していても微細な炭化物となつて
いるので、引き続き行う、熱間押出加工の温度
は、熱間押出が可能な1100℃以上であればよく、
とくに高温(たとえば1230℃以上)にして炭化物
を再固溶させる必要はない。熱間押出加工後の冷
却は、炭化物が析出しないかまたは析出しても微
細な炭化物となる条件で行うが、このときの好ま
しい条件は、材料が前記鋳片の場合よりも小断面
となるため、500℃までの平均冷却速度を0.2C/
sec.以上とした。このようにして得られた熱間押
出加工後の鋼管素材を冷間加工し、しかるのち固
溶化熱処理を施すと、熱間押出加工後の冷却時に
Nb、Tiの炭化物が殆んど析出しなかつた場合
は、冷間加工後の固溶化熱処理の昇温時にNb、
Tiの微細な炭化物が均一に析出するので再結晶
が遅延し、高温の固溶化熱処理を行つても微細な
再結晶粒が得られる。また、熱間押出加工後の冷
却時にNb、Tiの微細な炭化物が析出した場合
は、冷間加工後の固溶化熱処理の際、この微細な
炭化物の作用によつて同様に微細な再結晶粒が得
られる。 冷間加工後の固溶化熱処理において、冷間加工
を中間熱処理なしに1回の工程で行う場合、ある
いは中間熱処理をはさんで複数回の工程で行う場
合のいずれについても、最終の固溶化熱処理の温
度が高い程Nb、Ti、Cの固溶量が増加し、その
後炭化物が析出しない急速冷却を行うことによつ
て高温クリープ強度の高い製品が得られる。 本発明によつて得られた素材の場合には前述の
ように、冷間加工後の固溶化熱処理の昇温の際に
析出するか、あるいは該熱処理前に存在する均一
に分散した微細な炭化物の作用によつて、再結晶
が遅延するため、Nb、Ti、Cの固溶量を増加さ
せるような高温で最終の固溶化熱処理を行つて
も、従来法のような結晶粒の粗大化が起らず、微
細な再結晶粒が得られる。したがつて、本発明に
よつて得られた素材によれば高温クリープ強度が
高く、かつ結晶粒が微細で耐水蒸気酸化性もすぐ
れたオーステナイト系ステンレス鋼管が得られ
る。 〔実施例〕 供試材は第1表に示す化学成分のS、T、Uの
3鋼種でいずれも本発明の対象鋼である。S、T
はそれぞれJIS規格内の成分を有するSUS347H、
SUS321H、UはNbとTi複合添加鋼である。こ
れらの3鋼種について、第1図に示す製造工程に
より、外径50mmφ、肉厚8mmの鋼管を製造した。 第1図のaは従来例、b,cが本発明例であ
る。連続鋳造した鋳片を1300℃に加熱し、網目状
の巨大炭窒化物を固溶させたのち、aは炉冷
(500℃までの平均冷却速度0.08℃/sec.)し、b,
cは空冷(500℃までの平均冷却速度0.6℃/sec.)
した。ついで、加熱し、図示各温度で熱間押出加
工し、空冷(500℃までの平均冷却速度2℃/
sec.)し、脱スケールし、30%冷間引抜を行い、
1200℃で固溶化熱処理し水冷(500℃までの平均
冷却速度100℃/sec.)した。但しcは冷却引抜
工程を中間熱処理を入れて2回行つた。 最終固溶化熱処理後の各供給試材S1〜S6,
T1〜T4,U2〜U3から切出し、製作した試
験片を用い、650℃および750℃にてクリープ破断
試験を行い、その結果の平均値より外挿して求め
た105hrクリープ破断強度を、結晶粒度ととも第
2表に示す。第2表中SOおよびTOは、ASME
の許容応力値から換算したTp347Hおよび
Tp321H鋼における基準値である。 本発明により得られた素材より製造した鋼管
は、いずれも結晶粒度No.が7以上の微細粒組織を
有し、耐水蒸気酸化性が良好である。従来法によ
り製造したS1およびT1は、クリープ強度は
ASMEの基準値を満足するが、冷間引抜後の固
溶化熱処理時に結晶粒が粗大化し、耐水蒸気酸化
性が不良である。本発明により得られた素材より
製造した鋼管はいずれも結晶粒度No.7以上の細粒
にもかかわらず、S鋼(SUS347H)では、従来
法による結晶粒度No.4.7と同等またはそれ以上、
T鋼(SUS321H)は従来法による結晶粒度No.3.5
と同等またはそれ以上のクリープ破断強度を示
し、ASMEの許容引張応力値から換算した105hr.
破断強さをもはるかに凌いでいる。更に本発明を
適用したU鋼から製造した鋼管も結晶粒度No.7.2
〜7.3の微細結晶粒組織であるにもかかわらず、
従来法による結晶粒度No.4.7のSUS347Hと同等以
上のクリープ破断強度を有し、ASMEの許容引
張応力の換算値を上回つている。 なお、第1図b,cについて、熱間押出後水冷
した場合、および鋳片熱処理時に水冷した場合
も、前記空冷の場合とほぼ同様の結果が得られ
た。
【表】
【表】
本発明によつて得られた素材によれば冷間引抜
加工後、従来法と同じ最終固溶化熱処理で、MC
炭化物を十分母地に固溶化し、かつ微細粒組織を
得ることが可能となるため、クリープ破断強度
は、従来法と同等もしくはそれ以上であり、か
つ、耐水蒸気酸化性の良好なオーステナイト系ス
テンレス鋼管を製造しうるものであるから、産業
上稷益することが極めて大である。
加工後、従来法と同じ最終固溶化熱処理で、MC
炭化物を十分母地に固溶化し、かつ微細粒組織を
得ることが可能となるため、クリープ破断強度
は、従来法と同等もしくはそれ以上であり、か
つ、耐水蒸気酸化性の良好なオーステナイト系ス
テンレス鋼管を製造しうるものであるから、産業
上稷益することが極めて大である。
第1図は実施例を示すものであり、aは従来
例、b,cは本発明である。
例、b,cは本発明である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%にてCを0.04〜0.10%含有し、Nbと
Tiの1種または2種を(Nb+Ti)でC含有量の
2倍以上1.0%以下含むオーステナイト系ステン
レス鋼の連続鋳造鋳片を加熱して炭化物を固溶さ
せ、500℃までの平均冷却速度を0.3℃/sec.以上
として冷却し、1100℃以上かつ前記鋳片の加熱温
度よりも低い温度で、熱間押出加工し、炭化物が
析出しないかまたは析出しても微細な炭化物とな
る条件で冷却することを特徴とする高温用オース
テナイト系ステンレス鋼管用素材の製造方法。 2 熱間押出加工後の冷却を、500℃までの平均
冷却速度を0.2℃/sec以上として行うことを特徴
とする特許請求の範囲第1項記載の高温用オース
テナイト系ステンレス鋼管用素材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20902584A JPS6187820A (ja) | 1984-10-06 | 1984-10-06 | 高温用オ−ステナイト系ステンレス鋼管用素材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20902584A JPS6187820A (ja) | 1984-10-06 | 1984-10-06 | 高温用オ−ステナイト系ステンレス鋼管用素材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6187820A JPS6187820A (ja) | 1986-05-06 |
JPH0233774B2 true JPH0233774B2 (ja) | 1990-07-30 |
Family
ID=16566019
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20902584A Granted JPS6187820A (ja) | 1984-10-06 | 1984-10-06 | 高温用オ−ステナイト系ステンレス鋼管用素材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6187820A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104357760A (zh) * | 2014-12-06 | 2015-02-18 | 常熟市东鑫钢管有限公司 | 一种高压锅炉用耐热不锈钢无缝钢管 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS622007A (ja) * | 1985-02-18 | 1987-01-08 | Kitagawa Tekkosho:Kk | チヤツク用回転流体圧シリンダ |
-
1984
- 1984-10-06 JP JP20902584A patent/JPS6187820A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS622007A (ja) * | 1985-02-18 | 1987-01-08 | Kitagawa Tekkosho:Kk | チヤツク用回転流体圧シリンダ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6187820A (ja) | 1986-05-06 |
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