JPH0232360Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、工作機のマシンテーブル上に取付け
固定し、治具その他の要素を組付けるようにし
た、治工具プレートに関するものである。

（従来の技術） 工作機のマシンテーブルには、等間隔に平行配
列された位置決めおよび締付け用のＴ溝が設けら
れており、一方、このテーブル上に取付けられる
治工具プレートには、前記Ｔ溝のピツチに合致す
るピツチで貫通状の取付孔が設けられている。よ
つて、この取付孔に締付けボルトを挿入し、か
つ、前記Ｔ溝に組込んだ固定キーに同ボルトにね
じ込むようにして締付け、もつて、前記プレート
をマシンテーブル上に固定する。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、従来の治工具プレートは、前記した
ように、取付けられるマシンテーブルのＴ溝のピ
ツチに合つたピツチで取付孔が設けられているわ
けであるが、同Ｔ溝のピツチは、規格上種々の寸
法である。従つて、使用する工作機が変わると、
そのマシンテーブルのＴ溝のピツチと治工具プレ
ートの取付孔のピツチとが合致せず取付けができ
ない場合も生じ、このため、工作機毎に専用プレ
ートを備えて置く必要があつた。

本考案は、上記した点に鑑み、Ｔ溝ピツチの大
小いかんにかかわらず、より多くの種類のマシン
テーブルに取付けることができる汎用タイプの治
工具プレートを提供せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） そこで、この考案に係る治工具プレートは、上
記目的を達成するために次の構成からなる。即
ち、貫通状の取付孔から挿入する締付けボルト
を、マシンテーブルのＴ溝に組込んだ固定キーに
ねじ込むことにより、そのテーブル上に取付け固
定する治工具プレートにおいて、このプレートの
縦および／もしくは横の方向に、ピツチを異にす
る各種Ｔ溝に対してピツチ合わせができるよう
に、中心間距離を異にする複数組の取付孔を設け
ることを特徴とするものである。

（実施例） 以下この考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。図中１は横長矩形状の治工具プレート全体
を示す。同プレート１には、縦方向および横方向
それぞれに等間隔で位置するように、治工具組付
け用の基準穴２を格子状に多数設ける。

基準穴２は、第２図Ａで明示するように、ブツ
シユ穴Ｍに圧入した位置決め穴ブツシユ３ａと、
同ブツシユ３ａに連通するようにネジ穴Ｎにねじ
込んだネジ穴ブツシユ３ｂとからなる。ブツシユ
３ｂの下端には、ドライバーを差し入れるスリツ
トＳを切り込んで、ねじ込みを容易にしている。
ねじ込みの際には、前記ブツシユ３ｂの外周に接
着剤を塗布することにより固着を強化し、その緩
みを防止する。

このように、各基準穴２は位置決め穴およびね
じ穴の双方を備えるため、どの箇所においても自
由に位置決めができ、かつ、締付けを行うことが
できる。また、治工具組付けに際して、例えば第
３図で示すような、平行ピンとボルトとを兼ねた
位置決めボルトＢを前記基準穴２に用いれば、位
置決めおよび締付けを一度で行うことができる。
従つて、同一の穴で位置決めおよび締付けの双方
を行うため、治工具をコンパクトに設計すること
ができ、プレート１上の加工エリアを大きくとる
ことが可能となる。

また、精度のある加工には前記プレート１を鋼
製でなく鋳鉄製とするのが望ましい。即ち、鋳鉄
はその特性として加工中のワークの振動（ビビ
リ）等を吸収でき、高精度の加工に適するわけで
ある。しかしながら、耐摩耗性に難点があるため
繰返して使用されるネジ穴、位置決め穴などは短
期間で摩耗して、締付けが困難となりまた精度が
保てなくなる。そこで、前記基準穴２を構成する
両ブツシユ３ａ，３ｂを焼き入れを施した鋼製と
すれば、この欠陥を解消でき長期の使用にも耐え
ることができる。ブツシユ３ｂの交換は、ガスバ
ーナーなどの高熱で接着剤を焼いて取り外すよう
にする。

なお、両ブツシユ３ａ，３ｂを、プレート１の
表面よりやや下方に埋込むようにすれば、同プレ
ート１の再研摩も可能となる。また、ブツシユ３
ｂ下端に形成したスリツトＳは必ずしも設ける必
要はない。この場合には、先端ほど細くなるテー
パー状の作用部を備えた専用工具を前記ブツシユ
３ｂ内に差し入れるとともに、同ブツシユ３ｂを
前記ネジ穴に対してねじ込むように、あるいは、
緩めるようにして脱着する。

そして、このプレート１には、同プレート１を
工作機のマシンテーブル面へと取付け固定するた
めの、締付けボルト挿入用の複数組の取付孔４，
４ａ，４ａ〜４ｅ，４ｅを設ける。これら取付孔
４，４ａ，４ａ〜４ｅ，４ｅは、プレート１を貫
通しているとともに、縦および横の中心部を基準
として、上下および左右に所要等距離だけ離れて
位置している。しかも、これら取付孔４，４ａ，
４ａ〜４ｅ，４ｅは、前記マシンテーブルのＴ溝
ピツチの種々の規格寸法に合致するように、即
ち、ピツチが異なる各種Ｔ溝に対してピツチ合わ
せができるように、中心間距離を互いに異にす
る。

Ｔ溝ピツチは国内又は、国際標準規格によつて
その寸法が定められており、従つて、本実施例に
あつては、このうち工作機のマシンテーブルに主
に使用されるピツチに合致するように取付孔４を
設ける。

まず、プレートの左右両端には、Ｔ溝ピツチ
100mmに合致するように、縦方向中心部より上下
にそれぞれ100mm離れて中心間距離l1（200mm）を
形成する一組の取付孔４ａ，４ａをそれぞれ設け
る。

次に、前記取付孔４ａ，４ａのやや内側には、
Ｔ溝ピツチ125mmに合致するように、縦方向中心
部より上下にそれぞれ125mm離れて中心間距離l2
（250mm）を形成する一組の取付孔４ｂ，４ｂをそ
れぞれ設ける。

そして同じくして、Ｔ溝ピツチ160mmに合致す
るように、それぞれ上下に160mm離れて中心間距
離l3（320mm）を形成する一組の取付孔４ｃ，４ｃ
をそれぞれ設ける。

そして一方、プレート１の上下両端にも、Ｔ溝
ピツチ125mmに合致するように、横方向中心部よ
り左右それぞれに125mm離れて中心間距離l2（250
mm）を形成する一組の取付孔４ｄ，４ｄを、ま
た、その外側には同じくして、Ｔ溝ピツチ160mm
に合致する中心間距離l3（320mm）を形成する一組
の取付孔４ｅ，４ｅをそれぞれ設ける。そして、
縦方向においてＴ溝ピツチ160mmに合致する中心
間距離l3を形成する取付孔４ｃ，４ｃは、横方向
においてＴ溝ピツチ200mmと合致する中心間距離
l4（400mm）を形成する取付孔をもそれぞれ兼用す
る。

なお、取付孔４，４ａ，４ａ〜４ｅ，４ｅは、
いずれも第２図Ｃで示す通り、丸い大径の座ぐり
穴Ｐに小径のボルト穴Ｑが連通するようにして設
けたものである。

図中５，６は、プレート１の裏面中央部にて十
文字状に交わるように刻設した縦および横それぞ
れの位置決め溝であつて、そのネジ穴７に対して
位置決め用のキー（図示しない）がネジ止めされ
る。

この実施例では、100mm、125mm、160mmおよび
200mmのＴ溝ピツチに合致する取付孔を設ける例
を示したが、これらに限られず80mm以下あるいは
250mm以上のＴ溝ピツチさらには他の規格に基づ
いたＴ溝ピツチに合致する取付孔を設けるように
しても良いことは勿論である。

（考案の効果） 以上詳述したように、本考案に係る治工具プレ
ートは、中心間距離を異にする複数組の取付孔を
設けたことにより汎用性を備え、特定寸法のＴ溝
ピツチを備えるマシンテーブルのみならず、Ｔ溝
ピツチを異にする種々のマシンテーブルにもそれ
ぞれ取付けることができる。このため、従来のプ
レートとは違つて、工作機毎に専用のプレートを
設けるような面倒がなくなる。

また、実施例で示したように、プレートの縦横
それぞれの方向に取付孔を設けるようにすれば、
中心間距離を異にするより多くの取付孔を設ける
ことができ、しかも、使用の実際にあつては、縦
置き横置きのいずれの向きでもマシンテーブル上
に設置することができその取扱いが便利となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る治工具プレートを示す平
面図、第２図Ａ，ＢおよびＣはそのＸ−Ｘ線、Ｙ
−Ｙ線およびＺ−Ｚ線の拡大断面図、第３図は位
置決めボルトの正面図である。 １……プレート、２……基準穴、４，４ａ，４
ａ〜４ｅ，４ｅ……取付孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 貫通状の取付孔から挿入する締付けボルトを、
   マシンテーブルのＴ溝に組込んだ固定キーにねじ
   込むことにより、そのテーブル上に取付け固定す
   る治工具プレートにおいて、このプレートの縦お
   よび／もしくは横の方向に、ピツチを異にする各
   種Ｔ溝に対してピツチ合わせができるように、中
   心間距離を異にする複数組の取付孔を設けてなる
   治工具プレート。