JPH0231229Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ダイカストマシンの金型排気装置
に係り、特に金型のキヤビテイと連通するバイパ
ス通路を備えた排気通路を設け、この排気通路の
一部に開閉弁を設けてこの開閉弁を溶湯の流入速
度に関係なくキヤビテイ内への充填状態を検出す
ることによつて強制的に閉塞し、排気通路からの
溶湯の流出を確実に防止し得るようにした金型排
気装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、ダイカストマシンの金型装置において
は、巣のない射出製品を得るため、金型キヤビテ
イを形成する移動金型または固定金型の一部にキ
ヤビテイと連通する排気通路を設けると共にこの
排気通路の一部に開閉弁を設け、キヤビテイ内へ
の溶湯の注入に先立つて前記排気通路からキヤビ
テイ内のガスを充分排気し、その後キヤビテイ内
に注入される溶湯の慣性力によつて前記開閉弁を
自動的に閉じ、溶湯が外部へ流出しないように構
成した金型排気装置が提案され実施されている。

この種の金型排気装置として、例えば、第１図
に示す構成からなるものが知られている。すなわ
ち、第１図において、参照符号１０は固定金型ま
たは移動金型の分割面に形成されるキヤビテイを
示し、前記金型の一部にキヤビテイ１０と連通す
る排気通路１２が設けられている。この排気通路
１２には、金型の合せ面に沿つて左右一対のバイ
パス通路１４，１６が設けられ、これらの通路は
外部と連通する排気口１８に連通している。しか
るに、前記排気通路１２の排気口１８にはシリン
ダ２０が設けられ、このシリンダ２０内に弁２２
を配設する。この弁２２は、後端部にストツパ２
４を設けると共にこの後端部にばね２６を係合し
て弾力的に保持し、溶湯の注入前においては弁頭
部２８が排気通路１２を閉塞すると共にバイパス
通路１４，１６を排気口１８と連通状態とするよ
う構成される。

このように構成された従来の金型排気装置にお
いては、排気をより確実に達成するため、外部に
排気手段を設けて、キヤビテイ１０内への溶湯の
注入前に、シリンダ２０の一側部に設けた排気口
３０よりバイパス通路１４，１６を介して連通す
るキヤビテイ１０内のガスを強制的に排気する。
一方、キヤビテイ１０内へ溶湯が注入される際に
は、溶湯がキヤビテイ１０内に充満すると、その
一部が排気通路１２に侵入しこの通路１２内を直
進するため、溶湯は大きな慣性力を持つて弁２２
の弁頭部２８に当接する。この結果、弁２２はば
ね２６の弾力に抗して上方に移動し、弁頭部２８
がシリンダ２０の開口部に当接して排気口１８を
閉塞する。従つて、この状態においては、排気通
路１２およびバイパス通路１４，１６が外部と遮
断されるため、溶湯の金型外への流出は防止され
る。なお、弁２２を収納するシリンダ２０には、
型開きに際して固化した溶湯と弁との切離しを行
うために、シリンダ２０を移動し得る操作シリン
ダ３２が適宜付設される。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、前述した従来の金型排気装置に
おいては、排気通路に対して設けた弁を溶湯の慣
性力によつて移動させ、排気口の閉塞を行うよう
構成したものであるため、例えばキヤビテイ１０
内への溶湯の注入速度が遅い場合には、溶湯は充
分な慣性力を発生することができず、弁の閉塞動
作が遅延してこの間に溶湯の一部が排気口より外
部へ流出してしまう難点があつた。

そこで、本考案の目的は、金型のキヤビテイと
連通するよう設けた排気通路の一部に開閉弁を設
けてなる金型排気装置において、弁に対する溶湯
の接触状態を検知して弁を強制的に閉塞動作する
ことにより、溶湯の注入速度と無関係に常に適正
な排気動作を達成できる金型排気装置を提供する
にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係る金型排気装置は、金型のキヤビテ
イと連通するバイパス通路を備えた排気通路を設
け、この排気通路の一部に開閉弁を設け、この開
閉弁の弁棒部の一部にピストンを取付けてこのピ
ストンを流体圧力室内に収納配置して流体圧力操
作シリンダを構成し、キヤビテイ内に注入される
溶湯が前記開閉弁の弁頭部に接触することにより
排気通路の外部との遮断を行うようにした金型排
気装置において、 前記開閉弁の弁頭部の内部に着湯検出器を設け
ると共にこの検出器のリード線を弁棒部の内部を
挿通してその他端部から外部に取出し、 前記ピストンにより仕切られた各流体圧力室に
それぞれ連通接続される圧力流体供給管を切換弁
を介して圧力源に接続し、 前記弁棒部の他端部から取出したリード線を介
して出力される着湯検出器の検出信号により前記
切換弁の操作を指令するコントローラを設け、 さらに前記弁棒部の弁頭部とは反対側の端部に
開閉弁の動作状態を検出するための位置検出手段
を設けることを特徴とする。

前記の金型排気装置において、弁棒部の端部に
設ける位置検出手段は、流体圧力室の外部に突出
した弁棒部の端部にスイツチ作動板を取付け、こ
のスイツチ作動板と対向して位置検出器を設けれ
ば好適である。

〔作用〕

本考案に係る金型排気装置によれば、開閉弁の
弁頭部の内部に着湯検出器を設けると共にこの検
出器のリード線を弁棒部の内部を挿通してその他
端部から外部に取出し、ピストンにより仕切られ
た各流体圧力室にそれぞれ連通接続される圧力流
体供給管を切換弁を介して圧力源に接続し、前記
弁棒部の他端部から取出したリード線を介して出
力される着湯検出器の検出信号により前記切換弁
の操作を指令するコントローラを設けることによ
り、弁頭部に溶湯が接触した際この状態を前記検
出器で直ちに検出し、得られる検出信号により操
作シリンダを動作させて弁を強制的に閉塞して、
溶湯の外部への流出を確実に防止することができ
る。

また、弁棒部の弁頭部とは反対側の端部に開閉
弁の動作状態を検出するための位置検出手段を設
けることにより、金型排気装置の前記弁の動作状
態を確実に検知し、確認することができる。

〔実施例〕

次に、本考案に係る金型排気装置の実施例につ
き、添付図面を参照しながら以下詳細に説明す
る。

第２図は、本考案装置の一実施例を示す要部断
面説明図である。すなわち、第２図に示す実施例
は、移動金型４０において、キヤビテイと連通す
る排気通路４２に対して設けた排気装置を示すも
のである。排気通路４２には、従来と同様に一対
のバイパス通路４４，４６が設けられ、これらの
通路は外部と連通する排気口４８に連通してい
る。また、前記排気通路４２の排気口４８にはシ
リンダ５０が設けられ、このシリンダ５０内に弁
５２を挿通配置する。この弁５２は、弁頭部５４
と弁棒部５６とから構成され、弁棒部５６の一部
にピストン５８を取付け、このピストン５８を前
記シリンダ５０の一部に画設した流体圧力室６０
内に収納配置し、流体圧力操作シリンダとして構
成する。しかるに、前記ピストン５８を収納した
流体圧力室６０のピストン５８で仕切られた各室
６０ａ，６０ｂには、圧力流体供給管６２，６４
を連通接続すると共にこれらの圧力流体供給管６
２，６４はそれぞれ切換弁６６を介して圧力源お
よびドレンと連通する。この場合、前記圧力室６
０ａ，６０ｂ内には、適宜スプリング６１を設け
てピストン５８を弾力的に挟持するよう構成して
もよい。そこで、このように構成した流体圧力操
作シリンダは、その待機状態において、一方の圧
力室６０ｂに圧力流体を供給しておくことによ
り、弁頭部５４が排気通路４２を閉塞すると共に
バイパス通路４４，４６が排気口４８と連通する
よう弁５２の位置決めを行う。なお、シリンダ５
０の一部に外部と連通する排気口６８を設け、こ
の排気口６８は前記バイパス通路４４，４６と連
通する排気口４８と連通させる。

また、前記弁５２の弁頭部５４の内部に感温素
子等からなる着湯検出器７０を設け、この検出器
７０で得られる検出信号を、弁棒部５６の内部を
挿通してその他端部から外部に取出したリード線
７２を介してコントローラ７４に転送し、切換弁
６６の操作指令を行うよう構成する。

なお、弁５２のシリンダ５０から外部に突出し
た弁棒部５６の端部には、適宜スイツチ作動板７
６を設けると共にこの作動板７６と対向して位置
検出器７８が設けられている。

次に、前記構成からなる本考案の金型排気装置
の動作につき説明する。

まず、金型のキヤビテイ内への溶湯注入前にお
いて、弁５２は第２図に示す状態に保持されてお
り、この場合従来装置と同様にシリンダ５０の一
側部に設けた排気口６８より、バイパス通路４
４，４６を介して連通する金型のキヤビテイ内の
ガスは、外部に設けた排気手段によつて強制的に
排気される。

次いで、キヤビテイ内に溶湯が注入されると、
キヤビテイを充満した状態において溶湯の一部が
排気通路４２内に侵入する。この時、溶湯の一部
が弁５２の弁頭部５４に接触すれば、弁頭部５４
は直ちに温度上昇を生じ、内部に設けた着湯検出
器７０が直ちにこの状態を検出して所定の検出信
号を出力する。この検出信号はコントローラ７４
を介して切換弁６６の操作指令となり、切換弁６
６を左方向に切換操作する。この結果、流体圧力
室６０には、待機状態の場合と逆方向に圧力流体
が作用し（圧力室６０ａに圧力流体が供給され
る）、これにより弁５２は強制的に右方向に移動
し、弁頭部５４が排気口４８を閉塞する。従つ
て、この状態において、排気通路４２およびバイ
パス通路４４，４６は外部と遮断され、溶湯の金
型外への流出が防止される。

〔考案の効果〕

前述した実施例から明らかなように、本考案に
よれば、排気通路に設けた弁に対する溶湯の接触
状態を感知して弁の強制的閉塞操作を行うもので
あるから、溶湯の種類やキヤビテイの形状によ
り、溶湯の注入速度が遅くなる場合でも、適確に
弁の閉塞を達成でき、金型外への溶湯の流出を確
実に防止することができる。

また、本考案装置は、構成が簡単であり、既存
の金型設備に対し特別な改造を要することなく簡
便に適用することができ、製造コストの低減を図
ることができる。

さらに、本考案装置においては、弁の動作を位
置検出器によつて簡便に検出することができるた
め、排気状態および溶湯の充填状態が容易に確認
でき、ダイカストマシンの適正な運転制御を実現
するのにきわめて有効である。

以上、本考案の好適な実施例について説明した
が、本考案は前述した実施例に限定されることな
く、本考案の精神を逸脱しない範囲内において
種々の改良並びに変更をなし得ることは勿論であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の金型排気装置の基本構成を示す
要部断面図、第２図は本考案に係る金型排気装置
の一実施例を示す要部断面説明図である。 ４０……移動金型、４２……排気通路、４４，
４６……バイパス通路、４８……排気口、５０…
…シリンダ、５２……弁、５４……弁頭部、５６
……弁棒部、５８……ピストン、６０……流体圧
力室、６１……スプリング、６２，６４……圧力
流体供給管、６６……切換弁、６８……排気口、
７０……着湯検出器、７２……リード線、７４…
…コントローラ、７６……スイツチ作動板、７８
……位置検出器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 金型のキヤビテイと連通するバイパス通路を
   備えた排気通路を設け、この排気通路の一部に
   開閉弁を設け、この開閉弁の弁棒部の一部にピ
   ストンを取付けてこのピストンを流体圧力室内
   に収納配置して流体圧力操作シリンダを構成
   し、キヤビテイ内に注入される溶湯が前記開閉
   弁の弁頭部に接触することにより排気通路の外
   部との遮断を行うようにした金型排気装置にお
   いて、 前記開閉弁の弁頭部の内部に着湯検出器を設
   けると共にこの検出器のリード線を弁棒部の内
   部を挿通してその他端部から外部に取出し、 前記ピストンにより仕切られた各流体圧力室
   にそれぞれ連通接続される圧力流体供給管を切
   換弁を介して圧力源に接続し、 前記弁棒部の他端部から取出したリード線を
   介して出力される着湯検出器の検出信号により
   前記切換弁の操作を指令するコントローラを設
   け、 さらに前記弁棒部の弁頭部とは反対側の端部
   に開閉弁の動作状態を検出するための位置検出
   手段を設けることを特徴とする金型排気装置。 (2) 弁棒部の端部に設ける位置検出手段は、流体
   圧力室の外部に突出した弁棒部の端部にスイツ
   チ作動板を取付け、このスイツチ作動板と対向
   して位置検出器を設けてなる実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の金型排気装置。