JPH02308Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は液式筆記具の先端部構造に関する。

従来より、弁体を作動させてインキ貯蔵部から
首部筒軸心に挿入された多孔質ペン体にインキを
供給するタイプの液式筆記具は、主として顔料を
溶媒に分散させた比較的高粘性のインキに広く適
用されている。

この種の液式筆記具においては、首部筒内の適
宜位置に環状のスポンジ体が挿着されており、該
スポンジ体の軸心部にはペン体を挿通させた構造
が主として使用されている。

前記における環状のスポンジ体は、開弁操作に
より筆記先端方向に流出させたインキを一時的に
貯溜すると共に、適宜量のインキを徐々にペン体
の周面に供給してインキ流出量をコントロールす
るための役目をしている。

しかるに、スポンジ体はそれ自体、軟弱かつ寸
法安定性に欠ける素材であり、所望の環形状の寸
法に仕上げることが困難な上、首部筒への挿着加
工効率も悪い。また、スポンジ体に吸収されたイ
ンキはペン体に完全に移行させることができず、
無駄な残溜インキ量を増大させている。さらに
は、インキの含浸状態或いは長期保存において、
寸法変動が著しく所期の機能を満足させず、しば
しばトラブルを発生していた。

本考案は、前記従来のスポンジ体に代えて、非
多孔質筒体を装置すると共に、該筒体と関連し
て、特定の空間配置を首部筒内に形成することに
よつて、従来のトラブルを解消し、製造効率の優
れた液式筆記具の先端部構造を提供する。

以下に本考案を図面について説明する。本考案
は弁体１を作動させてインキ貯蔵部２から首部筒
軸心に挿入させた多孔質ペン体４にインキを供給
するタイプの液式筆記具に有効である。この種の
筆記具には、ペン体先端を押圧することにより、
ペン体を後退させると共に該ペン体の後方に同軸
上に配置され、弁座１０に後方よりバネ体９で弾
発支持された弁体１を一連的に後退させてインキ
貯蔵部２のインキを筆記先端方向に流させるタイ
プと、軸筒尾端のノツク杆或いは軸筒側部を挟圧
することによつて弁体１を前方に移動させてイン
キを前方に流出させるタイプが挙げられる。

前記した如き液式筆記具において、首部筒３の
後部には、多孔質ペン体４の外径に比較して僅か
大径の内径寸法からなる小径筒部をもつ非多孔質
筒体５が内挿されてペン体周面との間に環状微小
間隙６が形成されており、軸方向前方には前記微
小間隙に連通し、かつ該微小間隙に比較して大容
積の環状インキ貯溜空間７が首部筒３の内壁とペ
ン体４の外周面との間に形成されていると共に、
該空間から筆記先端に開口する空気交替用微小通
路８が設けられている。

前記において、非多孔質筒体５は軸心部に前記
構成の内経寸法の透孔を形成した各種のプラスチ
ツク成形体、アルミニウム、ステンレス材等の金
属筒体、その他の耐インキ性かつ寸法安定性の素
材からなる、実質的にインキを吸収しない非多孔
体である。該筒体５の役目は開弁操作によりイン
キ貯蔵部２から流出させたインキの、筆記先端方
向への大量移動を抑制すると共に、該部材の軸心
に緩挿させたペン体との間に形成される環状微小
間隙６を通してペン体の周面に徐々にインキを補
給する。前記筒体５は内面が円形に限定されず、
多辺形その他の異形状及び、内向突条を一体的に
配設したものでもよい。

前記ペン体は、少なくとも後部周面が多孔質で
あり、周面からインキを吸収して筆記先端に導出
するものであればよい。例えば、繊維束の樹脂加
工体、連続気孔をもつプラスチツクポーラス体、
その他の耐インキ性の多孔体を基体とする単一体
に限定されず、前記基体の前部に細径のプラスチ
ツク成形体（内部軸線方向にインキ通路を貫設し
たもの）、その他の毛細管作用をもつ棒体を配置
した、多段式ペン体が有効である。

環状微小間隙６の前方に連通して形成された環
状インキ貯溜空間７は前記微小間隙６で保持され
ない過剰のインキを貯溜してペン体の側面に供給
して筆記先端からオーバーフローさせないための
インキ溜めの役目を果たす。

この種の筆記具では、筆記に消費される適性量
のインキを開弁操作により常時流出させることは
困難であり、前記環状インキ貯溜空間７の配置は
流出を緩和させるために有効である。

前記インキ貯溜空間７と連通し、筆記先端に開
口する、空気交替用微小通路８は、空気を交替さ
せて筆記先端からインキが漏出するのを防ぐと共
に筆記部の摺動を容易にする。

以下に実施例を説明する。

第１図および第２図は本考案実施例に関する。

筆記先端を軸方向に押圧することにより開弁さ
せる構造であるが、多孔質ペン体４は２段式に構
成されており、繊維束の樹脂加工体（外径3.0mm
φ、気孔率50％）の前方に、内部軸線方向にイン
キ通路を貫設した、外径１mmφのプラスチツク成
形体が配置されたものであり、ホルダー１１を介
して一連に保持されている。

５は非多孔質筒体であり、内径3.3mmφ、長さ
2.5mmの内部形状の縮径部をもつ、中空のポリア
ミド樹脂の射出成形体である。

本考案は、前記実施例に例示の如く、従来のス
ポンジ体に代えて、非多孔質の寸法安定性の筒体
５を装着すると共に、これと関連して特定の空間
配置を首部筒内に一連して形成することによつ
て、冒頭に記載した従来のトラブルと製造効率の
悪さを解消した液式筆記具の先端部構造を提供す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の要部縦断面図、第２図は、
第１図のＡ−Ａ線の横断面図である。 １……弁体、２……インキ貯蔵部、３……首部
筒、４……多孔質ペン体、５……非多孔質筒体、
６……環状微小間隙、７……環状インキ貯溜空
間、８……空気交替用微小通路、９……バネ体、
１０……弁座、１１……ホルダー、１２……軸
筒、１３……補強部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弁体１を作動させてインキ貯蔵部２から首部筒
   ３軸心に挿入された多孔質ペン体４にインキを供
   給するタイプの液式筆記具において、首部筒３の
   後部には一端が同心状に縮径されて小径筒部とな
   つている非多孔質筒体５が小径筒部を筆記先端側
   に向けて首部筒３に内挿されており、前記小径筒
   部は前記ペン体の外径に比較して僅か大径の内径
   寸法に構成されており、ペン体周面との間に環状
   の微小間隙６が形成されており、軸方向前方には
   前記微小間隙に連通し、かつ該微小間隙に比較し
   て大容積の環状インキ貯溜空間７が首部筒３の内
   壁とペン体４の外周面との間に形成されていると
   共に、該空間から筆記先端に開口する空気交替用
   微小通路８が設けられてなる液式筆記具の先端部
   構造。