JP7382640B2 - 塗布具 - Google Patents
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Description
なお、本明細書における塗布具は、フェルトペン、万年筆、ラインマーカー、白板マーカー等の筆記具だけに限らず、例えば、修正ペンのような液状のものを紙面や白板等の任意の対象物に塗り付ける用具を含む。
具体的に説明すると、本発明者が特許文献1の構造を有する塗布具の小型化を検討し、内部の中子の大きさをそのままに、本体筒を細くし、中綿の部分を小さく(小径に)したところ、中綿が圧縮されすぎてインキの供給が安定しなかった。
そこで、中子の筒状部分を細くしてみたところ、この筒状部分を一定以上細くすると、筒状部分の内部でインキが安定して中綿側に流れなかった。
また、連通孔の内周面と供給補助部材の間に隙間を形成することで、連通孔の内側に供給補助部材を配した場合においても、塗布液収容部内への空気の導入、並びに、それに伴う塗布液収容部内での塗布液と外気の交換を促進することができる。このことから、塗布液収容部からの塗布液の流出を促進させることができる。
このことにより、塗布液の供給をより安定させることができる。
なお、ここでいう「程度」とは、数パーセントの誤差を許容するものとし、以下も同様とする。
また、周壁部17bの内側には、仕切側係合部38(図3参照、詳しくは後述する)と互いに係合する中子側係合部25が形成されている。本実施形態では、中子側係合部25は、それぞれが環状に延びる複数の突起部分によって構成されている。また、周壁部17bの外側面における後端側部分には、隣接部分よりも外側に張り出したフランジ部27が設けられている。
ここで、土台部17は、連通管部15よりも太く(外径が大きく)形成されており、連通管部15は土台部17の径方向における中心側に設けられている。詳細には、土台部17と連通管部15の中心軸は同一となっており、土台部17の周壁部17bの内周面と、連通管部15の外周面が離間している。このことから、周壁部17bの内周面と連通管部15の外周面の間には、環状に連続する空隙が形成されている。
具体的には、本実施形態のインキ供給用部材6は、繊維束の熱融着加工体、繊維束の樹脂加工体、フェルトの樹脂加工体等の繊維束を接合した素材で形成される棒状体となっている。
なお、このインキ供給用部材6は、フェルト等の繊維束を棒状に収束したもの、樹脂や樹脂微粒子を焼結して形成した多孔質の焼結体、細孔が形成された樹脂(プラスチック)等によって形成してもよい。また、この他、ガラス等を原料に形成することも考えられる。すなわち、毛細管力(毛細管現象)によってインキを吸い込み、移動させるものであればよい。
貯留部側筒部31は、閉塞蓋部30の後面から後方(図3(a)、図3(b)では上面から上方)へ突出する円筒状部分であり、連結筒部32は、閉塞蓋部30の前面から前方に突出する円筒状部分である。
また、保持筒部33の内孔と、閉塞蓋部30に形成された貫通孔とが連続して一連の孔であるインキ供給用孔40が形成されている。
このインキ供給用孔40は、貯留部側筒部31の内部空間と連結筒部32の内部空間を連通する孔である。すなわち、インキ供給用孔40は、前後方向(図3では上下方向)に延び、長手方向の両端に開口部分を有する。
本実施形態の塗布具1では、図1で示されるように、前筒部10のペン先取付孔10aにペン先部材3が嵌入され、前筒部10にペン先部材3が取り付けられている。
ペン先部材3の一部は、本体筒2の外部に配され、他部は本体筒2の内部空間に配されている。
具体的には、図4で示されるように、前筒部10の後端側の開口部分から中綿4を挿入した後、同じ開口部分から中子5を挿入し、前筒部10の内周面に土台部17(周壁部17b)の外周面が接触した状態で嵌合させている。また、後筒部11の前端側の開口部分から仕切部材7を挿入し、後筒部11の内周面に貯留部側筒部31が接触した状態で嵌合させている。
すなわち、中子5の前側部分が中綿4に押し込まれ、中綿4が後方側から押圧されている。このことから、中綿4の後方側部分に空隙率が比較的高く繊維密度の低い低密度部が形成され、前方側部分に空隙率が比較的低く繊維密度の高い高密度部が形成されている。つまり、中綿4は、前方側が後方側に比べて毛細管力が強くなっている。
なお、ペン先部材3は、中綿4の高密度部よりも繊維密度が高く、中綿4よりも毛細管力が強くなっている。
インキ供給用部材6は、連通孔20よりも細く(径が小さく)形成されており、連通孔20の中心側に配されている。このことから、図4で示されるように、連通孔20の内周面とインキ供給用部材6の間に隙間50が形成されている。
すなわち、隙間50は、横断面が環状であり、前後方向に延びる(図4参照)空間である。また、特に限定されるものではないが、インキ供給用部材6の外周面から連通管部15の内周面までの距離L1は0.05mm以上としている。そして、連通管部15の内径L2とインキ供給用部材6の外径L3の差(連通管部15の径方向における隙間50の大きさ)は、0.05mm以上としている。なお、本実施形態では、距離L1は0.15mm程度としており、内径L2と外径L3の差を0.3mm程度としている。
また、このインキ供給用部材6と接触する中綿4(中綿4の後端側部分)は、インキ供給用部材6とは毛細管力が異なり、インキ供給用部材6と比べて毛細管力が大きくなっている。
インキ供給用部材6のうち、後側で連通管部15から突出する部分は、インキ供給用孔40を経て、インキ貯留部46に至る。すなわち、インキ供給用部材6の後端側部分は、インキ貯留部46に位置する。このことから、インキ供給用部材6のうちでインキ貯留部46に位置する部分では、後端面と周方向に延びる側面のそれぞれが、インキ貯留部46に貯留されたインキ溜まりと接触することとなる。
すなわち、ペン先部材3を下方側に向けて塗布具1を使用するとき、インキが自身の重力並びにインキ供給用部材6の毛細管力によって下方側へ引かれ、中綿4まで移動する。
さらに、前方に位置する開口20aから外気(微細な量の空気)が導入され、隙間50を経てインキ貯留部46に至ることで、インキ貯留部46内でインキと外気の交換が行われる。このことからも、インキの供給を促進させることができる。
また、比較例として、株式会社サクラクレパス製e‐tank(登録商標)を用意した。比較例の塗布具は、尾端側のインキ貯留部とペン先側の中綿収容部とを連通する管状部分の内径が3.3mmであり、管状部分の内部にインキ供給用部材6等の他部材が存在しないものとした。
筆記試験では、塗布具に対して100gの荷重をかけ、塗布対象物に対する角度を65度とし、筆記速度を20cm/sとした。また、ペン先部材は、いずれも同じ中字のチップとした。そして、筆記距離を700mとし、インキの流出量を測定した。
この結果、図6の表で示す結果が得られた。
なお、筆記距離が所定距離(500m程度)から700mとなるまでの間において、比較例の塗布具が実施例の塗布具に比べてインキ流出量が高い。これは、開始から筆記距離が所定距離(450m程度)となるまでの間に、実施例の塗布具が比較例の塗布具に比べてより多くのインキを流出させたことで、実施例のインキ貯留部に貯留されたインキがより短い筆記距離でなくなったことに起因する。
つまり、実施例の塗布具と比較例の塗布具のそれぞれをインキが殆ど無くなるまで筆記すると、実施例が比較例に比べてインキの流出量が高く、安定してインキの供給がなされていることが示された。
しかしながら、図7(a)で示されるように、インキ供給用部材6と連通孔20の中心軸が同一となるようにインキ供給用部材6を配する必要はなく、インキ供給用部材6と連通孔20の内周面は接触していてもよい。
リブ215aは、連通管部215の内周面から内側へ向かって突出する略長方形平板状の部分である。本実施形態では、2つのリブ215aが設けられており、それぞれ連通管部215の周方向で180度離れた位置に配され、互いに近づく方向に突出している。そして、2つのリブ215aは、いずれも突出端部分がインキ供給用部材206(供給補助部材)と接触している。このことから、2つのリブ215aとインキ供給用部材206によって連通管部215の連通孔220(内部空間)は、2つの領域に区画されている。また、この2つのリブ215aは、インキ供給用部材206の位置ずれを防止する姿勢維持部として機能する。
ここで、一方の押圧片部16は、他方の押圧片部16から連通管部15の円周方向に180度離れた位置に形成されている。つまり、2つの押圧片部16は、連通管部15を介して対向する位置に設けられ、互いに離れる方向に突出している。
また、上記のことから、押圧片部16は、押圧片部16の突出方向と、連通管部15の長手方向のそれぞれに対して略垂直となる方向が部材厚方向となる。
そして、一つの押圧片部16の前端面から前方に離れた位置(図8では下端面から下方に離れた位置)に、横孔23が位置している。
横孔23は、連通管部15の側面に開口部分を有し、連通孔20と連通する孔である。つまり、連通管部15の外周面から内部の中空部分までを貫通している。
ここで、横孔23は、外気(微細な量の空気)が導入される孔であり、インキの供給に使用されない孔となる。すなわち、本発明の塗布具は、必要に応じて連通管部15に横孔23を設け、空気の導入量をより多くする構成としてもよい。このことは、連通管部15を細径とした場合等において、特に好適である。
この関連発明の実施形態に係る塗布具は、図10で示される中子305を備えている。すなわち、上記した塗布具1の中子5及びインキ供給用部材6に替わって中子305が設けられており、インキ供給用部材6を設けない構造となっている。
なお、リブ315aと外側小領域322は、作図の都合上、一部にのみ符号を付し、他への符号を省略する。
このとき、それぞれの外側小領域322と中心側大領域321の境界部分に位置する隙間部分323の幅を非常に狭く(0.2mm以下)しており、それぞれの外側小領域322の横断面の面積を非常に小さく(0.09mm2以下)している。
このことから、それぞれの外側小領域322は、あたかもそれぞれが個別の細い管のように機能し、毛細管力を発揮する。
本実施形態の複数のリブ415aは、それぞれが異なる形状であり、突出端部分が丸みを帯びた形状であり、一部のリブ415aの突出端同士が接触している点において、上記した実施形態の複数のリブ315a(図10(b)参照)とは異なっている。
そして、複数の領域の少なくとも一つが、毛細管力によってインキが移動する空間となり、他の少なくとも一つが空気の流通路として機能する空間となる。
3 ペン先部材(塗布体)
4 中綿(塗布液吸蔵体)
5,105 中子(流路形成部)
6,206 インキ供給用部材(供給補助部材)
15,215 連通管部(管状部)
20,220 連通孔
20a 開口
23 横孔(側方孔部)
46 インキ貯留部(塗布液収容部)
50 隙間
Claims (4)
- 塗布液を充填可能な塗布液収容部と、前記塗布液を塗布するための塗布体と、前記塗布液収容部から前記塗布体側へ前記塗布液を供給する流路形成部を有する塗布具であって、
毛細管力で前記塗布液を移動させる供給補助部材を備え、
前記流路形成部は、前記塗布液収容部側と前記塗布体側にそれぞれ開口を有する連通孔を有しており、前記供給補助部材は前記連通孔よりも細く、前記供給補助部材の少なくとも一部が前記連通孔の内側に配されており、
前記連通孔の内周面と前記供給補助部材との間に隙間が形成されており、
前記塗布体と接触するように設けられ、前記塗布液を含侵する塗布液吸蔵体を有し、
前記供給補助部材は、前端側が前記連通孔の前記塗布体側に形成された開口から外側に突出しており、前記連通孔の外部で前記塗布液吸蔵体と接触しており、
前記供給補助部材の前端は、前記塗布体から後方に離れた位置に配され、前記塗布体は、前記塗布液吸蔵体に前方から接触しており、
前記塗布液吸蔵体は、後側に低密度部を有し、前側に前記低密度部よりも毛細管力の強い高密度部を有し、
前記塗布液吸蔵体において前記供給補助部材と接触する部分は、前記供給補助部材よりも毛細管力が強く、前記塗布体は、前記高密度部よりも毛細管力が強いことを特徴とする塗布具。 - 前記供給補助部材は、前記連通孔よりも長く、一端側が前記連通孔の前記塗布液収容部側に形成された開口から外側に突出しており、且つ、他端側が前記塗布体側に形成された開口から外側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
- 前記流路形成部は、前記連通孔を内孔とする管状部を有し、
前記管状部には、前記管状部の側面に開口を有し、前記連通孔まで延びる側方孔部が設けられており、
前記側方孔部と前記隙間が連続していることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具。 - 前記供給補助部材は、棒状に形成されており、前記供給補助部材の周方向全域が前記連通孔の内周面と離間していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の塗布具。
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