JPH0230803B2 - Kurankujaanarukakosochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はクランクジヤーナル加工装置に関し、
クランク軸の基準面側センタ穴を心押台センタで
支持してジヤーナル部を加工する際のビビリを防
止し、高精度の加工を行うことを目的とするもの
である。

クランク軸のジヤーナル部の旋削加工は第１図
に示すように、リヤ側Ａのジヤーナル部３Ｊ〜５
Ｊとフロント側Ｂのジヤーナル部１Ｊ〜２Ｊを２
工程に分けて加工するのが一般的であり、リヤ側
Ａのジヤーナル部３Ｊ〜５Ｊを加工するときはフ
ロント側Ｂをチヤツク４でクランプし、リヤ側Ａ
のセンタ穴を心押台センタS₁で支持して加工す
る。また、フロント側Ａのジヤーナル部１Ｊ〜２
Ｊを加工するときはリヤ側Ａをチヤツクし、フロ
ント側Ｂをセンタ支持して加工する。

通常クランク軸Ｗの軸方向基準面としてはリヤ
側Ａの端面を基準面Ｃとし、リヤ側Ａのジヤーナ
ル部３Ｊ〜５Ｊ加工時にはリヤ側Ａのセンタ穴を
基準にしてクランク軸Ｗの位置決めがなされる。
このため心押台センタS₁は基準センタとなり、基
準位置にセンタを固定し、これにクランク軸Ｗを
チヤツク４内蔵のスプリングセンタS₂に押圧し位
置決めしてからクランプしていた。

かかるチヤツクのクランプにより、チヤツク内
蔵のスプリングセンタの押圧力はクランプ部で拘
束され押圧作用が殺されるため、切削抵抗により
クランク軸が曲げられると心押台センタS₁とリヤ
側Ａのセンタ穴との間に隙間が生ずることにな
り、クランク軸の支持剛性が低下してビビリの発
生原因となつていることが究明された。

本発明は上記究明された従来の不具合を解消し
たもので、その特長は、クランク軸に切削抵抗に
よつて曲げが生じても心押台センタがセンタ穴の
変位に追従し、一定の支持力を持たせたものであ
る。

以下本発明の実施例について第２図以下第５図
によつて説明する。

第２図において１はベツドである。このベツド
１上には主軸台２と心押台７とが設置され、主軸
台２には主軸３及びこの主軸３に固着されたチヤ
ツク４を有し、チヤツク４内にはスプリングセン
タS₂が設けられている。５は駆動モータ、６はプ
ーリである。心押台には進退自在なセンタラム８
とセンタ９とを有している。主軸台１と心押台７
との間のベツド１上にスライドベース１０が設け
られ、これにツールスライド１１が取付けられて
いる。Ｗは心押台７側のセンタ９とチヤツク４側
のスプリングセンタS₂に支持され、且つチヤツク
４にてクランプされたクランク軸を示す。

本発明は前記心押台７側の構成を第３図乃至第
５図に示す通りにしたものである。すなわち、セ
ンタラム８は心押台本体１２に軸方向に進退摺動
自在に設けられている。このセンタラム８の先端
部にはセンタ９がセンタ保持軸１３を介して回転
自在に保持されている。１４は前記センタ保持軸
１３に嵌着しているセンタ抜き用ロツドであつ
て、一端が心押台本体１２に固定され、センタラ
ム８並びにセンタ保持軸１３の軸心を挿通してい
る。そして、センタラム８を通常の後退位置より
さらに後退させることによりセンタラム８とセン
タ抜き用ロツド１４との相対移動でセンタ抜き用
ロツド１４端がセンタ９を突き出すものである。

センタラム８の上面外周の一部に軸方向に長い
逃し凹部１５が形成され、この逃し凹部１５の略
中央部にはセンタラム８の軸線に対し交差する傾
斜突起１６が突設されている。さらに、逃し凹部
１５内にセンタラム８の軸線に対し直交する方向
の案内面を持つた案内部材１９が心押台本体１２
に固定されて設けられている。そして、この案内
部材１９に摺動部材１７が案内されている。摺動
部材１７には前記傾斜突起１６と係合する傾斜カ
ム１８が設けられている。この摺動部材１７は２
段シリンダ２０と連繋されている。

２段シリンダ２０の構成は第５図に示すように
小径シリンダ２２と大径シリンダ２４とからな
り、小径シリンダ２２内に第１ピストン２３が、
また大径シリンダ２４内に第２ピストン２５が嵌
装されている。第１ピストン２３には前記摺動部
材１７と連結したピストンロツド２１と、小径シ
リンダ２２、第２ピストン２５及び第２ピストン
２５と一体であり、大径シリンダ２４の後端より
外部に突出している筒軸２５ａを縦貫する小径ロ
ツド２６とが結合されている。そして、小径ロツ
ド２６の外端には前記筒軸２５ａの端面に当接す
るストツパ２７が位置調整自在に取付けられてい
る。

次に上記構成の作用について説明する。第４図
においてセンタ９のａ位置は後退端位置であり、
クランク軸Ｗの着脱が行われる位置である。また
ｂ位置はセンタ９がクランク軸Ｗの基準面Ｃ側の
センタ穴に係合する基準位置であり、ｃ位置は基
準位置ｂから所要の追従ストロークl₁で追従進退
する前進端位置である。

前記ａ、ｂ、ｃの各位置のコントロールは次の
ようにして得るものである。先ず後退端位置ａ
は、２段シリンダ２０の第１ピストン２３が仮想
線で示す後退端に、また第２ピストン２５は図示
の通り後退端位置である。従つて、ピストンロツ
ド２１にて連結されている摺動部材１７は後退端
a₁に位置し、傾斜カム１８と傾斜突起１６との関
係でセンタラム８を後退移動させセンタ９を前記
後退端位置ａに存在させる。このセンタ９の後退
端位置ａでは前述の通りクランク軸Ｗの着脱作業
が行われる。

次にクランク軸Ｗのセンタ穴に係合する基準位
置ｂは、第２ピストン２５は後退端に位置し、第
１ピストン２３のみが前進作動し小径ロツド２６
端のストツパ２７が筒軸２５ａ端面に当接したと
ころで停止する。この第１ピストン２３の前進停
止位置は小径シリンダ２２端までの全ストローク
ではなく、小径シリンダ２２の前端との間に隙間
l₂を有している。この第１ピストン２３の前進に
基き摺動部材１７は前進位置b₁に位置し、傾斜カ
ム１８と傾斜突起１６との関係でセンタラム８を
前進させセンタ９を基準位置ｂに位置する。この
センタ９の基準位置ｂにてクランク軸Ｗのリヤ側
Ａのセンタ穴を基準にしてクランク軸Ｗの位置決
めがなされチヤツク４によりクランプされる。

かかるクランク軸Ｗのクランプ後に第２ピスト
ン２５を前進端に作動する。この第２ピストン２
５の前進端移動により、筒軸２５ａも一体に前進
し、筒軸２５ａの端面とストツパ２７との間にギ
ヤツプが形成される。従つて、今までストツパ２
７により前進移動を拘束されていた第１ピストン
２３は解放され、隙間l₂の間で前進方向に押圧力
を有している。この第１ピストン２３に前進方向
の押圧力を有することは、摺動部材１７を前進方
向に押圧していることであり、傾斜カム１８と傾
斜突起１６とによつてセンタラム８を前進方向に
押圧している。よつて、クランク軸Ｗのジヤーナ
ル部３Ｊ〜５Ｊの加工時の切削抵抗によつてクラ
ンク軸Ｗに曲がりが生じセンタ穴が変位したとき
には、センタ９はセンタ穴の変位に追従して基準
位置ｂから前進端位置ｃの追従ストロークl₁で変
位し一定の支持力を保持するのである。尚c₁は摺
動部材１７の前進端位置である。

以上のように本発明装置によれば、センタ基準
でクランク軸を位置決めし、チヤツクによるクラ
ンプ後においては、心押台センタにてチヤツクに
向つてクランク軸を押圧するようにしたものであ
るから、クランク軸に曲げが生じてもセンタはセ
ンタ穴の変位に追従し、常に一定の支持力を持た
せ支持剛性を保持させることができ、切削加工時
におけるビビリが解消される。またセンタラムを
基準位置に正しく位置決めできるので、クランク
軸の軸方向の位置決めが正確にできる。従つて、
クランク軸ジヤーナル部が従来に増して高精度の
加工が得られる効果を有しているものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はクランクジヤーナルの加工において従
来一般的なセンタ支持並びにクランプの説明図、
第２図は本発明装置の全体の正面図、第３図は本
発明装置の主要部の断面であり、第４図−線
断面図、第４図は平面図、第５図は第４図Ｖ−Ｖ
線断面図である。 １……ベツド、２……主軸台、３……主軸、４
……チヤツク、７……心押台、８……センタラ
ム、９……センタ、１５……逃し凹部、１６……
傾斜突起、１７……摺動部材、１８……傾斜カ
ム、１９……案内部材、２０……２段シリンダ、
２１……ピストンロツド、２２……小径シリン
ダ、２３……第１ピストン、２４……大径シリン
ダ、２５……第２ピストン、２５ａ……筒軸、２
６……小径ロツド、２７……ストツパ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クランク軸の基準面側センタ穴をセンタ支持
   する心押台と、この心押台のセンタにクランク軸
   を軸線方向に押圧する位置決め用押圧部材を備
   え、クランク軸のリヤ側のジヤーナル部とフロン
   ト側のジヤーナル部を２工程に分けて加工するク
   ランクジヤーナル加工装置において、クランク軸
   の加工箇所と反対側を保持しクランプするチヤツ
   クと、前記心押台の本体にセンタ軸線方向に進退
   可能に案内され一端にセンタを有するセンタラム
   と、このセンタラムを前進端基準位置に位置決め
   する位置決め装置と、この位置決め装置を前記チ
   ヤツクのクランプ後に解放し前記センタラムを前
   進方向に押圧する押圧装置とを設けたことを特徴
   とするクランクジヤーナル加工装置。