JPH0230650Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、例えばオーブントースタ等のように
ヒータを内蔵した調理器筐体の金属製前面パネル
に、金属製化粧板およびヒータ制御用の操作体を
夫々取付けた電気調理器に関する。

［従来の技術］ 従来のオーブントースタ等においては、第１図
に例示したように調理器筐体の前面パネル１に、
操作体２をねじ３で取付けるとともに、化粧板４
を取付けている。化粧板４は、アルミニウム板又
は鋼板製の平板であつて、表面に印刷が施されて
いるとともに、４隅部周縁に後方に向かう係止爪
５を突設して形成されている。

そして、この化粧板４は、前面パネル１の化粧
板取付け凹部（化粧板４の板厚分に相当する凹み
深さを有する。）６に係止爪５を差込んで挿通さ
せた後、係止爪５を捻じ曲げ又は折曲げることに
よつて、前面パネル１に取付けられている。しか
も、この取付けにより化粧板４の中央部が浮き上
がらないように、前面パネル１と化粧板４とは接
着されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、上記の従来構造によれば、前面パネル
１に対する操作体２の固定と、化粧板４の固定と
を、別々にしなければならないとともに、化粧板
４の取付けに当たつて接着および係止爪５の塑性
変形加工を行なわなければならないので、組立て
作業性が悪く、コスト高の一因となるという問題
があつた。

さらに、化粧板４は組立て中の傷付き、変形、
および使用中の変形、破損により交換されること
がある。しかし、上記従来構造では、塑性変形さ
れた係止爪５を起こす作業、接着された化粧板４
を剥がす作業、並びに前面パネル１から接着剤を
除去する作業などの面倒な諸作業が、新たな化粧
板の取付け前に必要であるから、化粧板の交換性
が悪いという問題があつた。

しかも、係止爪５を捻つて化粧板４の取付けを
行なつた場合には、捻りの影響で化粧板４の一部
が変形されることがあり、この変形によつて外観
が損なわれるという問題もあつた。

また、従来の構造では、化粧板取付け凹部６の
深さと化粧板４の厚みの寸法交差などの関係によ
り、プレスで打ち抜き成形された化粧板４のエツ
ジが露出することが考えられ、このエツジによつ
て使用者に怪我を負わせるおそれがある。

本考案の目的は、化粧板の取付けおよび交換の
作業性を向上できるとともに、化粧板まわりの外
観を向上できるだけでなく化粧板のエツジで怪我
をすることを防止でき、しかも、化粧板を堅固に
取付けることができる電気調理器を得ることにあ
る。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案の電気調理器
においては、ヒータを内蔵した調理器筐体の金属
製前面パネルに、金属製化粧板および上記ヒータ
の制御用操作体を夫々取付けた電気調理器におい
て、上記前面パネルに縦長な化粧板取付け凹部を
形成し、この凹部の一端側に取付孔を穿設し、上
記化粧板取付け凹部と同形状をなす上記化粧板の
周縁に、先端が上記化粧板取付け凹部の底面に当
接する環状の後向き突縁を形成し、この化粧板の
一端側の後向き突縁には、上記取付孔に挿入され
るとともに、挿入後の化粧板の移動で上記取付孔
の孔縁に係止される係止爪を一体に延設し、上記
化粧板の他端側および上記前面パネルに、上記前
面パネル裏面に配設される上記操作体の操作軸部
が貫通する通孔を夫々設け、上記化粧板側から挿
入され上記前面パネルを通つて上記操作体に螺合
される取付けねじで、上記化粧板および上記操作
体を上記前面パネルに固定し、かつ上記化粧板取
付け凹部の幅方向中央部には、上記取付孔と通孔
との間に位置して前向きに膨出するビード状突出
部を一体に形成し、この突出部の先端を上記化粧
板の裏面に当接させたものである。

［作用］ 本考案において、前面パネルに化粧板および操
作体を取付けるには、縦長な化粧板の一端側に、
その後向き突縁の先端から一体に延設した係止爪
を、前面パネルに形成した化粧板取付け凹部の取
付孔に挿入しかつ係止させた後に、化粧板取付け
凹部の裏側に操作体を配置して、化粧板の他端側
においてこの化粧板の前側から、化粧板を通つて
挿入される取付けねじを、前面パネルに通して操
作体に螺合させて締め付けることにより、化粧板
および操作体の夫々を、前面パネルに同時に固定
すればよい。

したがつて、従来必要であつた接着および係止
爪の塑性変形加工を省略できるとともに、既述の
ように化粧板と操作体とを同時に前面パネルに取
付けることができるため、組立て作業性を向上で
きる。そして、接着および係止爪の塑性変形加工
を必要としないから、取付けねじを外せば、化粧
板を簡単に前面パネルから取外すことができ、し
たがつて、化粧板を交換する場合の作業性も向上
できる。

しかも、化粧板の係止爪を塑性変形加工しない
ことにより、当然のことながら化粧板の係止爪が
突出された部分が変形されることがないととも
に、化粧板が有する環状の後向き突縁は化粧板取
付け凹部内に収まつており、したがつて後向き突
縁が波を打つているような場合でも、その状態が
視認されることが防止されるから、化粧板の収ま
りが良くなつて、化粧板まわりの外観を向上でき
る。

そして、化粧板が有する環状の後向き突縁の先
端を化粧板取付け凹部の底面に当接するととも
に、化粧板の裏面には、化粧板取付け凹部の幅方
向中央部に前向きに膨出して一体に突設された突
出部の先端が当接されている。したがつて、化粧
板はその周縁部および幅方向中央部を化粧板取付
け凹部に支持されて取付けられていることと相俟
つて、化粧板は環状の後向き突縁により補強され
て強度が大きくなつているから、化粧板を堅固に
取付けることができる。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を第２図から第６図を
参照して説明する。

図中１１は金属製の調理器筐体で、その前面パ
ネル１２には開口１３およびこれに隣接して縦長
長方形状の化粧板取付け凹部１４が形成されてい
る。開口１３には透視窓１５を有した扉１６が開
閉自在に蝶着されている。

調理器筐体１１内には、図示しないが載せ網お
よび石英管ヒータ等のヒータが内蔵されており、
載せ網は扉１６の開閉に連動して前後方向に移動
され、開口１３から突没されるようになつてい
る。なお、ヒータは載せ網の上方および下方に
夫々設けられている。

化粧板取付け凹部１４には、この凹部１４と同
形状の化粧板１７、および上記ヒータ制御用の操
作体１８が夫々取付けられている。以下、この取
付け構造について詳しく説明する。

化粧板取付け凹部１４には、例えば上端側の両
側近傍において夫々縦長な取付孔１９が穿設され
ているとともに、下端側において通孔２０が穿設
されている。さらに、上記凹部１４には、その幅
方向（左右方向）中央部に位置するとともに、取
付孔１９と通孔２０との間において、突出部２１
が前向きに膨出して一体に形成されている。

突出部２１の突出高さは上記凹部１４の凹み深
さと略同じであり、その先端は化粧板１７の裏面
に当接するようになつている。なお、第３図およ
び第４図中２２は通孔２０に隣接して一体に設け
た膨出部で、その突出高さも上記凹部１４の凹み
深さと略同じである。この膨出部２２にはねじ通
孔２３が夫々穿設されている。

上記化粧板１７はアルミニウム板又は電気めつ
きを施した鋼板などの金属製で、その表面にはシ
ルクスクリーン印刷又はオフセツト印刷などが施
されている。この化粧板１７の周縁には、先端が
化粧板取付け凹部１４の底面に当接する環状の後
向き突縁２４が形成されている。

化粧板１７の一端側例えば上端側の後向き突縁
には、上記取付け孔１９に挿入しかつ係止される
係止爪２５が一体に形成されている。係止爪２５
は例えば略Ｌ字状で、取付孔１９に挿通後に化粧
板１７を移動することにより、その根元部が取付
孔１９の孔縁に係止されるようになつている。

化粧板１７の他端側には上記通孔２０と対向す
る通孔２６が穿設されているとともに、上記ねじ
通孔２３と対向するねじ通孔２７が穿設されてい
る。

上記操作体１８は例えばヒータへの通電時間を
設定するタイマーであつて、これは上記通孔２
０，２６を貫通する操作軸部２８を有していると
ともに、上記ねじ通孔２３，２７を通る取付けね
じ２９が螺合する螺孔３０を有している。操作軸
部２８にはダイヤル等の摘み３１が嵌着されるよ
うになつている。

そして、前面パネル１２に化粧板１７および操
作体１８を取付けるには、まず、化粧板１７の係
止爪２５を取付孔１９に挿通させるとともに、化
粧板１７を押し上げる。なお、この際の係止爪２
５の動きは第５図中矢印で示されている。そうす
ると、係止爪２５の根元部が取付孔１９の孔縁に
係止されて、化粧板１７の上端側が前面パネル１
２に固定される。これとともに、各通孔２０，２
６が丁度対向されるとともに、各ねじ通孔２３，
２７が丁度対向される。

次ぎに、操作体１８を前面パネル１２における
化粧板取付け凹部１４の裏側に配設して、その操
作軸部２８を各通孔２０，２６に挿通させるとと
もに、螺孔３０をねじ通孔２３に対向させる。こ
の状態で、化粧板１７の前側から取付ねじ２９を
ねじ通孔２７，２３に挿通させて、この取付けね
じ２９を螺孔３０にねじ込む。

そうすると、化粧板１７および操作体１８が前
面パネル１２に同時に固定されるとともに、化粧
板１７の裏面に突出部１８の先端が当接され、か
つ、化粧板１７の後向き突縁２４の先端が化粧板
取付け凹部１４の底面に当接されて、化粧板１７
および操作体１８の前面パネル１２への取付けが
同時に完了する。

なお、この後には操作軸部２８に摘み３０が嵌
着され、この摘み３０で取付けねじ２９が被い隠
される。また、交換などの必要により化粧板１７
を取外す場合には、以上の取付の手順と逆の手順
で行えばよい。

そして、以上のように前面パネル１２に化粧板
取付け凹部１４を設けて、これに後向き突縁２４
を丁度嵌合させて化粧板１７を取付けたから、後
向き突縁２４の端面側が視認されることがない。
なお、化粧板１７はプレスにより成形されるもの
であるため、その後向き突縁２４の端面側には波
を打つような変形が生じることがある。しかし、
上記突縁２４の端面側は以上のように化粧板取付
け凹部１４内に収まつているから、化粧板１７の
収まりが良く、この化粧板１７まわりの外観を向
上できるとともに、上記突縁２４のエツジが露出
して使用者の手指が接触することもないから、安
全である。

さらに、化粧板１７は、その後向き突縁２４に
よる補強作用と相俟つて、化粧板１７の周縁部が
その後向き突縁２４を介して化粧板取付け凹部１
４の底面に当接して当接支持されるとともに、化
粧板１７の中央部がその裏面に当接する化粧板取
付け凹部１４の突出部２１に支持されているか
ら、前面パネル１２に対して化粧板１７を堅固に
取付けることができるものであり、しかも、化粧
板１７の中央部が押された場合に変形を防止でき
る。

そして、このような変形防止と既述のように係
止爪２５に対して塑性変形加工を施さないことか
ら、化粧板１７を薄肉化することが可能である。
勿論、薄肉化した場合には当然コストの低減を計
れる。

なお、上記一実施例は以上のように構成した
が、本考案において化粧板１７の係止爪２５は第
７図に示したように後向き突縁２４の上端に位置
する部位から延設してもよい。この場合、取付孔
は化粧板取付け凹部の上端に設けることは勿論で
ある。また、掛止爪２５は比較的長ければ１個で
も差支えない。さらに、化粧板の上側に通孔を穿
設するとともに下側に係止爪を設けて、化粧板の
移動を下方に向けて行うようにしてもよい。しか
も、本考案はオーブントースタに限らず、種々の
電気調理器に実施できる。そして、操作体として
はタイマーに限らず、ヒータの発熱量の切換え、
または上下ヒータの使用切換えを行う切換えスイ
ツチでもよい。

その他、本考案の実施に当たつては、考案の要
した反しない限り、調理器筐体、前面パネル、化
粧板取付け凹部、操作体、化粧板、取付孔、後向
き突縁、係止爪、各通孔、突出部、取付けねじ等
の具体的な構造、形状、位置などは、上記一実施
例に制約されることなく、種々の態様に構成して
実施できることは勿論である。

［考案の効果］ 以上説明した本考案の電気調理器においては、
前面パネルに形成された化粧板取付け凹部の一端
部に取付孔を穿設し、この孔に挿入後に移動され
ることにより、上記取付孔に孔縁に係止される係
止爪を化粧板に一体に延設して、これら取付孔に
係止爪を挿入係止させて、化粧板の一端側を前面
パネルに固定するとともに、化粧板の他端側を取
付けねじで固定するように構成したから、化粧板
の取付において係止爪を曲げたり、化粧板を前面
パネルに接着する必要がなくなり、化粧板を簡単
に取付けることができるとともに、この化粧板を
交換する際の作業性を向上できる。

それだけではなく取付けねじを、化粧板の前側
から挿入して前面パネルに通し、このパネルの裏
側に配置されたヒータ制御用操作体に螺合して設
けた構成により、化粧板の前面パネルへの固定と
同時に、上記操作体の前面パネルに対する固定
も、同じ取付けねじによつてできる。よつて、組
立て作業性を向上できる。

その上、既述のように係止爪が曲げられないこ
とにより、化粧板に変形を招くことがないことと
相俟つて、化粧板の周縁に上記係止爪を有する環
状の後向き突縁を形成し、この突縁を化粧板取付
け凹部に収めたから、化粧板まわりの外観を向上
できる。しかも、後向き突縁のエツジが化粧板取
付け凹部で隠されて露出されることがないので、
上記エツジによつて使用者が傷付けられることも
ない。

そして、化粧板の周縁に形成した環状の後向き
突縁を化粧板取付け凹部の底面に当接支持すると
ともに、化粧板の中央部裏面を、化粧板取付け凹
部に膨出形成した突出部で当接支持した構成によ
り、堅固に化粧板を取付けることができ、化粧板
が環状の後向き突縁を有しているにも拘らず、こ
の化粧板が押された場合の変形も防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す分解斜視図である。第２
図から第６図は本考案の一実施例を示し、第２図
はオーブントースタの斜視図、第３図は要部の分
解斜視図、第４図は要部を第３図中−線に沿
つて示す縦断面図、第５図は取付孔と係止爪との
関係を示す拡大断面図、第６図は第４図中−
線に沿う拡大断面図である。第７図は化粧板の他
の構造を示す斜視図である。 １１……調理器筐体、１２……前面パネル、１
４……化粧板取付け凹部、１７……化粧板、１８
……操作体、１９……取付孔、２０，２６……通
孔、２１……突出部、２３，２７……ねじ通孔、
２４……後向き突縁、２５……係止爪、２８……
操作軸部、２９……取付けねじ、３０……螺孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ヒータを内蔵した調理器筐体の金属製前面パネ
   ルに、金属製化粧板および上記ヒータの制御用操
   作体を夫々取付けた電気調理器において、上記前
   面パネルに縦長な化粧板取付け凹部を形成し、こ
   の凹部の一端側に取付孔を穿設し、上記化粧板取
   付け凹部と同形状をなす上記化粧板の周縁に、先
   端が上記化粧板取付け凹部の底面に当接する環状
   の後向き突縁を形成し、この化粧板の一端側の後
   向き突縁には、上記取付孔に挿入されるととも
   に、挿入後の化粧板の移動で上記取付孔の孔縁に
   係止される係止爪を一体に延設し、上記化粧板の
   他端側および上記前面パネルに、上記前面パネル
   裏面に配設される上記操作体の操作軸部が貫通す
   る通孔を夫々設け、上記化粧板側から挿入され上
   記前面パネルを通つて上記操作体に螺合される取
   付けねじで、上記化粧板および上記操作体を上記
   前面パネルに固定し、かつ上記化粧板取付け凹部
   の幅方向中央部には、上記取付孔と通孔との間に
   位置して前向きに膨出するビード状突出部を一体
   に形成し、この突出部の先端を上記化粧板の裏面
   に当接させたことを特徴とする電気調理器。