JPH0229211Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、吸気マニホルドの集合部空間に突出
するエクステンシヨンを備えるとともに、集合部
空間にブローバイガス供給ポートが連通される内
燃機関の吸気装置に関するものであり、特に、ブ
ローバイガス供給ポートの設置構造に係る。

【従来の技術】

内燃機関の吸気装置には、吸気マニホルド内で
発生する負圧を利用してクランクケース内を換気
し、燃焼室よりクランクケースに洩れる未燃焼ガ
ス（以下、ブローバイガスという）を再び吸気通
路内に戻して、混合気とともに再燃焼させる所謂
ブローバイガス還元装置が設けられている。 このようにブローバイガス還流装置を設けるこ
とにより、燃焼室よりクランクケース内に洩れた
未燃焼ガスが大気中へ放出されることを防止する
ことができ、大気汚染を防止することができる。 一方、燃料供給装置から供給される燃料と吸気
通路内に流入する新気とのミキシングを良好にす
るために、燃料供給装置下流に接続され、各気筒
に連通する分岐管を備えた吸気マニホルドの集合
部の空間に筒状のエクステンシヨンを突出させた
吸気装置が知られている。 このように吸気マニホルドの集合部空間にエク
ステンシヨンを設けた吸気装置によれば、エクス
テンシヨンによつて吸気通路径が絞られるため、
吸気流速を高めることができ、かつ混合気を吸気
マニホルドのライザ部底面近傍まで案内すること
ができるため、混合気のミキシングと霧化が促進
されて燃焼性能の向上をはかることができる。 そして従来より内燃機関の吸気装置において
は、上記したブローバイガス還元装置とエクステ
ンシヨンを備えた吸気マニホルドとが組み合わせ
て用いられていた。

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記したエクステンシヨンを備えた
内燃機関の吸気装置においては、エクステンシヨ
ン内を流動する混合気の流速を高めることはでき
るものの、エクステンシヨンが吸気マニホルドの
集合部空間まで突出しているため、エクステンシ
ヨンの外壁と吸気マニホルド集合部壁面（ライザ
部壁面）との間に吸気通路内の流速の影響が及ば
ない領域、つまり、吸気流の淀む領域が発生する
ことがある。 このため、ブローバイガス供給ポートを吸気マ
ニホルドの集合部壁面に開口させる際に、その開
口位置をエクステンシヨン外壁とライザ部壁面と
の間に形成される空間部分、即ち、吸気流の淀む
領域に開口させた場合には、吸気通路内の吸気流
れによる所謂エゼクト作用によつて発生する負圧
をブローバイガス供給ポートの開口部に効果的に
作用させることができず、クランクケース内を充
分に換気させることができないことがある。 クランクケース内の換気が充分に行われない場
合には、燃焼室より洩れた未燃焼ガスがクランク
ケース内のオイルに混ざつてオイルの劣化を早め
る一方、未燃焼ガス中の水分が内燃機関の各部に
付着して錆が発生し、焼付きや摩耗の原因となる
こともある。 また、クランクケースからブローバイガス供給
ポートを介して吸気通路内に戻されるブローバイ
ガス中には、クランクケース内に飛散するオイル
や水分が多量に含まれている。 このため、上記したように負圧をブローバイガ
ス供給ポートの開口部に確実に作用させることが
できない場合には、ブローバイガス供給ポート内
にオイルや水分が滞留することになる。 従つて、内燃機関の始動直後で充分な暖機がさ
れていない場合には、ブローバイガス供給ポート
内に滞留したオイルや水分が氷結してブローバイ
ガス供給ポートを閉塞し、クランクケース内の換
気を妨げたり、液状のオイルや水分が吸気通路内
に吸入されて、燃焼性能の悪化やデポジツト堆積
の原因となつたりする。 この対策として、ライザ部底面近傍の集合部壁
面に開口するようにブローバイガス供給ポートを
配設すれば、始動直後からライザ部の熱を伝達さ
せてブローバイガス供給ポート内の氷結を防止し
たり、オイルや水分の気化を促進することができ
るものの、単にライザ部に開口させたのみでは、
排気ガス温度が上昇する高速走行時等に逆にブロ
ーバイガス供給ポートが過熱された状態となり、
ブローバイガス中のオイルが炭化してブローバイ
ガス供給ポートを閉塞してしまうことがある。 そこで従来より、ブローバイガス供給ポートを
吸気通路内の吸気流速が速い部分まで伸長させて
エゼクト作用を積極的におこさせ、ブローバイガ
スを還流させる装置も知られている（例えば、実
開昭53−133936号公報）。 しかしながら、この装置においては、単に吸気
通路内の流速が速い部分にブローバイガス供給ポ
ートを開口させるのみであるため、ブローバイガ
ス供給ポートが混合気の気化熱によつて過冷却さ
れることになり、上記したようなブローバイガス
供給ポート内の氷結や液状のオイルや水分の流出
による不具合をきたすことがあり、充分な対策と
は言い難いものであつた。 従つて、本考案はエクステンシヨンを備えた内
燃機関の吸気装置において、ブローバイガス供給
ポートの開口位置を最適に設定することによつ
て、クランクケース内の換気を安定して行わせる
ことを目的とする。

【課題を解決するための手段】

そこで本考案は、上記の課題を解決するため
に、燃料供給装置の下流に接続され、各気筒に連
通する分岐管と、分岐管の集合部空間に突出する
筒状のエクステンシヨンを備えた吸気マニホルド
の集合部空間にブローバイガス供給ポートを連通
した内燃機関の吸気装置において、上記ブローバ
イガス供給ポートは、ライザ部底面近傍の壁面を
貫通し、その開口部がエクステンシヨンの内壁面
の延長線上に位置するように伸長されていること
を特徴とする。

【作用】

本考案の内燃機関の吸気装置によれば、ブロー
バイガス供給ポートの開口部がライザ部底面近傍
の壁面を貫通し、エクステンシヨンの内壁面の延
長線上に位置するように伸長されているため、エ
クステンシヨンを通過した吸気流によつて生ずる
負圧がブローバイガス供給ポートの開口部に効果
的に作用し、クランクケース内の換気が促進され
る。 また、ブローバイガス供給ポートの開口部がラ
イザ部底面近傍の壁面を貫通して設けられるた
め、始動直後において速やかにライザ部の熱がブ
ローバイガス供給ポートに伝達されるため、ブロ
ーバイガス供給ポート内における氷結が防止で
き、また液状のオイルや水分の気化が促進されて
安定したブローバイガスの還流が可能となる。 さらには、ブローバイガス供給ポートの開口部
がエクステンシヨンの内壁面の延長線より突出し
ないように配設されるため、混合気の気化熱によ
るブローバイガス供給ポートの過冷却が抑制され
るとともに、逆に適度な冷却効果が得られるた
め、ライザ部からの熱伝達を軽減することができ
てブローバイガス供給ポート内におけるオイルの
炭化も抑制することができる。

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。 第１図および第２図は本考案の一実施例を示す
説明図であり、第１図は内燃機関の吸気装置の要
部縦断面図、第２図は吸気マニホルドの概要を示
す上面図である。 燃料供給装置１は、内部に吸気通路としてのボ
ア１ａが形成されるスロツトルボデー４を備え、
下流側には吸気量を調量するスロツトル弁５が、
上流側には燃料噴射弁６がそれぞれ配設されてい
る。７はスロツトル弁５を一体的に固定し、図示
しないアスセルの踏み込み操作によつて回動する
回転軸である。 回転軸７より下流のスロツトルボデー４内には
温水通路８が形成されており、燃料噴射弁６より
噴射された燃料を加熱して霧化を促進する。 燃料噴射弁６はボア１ａの中心線に対して、温
水通路８側にオフセツトされており、燃料噴射弁
６からの噴霧がスロツトル弁５によつて分断され
ることを抑制している。 また燃料噴射弁６はボア１ａの上流においてボ
ア１ａの径方向に渡された支持バー９内に設置さ
れ、この支持バー９内には燃料噴射弁６に燃料を
供給する燃料供給通路１０と燃料噴射弁６からの
余剰燃料を戻す燃料戻り通路１１が形成されてい
る。 上記した構成を備えた燃料供給装置１は、ガス
ケツト１５を介して吸気マニホルド２の上部に搭
載される。 吸気マニホルド２は第２図に示すように、内燃
機関の各気筒に連通する複数の分岐管を備え、こ
れらの集合部にはライザ部３が形成されている。 ライザ部３は吸気マニホルド２の集合部空間３
ａを構成し、その底面３ｂにおいて図示しない排
気マニホルドからの熱を受ける。 一方、吸気マニホルド２の集合部空間３ａに
は、燃料供給装置１から流入する混合気をライザ
部底面３ｂまで案内するためのエクステンシヨン
１２が突出しており、本実施例の場合、エクステ
ンシヨン１２はライザ部３と一体的に構成されて
おり、また吸気流速を高めるためにその後流側が
先細形状に形成されている。 さらに、ライザ部３にはアイドルアツプ用のエ
ア供給ポート１３が設けられるとともに、その対
向する部位にはライザ部３壁面を貫通して図示し
ないクランクケース内のブローバイガスを吸気通
路内に供給するブローバイガス供給ポート１４が
設けられている。 そしてこのブローバイガス供給ポート１４の開
口部は、エクステンシヨン１２の内壁面の延長線
上に位置するように伸長されており、エクステン
シヨン１２内を流動し、吸気マニホルド２の集合
部空間３ａ内に流入する吸気流によつて発生する
負圧が作用するように配設されている。 上記の構成における本実施例の作用を説明す
る。 燃料噴射弁６より噴射された燃料は、吸入され
る新気と混合されてボア１ａ内を流動し、エクス
テンシヨン１２によつて流速を高められ、ライザ
部底面３ｂ近傍まで案内される。 ライザ部底面３ｂは、図示しない排気マニホル
ド内を流動する排気ガスの熱を受けて高温状態と
なるため、エクステンシヨン１２によつて案内さ
れた混合気がライザ部底面３ｂの熱によつて加熱
され、霧化が促進されて内燃機関の各気筒に流入
する。 一方、ブローバイガス供給ポート１４を通つて
吸気通路内に流入するブローバイガスもライザ部
３の壁面を貫通して吸気通路に突出するように配
設されているため、ライザ部底面３ｂからの熱伝
達によつて加熱され、混合気と効率的に混合され
て各気筒に流入し、再度燃焼される。 このとき、本実施例によれば、ブローバイガス
供給ポート１４がエクステンシヨン１２の内壁面
の延長線上に位置するようにライザ部３壁面を貫
通して突出しているため、ブローバイガス供給ポ
ート１４の開口部にはエクステンシヨン１２を流
動し、集合部空間３ａ内に流入する吸気流による
所謂エゼクト作用によつて負圧が効果的に作用
し、ブローバイガスを速やかに吸気通路内に流入
させることができる。 また、ブローバイガス供給ポート１４がライザ
部３壁面を貫通するように設けられているため、
ライザ部底面３ｂからの熱がブローバイガス供給
ポート１４に伝達されるため、始動直後において
も速やかにこの熱がブローバイガス供給ポート１
４に伝達される。従つて、ブローバイガス中の水
分によつて起こる氷結や液状のオイルや水分が吸
気通路内に吸入されることが防止されて、始動直
後においてもブローバイガスを安定して供給する
ことができる。 さらに、ブローバイガス供給ポート１４の開口
部がエクステンシヨン１２の内壁面の延長線上に
位置するように配設されているため、吸気通路内
を流動する混合気に直接さらされることが回避で
き、混合気の気化熱によるブローバイガス供給ポ
ート１４の過冷却が防止されてこれに伴う氷結も
防止することができる。 逆に、ブローバイガス供給ポート１４が混合気
の気化熱によつて適度に冷却されるため、高速走
行時などにライザ部３が過熱状態となつても、ブ
ローバイガス供給ポート１４を介して伝達される
冷却熱によつてブローバイガス供給ポート１４の
過熱が抑制されてブローバイガス中のオイルの炭
化が防止でき、ブローバイガス供給ポート１４の
閉塞を防止することもできる。 以上、本考案の特定の実施例について説明した
が、本考案は、この実施例に限定されるものでは
なく、実用新案登録請求の範囲に記載の範囲内で
種々の実施態様が包含されるものである。

【考案の効果】 以上のように本考案によれば、ブローバイガス
供給ポートの開口部がライザ部底面近傍の壁面を
貫通し、エクステンシヨンの内壁面の延長線上に
位置するように伸長されているため、エクステン
シヨンを通過した吸気流によつて生ずる負圧がブ
ローバイガス供給ポートの開口部に効果的に作用
し、クランクケース内の換気が促進される。 また、ブローバイガス供給ポートの開口部がラ
イザ部底面近傍の壁面を貫通して設けられるた
め、始動直後において速やかにライザ部の熱がブ
ローバイガス供給ポートに伝達されるため、ブロ
ーバイガス供給ポート内における氷結が防止で
き、また液状のオイルや水分の気化が促進されて
安定したブローバイガスの還流が可能となる。 さらには、ブローバイガス供給ポートの開口部
がエクステンシヨンの内壁面の延長線より突出し
ないように配設されるため、混合気の気化熱によ
るブローバイガス供給ポートの過冷却が抑制され
るとともに、逆に適度な冷却効果が得られるた
め、ライザ部からの熱伝達を軽減することができ
てブローバイガス供給ポート内におけるオイルの
炭化も抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示す
説明図であり、第１図は内燃機関の吸気装置の要
部縦断面図、第２図は吸気マニホルドの概要を示
す上面図である。 １……燃料供給装置、２……吸気マニホルド、
３……ライザ部、３ａ……集合部空間、３ｂ……
ライザ部底面、１２……エクステンシヨン、１４
……ブローバイガス供給ポート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 燃料供給装置の下流に接続され、各気筒に連通
   する分岐管と、分岐管の集合部空間に突出する筒
   状のエクステンシヨンを備えた吸気マニホルドの
   集合部空間にブローバイガス供給ポートを連通し
   た内燃機関の吸気装置において、 上記ブローバイガス供給ポートは、ライザ部底
   面近傍の壁面を貫通し、その開口部がエクステン
   シヨンの内壁面の延長線上に位置するように伸長
   されていることを特徴とする内燃機関の吸気装
   置。